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「Nintendo Switch」分解レポート。「任天堂はどんな新しいことを提供してくれるのか」と期待が膨らむ内部構造だ
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印刷2017/03/06 00:00

テストレポート

「Nintendo Switch」分解レポート。「任天堂はどんな新しいことを提供してくれるのか」と期待が膨らむ内部構造だ

 2017年3月3日,任天堂の新型ゲーム機「Nintendo Switch」(ニンテンドースイッチ)が発売となった。
 Nintendo Switchは,2012年12月8日に発売された「Wii U」の後継となる製品で,タッチスクリーンを備えるタブレット端末的な本体に対して周辺機器を(物理的もしくはワイヤレス接続で)付け替えることにより,モバイルゲーム機のように使う「携帯モード」(Handheld Mode)と,机上に置いてワイヤレスコントローラから操作する「テーブルモード」(Tabletop Mode),専用ドック経由でテレビなどのディスプレイデバイスに映像出力する「TVモード」(TV Mode)を,文字どおりスイッチできるのが最大の特徴だ。

入手したNintendo Switch。価格は3万2378円(税込)である
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 4Gamerでは発売に合わせて初回セットアップ方法各種機能周り注目タイトル紹介キーパーソンインタビューなど,Nintendo Switch関連の記事をいくつか掲載済みだが,本稿では,店頭で購入してきた実機の分解レポートをお届けしたいと思う。

 なお,今回入手したのは,付属する専用ワイヤレスコントローラ「Joy-Con」(ジョイコン)の色が左右で異なる「ネオンブルー/ネオンレッド」モデルだ。

製品ボックスを開けると,側面に初回起動方法が書いてあった。冊子のマニュアルがなく,サポートサイトを見るよう案内があるのは,なんというか「時代」を感じる
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製品ボックス内容物一式。本体とJoy-Conのほか,「Joy-Conストラップ」×2,「Joy-Conグリップ」×1,ACアダプター×1,HDMIケーブル×1,「Nintendo Switchドック」×1が入っている。紙類はセーフティーガイドが1枚付属するのみだ
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初回起動時にはあれしろこれしろと画面に指示が出て,それに従っていくと,動作モードの切り換え方を一通り学ぶことができる
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※注意
 ゲーム機の分解はメーカー保証外の行為です。分解した時点でメーカー保証は受けられなくなりますので,本稿の記載内容を試してみる場合には,あくまで読者自身の責任で行ってください。分解によって何か問題が発生したとしても,メーカーはもちろんのこと,筆者,4Gamer編集部も一切の責任を負いません。また,今回の分解結果は4Gamerが入手した個体についてのものであって,「すべての個体で共通であり,今後も変更はない」と保証するものではありません。


ファブレット的な本体と,スイッチコンセプトを具現化するJoy-Con,ドックからなるNintendo Switch


 分解に先だって,入手したNintendo Switchの基本仕様を確認しておこう。
 本体の実測サイズは約172(W)×100(D)×14(H)mm(※突起部除く)で,実測重量は約298g。Joy-Conを取り付けて携帯モードへ切り換えたときには順に約238(W)×101(D)×14(H)mm(※突起部除く),約399gだった。

本体正面から。液晶パネルの下,左寄りのところで色が変わって見える部分があるが,ここには照度センサーが入っている。やや見づらいからもしれないが,下のほうで左右に合計2つ見えるスリットはスピーカー出力ポートだ
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本体左右側面。Joy-Con接続用ガイドレールとなっている
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 Nintendo Switchの搭載する液晶パネルは6.2インチ,解像度1280×720ドットで静電容量方式タッチスクリーン仕様のものだが,たとえば,6.8インチ液晶搭載スマートフォン「ZenFone 3 Ultra」だと公称サイズ約93.9(W)×186.4(D)×6.8(H)mm,公称重量約233gだったので,Nintendo Switchのほうが確実に分厚く,重い。

