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150社のバーチャルリアリティ専門企業を集めたイベント,SVVR2016が開催。VR産業の大躍進はいつになるのか
「Silicon Valley Virtual Reality Conference & Expo 2016」公式サイト
Oculus VRの「Rift」,そしてHTCの「Vive」というVR(バーチャルリアリティ)対応のヘッドマウントディスプレイが正式に発売され,新たな産業として躍進が期待されているVR市場。立ち上がりはゲームが市場を牽引していくと思われているだけに,4Gamerとしても大きく注目している。
これまで一般的とは呼べなかった新市場だが,ソフトウェアはもちろんのこと,入力デバイスから撮影機器に至るまで,新旧メーカーが多数の新製品をリリースしており,北米だけでなくヨーロッパや中国など,150社を超えるメーカーがイベントに参加したという。2年前の第1回は,参加者がわずか20人ほどの小さなイベントだったそうだ。
さて,4月26日にGamesIndustry.biz Japan Editionに掲載された記事,「2016年は,VRを『売る年』ではなく『体験させる年』だ」でも述べられているように,VR対応ヘッドマウントディスプレイの出足はあまり活発ではなく,その大きな原因とされているのが供給不足だ。北米では1300万人が2016年内にVR関連機器を購入する予定だが,発売が予定されているSony Interactive Entertainmentの「PlayStation VR」,そしてすでにリリースされたSamsungの「Gear VR」を含めても,720万台しか供給できないだろうと試算されている。
そのうちの約半分がGear VRになると見込まれているが,そのため,より多くの消費者に本格的なVRをいかに体験してもらい,市場拡大につなげていくのかということが大きな課題になりつつある。
ハードウェアの供給不足はソフトウェア開発者にも影響を与え,Viveのバンドルソフトとしてある意味で優遇されているOwlchemy Labsの「Job Simulator」でさえ,販売価格を下げなければならなくなったというのは,4Gamerの連載記事「奥谷海人のAccess Accepted第496回:VRゲーム市場は立ち上がるか?」でも紹介したとおりだ。
さらに,両社がそれぞれPopcap GamesとKing Digitalを買収したことを考えれば,「たとえ出遅れても,買収によって市場への影響力を強めることはできる」と述べた。VRゲームを開発するインディーズ開発者や中小メーカーにとって,大企業に高額買収されるのは1つの夢かもしれないが,ヤマス氏は「市場として安定するまでは生き延びることを優先させ,この2〜3年は投資を回収することを前提にビジネスを展開すべきだ」と述べる。
ヤマス氏によると,需要の高さは想定を上回っており,VR市場のターニングポイントになるのは,ハードウェアの売上が,ソフトウェアのそれを下回ったとき。つまり,ハードウェアの生産力が向上して単価が下がり,市場に浸透する時期となる。SuperDataでは2018年から2019年中にそうした状況になるだろうと考えている。2019年までの期間がVR市場にとってはいわば正念場であり,それ以降は大きく伸びるだろうということだ。
ヤマス氏の見解が正しいなら,VR関連のハードウェアおよびソフトウェアメーカーは2019年までをどのようにサバイバルしていくのかが最大の課題になる。果たして予想どおりVR市場はブレイクするのか。今後数年にわたって,注目していく必要があるだろう。
「Silicon Valley Virtual Reality Conference & Expo 2016」公式サイト
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