[ECTS速報#4]World of Warcraft - 09/03 11:35

 毎年ECTSで新作を発表するのが慣例になっているBlizzard Entertainmentの最新作は,Warcraftの世界観を題材にしたMMORPG(多人数型オンライン専用RPG)の「World of Warcraft」(以下,WWC)であることが発表された。開発がスタートしてからまだ1年ほどしか経っておらず,ECTS会場ではほとんど具体的な内容について触れられることはなかったが,記者会見で公表されたことを緊急レポートする。

 WWCは,すでに世界的な人気となっているWarcraftをベースにしているが,厳密にいえば"Warcraft 3"をRPGにしたような雰囲気を持っている。ゲームエンジンも,Warcraft 3のものを基本にしながらも大幅にチューンナップされたグラフィックスエンジンが使われており,3人称視点や1人称視点でもプレイできるようだ。記者会見で公開されたのはデモムービーのみで,実際に会場でリアルタイムで動かされることはなく,そのムービーの中でもキャラクターが動いているシーンがほとんどなく,まだまだ"発表しただけ"であることが感じられた。
 Warcraft 3のゲームコンセプト自体がRPGに傾倒しているが,WWCはさらにディアブロシリーズで得た知識や経験からヒントを得て,アクションを中心にしたゲームプレイになるという。キャラクターはかなり大きめで,ディテールに富んだキャラクターモデルであるのは,公開されたデモムービーから把握できる。手にする武器もかなり大きいし,シャーマンから繰り出される魔法も,Warcraft 3を想像させるようなグラフィックス効果を間近に目撃しているような感覚で,アクションシーンには相当な迫力が感じられた。
 プレイヤーが選択できる種族は,Warcraftでお馴染みの人間族とオーク族に加え,Warcraft 3においてオーク族の味方として登場するマイナー種族"トーラン族"が昇格(?)して登場している。トーランは,半獣人のような容姿をした2速歩行型のヒューマノイドで,Warcraft 3の開発者たちの中でも人気が高いのだという。見た目にもインパクトがあるし,ほかのゲームでもあまり見かけないタイプのキャラクターなので,WWCのプレイヤーのお気に入りになるかもしれない。なお最終的に3種族以上に増える可能性は多いにあるが,現在ではゲームバランスを主眼に開発されることを念頭においているため,あまり大きな風呂敷は広げたくないという開発者の思惑があるようだ。実際,リリース時期やプレイヤーのサポート人数についてもまったく言及されることはなかった。

 Blizzard Northのエクゼクティブ・プロデューザー,ビル・ローパー(Bill Roper)氏は,すでに多くの開発会社がMMORPGの製作に参入していることを認めながらも,
「我々が(Battle.netの)経験で培ってきたものを次のレベルに持っていき,世界中のプレイヤーが一度に遊べるような環境を作り出したいと考えます」
と語る。"スタークラフト"や"ディアブロ"でのオンラインゲームの製作技術と経験はあるものの,何百何千というプレイヤーをサポートするMMORPGはまったく別なものだ。そのMMORPG特有のサーバー技術の構築などを,Blizzardがどのように料理していくのかは見どころだといえよう。
 そんなWWCチームの製作の目標として掲げられていることは,すでに記述した早いテンポのアクションに加え,
・アクセシビリティの高さ
・長時間のプレイと短時間のプレイを両立させる
・簡単にゲームをプレイできるが,マスターするのには時間がかかる
・使いやすいインタフェース
・深いストーリーラインとキャラクター設定

がある。
 アクセシビリティとは,簡単にいうとプレイヤー層の拡充ということで,MMORPGの経験のないプレイヤーから,熟練のWarcraftファンまでをサポートするように設計されるようになるとのことだ。また,個人向けに設定されたクエストが何千種類も用意されるようになるらしく,パーティーを組んで長時間の旅に出たり,お昼休みにサクっとプレイできたりと,さまざまな"アドベンチャー"が考案されていくらしい。プレイヤーキリング(PK)に関しては,プレイヤーの設定によってPvsPの戦いがオプションになるらしく,ほかのプレイヤーキャラクターとの争いを好まないプレイヤーもサポートするように計画されている。とはいえ,バックグラウンドにWarcraftを持ってきた以上,醍醐味といえば「人間族とオーク族の争い」だろうから,プレイヤー同士の連合などポリティカルな部分もWWCの大きな要素の一つになることは予想できる。

 見せられた数分のデモムービーから分かったことは,WWCで開発されている3D環境は絶品だということ。海岸線の波打ち際では波がうねるように押し寄せてくるし,森の頭上高くでは突如鳥が飛び立ったりという描写も確認でき,非常に生き生きとしたものであることがわかる。なんのモンスターかは分からなかったが,緑色の葉っぱで覆われた木の妖精のような巨大なモンスターなども登場していた。また,7,8人のオークが人間の村に向って突入していくような場面もあり,種族間での闘争も織り込まれているようだ。

 ローパー氏が会見で何度も繰り返していたことが,「プレイヤーを壮大なドラマの中に引き込んでいく」ということだ。実際,すでに発売中の,もしくは開発が進んでいるMMORPGでは,メインストーリーの存在と個々のプレイヤーの立場の間に発生するギャップの穴埋めには苦労しており,まだ完全にストーリー性を演出したゲームは存在していない。これを,シリーズの発表から8年めを迎え,数千ページに及ぶ設定資料を有するBlizzardがどのようにして達成させるのかは,非常に興味のあるところだろう。

 今日の記者会見からは書ける原稿はこのあたりまで。より具体的な内容やBlizzardから配られる画像は,次回のレポートでお伝えすることにしよう。お楽しみに。

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