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「BitSummit 4th」でプラチナゲームズ 稲葉敦志氏が語った未来を創るカギは「形のないIPの共有」
昨年の「BitSummit 2015」に続いて2度めの登場となった稲葉氏。プラチナゲームズとしてスタートしたばかりの頃の夢はオリジナルタイトルを作ることにあったが,最近では少しずつその考えが変わってきているという。そして,「これが最終的な目標ではないが」と前置きしつつ,自分達のオリジナルのIPを持ち,それを大きく育てていくことが,現在の夢の1つであると語る。
さらに稲葉氏は,IPには形のあるものと,形のないものの2つがあると続ける。「形のあるIP」は,分かりやすく言ってしまえば,個々のタイトルやシリーズのことだ。稲葉氏の言う「形のないIP」とは,例えばプラチナゲームズであれば,アクションゲームメーカーとしての豊富なノウハウといった,そのデベロッパが持つ独自の技術力を指している。そして現在は,そうした知識を1社で独占する時代ではないというのが氏の意見だ。
個々のデベロッパには,それぞれ得意なジャンルや優れた技術力があり,互いにそれを共有することが,ユーザーが喜ぶゲーム作りにつながっていく。そうした関係を築いていくうえで,BitSummitに出展しているような,無数のインディーズデベロッパが大きな役割を果たしていくと稲葉氏は述べた。
また稲葉氏は,ゲームを遊んだユーザーから得られるリアクションを,自動的にコンテンツに取り込める仕組み作りを,これから先のもう1つの大切なテーマとして挙げた。これもまた,形のないIPの1つであり,そうして集めた膨大なデータをデベロッパ同士で共有し,活用することで,大きなパブリッシャがIPを独占するような時代は終わりを迎えるのではないかというのが稲葉氏の考えだ。
稲葉氏は,こうしてデータやノウハウを共有した結果,同じようなゲームばかりが出てくるとは思っておらず,そのうえで独自の味を出し,勝負できるのが一流のデベロッパであると語った。
そして最後に,「この会場の熱気が,インディーズシーンの熱気をそのまま表しており,これを大切していかなければいけない。(形のないIPの共有に)賛同してくれるインディーズデベロッパがいれば,この先の未来を一緒に作っていきたい」と述べて,トークを締めくくった。
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