 一方,同じ6.2インチ液晶パネルを搭載する「Wii U GamePad」だと公称サイズが254.4(W)×133.4(D)×41(H)mm,公称重量約500gなので,Wii U GamePadと比べれば,携帯モードのNintendo Switchは薄く軽いと言うことができるだろう。
 いずれにせよ,据え置き型ゲーム機の本体としては,PlayStation 4やXbox Oneのスペック情報を出すまでもなく,圧倒的に小型軽量だ。

写真で下のほうに凹んでいるところ,指で覆われても隙間から外気を取り入れられるようになっているのが吸気孔。上辺部に見える5個の穴が排気孔だ
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 Nintendo Switchは冷却ファンを搭載するのがハードウェア仕様上の特徴となっているが,冷却のための吸気孔は携帯モードやテーブルモードにおける本体背面側下寄り,排気孔は上辺部に用意してある。

 上辺部には[電源]ボタンと[音量]ボタン,3極・4極両対応(≒ヘッドフォンとマイク,ヘッドセット対応)の3.5mmミニピン端子,そしてカバー付きの「ゲームカードスロット」を搭載。任天堂は「ニンテンドーゲームキューブ」以降,据え置き型ゲーム機では3世代続けて光学メディアをゲーム用に用いていたが,Nintendo Switchでは半導体メディアへ回帰した格好だ。

携帯モードおよびテーブルモードにおける本体上面
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左は[電源]ボタンと[音量]ボタン。中央と右は3.5mmミニピン端子とゲームカードスロットに寄ったところだ。ゲームカードスロットのカバーを外すとゲームカードを差せるようになる
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付属のACアダプターは,出力5V 1.5Aと15V 2.6A
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 本体底面では中央にUSB Type-Cのメス端子と,Nintendo Switchドックとの接続時にガイドとして機能する2個の穴がある。
 USB Type-Cの細かな仕様は明らかになっていないが,試した限り,よくある,5V 2.1A出力のモバイルバッテリーで充電を行うことはできた。

ACアダプターやNintendo Switchドックを接続するためのUSB Type-C端子が本体底面にある
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本体背面側。写真左に見えるのがスタンドだ。角度調整機能はない
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 先ほど吸気孔の話だけした背面だが,ここには本体液晶パネル側から向かって右奥に折りたたみ式スタンドがあり,開くと,テーブルモード(や携帯モード)で本体を自立させられるようになる。
 面白いのは,このスタンド自体が,microSDXC対応のmicroSDカードスロットカバーを兼ねていることだろう。本体内蔵のフラッシュメモリに入りきらないゲームデータを保存したいときには,このスロットを活用することになるはずだ。

スタンドとmicroSDカードスロット
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 お次はJoy-Conだ。Nintendo Switchにおける「スイッチ」コンセプトのカナメとなるJoy-Conは,左の「Joy-Con(L)」と右の「Joy-Con(R)」の両方に加速度センサーとジャイロセンサーを搭載しており,Wii Uの「Wiiリモコンプラス」的に利用できる。しかも,従来のフォースフィードバックを超える振動機能「HD振動」を利用可能だ。
 Joy-Con(R)には追加で,「amiibo」に対応するNFCリーダー機能と,非接触で対象物の動きや形状を検出できる「モーションIRカメラ」機能も搭載している。

Joy-Conの正面側(左)と背面側(右)。アナログスティックとメインの4ボタン,バンパーボタンにトリガーボタンという主要なボタン構成は同じながら,それ以外は異なるというのがポイントだ
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本体と接続する側の側面には[SL/SR]ボタンと,主に多人数プレイ時のプレイヤー番号を確認するためのLED「プレイヤーランプ」,本体とのBluetooth接続――本体は4.1対応だが,Joy-Conは3.0対応だそうだ――リセットなどに使う[シンクロ]ボタンがある
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本体外側側面には何もない
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本体下側側面を見ると,Joy-Con(R)のみモーションIRカメラを搭載するのが分かる(左),右はバンパー側で,こちらのデザインは共通だ
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 ワイヤレス接続するため,Joy-Conはバッテリーを内蔵している。携帯モードで本体に接続しておけば自動的に充電できるが,別途,別売りの「Joy-Con充電グリップ」を購入すれば,USB Type-C経由で充電しながらゲームパッドとして使うこともできる。

