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孫 正義氏がARM買収でIoTパラダイムシフトの中心を目指すビジョンを語った,ソフトバンクグループの2017年3月期第1四半期決算説明会をレポート
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印刷2016/07/29 21:29

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孫 正義氏がARM買収でIoTパラダイムシフトの中心を目指すビジョンを語った,ソフトバンクグループの2017年3月期第1四半期決算説明会をレポート

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 ソフトバンクグループは2016年7月28日,2017年3月期第1四半期決算説明会を東京都内で開催した。本稿では,同社代表取締役社長の孫 正義氏がプレゼンテーションを行い,ARM買収からIoTのパラダイムシフトに向けたビジョンを語った説明会の模様をお伝えする。

プレゼンテーション資料(※PDF)
第1四半期 決算短信(※PDF)
決算データシート(※PDF)


ソフトバンクグループ代表取締役社長の孫 正義氏
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 プレゼンは,7月18日に発表されたARM Holdings(以下,ARM)買収にまつわる談話からスタート。
 孫氏は,ARMの会長に買収の提案を初めて行ったのはトルコだったが,それはテロ事件が起きた直後だったうえに,会談後にはクーデター未遂事件が起きるなど,少し早くても遅くても危険だったと当時を振り返った。さらに,その少し前にイギリスのEU脱退が決まる(※ARMの本社所在地はイギリス)など,いろいろな偶然が重なったことで,ソフトバンクの歴史が大きく動くことになったと述べた。

 2016年度第1四半期の決算では,全セグメントが好調であると孫氏はコメント。
 通信事業では,国内のソフトバンクがキャッシュフローで一番の稼ぎ頭になっており,営業利益で対前年比11%増と順調に推移していると説明。米Sprintに関しては,調整後EBITDAが18%増と大幅に向上しているとした。
 Yahoo! JAPANはショッピング事業が好調で,取扱高が38%伸びており,投資事業ではAlibaba,Supercell Oy,ガンホー・オンライン・エンターテイメントなどの株式売却で投資を回収し,172億ドルを資金化したと説明した。

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 次に行われたのが,連結業績の説明である。
 孫氏は,売上高は2兆1265億円で前年比3%増だが,Sprintの売上高は円高の影響で983億円マイナスになっているとコメント。ソフトバンクは日本の会社なので円で提示しているが,ドルベースでは横ばいであり,売上は減っていないと強調した。

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 調整後EBITDAは6784億円と,前年比8%増の13期連続で最高益を達成。Sprintは日本円で見ると5%増になるが,ドルベースでは17%増となる。

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 営業利益は3192億円と0.2%増にとどまったが,円高影響によるSprintの見た目上の減益と一時費用が響いている格好だ。孫氏は,Sprintが行っているネットワークの卸売に関して,既存のホールセール契約を解除して新しい契約に組み替えたと説明。新しい契約はより利益の増える形になっているので,一時的なものだとした。なお,プレゼンでは触れられなかったが,スライドには役員退任費用として68億円のマイナスが記載されていた。
 そのほか,当期純利益は前年比19%増の2542億円となった。

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 続いては,ARMの買収による財務状況への懸念についての説明が行われた。
 孫氏は,ボーダフォンジャパンやYahoo!BBなど,ソフトバンクが今まで4回ほど仕掛けた「パラダイムシフト」では,持っているものをすべて売り,借りられるだけお金を借りるというように,一か八かのような勝負だったと語る。
 しかし今回は,ARM買収前の段階で純有利子負債のEBITDA倍率は3.8倍,買収後で4.4倍ということで,健全な範囲内だと孫氏は考えているという。ちなみにボーダフォンジャパン買収時は,これが6.2倍だったとのこと。孫氏は,数年以内に純有利子負債のEBITDA倍率を,3.5倍程度まで下げていけると考えているそうである。
 加えて,万が一のときに“売却しても本業に差し障りのない資産”として合計9.1兆円相当の保有上場株式があること,年間5000億円の潤沢なフリーキャッシュフローが入ってくる状態(※詳細は後述)なので,心配はしていないとコメントした。

