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バンダイナムコがお台場ダイバーシティに仕掛けた“VRエンターテインメント研究施設”「VR ZONE Project i Can」をじっくりと体験してみた
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印刷2016/06/02 14:00

プレイレポート

バンダイナムコがお台場ダイバーシティに仕掛けた“VRエンターテインメント研究施設”「VR ZONE Project i Can」をじっくりと体験してみた

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 2016年4月15日,バンダイナムコエンターテインメントは東京・お台場のダイバーシティ東京プラザに「VR ZONE Project i Can」を10月中旬までの期間限定でオープンした。「世界初のVRエンターテインメント研究施設」を謳うこの施設は,最新のVR技術を用いて新しいエンターテイメントの提供を目指すプロジェクトの一環と見られる。

 オープンから約1か月半が経過したが,今も予約が殺到しており,1か月先までの土日はほぼ全滅。直近の平日もかなり予約で埋まっている状況だ(掲載時点。予約状況は公式サイトで確認できる)。
 これほどまでに人気を集めるVR ZONEでは,果たしてどんな体験ができるのだろうか。遅ればせながら,実際に試してきた模様をお伝えしたい。

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施設名称:VR ZONE Project i Can
施設面積:165.26坪 (約545.4平方メートル)
所在地:東京都江東区青海1-1-10 ダイバーシティ東京プラザ 3F
(ゆりかもめ台場駅徒歩5分/りんかい線東京テレポート駅B出口徒歩3分)
TEL:03-5579-6141 (2016年4月15日より)
対象年齢:13歳以上(13歳未満のお子様はVRアクティビティのご利用ができません)
料金:
スキーロデオ 700円 (651バナコイン)
リアルドライブ 700円 (651バナコイン)
高所恐怖SHOW 1,000円 (930バナコイン)
脱出病棟Ω 800円 (744バナコイン)
トレインマイスター 700円 (651バナコイン)
アーガイルシフト 700円 (651バナコイン)
※施設内チャージの場合
※入場無料
※本施設のご利用は「バナコイン」でのお支払いとなります。「バナコイン」はバンダイナムコグループの様々なサービスを利用できる電子マネーです。施設エントランスにてご購入(チャージ)してご利用いただけます。

ご利用方法:予約制
営業時間:10:00〜21:00(不定休)
施設運営:株式会社ナムコ

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施設内にはさまざまなアトラクションがズラリと並ぶ。手荷物を預けておくロッカーも完備
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「VR ZONE Project i Can」公式サイト



極限度胸試し「高所恐怖SHOW」


完全装備の筆者
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 「高所恐怖SHOW」において,参加者がやるべきことはシンプルだ。地上200mのビルの上に張り出された短い板を歩いて,その先で動けなくなっている子猫を救助する。ただそれだけである。
 参加者はVRヘッドマウントディスプレイ(以下,VR HMD。VR ZONEではHTC Viveが採用されている)とヘッドフォンに加えて,両手両足にキャプチャポイント(簡単なグローブとサンダル)を装着する。さらにベルトを着用し,そこにハーネスで命綱も装着される。なかなかの重装備である。

 体験を開始すると,まずはビルのエレベーターに乗って,高度200mまで上昇していく。エレベーターのドアには透明な窓がついており,外の様子がちゃんと見える。この段階で「高いのは苦手」という人には,そこそこプレッシャーがかかるかもしれない。
 さて,目標地点に到達するとエレベーターのドアが開く。目の前には細い板が突き出しており,その先には子猫がいる。
 猫を保護するために参加者は板の上を慎重に進んでいくことになるが,これが非常に怖い。頭でどんなに分かっていても,VRゴーグルに映る「高度200mの世界」は本能的な恐怖心を掻き立ててくる。

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 しかも本作は細部に至るまで,実に念入りに「高さ」と「不安定感」を訴えてくる。
 最も直接的に効くのは,参加者が現実空間において渡る「足場」だ。前述のとおり,それは短く細い板であり,物理的に高いところに設置されているわけではない。安全のために周囲に敷かれたマットとの間の段差は数センチ以下。もし自転車でこの段差を横切れば,多少の振動があるかなという程度の段差だ。

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 だが,この板はほんの少しだけ不安定に設置されている(実際にはしっかり固定されており,わずかながらガタつく程度の不安定さ。体験終了後に手で触ってみたところ,ガタつきの幅はほんとうにわずかだった)。この「ちょっぴり不安定」な足元に,VRゴーグル越しの「地上200mの風景」が加わると,板の先へと一歩を踏み出すたびに,結構な勇気と度胸を試されることになる。

