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Taipei Game Showに出展しているインディーズデベロッパに台湾のモバイルゲーム事情を聞いてみた
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印刷2014/01/25 17:19

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Taipei Game Showに出展しているインディーズデベロッパに台湾のモバイルゲーム事情を聞いてみた

画像集#001のサムネイル/Taipei Game Showに出展しているインディーズデベロッパに台湾のモバイルゲーム事情を聞いてみた
 「Taipei Game Show 2014」のMadHeadブースが,大ヒット作「神魔之塔」のおかげで大盛況だったということは,こちらの記事でお伝えした通り。「神魔之塔」は「パズル&ドラゴンズ」(iOS / Android)のクローンとでも言うべきスマートフォンゲームなのだが,その人気ぶりからも,台湾で日本と同様のスマートフォンをプラットフォームとしたモバイルゲーミングが大きな潮流となっていることが感じられる。

 そんな台湾のモバイルゲーミング事情について,もう少し詳しく掘り下げたいと思い,Taipei Game Show 2014に出展していたインディーズのモバイルゲームデベロッパ数社に話を聞いた。


流行はやはりカジュアルなF2Pタイトル


 台湾におけるモバイルゲームのブームはいつ頃から始まったのか,という質問には,「1〜2年前から」という意見が多かった。ある人は「それまではブラウザゲームやMMORPGなど,オンラインゲームが流行っていたが,それがだんだん商業的な限界に近づき,誰もが行き詰まりを感じていたところに,モバイルゲームの波が来た」と分析しており,なかなか興味深い。

画像集#010のサムネイル/Taipei Game Showに出展しているインディーズデベロッパに台湾のモバイルゲーム事情を聞いてみた

 制作されているゲームは,3Dグラフィックスによるシューティングやアクションのほか,RPGやパズル,ストラテジーなど多彩だが,カードバトルゲームや,カードバトル的な要素(キャラクターコレクションなど)を採用した作品など,日本のモバイルゲームの影響を受けている部分もあるようだ。
 全体的に見るとカジュアルゲームが好調なようで,「いわゆる確率だけのゲーム,スロットやガチャのようなアプリが非常にウケている」と語るデベロッパもいた。

 課金システムとしてはFree to Play(以下,F2P)が一般的なようで,リリース当初は有料アプリとして提供していたものを,F2Pに切り替えるといった事例も見られる。
 「ケイブの弾幕シューティングが大好きで,中でも『虫姫さま』が一番好き」と語るデベロッパは,スマートフォンやタブレットでプレイできる弾幕シューティングを展開しているが「F2Pにしてから売上が伸びました。課金してくれるプレイヤーの多くは日本人です」と明かしてくれた。


日本市場を狙う台湾モバイルゲーム


 多彩な展開がなされている台湾のモバイルゲーム産業だが,悩みがないわけではない。
 共通した悩みとなっているのは,「広告宣伝」だということで,このあたりの事情は洋の東西を問わないようだ。

 台湾のゲームデベロッパの多くはあまり事業規模が大きくないため,大規模な宣伝を打つのは難しい。実際,台北市を散策すると驚くほどたくさんのゲーム関係の看板やプロモーションビデオを目にするが,筆者が見た限りでは,「GTA」「アサシンクリード」「LoL」といった大御所ばかりだった。

インディーズデベロッパのブースが集まるコーナーでは,日本語が書かれたポスターが多かった
画像集#002のサムネイル/Taipei Game Showに出展しているインディーズデベロッパに台湾のモバイルゲーム事情を聞いてみた
 これに加えて,最初から海外市場も視野に入れてタイトルを開発しているという事情も広告宣伝を難しくさせているようだ。

 今回話を聞いたデベロッパには,日本市場をターゲットにしているところが多かった。日本人の声優がボイスをあてていたり,日本のアニメやゲームの影響が強く感じられるキャラクターデザインを取り入れていたりする作品もあるようで,日本のパブリッシャーと良い出会いがあって,日本市場における広告宣伝がうまくいけば,台湾のモバイルゲームが続々と流入してくる未来も十分にあり得るだろう。

会場で見かけた,シヴィライゼーション的なストラテジーゲーム。TGSに出展もしていたとのこと
画像集#005のサムネイル/Taipei Game Showに出展しているインディーズデベロッパに台湾のモバイルゲーム事情を聞いてみた 画像集#006のサムネイル/Taipei Game Showに出展しているインディーズデベロッパに台湾のモバイルゲーム事情を聞いてみた


「台湾のゲームを,台湾でヒットさせたい」


 もうひとつ興味深かったのが,多くのデベロッパが「台湾のゲーム産業の規模の小ささ」を感じているということだ。
 台湾のゲーム産業が,消費される部分に限って言えば相当な規模を有していることはTaipei Game Showを見ても分かる。また,台北市内の百貨店にある催事場,日本で言えば「北海道物産展」などが開かれるようなスペースでLoLのイベントが開催されることもあるそうだ。「ゲーム」が社会に浸透している度合いは,部分的には日本より深いとすら言える。

 しかしその一方で,今回多くのデベロッパが「台湾のゲームデベロッパは国際的な競争力が低い」「台湾において,ゲームは完全な輸入産業になっている」と指摘していた。
 また,有力なデベロッパが存在しないため,台湾では「ゲームを創ろうと思ったら,自然と起業することになる」「結局は自分自身でやるしかない」という。このあたり,世界有数のゲームの消費地であると同時に,世界有数のゲーム生産地でもある日本との大きな違いを感じさせられた。

日本のタクティカルRPGの雰囲気を濃厚に漂わせる作品。これはまだ試作段階で,夏頃リリース予定
画像集#008のサムネイル/Taipei Game Showに出展しているインディーズデベロッパに台湾のモバイルゲーム事情を聞いてみた 画像集#009のサムネイル/Taipei Game Showに出展しているインディーズデベロッパに台湾のモバイルゲーム事情を聞いてみた

 とはいえ,規模は小さくとも,技術的な水準は高い。例えば件のケイブファンのデベロッパは「これまで多くのプラットフォームで弾幕シューティングばかりを作ってきたので,ゲームエンジンもそれ専用の,自前のものがある」と語る。もちろん,Unityなどの大手ゲームエンジンを使うデベロッパも多い。
 むしろいま,台湾のインディーズデベロッパが悩んでいるのは,台湾において「どんなものがヒットして,どんなものがダメなのか」が見えてこないことだと言う。もちろん「神魔之塔」は大ヒットしたわけだが,これはあくまでパズドラのクローンであり,「台湾で,台湾独自のゲームがヒットしたというわけではない」という認識のようだ。
 とはいえ「だからこそ台湾で,台湾のゲームをヒットさせたい」と語るデベロッパの意気込みには,ここからヒット作が生まれるかもしれないという予感を強く感じさせられた。

ケイブファンのデベロッパが作った弾幕シューティング。ちなみにポスターには「DANMAKU」の文字が。海外で通じる日本語になったのか……
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