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ガチャの射倖性やe-Sportsの賞金制大会について,カジノ研究者の木曽 崇氏と山本一郎氏が赤裸々に語った「黒川塾 四十六(46)」聴講レポート
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印刷2017/02/21 16:15

イベント

ガチャの射倖性やe-Sportsの賞金制大会について,カジノ研究者の木曽 崇氏と山本一郎氏が赤裸々に語った「黒川塾 四十六(46)」聴講レポート

 2017年2月20日,トークイベント「エンタテインメントの未来を考える会 黒川塾 四十六(46)」が,東京都内で開催された。同イベントは,メディアコンテンツ研究家の黒川文雄氏がゲストを招いて,ゲームを含むエンターテイメントのあるべき姿をポジティブに考えるというものだ。

メディアコンテンツ研究家 黒川文雄氏

 今回のテーマは,「景表法,カジノビジネスのエンタメ的考察」。カジノの専門研究者の木曽 崇氏と,スマートフォンゲームなどのガチャ商法において早期に問題提起を行った投資家でありブロガーの山本一郎氏をゲストに招き,景品表示法(景表法)が日本のエンターテイメント業界にもたらす影響などに関するトークが繰り広げられた。

 話題はパチンコ業界の現状,競輪や競艇などの公営競技にインターネット投票が定着したことによる影響,そしてここ数年議論がなされている統合型リゾート(IR)としてのカジノビジネスなど日本のエンタメ業界全般に及んだ。本稿では主にソーシャルゲームやe-Sportsなどゲームに関する部分をピックアップしてレポートしよう。

木曽 崇氏
山本一郎氏

 ゲーム関連の話題が最初に出たのは,「のめり込み問題」をテーマにしたトーク。
 現在パチンコ業界では,のめり込み──すなわちギャンブル依存を防止すべく積極的に対策を講じている。これには,あらかじめ業界団体が自主規制を行うことで,自由に営業できなくなるような規制法案が,新たに成立することを防ぐという意味もあるのだが,今後は現在好調な公営競技や,新たに登場するカジノにもこうした動きが広がっていくと木曽氏と山本氏は語る。

 この話は,ゲーム業界にとって決して無縁ではない。とくにソーシャルゲームのガチャ課金は過度な射倖性や高額課金などが問題視され,業界団体が自主規制を行わざるを得ない状況となっている。

 これに関連して木曽氏は,韓国にて2006年から2008年頃にかけて盛り上がったギャンブル依存の論議が,今では青少年のゲーム依存問題に移行していることを指摘。韓国では,法により未成年は深夜にオンラインゲームにアクセスできないなどの規制が課されているが,同じようなことが日本で起きれば日本のゲーム業界も打撃を受けるだろうと話していた。

 一方,山本氏は,日本では青少年のゲーム依存が社会的に問題視されるところまではいかないのではないか,とする。これは,日本のゲームメーカーもそうした状況が生じうることを理解しており,レーティングを設定したり,海外版のゴア表現を日本版ではマイルドな表現に差し替えたりするなど,慎重に対応しており,今では一定の市場認知を得ていることが理由だという。

 ちなみに優良誤認などでたびたび問題が浮上していたガチャのレアアイテム排出率表記だが,山本氏はこの1年間で,各社ともかなり配慮するようになったとする。また中国では,すべてのガチャアイテムについて排出率が明記されるようになったことも紹介された。


 e-Sports関連では,大会の賞金が話題に挙がった。例年7月に米国にて行われる格闘ゲームの最大手イベント「Evolution Championship Series(EVO)」は,参加者が支払った参加料を原資とし賞金を提供しているが,この形式は日本では賭博行為と見なされ違法となる。そのため山本氏は,日本では競馬などと同じく,公営競技化するほかないという議論になりやすいことを指摘した。

 さらに会場では,木曽氏が2016年夏,消費者庁にe-Sportsの賞金制大会に関して法令適用事前確認手続を行ったところ,その大会で使われるゲームのメーカー自身が賞金を提供すると,景表法による規制がかかることが判明したという。詳細は木曽氏のブログ「カジノ合法化に関する100の質問」の記事「総括:賞金制ゲーム大会を巡る法的論争」などをチェックしてほしいのだが,大まかに説明するとゲームメーカーが自社ゲームの大会を主催した場合,景表法により賞金額が大幅に制限されるのである。

 ちなみに木曽氏によると,消費者庁は「基本プレイ無料で,勝つためにお金を払う必要のないゲームであれば,景表法の適用外になる」ことを明確にしている。逆にいえば,プレイするためにお金がかかるゲーム──パッケージやゲームデータを購入するコンシューマゲームおよびPCゲーム,プレイ時に料金を支払うアーケードゲーム,ゲームを有利に進めるためにアイテムを購入するソーシャルゲームやオンラインゲームなど,現在日本で流通しているゲームのほぼすべてが景表法の適用を受けるわけだ。