付属のJoy-Conグリップ(左)とその利用例(中央)。大きめのグリップを利用できるので,ゲームパッドとして使いやすくなる。右はJoy-ConグリップとJoy-Con充電グリップを並べたカットで,後者はUSB Type-C端子があり,またグリップ部が半透明だ
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 最後にNintendo Switchドックだが,こちらは背面側のカバーを開けたところにACアダプター接続用のUSB Type-C端子と,将来的にアップデートでUSB 3.0対応とされるUSB Type-A端子,HDMI Type A端子が並び,また,本体正面向かって左側面にUSB 2.0対応USB Type-A端子が2ポート並ぶ仕様になっている。

Nintendo Switchドックを6方向から。本体正面向かって背面側にカバーが,左側面にUSB 2.0 Type-Aポートが2基ある。底面部には滑り止めのゴム脚が4個あり,滑りにくい
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 大きな隙間はもちろんNintendo Switchを差すためのもので,中を覗き込むと,USB Type-Cオス端子と,ガイド用の突起を確認できる。USB Type-Cは耐久性の高さを追求した接続端子なので,抜き差しで壊れるような心配はおそらく無用だろうが,乱暴に扱ったりするのは避けたほうがいいだろう。

大きな隙間を覗き込んだところ(左上)。右上は背面カバーを外したところで,左下はそこにACアダプターとHDMIケーブルをつないだ例だ。右下はTVモードの動作例で,ケーブル類は正面向かって右側面からまとまって出てくるため,マネジメントしやすくなる。なお,正面向かって左下の緑色LEDは,ビデオ出力インジケータだ
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分解難度がかなり高いNintendo Switch本体。ゲーム機と言うよりもモバイルデバイスに近い


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 本稿は分解を推奨しているわけではないため,詳細な分解手順はあえて省略している部分がある。また本稿では以下,「上」という位置関係を示す言葉を使う場合,テーブルモードを基準とするので,これらについてはあらかじめお断りしておきたい。

 というわけで最も気になるであろう本体からだが,結論から先に言うと,分解の難度はかなり高い。また,一度分解したが最後,元に戻せなくなる可能性も極めて高い。それもあってか,任天堂は本体カバーを留めるネジに特殊なものを採用しており,一般的なプラスドライバーやトルクスドライバーでは回せないようになっていた。「一般ユーザーに原状復帰は不可能なので開けるべからず」というメッセージが感じられる仕様だ。

 ちなみに,(そもそも原状復帰できないところまで分解したので,大勢に影響はないのだが)今回は序盤中の序盤,ガイドレールと本体をつなぐフレキシブル基板の1つを切ってしまった。内部はとにかくフレキシブル基板の数が多く,任天堂が採用した実装技術は,PlayStation 4やXbox Oneではなく,スマートフォンやタブレット端末のそれに近いと言えるだろう。

 それを踏まえてまずは背面カバーを外したところから話を始めてみたい。
 背面カバーを外すと,基板やバッテリーを含んだほぼ全面を覆うシールド板が目に入る。
 シールド板の上にちょこんと載っている小さな基板は,microSDカードスロットを実装するもので,超小型の接続端子によってメイン基板とつながっていた。また,中央付近には冷却用のファンがあることも分かる。

背面カバーと左右側面のレール部分を取り外したところ(左)。左側のレール部分と本体基板をつなぐ,細いフレキシブル基板が切れてしまっているのを確認してもらえると思う。右はmicroSDカードスロットの載る基板を取り外したところ
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 金属板を取り外すと,SoC(System-on-a-Chip)がある部分にはシリコングリスがかなり大量に塗ってあり,ここから,金属製のシールド板を放熱にも使っていることが確認できる。