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 また,「板の先にいる猫を助けて,元の場所まで戻る」という設定もよくできている。
 確かに,高度200mの世界で不安定な板の上を歩くというのは,それだけで怖い。だが,現実と同じく,要は下を見なければ恐怖や動揺のほとんどは克服できる。
 しかし,参加者は「板の先で座り込んでいる猫」を掴まなくてはならない。つまり,何をどうしたって,ある程度「下」を見ざるを得ないのだ。

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 加えて,「元の場所まで戻る」というのも曲者だ。参加者は下を見て猫(現実世界ではマーカーの付いた黒いクッションのようなもの)を掴み,そこから不安定な板の先で方向転換しなくてはならない。
 いや,先ほどから「不安定」を連呼しているが,板の不安定さはわずかなものだ。だが,その小さな揺れが体勢を変えることを著しく困難にする。振り返らずに後ずさって元の位置に戻ったり,全行程を四つん這いで移動したりした参加者がいたそうだが,それも致し方ないだろう。
 しかも,本作はさらなら「仕掛け」が用意されている――が,それは実際に体験してみてほしいので,ここでは割愛する。

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 このように本作は状況設定を巧妙に用意することで,参加者に「高所でのスリル」を思う存分,楽しませることに成功している。
 これがもし「高さ200mのビルの屋上と屋上をつなぐ板の上を渡る」のであれば,一見同じような体験が得られそうなものだが,実際にはずっと平凡な体験になってしまうだろう。この場合,極論を言えば,やや斜め上を見ながら歩けば「ちょっと変わった風景を見ながら歩いた」程度の体験で終わる可能性が高い。
 また,最初に参加者をエレベーターに乗せるというのも絶妙な演出だ。この演出のおかげで,参加者は「今から自分が高いところに登る」という状況を理解できるからだ。

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 個人的に面白かったのは,高いところがダメなクチの筆者が本作を大いに楽しめたということである。
 なるほど,本作では「実際の高所」にかなり近似した体験が得られる。だがその一方で,どんなに高くて怖くても,落ちて死ぬことは絶対にない。この「絶対に安全」という安心感は,現実空間であれば命綱があっても無理であろう体験に向かって,一歩踏み出す気楽さを与えている。
 とはいえ,エレベーターの扉が開いた瞬間に足がすくみ,一歩も進めなくなる参加者もいるとのこと。このあたりは個人差が確実にある部分だろう。



ホラー実体験室「脱出病棟Ω(オメガ)」


 「脱出病棟Ω(オメガ)」は多人数で体験できるホラーコンテンツだ。参加者は車いすに乗って,何やら恐ろしい惨劇の起きた病院からの脱出を目指す。
 ちなみに車いすと言っても,プレイヤーが実際に座るのは普通のシートである。シートに設置されたレバーを前に倒せば車いすは前進し,後ろに倒せば後退する。アトラクションの進行は「トロッコ」型で,原則として車いすのコースを参加者が自分で決めることは(そういう選択肢が登場しない限り)できない。
 参加者はVR HMDとヘッドフォンに加え,懐中電灯も与えられる(これはHTC Viveのコントローラだ)。体験中に選択肢が出てきた場合,懐中電灯でそれをターゲティングして,トリガーを引くことで決定するといった操作もある。

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 本作を端的に言い表すならば,「お化け屋敷」の一種だ。参加者が血まみれの病棟を車いすで進んでいくと,しかるべきイベントが発生し,少なからぬ参加者は驚きのあまり声を上げる(実際,取材中も悲鳴と絶叫が引きも切らず聞こえ続けた)。

 当然ながら,本作にもとても緻密で,念入りな「仕掛け」があちこちに仕込まれている。だが,それらについて多くを語るのは控えたい。というのも,前述した「高所恐怖SHOW」は「何もかも分かっていても,なお怖い」コンテンツだが,「脱出病棟Ω(オメガ)」はお化け屋敷の要素が強いため,ネタバレはそのまま体験の陳腐化につながりかねないからだ。
 そのうえで,ネタバレにはならない「仕掛け」について触れてみたい。

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 まず,ホラーではお約束の「すごく怖いもの」が目の前に迫ってくると,そこに実体などないと分かっていても,思わず首を振って「それら」を避けてしまうのは,我が事ながら面白かった。3D映画で「思わず避けてしまった」経験がある人ならば,その延長線上と考えてもらえれば伝わるだろうか。

