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「スマートフォンアプリジャム2014」2日目昼から最終プレゼンまでの模様をレポート。ガンホー森下氏×コロプラ柳澤氏の討論会も実施
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印刷2014/07/11 19:56

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「スマートフォンアプリジャム2014」2日目昼から最終プレゼンまでの模様をレポート。ガンホー森下氏×コロプラ柳澤氏の討論会も実施

 去る7月4日〜6日,千葉県にあるリゾートホテル,一宮シーサイドオーツカで開催された「スマートフォンアプリジャム2014」(以下,SPAJAM2014)。前回の記事では2日目までの模様をお届けしたが,本稿ではこれを踏まえ,2日目昼〜3日目の最終プレゼンまでの様子をお届けしたい。
 なお,本稿は前回の記事を前提としたうえで,先に最終プレゼンをレポートする。2日目の昼に行われたガンホー・オンライン・エンターテイメントの森下一喜氏と,コロプラの柳澤康弘氏によるパネルディスカッションについては,本稿の末尾を参照してほしい。

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企画部門


 プレゼンはまず企画部門からスタート。企画部門のテーマは「2020年のアプリ」である。発表順に,簡単に概略をお伝えしよう。

  • Heliphone Camera
  •  「Heliphone Camera」は,ホバリングする小型ヘリをスマートフォンの外付けハードウェアとすることで,さまざまなシーンでの記念撮影を,撮影者を含んで行うことができるという内容。アプリ側の機能として,「撮って欲しい瞬間」または「ここは撮ってほしくないシーン」を自動的に判断するという構想も含まれている。

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  • nail-着せ替えるネイル
  •  女性がネイルケアにかける時間と費用はかなり大きい。これを圧縮し,浮いた時間と費用を他の活動に利用するというのが,「nail-着せ替えるネイル」の元となったアイデアだ。
     仕組みとしては,付け爪のサイズに加工した小型液晶が技術的前提となる。この小型液晶に,好みの絵柄を表示させたり,自分でデザインした柄や写真を表示させたりするというもの。また,ユーザー投稿による「絵柄ショップ」も併設する。
     ちなみに,プレゼンテーターはこの日のためにネイルサロンへ行き,SPAJAMに向けたネイルにしてきていた。

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  • e-Yeah
  •  高齢化社会のその先の現象として,クラウドやスマートフォンに大量の個人情報を残したまま亡くなる,という状況が増えることが予測される。これを踏まえて,そういった“故人”情報とうまく付き合うためのアプリが「e-Yeah」だ。
     長期間操作がないなど「使用者の死」が感知された段階で,事前に設定しておいたメッセージを大切な人に送れるほか(10年・20年といった未来に「予約」も可能),画像や動画をスマートフォンの中から自動的に検索し,スマホを「遺影」とするほか,適切な写真がない場合はSNSから知人に依頼するなどの呼びかけも行う。
     さらに,集まった個人情報を元にAIが構築され,遺族はそのAIと話すことで,故人と話しているような気持ちになれる(依存防止機能つき)。

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 テーマが2020年のアプリというだけあって,いずれも現状では難しい,または可能だが高価な機材や技術を使うことを前提としている。「こんな進んだ技術は無理だ」と思える部分もあるが,2020年は6年後。6年前の自分たちの生活を振り返ってみると,「まったく無理」とは言い切れないだろう。
 なお,非常に個人的な感想だが,企画「e-Yeah」は,P・K・ディックの「ユービック」を彷彿させられた。思えばかつてはSFの文脈でしか語りえなかったものが,SPAJAMという現実のイベントで語られるようになったことで,確かに時代は前に進んでいるのだと感じさせられた。


ハッカソン部門


 企画部門のプレゼン3つが終わったところで,ハッカソン部門に移った。発表の際には,「5分間で必ず発表を終了する」という厳密なルールが適用されており,リハーサルも行われた。しかし,発表の途中で不具合が発生し,まともに発表できないグループがあるなど,これがなかなか厳しかったようだ。
 なお確認までに,ハッカソン部門のテーマは「日本文化を好きになるアプリ」である。また,プレゼンは基本的にスライドと動画で行われるため,「アプリが本当にどこまで完成しているか」はハッキリと分からない点は,前もってご了承頂きたい。

