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未来のスポーツやエンタメはHMDで楽しむようになるかも。ソニーが拡張現実型HMD向け片眼用有機ELディスプレイモジュールを発表
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印刷2014/12/17 16:03

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未来のスポーツやエンタメはHMDで楽しむようになるかも。ソニーが拡張現実型HMD向け片眼用有機ELディスプレイモジュールを発表

 2014年12月17日,ソニーは「拡張現実型」HMDに使用する片眼用有機ELディスプレイモジュールを開発し,2015年内に量産出荷を行うと発表した。通常の眼鏡やサングラスに装着可能なモジュールで,独自に開発した0.23インチサイズの有機ELパネルを使用して,2m先に約16インチ相当,解像度640×400ドットの画面を表示できるという。企業向けにモジュールとソフトウェア開発キットの提供も行うとのことだ。

ソニーが開発した片眼用ディスプレイモジュールをサングラスに装着したイメージ
画像集#003のサムネイル/未来のスポーツやエンタメはHMDで楽しむようになるかも。ソニーが拡張現実型HMD向け片眼用有機ELディスプレイモジュールを発表

 公開されたモジュールは,制御基板を収めた右側頭部に配置される部分(以下,制御基板部)と,それに取り付けられた可動式の小さなディスプレイ部分,そして制御基板部とケーブルでつながった左側頭部に配置される部分という,3つのコンポーネントで構成されている。制御基板には,ARM「Cortex-A7」を集積したSoC(System-on-a-Chip)やセンサー,無線LAN機能などが搭載されているとのことで,制御基板部単体がコンピュータとして機能するようになっているわけだ。冒頭の写真では,制御基板部にカメラのレンズらしきものも見えるのだが,なぜか言及されていない。左側頭部に配置される部品についての説明もないが,おそらくバッテリーをこちらに搭載しているのだろう。

眼鏡に装着したモジュールを上から見たイメージ。ディスプレイ部分は成人の中指くらいの大きさだろうか
画像集#002のサムネイル/未来のスポーツやエンタメはHMDで楽しむようになるかも。ソニーが拡張現実型HMD向け片眼用有機ELディスプレイモジュールを発表

有機ELディスプレイモジュールのイメージ(左)。太くなっている付け根部分に0.23インチサイズの有機ELパネルがあり,その映像を光学ユニット経由で眼前に表示している。右のスライドは従来型パネルと新開発されたパネルを比較したもので,画素1つの面積は38%も縮小されているという
画像集#008のサムネイル/未来のスポーツやエンタメはHMDで楽しむようになるかも。ソニーが拡張現実型HMD向け片眼用有機ELディスプレイモジュールを発表 画像集#009のサムネイル/未来のスポーツやエンタメはHMDで楽しむようになるかも。ソニーが拡張現実型HMD向け片眼用有機ELディスプレイモジュールを発表

 ゲーム分野でヘッドマウントディスプレイ(以下,HMD)といえば,Oculus VRの「Rift」や,ソニー・コンピュータエンタテインメントが開発中の「Project Morpheus」といった,ゴーグルのように装着する「仮想現実型」HMDを思い浮かべる人が多いだろう。ただ,これらはゴーグルで完全に視界を覆うため,装着中に外界を見ることは,別途カメラでも用意しない限りできない。

ゴルフ場での使用イメージ。視野の右側にコース地図や距離といった情報を表示している
画像集#004のサムネイル/未来のスポーツやエンタメはHMDで楽しむようになるかも。ソニーが拡張現実型HMD向け片眼用有機ELディスプレイモジュールを発表
 一方,ソニーが開発した片眼用ディスプレイモジュールは,Googleが開発中の「Google Glass」のように,通常の視界に映像を重ね合わせて表示する拡張現実型タイプのHMDに使うものだ。日本におけるウェアラブルデバイス研究の第一人者である神戸大学大学院工学研究科教授の塚本昌彦氏による分類にならえば,「単眼/小型/シースルー」タイプのHMD向けデバイスといえよう(関連記事)。ちなみにRiftやProject Morpheusは,同じ分類では「両眼/大型/非シースルー」のHMDとなる。
 ソニーでは今回の片眼用ディスプレイモジュールをスポーツやエンターテイメント用途に利用することを想定しているようだ。使用シーンのイメージでは,ゴルフやサイクリング,ランニングやテニスで使う場面が描かれていた。

