[E3 2002#18]DOOMIIIのゲームプレイムービーが公開された! - 05/23 23:13


 このDOOMIIIシアターには,15人が座ればギュウギュウになってしまうほどの席しかなく,立ち見を含めてムンムンとした雰囲気さえ漂う。映画は,最初から最後まで11分ほどあり,かなり見応えのある内容だといってよい。
「このムービーは,すべてのシーンがリアルタイムでレンダリングされたものですのでお間違えのないように」
という係員の説明で始まったが,そんな注釈をわざわざつける必要があるのも納得できるほど,究極的なグラフィックス性能を持っていた。「Unreal 2:The Awakening」や「No One Lives Forever 2」などの"ライバル"と目されている作品も驚くほどのデキなのだ。

<オープニング>

 さて実際のムービーシーンは,惑星を宇宙から見た風景から始まり,太陽がゆっくりと背面から顔を覗かせるのが,いかにもSF映画を連想させるようなものだった。その赤さからいって,人類が火星に植民地を築いているということだろうか。テロップでは,2145年という時代設定が確認できた。
 その後,小型宇宙船が「Union Aerospace Corporation」という会社によって築かれた大都市に到着する。海兵隊らしきパイロットがヘルメットを外すと,すでにMacWorldで発表された表情アニメーションのモデルだった主人公であることが確認できた。彼が数人のガードマンと会話している横を通り過ぎた科学者風の痩せ男は,歪んだ顔つきで片足を引きずりながら足早に進んでいく。キョロキョロとする仕草が,怪しい雰囲気。彼が,いかにも秘密らしきプロジェクトデータを,中央にゲートのような空間を配した祭壇にも似た施設横のターミナル機に挿入すると,突如としてゲートの空間で赤い亡霊の顔部分ようなものが動き出す。科学者が何かを言い訳しようとしたところで,その亡霊が科学者に向って黙るように指示するが,その赤い亡霊は突然放射し始め,科学者とその外を警護していたガードマンを包み込んだ。
 このシーンは,映画「ファイナルファンタジー」でも観たような雰囲気のものになっていて,空気状の亡霊がガードマンの胸部分を後方から突き破り,前方へ押し出すように顔を動かす。ガードマンの顔は,苦痛に悶えながらもどんどんとガイコツのようになっていって,やがて肌の色もどす黒く変色してミイラのようになってしまう。ここで,「Only one man stands between Hell and Earth」というナレーションが入り,DOOMシリーズではお馴染みの,主人公が目を左右へギョロリとさせるシーンへとつながっていった。

<ゲームプレイシーン>

 そして,ようやく実際のゲームのフッテージへとムービーが変化していく。レベルデザインは,全体的に細く入り組んだ通路からなっていて,錆びかけたパイプで覆われた工場内部のようなエイリアンシリーズに登場しそうな風景が続く。この未来都市は,すでに地獄の力に支配されてしまっていて,「バイオハザード」のように,ゾンビ達がうめきながら立ち上がり,主人公を襲い始めるのである。
 注目すべき点は,かなり作り込まれたフィジックスエンジンである。通路脇のパイプに弾丸が当たればそこから水蒸気が漏れ出すし,天井には今にも落ちそうな電灯が揺れている。棚にある箱などのオブジェクトに向って発砲すれば,地面に落ちて壊れたり散乱したりするが,発砲のアングルや武器の種類(火力の違い)によっても,落ちるパターンが全く異なっているものになっているようだった。プレイヤーに撃たれたゾンビの屍骸が階段をずり落ちていくシーンがあったが,非常にリアルに再現されているのには観客の中から感嘆の声も漏れたほどだ。
 もちろん,DOOMIIIではグラフィックス能力も最大限に極められている。例えば,このゲームではリフレクティブ・サーフェイス(Reflective Surface)という,ゲームでは目新しい技法が取り入れられており,ゲームプレイとして生かされているのが面白い。ムービー内の1シーンでは,プレイヤーが窓ごしにロボット制御された工場内の様子を見ていたものがあったが,その窓のガラスには薄っすらと主人公自身の姿も色付きで写っている。じっとみていると,突然主人公の背後に恐ろしい形相をしたモンスターの影が浮かび上がるのだ。このグラフィック処理で,殺気にも似た場の空気を体験できるようになるわけで,ホラー映画も真っ青なくらいの恐怖感に溢れていた。

 モンスターは,DOOMで登場したものとしては火の玉を投げてくるインプが確認できたが,そのほかにもピンクデーモンをアレンジしたような半獣半アンドロイドのケモノもでてくる。右手が鞭のように伸びる兵士風のものや,チェーンガンを担いだ体格の良い軍曹風のゾンビも登場。
 とくに,このチェーンガンを持つモンスターを公開したシーンでは,たった3秒ほどのカットシーンも登場する。ドアを開けた主人公を室内からカメラで捕えた場面なのだが,この2体のモンスターが2階部分の回廊で「恐怖の匂いがするぜ」と話し合って,1階に下りてくる。チェーンガンの大きさから,通常では勝てないと判断したプレイヤーは,しばらく進んだところにある小部屋に身を隠し,窓から1体のモンスターが通り過ぎたのを確認してから,部屋を飛び出して背後から撃つという展開となった。このほか,巨大なピンクデーモン(?)のドシンドシンという足音を聞いた途端にプレイヤーは物陰に隠れ,影を利用してモンスターに悟られることなくやり過ごすシーンもあるなど,ただ撃つだけのゲームからは脱却し,隠密行動やアイデアを使って勝てない敵に勝つような局面も多いようで,この点でも今までのDOOMとは異なるイメージになっている。

 全体的にDOOMIIIは,痛快さをウリにしているのではなく,グラフィックス性能を見せつけるためにシングルプレイヤーモードを中心にしたゲームになったと考えられる(事実,開発者もそういっている)。時代の波に乗ってストーリーが強調されているが,デモをボーッと見ているだけでは,どこまでゲームでどこまでがスクリプト化された部分なのかもハッキリしないほど,精巧に作られているようだった。屍から内臓を食らうモンスターやべっとりとした血糊のテクスチャーなど,目を背けてしまいたくなるような描写も多い。
 まだまだ先の発売になるのだろうが,少しずつ開発は進んでいるようだ。期待して待とう。(Okutani)


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