 個人的に一番感心したのは,本作が多人数同時参加を前提として作られていることだ。4人まで参加できるのだが,参加者は必ず「同じ病棟で,同じ状況を,それぞれの視点で体験している」という状況に追い込まれる。要は「4人で同じお化け屋敷に同時に入った」状況である。
 参加者が装着するヘッドフォンにはマイクが搭載されているので,常時ボイスチャットでの会話が可能だ。「同じ空間を共有している」感覚はかなり高い。
 だがその一方で,参加者は実にたやすく分断される。そのため参加者はそれぞれ,ほかの参加者とは違う体験をすることになる。

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 この「それぞれの体験が違う」という仕掛けは,本作の体験を大きく拡張している。
 最もシンプルな効果としては,「前回は3番のシートに座ったから,今回は2番に座ってみたい」という「もう一度体験したい」意欲の喚起が挙げられる。
 だが,個人的にすばらしいと感じたのは,このようにそれぞれの体験が異なることで,体験終了後,「自分はこんなことがあった」と参加者同士で話したくなり,そこであらためて「自分達の物語」を確立する傾向にあるということだ。囲碁や将棋,あるいはボードゲームもそうだが,こうした「感想戦」で盛り上がるという体験は,時として本編で得た体験よりも強く心に残る。

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 また,何かとすぐに分断される参加者だが,ちゃんとすべての参加者が集まる(しかるに懐中電灯を振り合って互いの無事を確認する遊びができる)タイミングがあるというのも,周到な仕掛けと言わざるを得ない。全編通して単独行動というのでは,MMORPGでひたすらソロプレイをするようなもので,「みんなで体験した」という感覚は薄れてしまうだろう。

 VRコンテンツにおいては現実世界とVR世界を「どのように」連続させ,その連続性を「どうやって」参加者に通過させるかという点が議論されることがある。その点,本作は「VR世界から現実世界に戻ってきたあと」の導線設計が非常に巧みだと感心させられた。


VRシネマティックアトラクション「アーガイルシフト」


 「アーガイルシフト」は,いわゆる巨大ロボットものだ。参加者はAIヒューマノイドの少女「アイネ」と一緒に巨大ロボット「ルシファー」に乗り込み,空中戦を楽しむことができる。
 参加者が装着するのは,VR HMDとヘッドフォンのみ。ロボットの操縦は筐体に備え付けられた操縦桿で行う。射撃時の照準はヘッドトラックに追随するので,「目標を見る」感覚でエイムし,操縦桿のトリガーで発砲する。

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 さて,本作は操縦桿でロボットを操縦できるという設定になっているが,その実態はほぼ「トロッコ型」だと思って間違いない。
 ロボットは原則として一定のルートを飛行し,そのルート上で機体をある程度操縦できるというイメージだ。基本は目標を見て照準を定め,トリガーを引いて破壊というシークエンスが中心となる。

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AIヒューマノイド「アイネ」
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有人兵器「ルシファー」

 本作もまた,VR体験へと入っていくための「仕掛け」はとても緻密だ。巨大ロボットの発進プロセス(本作では輸送機からの降下開始プロセスとなる)をパイロット視点で体験できるというのは,それだけでも心が踊る。
 しかも,原案・監修に原田勝弘氏(バンダイナムコエンターテインメント),世界観設定・シナリオにProduction I.G,メカニックデザインに柳瀬敬之氏,キャラクターデザインに川野琢嗣氏(バンダイナムコスタジオ),そして監督を荒牧伸志氏(SOLA DIGITAL ARTS)が務めるといった超豪華な布陣となっている。そういう面においても,好きな人にはたまらない作品なのだ。

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 ……のはずなのだが,実は個人的に一番「入り込めなかった」作品となってしまった。降下が始まり,ある程度インタラクティブに操作できるようになった途端,言葉にし難い違和感に取りつかれてしまったのだ。思うに「何かをエイムして撃つ」という体験が,筆者にとっては「いつもの」体験だというのが,大きな原因かもしれない。
 本作で参加者が見ている映像は,VR空間内においても「映像」であるという設定になっていることもあって,「豪華でイージーなガンシュー」を遊んでいる気持ちになったのは否めない。
 ということは,この手の兵器に本当に搭乗するようなことあれば,「あたかもゲームをプレイしているような気持ち」になるのかもしれないが……。

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 そのうえで,さらに考えなくてはならないのは,本作が「オペレーターの少女と一緒に巨大ロボットに乗り込む」という,いわば「サマーレッスン」の別バージョンといえるコンテンツでもあるということかもしれない。
 筆者は「ロボット戦闘ゲーム」として楽しもうとしたのだが,本質的には「少女と一緒にロボットに乗って戦う」というシチュエーションを楽しむコンテンツなのだ(と思う)。筆者は各種メカの挙動や降下シークエンスといった「ロボット」「ミリタリー」にばかり集中していたが,たぶんこれは楽しみ方が違うのだろう。

