セガとBBCの共同プロジェクト，「Orbi Yokohama」（オービィ横浜）が2013年8月19日にオープン。プレス向けに開催された内覧会の模様をレポート

　セガとBBC Worldwideは2013年8月7日，両社の共同プロジェクトとなる「Orbi Yokohama」（オービィ横浜）のプレス内覧会を開催した。
　「Orbi」は，BBCが50年の歴史を誇る自然番組コンテンツ「BBC EARTH」の映像と，セガの培ってきたコンテンツ開発技術とを融合した新たなエンターテイメント施設で，全世界の自然や生命の姿を体験できる新しい形のミュージアムだ。Orbi Yokohamaは，その世界第1号店として8月19日に，神奈川県横浜市の商業施設「MARK IS みなとみらい」にオープンする。


　内覧会に先駆けて行われたプレゼンテーションには，BBC EARTH Producer/DirectorのBen Roy氏，セガ クリエイティブディレクターの長谷川敦彦氏，そしてOrbi Yokohama館長の田井村 勉氏の3名が登壇した。

BBC EARTH Producer/Director Ben Roy氏

　Roy氏は，テレビ番組であるBBC EARTHでは表現しきれなかった，壮大な大自然のストーリー──例えば象の巨大さや，コモドドラゴンの狩りで生ずる匂いなどをOrbiで再現することが可能になったとし，その実現のためには，セガの提供する遊び心のある技術が不可欠だったと挨拶した。

　続いて長谷川氏は，Orbiのコンセプトを，シネマ，水族館，テーマパークのいずれでもない，まったく新しい「大自然超体感ミュージアム」であるとし，大自然の神秘を全身で感じ，究極の没入体験を楽しめる空間であると説明した。そして，テーマパークのようなエンターテイメントであることと，博物館や美術館のように事実に基づく知識を得られることを，強みとして挙げた。

セガ クリエイティブディレクター 長谷川敦彦氏

Orbi Yokohama 館長 田井村 勉氏

　最後に田井村氏は，横浜は国内屈指の観光地であるとし，Orbi Yokohamaは，MARK IS みなとみらいを訪れるファミリー層にマッチした施設であると述べた。
　また館内が，地球上のさまざまなシーンを舞台にした12種類のエンタテインメント・エキシビジョン「EXHIBITION ZONE」（エキシビションゾーン）と，目玉となるスペシャルシアター「THEATRE 23.4」（シアター23.4），そして体験を振り返り余韻に浸れる「AFTER SHOW＆SERVICES」（アフターショー＆サービス）の3つのエリアに分かれていることを紹介した。

　それでは，Orbi Yokohamaのコンテンツを，写真とともに紹介していこう。なお，THEATRE 23.4で上映されるムービーは年2〜3回，EXHIBITION ZONEのコンテンツA〜Gは半年から1年のスパンで新しいものに入れ替わっていくそうだ。

「Orbi Yokohama」公式サイト

EXHIBITION ZONE

■アニマルペディア
　等身大（1分の1サイズ）で表示されたCGの動物達とコミュニケーションを図り，生態を学べるコンテンツ。非接触式のセンサーが観客の動作を認識し，それに合わせて，表示される動物がインタラクティブに反応する。またそれぞれの動物のトリビアも表示され，彼らの特徴的な生態を学ぶことができる。

動物はサバンナのシーンで6種類，海のシーンでは5種類が登場する

■EXHIBITION A 40,000
　大型湾曲スクリーンとBBC EARTHの空撮映像により，仮想飛行体験ができるエキシビション。地球上のいくつかの大陸をまたいで前方に進む映像と，大型湾曲スクリーン，送風装置により，地球の外周にあたる約4万キロの爽快な飛行体験を楽しめるというものだ。


■EXHIBITION B 1,300,000
　サバンナで暮らす動物，ヌーを題材にしたエキシビション。前後左右のスクリーンで観客を囲む映像システム，サラウンドシステム，送風装置，そして床に仕込まれた振動装置により，アフリカの草原を移動する130万頭のヌーの大群の中にいるような体験ができる。


■EXHIBITION C 60
　世界最大のトカゲ「コモドドラゴン」の生態を，3D立体映像と各種演出装置により体感可能にしたもの。前半は大画面と立体映像により，コモドドラゴンの基本的な生態と狩りの様子が上映される。後半はコモド島へ移動し，観客の周りでコモドドラゴンが水牛の狩りをする様子を，音と振動，匂い，接触装置などの演出により，体感できる。


■EXHIBITION D -89.2
　体感温度-15℃〜-20℃という，凍てつくような極寒の地を再現したエキシビション。床面に投影された映像の氷を踏むと割れ，特殊構造の床によって氷を踏みしめる感触が味わえる。ブリザードルームでは，風速15mの強風に吹かれることで，極地で生きる生物の生活の一部を体感できる。タイトルの-89.2は，1983年7月21日に南極のボストークで観測された，地球上で最も低い気温。


■EXHIBITION E 10,994
　幅12m，高さ2.4mの大型円形スクリーンに映し出された海中映像を眺めてリラックスできる空間。映像は深度0mからスタートし，さまざまな深度のバラエティ豊かな海中世界を楽しめる。映像の最後には深度1万994mのマリアナ海溝の底に到達し，急浮上してエンディングを迎える。


