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LG,アスペクト比21:9の湾曲液晶搭載ディスプレイ「34UC97-S」を発売。解像度4096×2160ドットのプロユース向け製品も登場
本稿では,沖縄県那覇市で開催の事前説明会で公開された情報を基に,新製品の特徴をレポートしたい。
日本初上陸の34インチ湾曲液晶ディスプレイ
34UC97-S
まずは34UC97-Sから見ていこう。本製品は日本市場には初投入となる湾曲型の液晶ディスプレイである。
画面解像度は3440×1440ドットで,アスペクト比の公称値は21:9(=2.33:1)とされているが,厳密にいうなら21.5:9(=2.39:1)とするのが正しい。LGはアスペクト比21:9の液晶ディスプレイを積極的に訴求しており,その中には解像度2560×1080ドットの製品もラインナップされているのだが(関連記事),いずれも本当は横が少し大きいのだ。
現在,市場に流通している多くの洋画系Blu-rayコンテンツは,デジタルテレビや液晶ディスプレイで一般的な16:9ではなく,シネスコサイズで記録されている。しかし,16:9のディスプレイで横いっぱいにこれを表示させるには,上下に黒帯を付けたり,左右端を少しカットしたりといった具合で,肝心の映像が少し小さく表示されてしまう。
それならば,最初からアスペクト比2.35:1に近いディスプレイを作ればいいというのが,アスペクト比21:9のディスプレイに共通したコンセプトというわけだ。
説明会会場にあった34UM95-Pと見比べてみたが,湾曲した34UC97-Sのほうが,視界としてはフラットに見えるのが面白い。
両製品とも液晶パネル部分の横幅は0.8m程もあるのだが,フラットな34UM95-Pの画面中央を約0.5m程度の視距離で見ると,画面の左右端が遠ざかってしまうので,若干小さくなったように見えてしまう。それに対して,画面端が湾曲した34UC97-Sなら,そのような現象は起こらないため,むしろフラットな印象を受けるというわけである。
なお,3440×1440ドットでの60Hz(60fps)表示は,DisplayPort接続時とThunderbolt 2接続時に限られており,HDMI 1.4接続時は3440×1440ドットの50Hzまでとなるという。同時発色数は,DisplayPort接続時はRGB各10bitカラー,10.7億色表示がサポートされるが,HDMI 1.4とThunderbolt 2接続時は8bitカラーの1677万色表示までである。
外形寸法は831(W)×226(D)×473(H)mmで,重量は約8.3kg。スタンドは−5〜15度の上下回転(チルト)に対応するだけで,左右回転や高さ調整などはできない。
さて,シネスコサイズに合わせたアスペクト比と聞けば,「34UC97-Sは映画鑑賞向けの液晶ディスプレイなのか」と思うかもしれないが,それだけではない。横長の大画面は,「複数ディスプレイを設置するほどのスペースはないが,広いデスクトップを使いたい」というビジネスユーザーやコンテンツクリエイターにも訴求力が高い,とLGは分析している。
ゲーム用途においては低遅延や残像感の低さが求められるので,34UC97-Sが向いているかどうかは実機で検証してみないことにはなんともいえないのだが,高解像度の大画面が湾曲しているおかげで,複数ディスプレイを並べたサラウンド画面のような印象を受けることもあり,オープンワールド系のゲームではより高い没入感が得られそうだと感じた。
製品に付属する専用ソフトウェア「LG Monitor Software」をインストールすると,横長大画面を分割してアプリケーションをそれぞれにレイアウトするユーティリティが利用できる(左)。右写真は3つのアプリケーションを分割した画面に並べたものだ |
デジタルシネマ向け4K解像度のプロ用液晶ディスプレイ
31MU97-B
同時に発表された「31MU97-B」は,ゲーマー向けどころかコンシューマ向けですらないので,簡単な紹介としたい。
冒頭でも触れたが,31インチサイズの31MU97-Bは,一般的な4Kディスプレイが採用する解像度3840×2160ドットではなく,横方向に256ドット分だけ広い4096×2160ドットとなっているのが最大の特徴だ。
そんな背景もあって,映像制作者などのプロユースを狙った31MU97-Bには,「Digital Cinema 4K」というサブブランドが付けられている。
さまざまな色空間規格に対応する能力を生かして,画面の左右で異なる色空間モードを選択表示させられる「Dual Color Space」という面白い機能を持っているのも特徴といえよう。
ハードウェアカラーキャリブレーションに対応するのは当然だが,カラーキャリブレーションソフトウェア「True Color Pro」も製品に付属している。キャリブレーション用センサーは別売りだ。
映像入力インタフェースとしては,DisplayPort 1.2×1,Mini DisplayPort 1.2×1,HDMI 1.4×2を装備。なお,4096×2160ドットでの60Hz表示ができるのはDisplayPortおよびMini DisplayPortでの接続時に限られ,HDMI接続時は3840×2160ドットで30Hzまで,4096×2160ドットでは24Hz(24fps)までに制限されるのは,一般的な4Kディスプレイと同じだ。HDMI 2.0には対応しないので,DisplayPort接続が前提の製品と理解していい。
34UC97-Sと同じく,USB 3.0×4ポートのUSBハブ機能や5W+5Wのステレオスピーカーも搭載されている。スピーカーがMaxxAudio対応なのも変わらずだ。
なお,スタンドは−5〜15度の上下回転と上下140mmの高さ調整,縦回転(ピボット)に対応しているものの,ニーズの多そうな左右回転(スイーベル)には対応していない。
さて,実際に31MU97-Bの表示を見てみてたが,IPS液晶らしく,画面全域で均一な色の表現を実現できていた。コントラスト重視なテレビ的絵作りではなく,階調再現性や情報量重視の画質設計となっているのもプロユース向け製品らしい。
4096×2160ドットでWindowsのデスクトップを表示すると,視距離50cm程度でも「アイコンや文字がやや小さいな」と感じるが,画素密度では15〜16インチ級で解像度1920×1080ドットの液晶パネルと大差がない程度ではあるので,支障はあるまい。むしろ,これ以上画面サイズを大きくするなら,34UC97-Sのような湾曲ディスプレイが欲しくなりそうだ。
LG Electronics 日本語公式Webサイト
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