[E3 2002#73]白いウサギを追え! あの「マトリックス」がMMORPGになる - 05/28 02:26

 配布されたプレスリリースによると,WB Interactive社が版権を保有する「Matrix Online」は,Monolith Productions社とEON Entertainment社の共同作業によって開発が行われている。Monolith社は,言わずと知れたLithTechエンジンの開発元だが,このゲームには,さらにMMO環境でのグラフィックス再生やサーバー能力に重点を置いて製作されている最新のゲーム開発ツール,Discoveryシステムが使用されているのだ。
 発表では,数万人規模のプレイヤーが一つのゲームサーバーに入り,マトリックスの世界観を3Dグラフィックスで冒険することになる。詳しくは未定の部分が多いが,アクションゲームやRPGの要素をうまく取り込み,コミュニティ作りなどの社交性も持たせたものになるらしい。実は開発状況は中期に差し掛かったとのことだが,発売時期などもまったく明らかにされていない。

 ビジネス面でも,このタイトルのオンラインゲーム化には期待できる。これまで,映画で培われてきた世界観を生かしたMMORPGと言えば,LucasArts社とSony Online Entertainment社が発売予定の「Star Wars Galaxies」しかなかった。現在,最も人気の高い3DMMORPG「Everquest」は,何の知名度もないまま出発して,気付いてみるとアカウント数が42万人。単純に見積もると,6億円以上の月額料がSony Online Entertainment社へ流れている計算になる。世界で3000万人と推定されるスターウォーズファンの内,仮にその10分の1の人口がアカウント契約すると,毎月想像を超える金銭が転がり込んでくることになる。
 人気が高くゲームメディアにも多大な影響を及ぼしているマトリックスも,これに匹敵するファンベースを持っているに違いなく,かなりの人気を獲得することになるのではないだろうか。
 さらに,WB Interactive社はワーナーブラザーズのゲーム制作部門であり,唯一Microsoftと競合できる可能性を持つといわれるAOL(America Online)傘下の孫会社にあたる。果たしてAOLユーザーに対する優遇措置などが行われる可能性もあるかは分からないが,このゲームのためにAOLのアカウントまで取ってしまうようなファンだっているのではないだろうか。念のために明記しておくと,現在のところはAOLとマトリックスMMORPGの関係については何も語られていない。確実にいえることは,6000万人のユーザーを誇るAOLという巨大インフラをすでに整えているWB Interactive社は,サーバーコストなどの問題を一切抱えていないということだ。

 "Matrix Online"は,生まれるべくして生まれたMMORPGということになるだろう。果たして,プレイヤーは"選ばれし者"として大空を飛び回れるようになるのだろうか? エージェント・スミスに追い掛け回されたり,プレイヤー自身がエージェントになったりするのだろうか? 今から想像するのも楽しいほど期待できる新作だ。(Okutani)


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