  • アンチキラキラ女子チーム
  •  アンチキラキラ女子チームが制作したのは,「遊べば遊ぶほど日本文化を深堀りしたくなる,ライトなゲーム」である。
     ゲーム自体は,ざっくり言えば「Angry Birds」のクローンだ。プレイヤーキャラクターの前には土下座している会社員がいるので,最初にその土下座の角度を決める。その後,「だるま」を投げる力を決めて会社員の背中にぶつけると,角度に応じてだるまが放物線を描いて飛んでいき,その先にある「こけし」のピラミッドを崩す,という流れ。審査員も太鼓判を押す,まさにAngry Birdsである。
     ゲームを進めていくと,日本文化に関する小ネタが紹介されるため,遊びながら日本文化をもっと知りたくなるという仕掛けになっている。

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  • 進撃のDMTC〜Attack on Hacker
  •  作成されたアプリは「MotenashiMap」。このチームの特徴は,チームメイトに日本をこよなく愛し,日本で働きたくて渡日しているカナダ人がいる(でも日本語はほとんどできない)という点だ。
     彼の目から見て,日本は観光資源に大変恵まれているし,日本人はみなマナーが良く優しいという。その半面,英語ができる人が少なく,またシャイなため,大変に話しかけづらいのが問題なのだとか。
     これを踏まえた「MotenashiMap」は,ユーザーが「もてなす側」と「もてなされる側」で利用登録を行い,ニーズに合った人に巡り会えるというもの。「もてなされる側」は自分の近くにいる「もてなす側」を検索,登録情報(語学能力など)を見て,ガイドや案内をアプリ経由で依頼する。お互いの位置は,マップでリアルタイム検索することも可能だ。

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  • グッドラックスリー
  •  作成されたのは,ゲームアプリ「じぱんぐ双六」。双六をベースとしたゲームで,プレイしていると日本文化に関するトリビアが得られたり,あるいはそれをきっかけとして日本文化をより深く知りたくなったりするというのが企画の趣旨だ。
     ……が,発表途中でトラブルが発生。肝心のゲームがどのようにプレイできるのか不明なまま5分間が経過してしまった。可愛らしいキャラクターには審査員からも感心の声があがっていただけに,ゲーム本体が見られなかったのは残念としか言いようがない。

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  • Circulation
  •  作成された「Cos Pad」は,いまや日本文化と言える「コスプレ」を題材としたクックパッド風のアプリだ。
     機能としては,ユーザーによるコスプレ写真投稿はもちろん,コスプレのカテゴリ検索,ユーザー投票によるランキング,また「そのコスプレの作り方」(レシピ)もカバーする。といった説明で5分経過。日本にある既存のサービス「Cure」,海外でサービスされている「Deviant Art」(どちらもコスプレの投稿が可能)との差別化や,ほかの機能の説明などもあったようだが,時間切れとなった。プレゼンが始まる前にちょっとした紙芝居があったのだが,あれがなければ5分に収まったのではと思わなくもない。

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  • パイレーツ・オブ・イチミヤン
  •  作成されたアプリは,スマートフォンで日本の伝統的な遊びであるメンコが遊べる,ゲームアプリ「バトルメンコ!」だ。
     メンコのバーコードを読み込むことで,さまざまなステータスやレアリティが設定されたメンコがゲーム内に生成される,という現実の商品と連動した作品だ。
     プレイヤーは3枚のメンコを「デッキ」とする。ゲームプレイは,実際にスマートフォンを振ることで,「メンコを叩きつける」というもので,互いに1回ずつメンコを打ちあって,合計6回打ったところで勝敗が決まり,勝者は敗者のメンコをすべて奪い取れる。
     実際の対戦プレイも可能で,Bluetoothにより2台のスマートフォンを連携させ,「通信対戦」が楽しめるようになっていた。バーコード読み取りからのメンコ生成,デッキ構築部分などもすべて完成しており,非常に完成度の高いアプリになっている。