金属板を外したところ。金属板の裏側のSoCの直上にあたる部分には多量のグリスが塗ってあった。面積の広いシールド板も冷却に利用しているわけだ
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 そのほか金属板の下では,全体の4割強が「Nintendo」ロゴ入りのリチウムイオン充電池(以下,バッテリーパック)になっていることにまず驚く。バッテリーパックは3.7V 4310mAhの16Whという仕様で,一般的なスマートフォンと比べると容量は大きい。

「HAC-003」という型番らしき文字列の見えるバッテリーパックは強力な両面テープで固定されていた。バッテリーが寿命を迎えた場合には,任天堂による有償のバッテリー交換サービスを利用できるとのことだ
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 メイン基板にはさまざまなサブ基板が載っているのも分かるが,それに先だって,クーラー部をチェックしておこう。
 パッシブクーラーは,超薄型のヒートパイプと,本体正面の排気孔部に位置する放熱フィンから構成されていた。SoCから発生する熱を排気孔の近くまでこのパッシブクーラーで運び,それを実測約30mm径,厚み約6mmのファンで筐体外へ出す仕様だ。
 取り外すと分かるのだが,ファンユニットは電源関連製品大手として知られるDelta Electronics製だった。

パッシブクーラー(左)とファンユニット(中央,右)。どちらも比較的小型で軽い。ファンユニットはDelta Electronics製だった
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ゲームカードスロット&3.5mmミニピン端子が載る基板を外す
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 分解の話に戻ると,パッシブクーラーを取り外した状態から,ゲームカードスロットと3.5mmミニピン端子の載る基板,無線LANのアンテナケーブル,そしてステレオスピーカーなどを取り外すと,メイン基板を筐体から取り出せるようになった。
 左下の写真を見てもらうと,メイン基板はかなり特殊な形状になっているのが分かると思う。

メイン基板を外したところ(左)。右はそこからさらに取り外した薄型スピーカーだ。口径を少しでも稼ぐため,楕円形のものになっていた
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 最後に,静電容量方式タッチスクリーンを実現する樹脂パネルを筐体の正面側から外すと,液晶パネルも取り出せる。
 残念ながら,液晶パネルの背面側にある型番らしき文字列「LPM062M326A 1N6J529502」からメーカー名に当たることはできなかったが,経済紙の報道では,中小型液晶パネルの大手メーカーであるジャパンディスプレイ製と伝えられているので,参考までに書いておきたいと思う。

6.2インチ液晶パネル。メーカーは分からないが,ジャパンディスプレイ製だと言われている
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Tegraの詳細は依然として不明


 取り出したメイン基板を見ていこう。
 本稿では以後,当該基板上で最も大きなチップが載るほうを「部品面」,その背面を「パターン面」と呼ぶことにするが,部品面には子基板が接続されており,そこにはSamsung Electronics(以下,Samsung)製のeMMC「KLMBG2JENB-B041」が載っていた。Nintendo Switchは容量32GBのフラッシュメモリを標準で内蔵するが,KLMBG2JENB-B041の容量がまさに32GBなので,ここにファームウェアやOS,(入る限りの)ゲームプログラムやデータが格納されることになるのだろう。

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Nintendo Switchのメイン基板,部品面。メイン基板の左にある子基板にはSamsung製32GB eMMC「KLMBG2JENB-B041」が搭載されており,いわゆるストレージとしての役割を果たしている。SoCは金属シールドに覆われており,まだ見えない
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メイン基板のパターン面。こちらにもいくつかのチップが載っている

 メイン基板上の実装ではなく,わざわざ子基板として用意している以上,eMMCの容量を増やしたモデルの実現は難しくないはず。将来的には本体側フラッシュメモリ容量64GB版や128GB版といったバリエーションモデルが登場する可能性もありそうだ。