左から,サイクリング,ランニング,テニスに使用するイメージ
画像集#005のサムネイル/未来のスポーツやエンタメはHMDで楽しむようになるかも。ソニーが拡張現実型HMD向け片眼用有機ELディスプレイモジュールを発表 画像集#006のサムネイル/未来のスポーツやエンタメはHMDで楽しむようになるかも。ソニーが拡張現実型HMD向け片眼用有機ELディスプレイモジュールを発表 画像集#007のサムネイル/未来のスポーツやエンタメはHMDで楽しむようになるかも。ソニーが拡張現実型HMD向け片眼用有機ELディスプレイモジュールを発表

 単眼/小型/シースルータイプの拡張現実型HMDは,基本的に視野を妨げない程度の映像を表示するものなので,プレイ中は画面を注視するのが基本のゲーム用途に使うのは難しいように思える。とはいえ,新しい表示デバイスが登場すると,それをゲームに応用したくなるのは人の性(さが)。実際にゲームへの活用も研究されており,たとえばGoogleは「Game Developers Conference 2014」でセッションを開いて,ソフトウェア開発者に対してGoogle Glass向けゲーム開発のポイントを解説するといった取り組みを行っている(関連記事)。

 また,ソニーは拡張現実分野で以前からさまざまな取り組みを行っており,スマートフォンで撮影した映像を解析して,映っている物体に関連した付加情報を重ね合わせて表示する技術を開発,それを応用したアプリケーションをリリースしたりもしている。そのソニーから拡張現実型HMD用のディスプレイモジュールが登場することは,こうした分野におけるゲーム開発を加速することにつながるかもしれない。
 そして拡張現実型HMDを使ったゲームは,私たちが普段慣れ親しんでいるゲームとは,ちょっと違った面白さをもたらしてくれるものになるのではないだろうか。そんな新しいゲームが登場するきっかけになってくれることを期待したい。

ソニーによる当該プレスリリース


#### 以下,リリースより ####

高画質な有機ELを用いた小型・軽量の片眼用ディスプレイモジュールを開発
〜アイウェアに装着することで、画像情報表示ができるウェアラブル端末に〜

 ソニーは、様々なデザインのアイウェアに装着することでウェアラブル端末を実現する、アイウェア装着型の片眼用ディスプレイモジュールを開発しました。

 本モジュールでは、超小型高精細カラー有機ELディスプレイと、その高画質を活かす超小型光学ユニットに加え、スマートフォン相当の演算処理能力を持ちながら高密度実装技術により小型化した制御基板を搭載し、アイウェアに装着できる小型・軽量化を実現しました。
 本モジュールをファッション性の高い眼鏡やゴーグル、サングラス等のアイウェアに装着することで、日常生活をより便利にする情報を始め、スポーツや業務での作業支援など多様な用途に向けた情報を表示し、視界を妨げないサブウィンドウとして活用できます。さらに本モジュールは装着型で容易にアイウェアと付け外しができるため、TPOに合わせて使用時にのみ従来のアイウェアに装着することで、アイウェア型のウェアラブル端末をより身近に、手軽に生活シーンに取り入れることができます。

 ソニーは、2015年内に本モジュールの量産開始を目指しています。スポーツやエンターテイメントなど特定の用途のアイウェアを販売するメーカーや、自社製品とウェアラブルデバイスとの連携を検討する電機メーカー、ウェアラブルデバイスを用いた業務用途のソリューションを提供する企業など、幅広いビジネスパートナーへ本モジュールを販売することで、今後広がりが期待されるウェアラブルデバイスの市場に新たな活用シーンを提案します。
 また、装着型片眼用ディスプレイモジュールを、豊富な演算機能を活用するソフトウェア開発キット(SDK)と合わせてパートナー企業へ提供することで、ウェアラブルデバイスの世界を広げる新しいソリューションビジネスを展開していきます。

 ソニーは、2015年1月6日(火)から9日(金)まで米国・ラスベガスにて開催される「2015 International CES」(2015年国際家電ショー)の自社ブースにて本モジュールを初公開し、スポーツに向けたアイウェアにおける本モジュールの活用例を提案するコンセプトモデル「SmartEyeglass Attach!」を参考展示します。