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  • 朝風呂ブラザーズ
  •  作成されたのは,日本へ観光に来た外国人の悩みや疑問を素早く解決するアプリ「ナニコレ?」。基本的なコンセプトは「MotenashiMap」と同じだ。
     「ナニコレ?」は,外国人観光客向けと,日本人向けの2つのアプリで構成されている。前者は,本人が疑問に思ったことを写真に撮って投稿するアプリ。後者は投稿されたデータが「クイズ」として表示され,ユーザーが短時間で適切な回答を返すという内容だ。回答は質問者によって評価され,最も役に立った回答者にはポイントが与えられる。
     「ナニコレ?」は,ほぼすべての機能が完成しているだけでなく,実際に運用サーバーまで仮設されていた。ブラウザベースで動くため,会場にいる人が手元のスマートフォンで試用することも可能だった。
     制限時間がギリギリになってしまったため,本格的な試用ができなかったのは残念だが,前半の概説をもっと切り詰めて,いっそ体験会にしてしまっても良かったのではないかと思えるくらい,「完成」していたアプリである。
     余談だが,このチームは初日の早い時間に寝てしまったそうで,事実上2日目から開発を始めたそうだ。にも関わらず,ここまでの完成度とは正直度肝を抜かれた。

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  • 俺たちアクワイア開発軍!
  •  作成されたアプリは「地球防衛会社」。もはや日本固有の文化となった「残業」で地球を救うゲームアプリである。さすがアクワイア。
     ゲームは一種のタイピングゲームだ。画面下に,日本文化と関係の深い単語が分解されて表示されるので,それを正しい順番でタッチしていくという内容。ゲームセンターのクイズゲームなどでよく見るアレだ。
     タイプ完成によって怪獣にダメージが与えられるほか,カットイン演出も実装。途中から画面下の「日本文化に関係の深い単語」に,“あなただけでも逃げて”“できるわけ無いだろ?”などの「お約束展開のセリフ」が並ぶようになり,不思議な盛り上がりを見せるゲームとなっていた(実際にプレイしたらどうかはともかく,プレゼン会場は大いに盛り上がっていた)。演出のクオリティやゲームのテンポなど,さすがアクワイアと思わせる作品に仕上がっていたと言える。

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  • GONBE
  •  作成されたアプリは「なんでやねん」。大阪独自の高度な文化である「なんでやねん」を,テクノロジーでサポートするという壮大(?)な企画だ。
     具体的な機能としては,スマートフォンを握った状態で,ツッコミを入れる方向に手を振ると,スマートフォンから「なんでやねん!」と声が出る(声は自分で登録可能)。
     さらに,インターネットを介して特定の「現在進行形の事案」に対する「なんでやねん!」を共有することもできる(イメージ的にはTwitterのハッシュタグに近い)。
     なお,このチームは2日目昼に行われた中間発表の段階では「何を作るか」すら決まっていなかったが,ここまで持ってきたのだから恐ろしい。

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  • チームMizuki
  •  作成されたアプリは「Pieces of Japan」。「1歩外に出たくなる」アプリがキャッチフレーズで,基本的には,海外から日本に訪れた観光客が使うアプリである。
     特徴として,現実にある物との連携が挙げられる。現状では「観光ガイド」のような形でまとめられている観光情報をカードにし,それをスマートフォンで読み取って関連情報の検索(あるいは自動的な提案)が行われるという仕組みだ。実際に店舗や観光スポットへ導入する際,カードという印刷物は低コスト,メンテナンス不要,故障知らずと,大きなメリットがあるという。
     また,より進んだ情報通知手段として「提灯」が提案された。これは中にビーコンが仕込まれた提灯で,アプリの使用者がその近くを通ると,プッシュで情報が通知される。プレゼンでは「近所の100均で買ってきた」という提灯に,実際にビーコンを仕込んだものを見ることができた。
     ちなみにこちらのチームは,GONBEとは対照的に,中間発表の段階でアプリは機能的にはほぼ完成,そこから先は「ひたすらUIを作りこんでいた」という。また,チームメンバーの1人は,よりによってノートPCを持ってくるのを忘れた(チームMizukiは会津から来ているので「ちょっと取りに戻る」ことが難しい)ため,提灯やカードの製作に集中する,通称「わくわくさん」に着任していた。チームの個性は,実にさまざまである。

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  • ひとりっこりぃず
  •  作成されたアプリは「hinomoto」。日本文化の雑学が学べるアプリとライフログと結びつけたものだ。
     ライフログは,「1日にどれくらい移動したか」「どれくらいカロリーを消費したか」などを自動的に記録してくれるサービスだが,「結局は数字の羅列になる」(せいぜいグラフ)という弱点がある。簡単に言えば,飽きがちになってしまうのだ。
     「hinomoto」では,このライフログのデータを,日本文化の雑学とクロスさせる。日付で言えば,その日に発表された文学作品や歴史上のイベントを表示するなど,ライフログのデータが雑学と紐付く仕掛けになっている。