KLMBG2JENB-B041が載った子基板。その下にあるチップのシールドも兼ねており,子基板を外すと,その下にあるチップも確認できるようになる。鏡面仕上げとなっているこのチップの正体は不明だが,場所,そしてシールドされていることからすると,無線(IEEE 802.11ac+Bluetooth 4.1)関係だと思われる
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SoCとメモリチップを覆う金属製シールドを取り外したところ。SoCにはたっぷりとグリスが塗られていた
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 部品面中央にある大きな金属製シールドは枠とカバーの2層構造になっており,カバーを外せば,SoC,そしてメインメモリと対面できるようになる。
 SoCにはたっぷりとグリスが塗られていたが,その右側のメモリチップにグリスは塗られておらず,シールドと熱的な結合はないようだ。メモリの発熱はそれほど大きくないのだろう。

 グリスを除去したところ,NVIDIAの文字がくっきりと刻印されたダイが見えるようになった。型番は「ODNX02-A2」だ。「OD」「02」が何を示すのかは分からないが,「NX」はNintendo Switchの開発コードネームだろう。また,GeForceなどNVIDIA製GPUの型番法則と照らし合わせるに,「A2」はA2リビジョンであることを示す可能性が高い。

金属製カバーを外した状態の部品面
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カスタム版のTegraプロセッサを搭載
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K4F6E304HB-MGCHは1枚あたり容量2GBのLPDDR4メモリチップだ
 気になるのは,任天堂が「NVIDIA社製 カスタマイズされたTegraプロセッサー」(原文ママ)とだけ呼んでいるこのSoCがナニモノかということだ。
 デジタルノギスを用いて計測したところ,ダイサイズは約12.00×11.13mmだったが,ダイサイズだけで,これが何かを推測するのは極めて難しい。最新のPascalアーキテクチャを採用する「Tegra X2」か,第2世代Maxwellアーキテクチャ採用の「Tegra X1」,そのどちらかをベースにカスタマイズした製品であろうということ以上は,依然として言えそうにない。海外の報道によればTegra X1ベースという説が有力だが……。

 SoCの横に2枚並んだメモリチップはSamsung製のLPDDR4 DRAM「K4F6E304HB-MGCH」だった。K4F6E304HB-MGCHは16Gbitチップなので,Nintendo Switchは2枚で合計4GBのメインメモリを実装していることになる。
 スペックシート上のメモリクロックは3200MHz相当(実クロック1600MHz)なので,定格クロックのまま,64bitメモリコントローラを統合するTegra(ベースのSoC)と組み合わせたとすると,メモリバス帯域幅は25.6GB/sとなる。
 25.6GB/sというメモリバス帯域幅はちょうどPlayStation 3と同じで,Wii Uと比べた場合は容量,帯域幅とも2倍という計算だ。

 部品面ではまた,Maxim Integrated製の3フェーズレギュレータ「MAX77621AEWI+T」を2基搭載しているのも見てとれるが,これはカスタムTegraへの電源供給を行うためのものだ。
 なお,メモリチップの近くには「M92T36 630380」という刻印のチップもあるのだが,この正体は分からなかった。

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MAX77621AEWI+Tは3フェーズレギュレータ。これを2基搭載している
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メモリチップの近くある謎のチップ。刻印はM92T36 630380だった

Realtek Semiconductor製CODECチップであるALC5639
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 一方のパターン面にも,いくつか重要なチップが載っている。
 まず,蟹マークのチップが見えるが,これはRealtek Semiconductor製の組み込み機器向けサウンドCODEC「ALC5639」。その近くに見える「PI3USB30532ZLE」は,Pericom Semiconductor製クロスバースイッチで,USB 3.1 Gen.1(≒USB 3.0)とDisplayPort 1.2を多重化してType-Cに流せるようになっている。おそらく,Nintendo Switchドックとの接続用だろう。
 パターン面には「MMX77620AEWJ」というチップが実装されているのも確認できるが,これはMaxim Integrated製のパワーマネジメントIC(PMIC)なので,電力管理を行うためのものだと思われる。

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PI3USB30532ZLE。Pericom Semiconductor製クロスバースイッチだ
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Maxim Integrated製パワーマネージメントIC,MAX77620AEWJ

 となると,液晶パネルを駆動するドライバーはどこに? という話になるのだが,ゲームカードスロットと3.5mmの載った子基板に,正体不明のSTMicroelectronicsのロゴ入りチップ「FT9CJOFK6358AA01」があった。これがそうなのではなかろうか。

