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クロアチアのPCゲーム技術カンファレンス「REBOOT Develop」が今年も開幕。今年の会場,ドゥブロヴニクを紹介
「REBOOT Develop」には,一般のカンファレンスに比べて大きな特徴がある。それは,世界的なリゾート地の高級ホテルを会場として利用し,参加者相互の交流を重視していることだ。
「REBOOT Develop 2017」公式サイト
場所ばかりでなく登壇者も豪華で「Serious Sam」シリーズや「The Talos Principle」(タロスの原理)を作った地元クロアチアのCroteamでCTO(Chief technology officer)を務めるAlen Ladavac氏がオープニングセレモニーの基調講演を行い,「This War of Mine」を作ったポーランドの11 bit StudiosやスウェーデンのNordic Gameなど,東欧,北欧からの登壇者も多い。
さらに,Chris Taylor氏やRobin Finck氏(Nine Inch Nails/Guns N'Rosesのギタリスト)が登壇するほか,日本からは五十嵐孝司氏(ArtPlay),須田剛一氏(グラスホッパー・マニファクチュア),SWERY氏(White Owls)の3氏がセッションを予定している。
ポーランドのCD Projekt REDが開発した「The Witcher」シリーズの高評価や,ベラルーシのWargaming.netの世界的な成功を挙げるまでもなく,東欧におけるゲーム開発は「こんな場所でも作られている」などというレベルをとうに超え,「東欧は世界有数のハイレベルなゲームデベロッパが密集する地である」という状況に変化しているし,現在もその状況は前進し続けている。
ドゥブロヴニクってこんな場所
さて,普段なら,「会場となるドゥブロヴニクはこんな街」レポートを地元の博物館の紹介と合わせてお届けするところなのだが,今回は諸般の事情により博物館レポートはお休みしたい(改装工事中で入れなかった)。
ということで以下,ドゥブロヴニク旧市街の様子とオープニングセレモニー,そしてAlen Ladavac氏の基調講演の模様を写真を中心にお届けしたい。
ドゥブロヴニク旧市街編
ドゥブロヴニクの旧市街は,海外ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のロケ地であると共に,映画「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」のロケに使われることが発表されている。街はこじんまりとしているが美しく,世界中の多くの観光客を惹き寄せている。
ドゥブロヴニクは古代ローマ(あるいはそれ以前)から海洋交易の拠点として発展してきた街で,14世紀〜19世紀初頭まではラグーサ共和国として独立,地中海の覇者であったヴェネツィア共和国のライバル的存在だった(「Europa Universalis」シリーズのプレイヤーなら,「ラグーサ共和国」の名前にピンとくるはずだ)。
だがドゥブロヴニク旧市街は,ユーゴスラビアの崩壊とそれに続く内戦で,1991年から1992年にかけてセルビア・モンテネグロによって包囲され,激しい攻撃を受けた。当時すでに世界遺産に指定されていた旧市街は数千発にのぼる砲弾を受け,多くの市民が犠牲となり,また少なからぬ建物が破壊された。
戦後,旧市街は再建され,現在見られるような美しい街並みが復元されている。
オープニングセレモニー&基調講演編
そして,「実際のところ,ゲーム開発者は仕事中ずっとゲームを遊べるわけではないし,プライベートジェットを持てるほどの金持ちにもなれないし(例外が1人ぐらい思いつくが),e-Sportsの選手が勝ち取るほどの名誉も得られない。じゃあ何のために我々はゲームを作るのか?」と会場に問うた。
「しばしば『ちゃんとした仕事』と認められないゲーム開発だが,ゲーム開発の現場で育っている技術は,世界的に見ても最先端の技術であることが多い。また,物語の分野においても,ゲームは非常に先進的な技術を切り開いている」とLadavac氏。「我々はプレイヤーに対し,これまで体験したことのない何かを届けようとしている。我々の人生は何を求めるかではなく,何を与えるかによって決まる。プレイヤーにより多くの驚きと幸福を伝えたい」と述べて,基調講演を締めくくった。
というわけで,いよいよスタートする「REBOOT Develop 2017」。これから興味深いセッションやニュースをお伝えしていくので,ぜひ楽しみにしてほしい。
「REBOOT Develop 2017」公式サイト
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