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  • myxomycete
  •  作成されたアプリは「Call Japan」。飲み会を盛り上げる「コール」をテクノロジーでカバーするという,発想の方向性としてはGONBEの「なんでやねん!」に近いアプリである。
     使用法は,ユーザーが飲み会でコールをしながら,握ったスマホをひたすらシェイクするという至ってシンプルなもの。シェイクしている間は,情報がオンラインで共有され,1つの画面の中で,ほかの場所でコール中の人のアバターが飛び跳ねる。また掛け声もコンピューターが自動的に発声してくれる(シェイクする速度が早ければ早いほど盛り上がる)。これならシャイな人でも大丈夫,という仕様なのだ。
     しかし,いざ実演してみると通信障害が発生し,振っても振っても画面内のアバターが動かず,テンションを示すゲージもだだ下がりという,つらい展開となった(これはこれで,会場は妙に盛り上がった)

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ベストを尽くした,その先に


 最終プレゼンが終わったところで,SPAJAM2014も事実上閉会となった。結果発表は,7月15日に行われる予定だ。

 3日間のイベントを取材して感じたのは,「チームで何かを作る」ということの楽しさと難しさ,そして作り上げたときの喜びだ。極論を言えば,ハッカソンでは「とりあえず動く」ところに持っていくのが大事だが,それでもなお細部にこだわるプログラマーやデザイナーの熱意には感心させられた。

 あるプログラマーは,「動くという意味ではもう完成していますが,完成度という意味では5%といったところですし,100%と思ってもそれが実際には80%程度でしかないことはあります」と語る。
 ある企画者は,ただ「スマホを振ったら音が出る」ではなく,本当に音が出てほしいタイミングで音を出すために知恵を絞る。そして,最終プレゼンを終えて席に戻ったとき,お互いにハイタッチを交わすメンバー達。

 ハッカソンは,体力的な面も問われるため,「体育会系」のノリが混じりやすい部分があるといえる。しかしイベントの本質は,コンピューターでアプリを作るという,きわめて文化系,しかもかなりコア寄りのイベントだ。にもかかわらず,そこで展開される光景は,どこかスポーツ・イベントの雰囲気に似ているのである。
 もしかしたら,「体育会系」「文化系」といった区分には,一般に思われるほどの差はないのかもしれない。技術を持った人達が,自分たちのベストを尽くすとき,そこにはスポーツもハッカソンも,区別はない――そんなことを思わせてくれるイベントだった。

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ガンホー森下社長×コロプラ柳澤氏 仁義なきゲーマーの討論会


 SPAJAM2014,2日目の昼に行われたガンホー森下氏とコロプラ柳澤氏によるパネルディスカッションは,スマートフォン・アプリ開発についてのあれこれを,ざっくばらんに話すという形で進められた。
 本来ならお金を払ってでも聞きたい内容ではあるものの,ディスカッションの会場がハッカソン会場と同じ場所なので,開発に集中しているプログラマーにとっては「それどころではない」のだ(誇張ではなく,本当に黙々と作業し続けていたプログラマーやデザイナーも珍しくなかった)。
 森下氏も「こんな話を聞いてる場合じゃないと思うけど,ほどほどに聞いて下さい」と念を押していたが,やはりというか,内容はなかなかに興味深いものだった。

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「両氏の注目するチーム」

 まず最初に,中間発表が終わった段階で,2人が注目しているチームについての話が行われた。
 森下氏は「自分はゲームしか作れない」「実用系のアプリは作ったことがない」ことを断った上で,ジャック・スパロウのコスプレで前夜祭を沸かせたパイレーツ・オブ・イチミヤンに注目した。というのも,全チームの企画の中で,イチミヤンの示した「メンコのゲーム」が,森下氏も「かつて自分でもトライしてみようと思った企画」だったのだ。
 森下氏は,子供の頃にメンコをたくさん遊んだというだけでなく,メンコが「技術と運の両面を持ったゲーム」であることに注目。また,メンコをアプリ化することで,ユーザーがその柄を自作できるという点にも言及した。

 一方の柳澤氏は,朝風呂ブラザーズの示した「海外からの旅行者が疑問を投稿」「日本人がその投稿を一種のクイズとして,素早く回答を寄せる」というシステムが,エンターテイメントと実用性を兼ね揃えていることに注目。
 とくにクイズを「即答しなくてはならない」としたのは評価が高かったようで,すぐに回答が返ってこなかったら利用が減る,ということをフォローできる点が高評価の要因になったという。また,「和式便所の使い方を質問する人にとっては,正しい回答は1分1秒を争う」と鋭いコメントをしていた。