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STMicroelectronics製チップ,FT9CJOFK6358AA01。液晶ドライバだと思われる
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パターン面には「B1633 GCBRG HAC STD T1001216A1」という刻印のチップもあったが,これは正体不明である


Joy-Conも分解。HD振動の正体はやはりアレだった


Joy-Con(L)のカバーを開けたところ。「HAC-006」という型番らしきバッテリーパックが目を引く
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 本体を分解しただけで終わらないのがNintendo Switchだ。続いてはJoy-Conをバラしてみよう。
 Joy-Conは左右で機能が異なるため,今回は「Joy-Con(L)」→「Joy-Con(R)」の順番で,やはり特殊なネジを外しつつ分解を試みるが,まず,カバーを2枚に下ろすと,内部ではバッテリーパックが大きなスペースを示しているのが分かる。そのスペックは3.7V 525mAhで19Whだ。

Joy-Conの側面には[SR/SL]ボタンと[シンクロ]ボタン,LEDインジケータ「プレイヤーランプ」があるのだが,それらの機能は1枚の基板で実装されている
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HD振動を生み出すデバイスはハプティックリアクタだった。160Hzと320Hzの2種類の振動を同時に発生できる,高性能なものだ
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 また,Joy-Conの大きなウリの1つであるHD振動,これを生み出しているデバイスが,アルプス電気の「ハプティックリアクタ Hybrid Tough Type」(以下,ハプティックリアクタ)であることも,分解により確認できた。
 「Joy-Conはハプティックリアクタを搭載するのではないか」と推測したのは西川善司氏だったが(関連記事),見事に的中ということになる。

バッテリーパック,その台座といった流れで外していくと,基板に辿り着ける。ここでもフレキシブル基板がなかなか厄介だった
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 なお,ここまで分解すると後は簡単で,バッテリーパックとその台座を取り外せば,メイン基板を取り出せるようになる。

 というわけで,下に示したのがJoy-Con(L)の子基板部品面とパターン面である。ここでひときわ目立っているのは,Broadcom製のBluetooth Smartチップ「BCM20734」だ。
 BCM20734はアナログ信号をデジタル信号に変換するADC(Analog/Digital Converter)ポートを備えた高性能なBluetooth Smartチップで,これによりNintendo Switch本体とJoy-Conとの双方向通信をサポートしている。BCM20734の姉妹製品としてADCポートが省略された「BCM20738」という製品もあるので,任天堂はわざわざADCポート付きのものを選んだことになるが,Nintendo SwitchがADCポートをどう利用しているかは不明だ。
 ADCポートがあれば,たとえばマイクのアナログ信号をそのまま取り扱えたりするので,音声認識機能などの実現が容易になるのだが,Joy-Conはマイクを搭載していない。

 その側には,Macronix International製の4Mbitフラッシュメモリ「MX25U4033E」が実装されていた。この小容量フラッシュメモリは,BCM20734用のファームウェアを格納しているのだろう。
 なお,Joy-Conはその仕様上,3軸のジャイロセンサーと3軸の加速度センサーを搭載するのだが,おそらくパターン面にいくつかある小さなチップがそれだと思われる。

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Joy-Con(L)の基板の部品面。中央右に見える大きなチップがBCM20734で,その左下に見えるのがMX25U4033Eだ。BCM20734の右下に見えるチップは,刻印を読み取れなかった
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Joy-Con(L)の基板パターン面。写真右上に見えるチップはジャイロ兼加速度のセンサーだと考えている

ひとまず2枚に下ろしたところ。ぱっと見はJoy-Con(L)と同じ印象だが,よく見ると小さなアンテナユニットがある
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 お次はJoy-Con(R)だ。分解の手順はほぼ同じで,バッテリーパックとハプティックリアクタ,ボタンスイッチ類は共通ながら,NFCリーダーとモーションIRカメラといった追加機能がある分,内部はJoy-Con(L)とかなり異なっていた。
 とくに大きな違いが,基板デザインとアンテナだ。以下,写真とキャプションで紹介するので,チェックしてみてほしい。