 したがって海外のような高額賞金を懸けたe-Sportsの賞金制大会を日本で開催するためには,公営競技化以外だとゴルフの大会のように参加者および当該イベントと完全に利害関係のない第三者が,スポンサーとして賞金を提供する形になると,山本氏と木曽氏は語る。
 なお,こうした形式の大会で参加料を徴収するケースもあるが,木曽氏によるとその参加料がすべて大会の運営費に充てられるのであればOKとのことだ。

 これらの法令適用事前確認手続の結果が木曽氏から公開されて以降,日本におけるe-Sports,あるいは競技ゲーム大会イベントの賞金額が縮小し,何となく盛り上がりに欠けるようになったと感じる人もいるかもしれない。
 しかし木曽氏は,「あたかも自分が日本のe-Sports業界に水を差したかのように見えるが,実は誰がやっても法令適用事前確認手続の結果は同じ。むしろe-Sportsをビジネスにしようという人達が,なぜ自分達の事業を興す前にやらなかったのか。脇が甘すぎる」と苦言を呈していた。

 同時に木曽氏は,景表法の適用外となるe-Sports向けゲームタイトルを開発しようと,前向きに取り組んでいる人達がすでに存在することも紹介した。

 また,木曽氏と山本氏は,日本でe-Sports大会の開催が難しい理由の一つとして,「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(風営法)の存在を挙げた。リアルに存在し,場所代などが発生する場所でゲームをプレイさせるe-Sports大会は,ゲームセンターと同じと見なされるため風営法が原則として適用されるとのことで,なかなか簡単にはいかない模様だ。

 そういった課題を乗り越えて,日本でもうまくe-Sportsに取り組んでいる例として,黒川氏が「Red Bull 5G」を挙げると,山本氏は「Red Bullにはカウンターカルチャーやポップカルチャーを背景としており,自分達がエクストリームスポーツを支援しないと世の中が発展していかないという理念がある。その中にe-Sportsやゲームも含まれている」と説明。「ある意味,慈善事業になっている」とし,「今の日本のe-Sportsは,彼らのような“拾う神”に働きかける以外にやれることは少ない」とした。

 さらに木曽氏は,仮にe-Sports大会の賞金を賭博の例外として世間に認めさせようとするなら,「カジノが日本の観光産業を活性化させる」といったような感じで,「e-Sportsが世の中のためになる」という大義名分が必要になるとも指摘。
 一方で,米国では現在,e-Sportsをカジノの範疇に含めるかどうかの議論がなされていると述べ,ひょっとしたら日本でもカジノ施設の中でe-Sportsのトーナメント競技を成立させる議論ができるかもしれないとの可能性を示した。ただし,日本ではポーカーのトーナメント競技をカジノの範疇に含められるかどうかというところなので,話は決して簡単ではないそうである。


 木曽氏は以上をまとめて,「e-Sports大会の開催には風営法,景表法,刑法の賭博罪など,議論の対象となる法律のレイヤーが3つあるので,どこを目標とするのかきちんと整理しないまま,“規制緩和”や“e-Sports法”を唱えてもうまくいかない」とした。

 また山本氏は,「海外と比較して日本のe-Sports事情は遅れているからダメということではない。日本なりに議論してきたし,日本なりの業界構造もあるので,まずは日本の法律の中でできる最善のことをやって,『ほら大丈夫でしょ』となってから,次のフェーズで法律のハードルを乗り越える。そのために,業界全体で取り組む,といったように段階を踏んだほうがいい」という見解を示した。

 トークの最後,黒川氏からあらためて射倖性について問われた木曽氏は「パチンコもソーシャルゲームも含めて,すべての業界に言えることですが,あまり射倖性に向かわないほうがいい。私自身,射倖性を扱っていますが,扱えば扱うほど規制の壁が高くなるのが世の中のルールです。射倖性を高める一方で,ルールがゆるくなるということは社会的にあり得ない」とコメント。

 さらに木曽氏は「パチンコ業界はこの20年間,射倖性を高めヘビーユーザー向けに進んできたが,その一方でライトユーザーがどんどんいなくなった。そこにのめり込みや依存症という問題が出てきて,射倖性を上げられなくなった。しかし射倖性が高くなければヘビーユーザーは付いてこないし,ライトユーザーはすでにいない。『さて,どうしましょう』というのが今のパチンコ業界です」と話す。そして,ゲーム業界が同じ轍を踏まないためには,「射倖性に頼らないビジネスモデルを確立しなければなりません。それがギャンブル屋としての私からのメッセージです」と述べた。
 それを受けて,山本氏が「ゲーム業界も,数年前に『射倖性を高くすれば儲かる』といっていた人達が,今は『やはりあれはよくなかった』と言い始めている。『儲かるからいい』という人がいなくなってから,ようやく普通に議論できるようになっていくんでしょうね」と同意して,トークを締めくくった。

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