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「1タイトルの開発期間はどれくらいなのか」

 森下氏は,開発期間はとくに決めていないと言う。スマートフォン向けのゲームは,短ければ6か月程度だが,ほとんどが6か月〜1年程度,長くて1年半。コンソールゲームの開発となると2年,3年と時間がかかるという。ちなみに「パズル&ドラゴンズ」は6か月という,比較的短い開発期間でリリースされている。
 もっとも,ここでポイントになるのは「何をもって完成したか」である。森下氏としては,「ほぼ完成した」という状態から,ゲームバランス,レベルデザイン,UIの最適化などといったところに徹底してこだわり,ブラッシュアップに時間をかける。
 結果として,仕様変更が頻繁に発生したり,UIの修正がリリースの2週間前に発注されたり,1週間前にキャラクターを追加したり……といったことが多々あるという。当然だがデザイナーには「なんで今やるんですか!」と怒られるとか。
 ともあれ,そういうこだわりがあるがゆえに,とくに期日は決めずに開発を進め,自分たちが納得するまで作りこんでからリリースするそうだ。
 なので,元の企画と最終的に仕上がった物が,まったく違うものになるのも珍しくない――というか,ほぼほぼ違うものになるとのこと。「そっちの方が面白いんじゃないかと思ったら,迷わず変える」のが森下流なのだ。

 これに対し柳澤氏は,コロプラもそれに近いと話す。リリース直前になって,ほぼ完成しているゲームを,ゲームシステムから差し替えたこともあったそうだ。また,開発期間も半年から1年がスタンダード。ただしコロプラでは,ライトなカジュアルゲームを少人数で作るときは,2〜3週間で作ってしまうこともあるという。
 このあたりは,森下氏の「開発期間が長ければ良いものができるわけでもないし,時間を短くすればいいというものでもない」というのが実情らしい。


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「ゲームの企画は誰がどうやって作っているのか」

 ガンホーの場合,「こういうゲームを作ろう」というコンセプトは森下氏が決定する。例えばパズドラであれば,森下氏が最初に考えたのは「アクションゲームを作ろう」だった(実は,森下氏個人としては,パズルはあまり好きではないらしい)。
 ただ,アクションと言っても,パンチ・キック・ジャンプといったものだけがアクションではないハズだ。そうではないアクションゲームを,いかにカジュアルに,かつスマートフォンのUIにあわせて作れるか,というのがテーマとなっていたという。
 また,メンコアプリのときにも出た評価軸だが,プレイヤーの技術と,その時々の運,その双方を兼ね備えたゲームというのも重視したそうだ。
 森下氏は,「ゲームを作るというのは,巻き込んでいくこと」だと語る。自分のコンセプトに対し,「こいつだったらやってくれる,共感してくれる」と思うメンバーを選び,そのチームで企画を練っていくのだ。なので,ガンホーには「部門」も「課」もない。
 ここには森下氏の組織に対する考え方も現れている。同氏は「部長とか本部長とかそういう階級ができていく,お役所的なものが大嫌い」で,「現場のチームと自分。これで話し合って詰めていって,最終的にこれで行こうと決めるのは,僕1人だけ」だと話す。
 もっとも,そういう方式は森下氏に大きな負担をかける。ガンホーはだいたい平均して10タイトル前後を同時に開発しているが,1日5タイトルずつ企画ミーティングがある。結果,森下氏は滅多に会社の外にでることはないし,出張にもまず行けない。海外出張が入るときは,「社長が1週間いなくなるから,1週間前に全部決めろ!」といった形で,社内がてんやわんやになるそうだ。

 一方のコロプラは,大きな方針が決まったら,あとは現場で作っていく方式を取っている。最初は2〜3人のチームで,エンジニアもデザイナーもディレクターも全員で意見を出して企画を作る。
 また,企画書や仕様書を作ってからではなく,早い段階で実際に動くものを作ってしまうのだそう。このとき重視されるのは「手触り」で,「触って気持ちが良い」「触って楽しそう」を軸にして評価を定め,いけそうな場合は,そこから作り足していく。
 同時に,実際に触ってみた人から,なるべくたくさん意見を聞くようにしているという。このヒアリングの最終関門はリリース直前の馬場社長チェックで,ここでは必ず「これ,面白い?」と逆に聞かれるという。「開発者が『面白い』と答えたとしても,心のどこかで面白くないと思っていたら,顔に出る」のだとか。
 このようにコロプラの場合,社内にベータテスト版を配布,何百人という社員にプレイしてもらって,フィードバックを取る。社内ベータなのでデータはいずれワイプされるが,それでも相当遊び込む社員が現れるゲームは,実際にリリースしてもヒットしやすいという。