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 ちなみに,アトラクションの担当者によると,普段ゲームを遊ばない人ほど「すごい体験をした,とあまり思わない」そうだ。というのもテーマがSFだからか,「SFならこれくらいできて当然」といった感想になるらしい。なるほど,そんなこともあるのかと思わせられる,なかなか興味深い作品である。

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VR鉄道運転室「トレインマイスター」

スポーツ走行体験マシン「リアルドライブ」


 「トレインマイスター」「リアルドライブ」の2作品は,より従来のゲーム体験に近い感覚の作品になっている。体験の質としては結構差があるとはいえ,前者は「電車でGO!」をどうしても彷彿とさせ,後者はかなりベーシックなレースゲームだ。
 この2作品については体験そのものよりも,「また遊んでみたい」と思わせる丁寧なギミック構成に感心させられた。

 たとえば,「トレインマイスター」にはシナリオが5本あるだけでなく(これだけでも5回遊びたくなる人はいる),終了時に「運転の振り返り」が表示される。理想の加速や速度維持,減速のオペレーションと比較し,自分の運転がどれくらいダメだったか(または良かったか)をグラフで見せられるのだ。これにより,「よし,次こそは!」という意欲が掻き立てられる。

「トレインマイスター」
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 「リアルドライブ」においては,多彩な車種が用意されているだけでなく,車のパーツをカスタムないしアップグレードするという,いわば成長要素がある。あまりカスタムしていない状態だと,ホームストレートでアクセルをベタ踏みしても前の車との距離が開いていくので,レース後に新しいパーツを得たとなれば,また乗ってみたくもなる。

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「リアルドライブ」
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 こうしたギミックは,ゲームとして考えれば至って当然というか,とりたてて特筆する要素ではない。だが何かと「スゴイ体験」に集中しがちなVRコンテンツにあって,「また遊んでみたくなる体験」を丁寧に作り込む姿勢は,「さすがバンダイナムコだ!」と感心するしかない。

 ちなみに「トレインマイスター」はVR HMDを使用するが,「リアルドライブ」はドーム状のスクリーンにプロジェクタで映像を投影するスタイルである。レースゲームをこよなく愛する人の中にはディスプレイを6枚(横3枚×縦2枚)並べてプレイするケースがあるが,それに近いプレイ感覚と言える。
 VRと言うと,即HMDと連想しがちだ。しかし,ドーム状スクリーンのような「参加者の周囲に映像が表示されるシステム」を使ったコンテンツもまた,古くからVR分野では研究されてきた技術である。「リアルドライブ」は没入感ではHMDに一歩劣るかもしれないが,体験の手軽さという点では強さを感じる。


アトラクションの未来として


 以上,今回の取材で体験した5作品についてレポートをお届けしてきた。VR ZONEにはもう1つ,「急滑降体感機『スキーロデオ』という作品があるのだが,こちらは時間が足りずに体験できなかった。残念。

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「スキーロデオ」
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 冒頭で述べたとおり,VR ZONEは予約が殺到しているだけでなく,各作品の体験には700円〜1000円(支払いはバナコイン)が必要だ。その意味でもなかなかリッチな体験である。「高所恐怖SHOW」の体験料は1000円だが,もし一歩も前に進めないままギブアップ(係員に左手を挙げて申請できる)したとしても,当然払い戻されることはない。
 また,VR ZONEは1回の予約で80分間利用できるのだが,その時間内にすべての作品を体験するとトータルで4600円となる。

 それらを踏まえても,筆者はVR ZONEの価格設定は妥当(むしろ安いくらい)と言い切れる
 VR ZONEのアトラクションは「ちょっと変わったゲームセンターの,すごく変わった大型筐体」ではなく,遊園地の乗り物に乗ったり,展望台に登ったりするような体験が得られるからだ。こうしたエンターテイメントの価格帯と比較すると,VR ZONEの価格は「そんなもの」と納得できる(というか,おそらくゲームが安くなりすぎている)。

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 そのうえ,VR HMDの設置に慣れている人は少ないだろうから,各作品には複数のインストラクターが配されており,1回の体験あたりの所要時間(6分〜14分程度)を鑑みると,「これで採算は取れるのか……?」と余計な心配もしたくなる。
 ――といった大人の事情的な話も含めて,VR ZONEにまつわるお話をコヤ所長こと小山順一朗氏,タミヤ室長こと田宮幸春氏に伺ってきた。その模様も後日掲載する予定なのでお楽しみに。

「VR ZONE Project i Can」公式サイト


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