■EXHIBITION F 75
　「昆虫の世界」をテーマにしたウォークスルータイプのエキシビションで，昆虫の生態を映像と演出装置で学べる。ハチのエリアでは，立体音響と吹き出すエアによって「刺す」を体感でき，またグローワームのエリアでは，洞窟のような場所で彼らの「糸」と接触。最後のゴキブリエリアでは，音響効果と床面，側面の接触装置により，彼らの住む洞窟の環境を体感できるという。
　今回のプレス内覧会では，まだその一部しか体験できなかったものの，正式オープン時には音響と体感を駆使したお化け屋敷のような仕上がりになるとのことだ。


■EXHIBITION G ∞（Infinite）
　風景，動物，魚，植物などの写真によって，部屋全体が観客の色に染まるという不思議なアート作品。部屋の中心にある色彩センサーが観客の衣服や持ち物などの色に反応し，同系色の地球上の写真で部屋全体を包み込むのだ。ただしプレス内覧会では準備中で，体験はできなかった。

■ベースキャンプ
　施設の中心に位置する，アメニティスペース。ブロックが積まれた大きな壁面には，ジャングルや氷山，火山，滝など数多くの映像をプロジェクションマッピングで表現。正式オープン時には，観客とCGの動物が合成されたり，床面にある動物の足跡を追ったり，CGの動物を触ったりできるようになるという。


■タイム・スライス
　動物達と人間の時間を比べるというエキシビション。ハイスピードカメラを使って，観客の1秒間の動きを撮影し，1秒間に25回羽ばたくハチドリや，秒速15mで舌を伸ばすカメレオンのエサ取りなど，動物の1秒間の動きと比較する。


■モーフィング・ストーン
　ベースキャンプ内に設置された巨大オブジェに，プロジェクションマッピングで生物が映し出され，インタラクティブな反応が楽しめるというエキシビション。カメレオンやイモムシ，ホッキョクグマ，シャチが現れ，触れると鳴き声を出したり，色を変えたりする。


■フォト・スポット
　BBC EARTHの映像の中に入り込んでしまったような，合成写真を撮影できるサービス。完成した合成写真は，AFTER SHOW＆SERVICESエリアのフォトダイアリーで購入可能だ。

THEATRE 23.4

　セガとBBC EARTHが総力を結集した，Orbi Yokohamaの目玉となるスペシャルシアターで，大自然の真っ只中を再現した究極の大自然没入体験を提供する。
　シアターのフロントスクリーンには，日本最大級となる幅40m，高さ8mのスクリーンが設置され，OrbiのためにBBCが制作した完全オリジナルストーリーと，同じロケ地で撮影された映画サイズ（フルHD画像）約3面分の映像が上映される。
　また，ステージショーやアトラクションなどに用いるセガの演出要素や技術が導入され，4K映像による視覚だけでなく，匂いや風，霧，フラッシュライト，そして重低音立体音響といった演出で全身の感覚を刺激することで，これまで見られなかった“真のBBC EARTH”が体感できるという。
　なおプレス内覧会には間に合わなかったが，正式オープン以降は，映像に合わせて海や草原を思わせる匂いが漂うそうだ。

プレス内覧会で上映された映像「ICE WORLDS」では，氷の世界で暮らす動物達の様子が紹介された

AFTER SHOW＆SERVICES

■メイキング
　BBC EARTHの撮影班がどのようにして映像を収録しているか，メイキング映像を公開。撮影スタッフが登場し，館内でも使われている映像の撮影の模様などを，大型ディスプレイやパネル展示などで紹介する。THEATRE 23.4の出口には，上映作品の撮影/収録風景を紹介するコーナーもある。

■フォトダイアリー
　Orbi Yokohamaには，来場者が体験している様子や合成写真を撮影するエキシビションなどがあるが，入館時に渡されるリストバンドを専用端末にかざすことで，自分の写真を閲覧したり購入したりできる。また写真をコラージュしたり，オリジナルグッズを作成したりが可能で，さらに，購入した写真を専用サイトからダウンロードすることもできる。


■ツアー
　専用のAR端末を貸し出し，館内周遊ツアーを実施。各エンタテインメント・エキシビションでAR端末をかざすと，野生動物などの詳しい情報が見られる。（2013年秋導入予定）

Orbi Yokohama 施設概要

名称：Orbi Yokohama（オービィ横浜）

開業日：2013年8月19日（月）

場所：MARK IS みなとみらい 5F
（神奈川県横浜市西区みなとみらい三丁目5番1号）
横浜高速鉄道みなとみらい線「みなとみらい駅」下車、改札直結
JR京浜東北・根岸線「桜木町駅」下車、動く歩道で徒歩8分

電話番号：045-319-6543

URL：http://orbiearth.jp

開館時間：10:00〜23:00（最終入館 21:00）

入館料：
大人（高校生以上）2,600円
小中学生 1,300円
幼児（4歳以上） 500円
シルバー（60歳以上） 2,000円

ﾁｹｯﾄ購入方法：
店頭窓口、または、オンライン予約（Orbi Yokohama ホームページから）
※店頭窓口では、THEATRE 23.4の座席指定ができません。

面積：4,779 平方m（1,445 坪）※一部2層

収容人数：1,500人

所要時間：約2時間