開発技術について
1. 超小型高精細カラー有機ELディスプレイによる広色域・高コントラストの圧倒的高画質
 本モジュールは、ソニー独自の有機EL技術と半導体シリコン駆動技術により実現した、世界最小クラスの0.23型超小型高精細カラー有機ELディスプレイを搭載しています。このディスプレイは0.23型という超小型でありながら640x400pixelの解像度を有します。また、10000:1以上の高コントラストにより黒をより深く表現でき、sRGB色域を100%カバーするメリハリのある色彩豊かな美しい映像を表示します。
 従来パネルでは画素構造において、RGBストライプ配列内に色純度を確保するための遮光部を配置していました。新開発パネルでは、配列を最適化することで遮光部を最小化し、画素サイズを小さくすると同時に開口率を向上しています。これにより屋外での使用に必要とされる輝度の維持と、パネル外形の超小型化(10.2mm×7.9mm)との両立を実現しました。

2. 視界の邪魔にならない超小型光学ユニットにより晴天下でも暗い屋内でもクリアな画像を投影可能
 小型・軽量を追求するため本有機ELディスプレイ専用に開発された超小型専用光学ユニットを搭載しました。晴天下でも暗い屋内でも照度環境によらず、本有機ELディスプレイによる高画質の映像を投影できます。投影された映像は視野角に換算すると対角13度になります。これは2メートル先の16インチディスプレイによる映像と同等の視野であり、実世界の視界の妨げとならずに必要な情報を確認できる、サブウィンドウとしての活用に適した画面サイズに設計しています。

3. 既存のアイウェアに装着することを意識した小型・軽量のデザインを実現
 超小型の有機ELディスプレイと光学ユニットに加え、スマートフォン相当の処理能力を持つプロセッサーと無線機能、各種センサーを有する制御基板を、ソニーの高密度実装技術によって小型化しました。高機能でありながら小型で約40g(ディスプレイ表示部:約22g、その他:約18g)の軽量を実現したため、アイウェアに装着しても使用者の負担となりにくく、違和感の少ない形状の小型のデザインを可能にしました。

本モジュールにより実現できるウェアラブル端末の事例
 本モジュールの高い処理能力を活かして様々な活用法に向けたアイウェア型ウェアラブル端末ソリューションを提供するため、アプリケーションを開発するためのソフトウェア開発キット(SDK)を用意いたします。
 このソフトウェア開発キットを用いて用途に合わせた専用アプリを開発することにより、本モジュール自体にアプリを搭載して単独で使用することや、無線接続したスマートフォンのアプリから動作させることができるようになります。豊富な演算機能と無線機能を活かし、クラウドデータと連携したアプリケーションやインフラシステムと連携したアプリケーション等、アイウェア型のウェアラブル端末の新たな用途を開拓することを目指します。さらにソフトウェア開発キットとともに機器連携のための通信仕様を公開し、無線接続した様々な機器とアイウェア型ウェアラブル端末とを組み合わせたより便利な使い方を可能にします。
 たとえば、スポーツ用サングラスに装着した本モジュールをスマートフォンと接続し、コースマップや距離情報といった屋外スポーツに有益な情報を表示することで、サイクリングやゴルフのラウンド中などに手が塞がっていても状況に応じた豊かな情報を得ることが出来ます。スポーツ支援に使用できるアプリケーションを用いてコーチングに活用し、効率的な指導に活用することなども考えられます。画面の遠隔表示ができるアクションカメラと本モジュールを連携すれば、スマートフォン等の代わりにアイウェアのディスプレイで画角や撮影映像を確認する、これまでにない撮影スタイルが生まれ、カメラへ付加価値をもたらすことに繋がります。作業支援においては工場などで社内インフラシステムと接続し、遠隔からの指示などの支援を受けながら、フリーハンドで作業を継続できるといった活用法も期待できます。

主な仕様
項目 仕様
ディスプレイ 超小型高精細カラー有機ELディスプレイ(対角0.23インチ)
表示仕様 640(H)×400(V)ピクセル
表示色 RGB 24bit / 色域 sRGB 100%
ディスプレイ輝度(最大) 800cd/m2
コントラスト比 10,000:1以上
ディスプレイ応答速度 0.01msec以下
搭載センサー 電子コンパス、加速度センサー、タッチセンサー
プロセッサー ARM Coretex-A7プロセッサ
無線 Bluetooth 3.0+High Speed、IEEE801.11b/g/n
バッテリー容量 400mAh
重量 約40g(ディスプレイ表示部:約22g、その他:約18g)

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