[E3 2002#93]現実の歴史とファンタジーが入り交じるRPG「Lionheart」 - 05/30 20:33

 このE3で初めて発表された「Lionheart」は,第三次十字軍遠征期の16世紀後半を舞台にし,史実にファンタジーを積め込んだRPGである。制作はInterplayのゲーム開発部門であるBlack Isle Studiosによって行われ,新鋭のReflexive Studiosが開発を担当している。「Fallout 2」で使用したVelocityゲームエンジンのコア部分をベースに制作しているため,3人までの協力プレイはあるものの,基本的にシングルプレイヤーモードに重点を置いたRPGだと考えていいだろう。

 ストーリーは,第三次十字軍遠征が行われていた1588年から始まる。史実では,スペインの無敵艦隊が虎視眈々とイギリスを狙っている時期である。
 ある日突然大地に亀裂ができて,魔法の源泉や超自然現象が噴出する。史実のスペイン海軍は,もろくもイギリス海軍に敗れてしまうのであるが,ゲーム内ではドラゴンなどの登場によって粉砕されてしまうことになるのだ。これを機に,ヨーロッパでは魔法の使用に関する議論が激しくなり,これを禁じたスペイン王国側と,それに対抗して魔法を受け入れるイギリス側に2分されてしまう。
 "Lionheart"(ライオンの心臓)とは,12世紀に第一次十字軍遠征を指揮し,中世ヨーロッパの流れを決めてしまった獅子王リチャード1世のこと。本作では,主人公がリチャード王の意思を受け継いだ勇者であるという設定になっているようだ。ストーリー自体はかなりオープンエンドになっていて,プレイヤーもほとんど行動を制約されることなく旅して回れる。
 デモでは,まだβ版にも入っていないためか,戦闘シーンやNPCは用意されておらず,巨大な建物のある街を往来するのみだった。ゲーム画面は2Dで,背景はすべて事前にレンダリングされたものである。しかしキャラクターは3Dモデルで制作し,2D化してゲームに取り込んでいることから,武具の装着によるキャラクターの変化なども,より簡単に処理できるようになった。戦闘はリアルタイムで行われ,マップは約100種類という大きなものになるという。
 Falloutのゲームシステムも受け継いでいるのだが,なかでもキャラクター作成時のSPECIALシステムが大きな特徴になっている。これは,キャラクタークラスという概念がなく,能力やスキル,性格などでキャラクターの個性を演出するものである。プレイヤーが自分の思い通りのプレイをすることで,自然とクラスが形成されていくような,最近では「マイクロソフト ダンジョン シージ」でも採用されたシステムなのだ。
 プレイヤーが選択できるクラスは,人間のほかフェラルキン(Feralkin),ディーモキン(Demokin),そしてサイルバンツ(Sylevants)の計4種。ユニークなものばかりだが,フェラルキンは,ウェアウルフのような内部にケモノの魂を宿した人種。ディーモキンは悪魔系の種族で,サイルバンツはエルフのような魔法にも長けた種族であるらしい。また,NPCとの会話もFalloutのように選択し,それによって相手のリアクションが変わるといったシステムになる。今回は会話の能力も重要で,まったく戦闘することなく,詭弁やウソを用いて非戦闘でゲームをクリアすることも可能になるらしい。
 史実にもある程度は基づいているので,ゲーム中には歴史上で有名なキャラクターに出会ったり,彼らをパーティメンバーとして参加させることも可能だ。発売は2002年の第4四半期と発表されているが,デモの様子からはもう少し時間のかかりそうな印象も受けた。歴史とファンタジーRPGを混ぜ合わせたゲームは少なく,非常に期待できる作品である。(Okutani)

(C)2002 Interplay Entertainment Corp. All rights reserved.


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