 次は,それぞれの主要セグメントで踏み込んだ説明が行われた。
 国内通信事業は,営業利益が2390億円で+11%と好調,累計契約数は3215万で+58万回線,解約率は1.13%と史上最小レベルまで下げられたという。通信のARPUは減少したものの,サービスのARPUは増加している。ソフトバンク光をはじめとした固定回線も安定しているという。

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 そして,孫氏が強調したのがフリーキャッシュフローである。
 かつて,ソフトバンクの携帯は「つながらない」と批判を受けてきたが,ここ数年はつながりやすさでナンバーワンの結果が出ている。
 したがって,鉄塔を建設するような大きな設備投資を急激に行う必要がなくなり,潤沢なフリーキャッシュフローを出せるようになったと孫氏は述べる。2015年度の第1四半期では697億円のプラスに転じ,年間では約5000億円になると孫氏は述べた。なお,年間を通じてフリーキャッシュフローの数字を公表するのはこの場が初めてとのこと。

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 次の説明は,Sprintの業績についてだ。
 前回の決算説明会で,孫氏はSprintのV字回復実現を宣言したが,MNP純増(過去5年間で初),解約率の低下,ABPU(Average Billing per User)が前期比+3%など,改善が確実に数字に現れてきている。
 売上高は80億ドルと横ばいだが,6億ドルのコスト削減,調整後EBITDAが25億ドルで18%増,そしてフリーキャッシュフローが+5億ドルと黒字転換し,底打ちの状態から売上が黒字転換する目処が立ったと孫氏は述べた。

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 先述した5000億円のフリーキャッシュフローとSprintの業績改善によって,ARM買収の意思決定ができたと孫氏はコメント。これまでSprintは足を引っ張ってきたが,これからはキャッシュフローを稼ぐ稼ぎ頭になっていく,今年中か来年早々には黒字転換できるだろうと話していた。

 孫氏は,EBITDAの利益率では世界の携帯事業者の中でソフトバンクが一番高く,フリーキャッシュフローも世界一だとコメント。
 また,ユーザー数や売上高はソフトバンクよりSprintのほうが絶対値は大きい。ソフトバンクのノウハウ,経営力をSprintにつぎ込むことで,2社から得られる現金収益はAT&TやVerizonに匹敵する規模になる,世界でトップレベルの収益を稼げるようになる可能性があると,孫氏は力強く語った。

 Sprintの業績改善にかなりの力を注ぎ込んできた孫氏は,業績改善の兆しが見えなかった2年前は,Sprintの業務に地獄のような苦しみを感じていたが,今は寝るのも惜しいほど楽しくてしかたがないとコメント。
 フリーキャッシュフローで500億円レベルの黒字という実績ができて年間通期での黒字化が見えてきたこと,潤沢に資金繰りができるようになったことで,安心感が一気に増したと述べた。

 なお,先日行われたSprintの決算発表を受けて株価が上昇。7月27日時点で25.3%上昇したとのこと。また孫氏は,Sprintの時価総額は7月27日現在で2.01兆円になったと説明。取得当時は1ドル85.2円,現在は105.0円なので少しずるい見せ方になるが,取得原価の1.95兆円を日本円ベースで上回ったのは事実で,運も実力のうちだと話した。

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 Yahoo!のセグメントは508億円と増益を継続しているほか,広告収入,とくにディスプレイ広告側が伸びていると説明。一番力を入れているというショッピング事業は,取扱高が38%増と結果を残しているとした。

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 投資事業は,投資を行っている主だった企業をスライドで紹介。総額20億ドルの投資内訳が紹介された。中でもライドシェアのDidiやフィンテックのSoFiへの追加投資,Supercellの投資回収,Alibaba株の資産再配分をトピックとして取り上げた。
 とくにSupercellの調達総額は78億ドルでIRR(Internal Rate of Return,内部収益率)は93%,Alibabaの調達総額は88億ドルでIRRは68%とコメント。インターネット企業への累計投資額は7398億円,累計リターンは10.1兆円でIRRが44%と,世界のベンチャーキャピタルでも類のない実績を築いてきたことをアピールした。

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 ARM買収に関しては,総額3.3兆円を全額現金で用意したとあらためて説明。うち7割が手元資金で,残りはローンという内訳だ。この規模の超大型M&Aで7割が手元資金というのは初めてだったが,そのおかげでスムーズかつ内密に,そして2週間程度という短期間で合意に至ることができたと孫氏は語った。