 こういったテスターからの意見の収集については,ガンホーでも行っている。しかし,ガンホーではすべてのプロジェクトに森下社長が関わっているため,同氏が社員に「これ面白い?」と聞くと,どうしても気を遣った意見が返って来やすい(と言っても,パズドラは最初,社内の反応はイマイチだったとか)。
 それもあって,最近の森下氏は普段ゲームをしない社員に遊ばせることを重視している。そしてプレイする様子を後ろから観察して,その人がちゃんとゲームを進めて行けているか,指の動きから本当に面白いと思っているのかをチェックする。「やらされている感」があるときは,指の動きに出るというのだ。
 同じことは,森下氏自身の子供をテスターにしても行われてきたようだ。この場合は,同氏が子供の近くでただ黙々とプレイして,まず子供が「それ,やらせて」と言ってくるかどうかがスタートになるという。
 とはいえ,開発者も人であるため,フィードバックの内容によっては「イラッとする」ことだってある。

 これについて柳澤氏は「そこでイラっとしないことが大事」だと指摘する。
 コロプラでは「素直である」ということを,会社として重視しており,不満点が出てくるというのは,ゲームに何か問題があるからであって,その不満点を素直に受け止めて,対策を考える,これができる開発者が,結果を残すのだそう。
 フィードバックに対してイラッとしたとしても,そこで「そんなことはない!」ではなく,「そうかもしれない」と受け止められること,そしてそれを踏まえ,何度も何度も社内ベータを繰り返すことが,ゲームをより洗練していくのだ。

 森下氏もまた,「開発していく上で,素直で謙虚な気持ちは大事」と語る。が,その反面,「徹底的に我が道を行く」という考え方もまた大事だと話す。
 もちろん,全員が我が道を行けば,ゲームはそもそも完成しないが,意見を取り入れすぎれば,ゲームは支離滅裂になるため,バランスが重要なのだそう。
 そういう点において,森下氏は開発チームのバランスから考えるという。チームの個性のバランスをとり,得意な人が得意を伸ばし,苦手な部分はそれが得意な人にお願いする。その組み合わせによって,ゲームのバランスも取れていくという。


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「企画・仕様をどれくらい作りこんでから開発に着手するのか」

 森下氏はほぼ企画専門だが,最初の段階では1枚の企画書に概念が収まる程度の内容でスタートするという。それよりも大事なのは,自分の脳内にあるゲームが,ちゃんとゲームとして動いているかどうか。そこがきちんとシミュレートできなくてはならない。
 その上で,ゲーム制作はチーム作業だ。この脳内のビジョンを,現場のチームと共有しなくてはならなず,プロトタイプ作成はビジョンの共有が上手くいってからとなる。
 また,ゲームとしてのルールが成立しているかどうかを,まずはっきりさせ,その上で,世界観やストーリーを後追いで作っていくことになる。

 ゲームの企画を立てる上でも,実際に動くものを作っていく上でも,この「ゲームシステムと世界観の優先順位」は大きなトピックだが,柳澤氏もまた「世界観やテーマは最後の最後」と語る。
 その上で柳沢氏が注目するのは,先ほども少し触れている「手触り」だ。例えばクイズゲームを作るのであれば,「クイズの回答を選ぶ」ということを,いかにして手触り良く作れるか。それを考えながら,繰り返し繰り返し作っていくという。

 つまり,両者とも重要視するのはゲームの核となる部分。そこの部分を最初に作ることで,それがそのままプロトタイプになるという。森下氏いわく,ガンホーの場合は「全体像はリリース直前でも変わる」が,このコアは最初からしっかりと作っていくそうだ。

