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[TGS 2016]円盤型のVR向けフットコントローラ「3DRudder」を体験。FPSやMMORPGにも,カスタマイズ次第で用途も広がる
事前に情報を読んだ限りでは,「VR空間での移動を快適にするもの」とあったので,何ができるのだろうと思っていたのだが,実際に体験してみたところ,VR以外でも光り輝きそうなデバイスであったので,簡単に紹介してみたいと思う。
ちなみに,3DRudderは,すでにアメリカとフランスで販売中とのこと。支払いが米ドルになるが日本からも注文は可能で,価格は179ドル(税別)である(関連リンク)。
3DRudderとは,底部が丸みを帯びた円盤状のデバイスだ。直径は約37cmで高さは約5.5cm。これに両足を載せて,前に倒すと前進,左右いずれかに倒すと平行移動,軽く回すとカーブといったように,体重移動や足の動きで3D空間の移動を行えるという,一種の入力装置である(関連記事)。下側が半球になっているので,立ったまま乗るのではなく,椅子に座った状態で足を乗せるのが基本的な使い方だ。
説明員によると,VRデバイスのために広めのスペースを確保できない環境を“主に”想定しているそうで,日本の住宅事情には適当なデバイスかもしれない。
3DRudderの仕組みはこうだ。内部には,加速度センサーやジャイロセンサーなど複数のセンサーを搭載しており,本体の傾きや向きを随時取得している。単なる傾きだけでなく,足の載せ方も検知できるようで,「片足のつま先を上げると上昇,カカトを上げると下降」といった操作も可能であるという。
ちなみに,Windowsだけでなく,Samsung Electronics製のモバイルVR HMD「GearVR」にも対応するとのこと。
ブースでは,HTCのVR HMDである「Vive」を利用したVRデモが用意されていた。3DRudderでVR空間をホバー移動しながら,両手に持った剣であれこれぶった斬ったり,ふわっと浮き上がってから,急降下をしてみたりと楽しんだわけだが,そうした入力操作への追従は良好なものだった。
カタログスペックによると,入力遅延はわずか1msだそうだ。耐荷重は約130kgとなっており,ヒートアップして力強く踏んでしまっても,破損してしまう可能性は低い。
操作感はやはり独特なものがある。足で操作するゲーム用入力デバイスといえば,ステアリングコントローラと組み合わせて使うフットペダルが頭に浮かぶが,あれとはまったく別物だ。筆者は,インラインスケートで滑っているような感覚を覚えた。
使いにくそうに見えるかもしれないが,実際に乗ってみると意外にも数分で操作に慣れることができたので,それほど難しいものではない。ただ,足の位置がズレると,ホームポジションに戻すことが大変である点は気になった。足で探れるようなホームポジションを示す目印でもあればよさそうに思えるので,ブースのスタッフには提案しておいた。
さて,3DRudderはVR専用のデバイスなのかというと,もちろんそんなことはない。Windows標準ドライバソフトでゲームパッドとして入力できるので,たとえばゲームパッドの入力に任意の操作を割り当てる「JoyToKey」のようなソフトウェアを使えば,ゲームパッド操作に対応していないゲームタイトルや,日常的なWindowsやアプリケーションの操作にも転用できそうだ。
実際のところ,3DRudderはVR用というよりは,多目的に使えるフットコントローラという認識が正しいのではないだろうか。
今のところ,3DRudderの購入はオンラインストアでの直販のみで,日本への発送は2か月くらいかかるそうだ。
新機軸の入力デバイスであるが,けっして色物ではなく,実用的な機器でもある。VRコンテンツ開発者なら,チェックしておく価値があるデバイスといえるだろう。
3DRudder 公式Webサイト
4Gamer「東京ゲームショウ2016」特設サイト
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