 孫氏は,手元資金の2.5兆円に加え,Alibaba,Supercell,ガンホーの株式売却による2兆円の投資回収の目処がついたこと,合わせて4.5兆円あれば3.3兆円の買い物はいけると考えたとのこと。さらに,通信事業で約5000億円のフリーキャッシュフローがあり,Sprintの通年V字回復の目処が見えてきたことで,意思決定が行えたと述べた。
 孫氏曰く,9月中くらいまでには全体の手続きが終わると想定しているとのこと。

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 また,IoT(Internet of Things)というパラダイムシフトがやってくるタイミングで我々が狙わなくてどうするのだと,勝負に出た理由を説明した。

 孫氏が事業と投資を主軸にして目指すのは「情報革命」だという。そして,今後「ソフトバンク創業以来,一番の中核事業になる」と孫氏が確信しているのが,ARMである。今から5年後,10年後,20年後に「ソフトバンクって何の会社ですか?」と聞かれたときに,本業はARMだと多くの人が思うぐらいの存在感になるだろうと,孫氏は話していた。

 ARMは,決算発表で売上高15億ドル(1791億円),営業利益7.7億ドル(924億円)と順調に成長しており,営業利益率も51.6%と高収益だ。孫氏はARMに対して,このままでも成長は続くが,今後数年は目先の利益を少し減らしてでも,研究開発費を増やすことを提案したところ,意見の一致を見たとのこと。

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 ARMは,開発した半導体コア設計の技術を他社にライセンスで提供するビジネスモデルを採っている。日本ではルネサス エレクトロニクス,海外ではQualcommなど数多くの企業がARMの技術をチップに採用している。
 孫氏は,スマートフォンや車載情報機器,家電製品など多岐に及ぶ製品にARMの技術が採用されており,スマートフォンや車載情報機器では95%近くという圧倒的なマーケットシェアを誇ると述べた。

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 続けて孫氏は,ARM製品の解説を行った。ARMの強みは,パフォーマンスに優れたCortex-A,リアルタイム処理に向いたCortex-R,小型で省電力のCortex-Mという,分野の異なる用途向けに特化した3つのラインナップを持つことにある。
 なお,2017年に“出荷”予定のCortex-A73は,Galaxy S6やNEXUS 6Pといった現行の高性能スマートフォンで採用されているCortex-A57の2.1倍のパフォーマンスを発揮するという。コアエリアもCortex-A57と比べて70%小さくなるとのこと。

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 そのほか,車載情報機器やストレージで使われるCortex-R,IoT機器などのマイクロコントローラであるCortex-Mを含めた,ARMファミリーのエコシステムは世界一で,孫氏は2020年までにはさらに市場が大きく伸びるだろうとまとめた。

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 孫氏はここで,ソフトバンクの社名の由来は「ソフトをバンクする」にあると説明する。
 ソフトバンク創業当時に生まれたばかりのPCは,1台1台が個別に機能していたが,いずれこれらがネットワークで横につながるだろう。ソフトとデータは同社が提供する「バンク」に蓄積され,それを世界中の人が分かちあうーー。今風に言うとクラウドだが,孫氏は,創業1日目からそのようなコンセプトをイメージし,クラウドを提供する会社になりたいと考えていたのだという。
 そして現在,ソフトバンクグループはネットワークを持ち,IoTというパラダイムシフトで重要な役割を果たすARMの技術を傘下に置くことになった。
 孫氏は,今から20年くらいあとには地球上に約1兆個のチップがばらまかれ,それらがすべて通信でつながりクラウドに何らかの形で収納されるようになると推測する。総合的なエコシステムとプラットフォームを持ち,総合インターネットカンパニーとして,社名に込めた姿にいよいよ近づいていくと力強く語った。

 最後に孫氏は,ARM買収に関して,「新株を発行するようなエクイティ ファイナンスは一切行わない」「配当方針に変更なし」「純有利子負債の削減に継続的に注力」すると宣言。今後も成長を続けていき,命,情熱,夢をかけて人々に誠心誠意貢献していきたいとし,プレゼンテーションを締めくくった。

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