 もっとも,ただ作り直し続けるだけではどうにもならないケースもある。柳澤氏は知育アプリを作ったときの経験として,「小さな子供にとって,何が面白いかとか,ここが分かりにくいとかいうのは,実際に遊んでもらうまで分からなかった」と語る。
 またこのあたりの事情について,同氏は「自分も含めて,そもそもゲームを作りたいなんて意欲を持っている人間は,いわゆるオタクのなかでも,相当際立っている人。自分が『こうだ』と思うことは,一般的な考え方ではないと思ったほうがいい」と指摘した。


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「人を採用するときのポイント」

 森下氏は「一癖二癖ある人」「変な人」が望ましいと話す。また同氏は自分自身ではプログラムが書けないが,ゲーム制作の中心はプログラマーとデザイナーが担い,また緊急時にはプログラマーなしには成り立たないこともあるため,プログラマーのことを「嫉妬するくらい好き」だという。
 一方で柳沢氏は「うちはそんなすごく変な人は求めてません」と会場を笑わせつつ,チームプレイができることの重要性を指摘した。また「ゲームが好きで,素直さを持っていること。ゲームをリリースしたら,当然いろんな反応が出るが,そこで自分と世間のギャップを感じても,『世間が間違っている』ではダメ」という指摘は,同氏のここまでの言葉からも,一貫した考え方であることが分かる。
 当然だが,「チームプレイの重要性」は,ガンホーでも変わらない。森下氏もまた,「どんな優秀な人間でも,ちょっとしたミスを犯す。そういうミスを責めるのではなく,協力して助けあうのが大事」だと語った。

 実際,ガンホーでもコロプラでも,社内のチームワーク強化のためのイベントや,「社内部活動」などは盛んだ。
 コロプラはとくに不思議な部活が多いそうで,柳澤氏は「ナイトハイク部」(夜中ひたすら歩いて解散する部)をその代表例として挙げた。この他にも,同氏の所属する「リアル脱出ゲーム部」や,「釣り部」(海外遠征あり)といった。個性豊かな部が揃っているらしい。
 これに比べるとガンホーはスキー部,サッカー部,卓球部,ゴルフ部と,一見平凡に見えるが,社員全員参加の「浅草サンバカーニバル」が際立っている。これは森下氏が提案して参加し始めたイベントで,提案当初は「社内全員がドン引き」だったが,やってみたら社内の一体感が増し,空気が非常に良くなったという(ただし森下氏本人は「僕的にはつらいイベントになりました」「思いつきでやってはいけないことでした」と,体力的に後悔しきりな様子)。


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「ゲームトーク!」

 最後に,そろそろ真面目な話題に飽きたのか,いま自分たちがハマっているゲームの話題が飛び出た。
 すかさず柳澤氏が「洋ゲーが好き。MOBA系で,とくに『League of Legends』を遊んでいる。『World of Tanks』も好き。『EVE Online』も遊んでます。FPSも好きです」と,そのコアっぷりを見せつけると,いままで上手く相槌を打ってきた司会者が困惑して沈黙。発言した本人は「司会者がぜんぜんついてこれなくなりましたね」と反省の弁……。しかし,ゲーマー2人がいれば,その程度でゲームの話が終わるはずがない。
 森下氏は「最近は『ウォッチドッグス』にハマっている」「オンラインの対戦コンテンツがすごい」とユービーアイソフトを賞賛。柳沢氏はユービーアイソフトつながりで「アサシン クリード」の愛を語ると,森下氏も「わざと高いところから藁の山の中に飛び降りたりしますね」と,ゲーマーというのはみんな一緒なんだなあ,と思わせるトークを展開した。

 対談企画も終盤に迫ってきたところで,森下氏は「ゲーマーは,ゲームがライフスタイルの中に入っている。スマートフォンが出てきたことで,ゲーマー以外がターゲットになってきた。いままでゲームをそんなに遊ばなかった人にも,ゲームを遊んでもらう機会がすごく増えた。だから,いままでと作り方,考え方を,だいぶ変えなくてはならない」と話す。
 その例として「パズドラにはメタドラというモンスターがいて,合成するとたくさんの経験値が得られる。自分たちはドラクエ世代だから,『メタル』なモンスターが経験値をたくさんくれるのは自然だけれど,ドラクエを遊んでいない世代にとっては『なぜ経験値がたくさんもらえるのか』が分からないんじゃないだろうか」と語った。
 森下氏の「そう考えると,僕たちはマスではなかった!」,柳澤氏の「ゲームやってない人もたくさんいたんだ!」という結びの言葉は,そこまで無邪気に笑えない,シリアスな冗談であったようにも思えた。

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