業界動向
Googleがビデオゲームを自ら学習してプレイする人工知能システムを開発。一部のゲームでは人間を上回るスコアを叩き出す
Googleは2014年初頭,イギリスで人口知能の開発を行っていたスタートアップ企業「DeepMind Technologies」(以下,DeepMind)を5億ドルという巨額の資金で買収したと報じられていた。Bloombergの記事によれば,今回Googleが開発したこの技術はDeepMindに関連したプロジェクトから産まれたものだという。
Googleの開発した人工知能システムに与えられたゲームは,レトロなAtari 2600の49種類のゲームである。これらのゲームのうち,43種類のゲームおいて既存の攻略アルゴリズムを上回り,さらに29種類のゲームにおいては人間の専門家を上回るスコアを叩きだしたという。パックマンのような要素を持ついくつかのゲームを不得意とするものの,ピンボールのようなゲームにおいては,プロのゲームテスターの20倍の能力を見せるという。正直言って,これはかなり驚くべき結果だろう。
GoogleとDeepMindは,自動車の自動運転制御などにこういった人工知能の学習システムを適用させることを長期的な目的としているようだ。今回のゲームを用いた学習能力向上の成果は,そういった目的に対する最初の一歩というわけである。
ゲーマーはこういった人工知能の発達をどう捉えるべきだろうか。短期的にはゲームを含むソフトウェアのデバッグ効率が大きく向上するかもしれないし,より人間らしいアプローチで学び,一緒にゲームで遊んでくれるNPCが登場するかもしれない。どこかのタイミングで,“コンピュータvs.人間”にテーマに行われた将棋の「電王戦」のような企画も生まれるだろう。将来的には「人間のプレイヤーがゲームをプレイする」という意味合いやスタイルが大きく変わることもありうる。
とはいえ,コンピュータで実現可能だろうと考えられていることは,今後も,妥協も躊躇もなく進んでいくだろう。現時点では「面白い」出来事として,楽しんで技術の進化を見守りたいところだ。
Bloombergの当該記事「Google Invents an AI System That Plays Video Games on Its Own」(英語)
Google DeepMind(英語)
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