側面の[SL/SR]ボタン部を外したところ(左)と,ハプティックリアクタを取り外したところ(右)
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左上は小さいアンテナを取り外したところ。右上は,アナログスティックが筐体中央部にあるため,基板形状が異なることにフォーカスしたカットだ。下段は基板の下にある黒い枠状のパーツとモーションIRカメラを見たカット。前者には金属線が巻いてあるため,これもアンテナだと分かる。モーションIRカメラのほうは,付属のリボンケーブルにある2次元バーコードをチェックしたりもしたのだが,製造元や仕様は分からなかった
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モーションIRカメラを分解したところ。CMOSカメラと,それを囲む4基の赤外線LEDユニットが見える
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 モーションIRカメラを分解したところ,フレキシブル基板上に,CMOSカメラと赤外線LEDを実装していることを確認できた。赤外線LEDはCMOSカメラの左右に2つずつ,合計4つ実装されており,被写体の形状や動きを検出するのに十分な赤外線光量を,これらによって実現しているものと考えられる。

 また,Joy-Con(R)の基板上には,STMicroerlectrnics製のチップ「NFCBEA 812006 33」という,Joy-Con(L)にはないチップの存在も確認できた。残念ながらそのものズバリの型番では製品に当たらなかったが,型番や実装位置からNFCリーダーICだと推測できる。

「総務省指定 第EC-16005号」のシルク印刷が目を引く,Joy-Con(R)の基板,部品面。NFCリーダー/ライター機能やモーションIRカメラ機能があるので,Joy-Con(L)よりもサイズが大きい
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Joy-Con(R)の基板パターン面。ABXYボタンの右下にMX25U4033Eフラッシュメモリチップを搭載している。このあたりはJoy-Con(L)と同じだ
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 ちなみにここまでJoy-Conの充電周りはあえて説明してこなかったが,実のところは接点を使ったシンプルな実装となっている。Joy-Conを本体(やJoy-Con充電グリップ)にかちっと填めると接点がつながり,給電が始まる仕掛けだ。

左は奥がJoy-Con側の側面パーツ,手前が本体側のガイドレール。本体側は影になっていてちょっと見づらいが,どちらにも接点がある。右は本体にJoy-Conの側面パーツのみ差し込んでいる状態で,奥まで差し込むと接点同士が接触する仕様だ。ぱっと見だと分かりづらいものの,非接触充電ではない
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Nintendo Switchドックの基板は2種類のフラッシュメモリを搭載


 最後はNintendo Switchドックである。
 ここでも任天堂は特殊ネジが用いているため,「カジュアルな分解」はできなくなっているが,構造自体は単純なので,背面側にあるネジをすべて取れば,各種インタフェースを提供する基板を取り出せるようになる。

Nintendo Switchドックの背面カバー部を取り外したところ(左)と,その状態から基板を取り出したところ(右)
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 部品面で最も大きなチップはSTMicroelectronics製の32bitマイコン「32P048」だが,この正体は不明だ。その近くにある,「M92T55 633416」と刻まれたチップの正体も分からない。
 基板中央部にある「VLI210-Q4」はVIA Technologies製のUSB 3.0ハブコントローラである。

基板の部品面
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 一方パターン面には,Macronix International製512Kbitフラッシュメモリ「MX25L512E」と,同社製の2Mbitフラッシュメモリ「MX25V2006E」がある。少なくともどちらかに,前述した32P048のファームウェアを格納しているはずだ。
 2つ用意している理由は分からないが,それこそ内側USBポートのUSB 3.0対応のような,何らかの機能を拡張するときのためなのかもしれない。

 もう1つ,部品面にあるチップと同じメーカー製と思われる「M92T17 623382」というチップがあるのだが,これもやはり正体不明だ。

基板のパターン面。各種コネクタ類が目立つが,フラッシュメモリが2つあるのも目を引く
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「超多機能タブレット」的な実装のNintendo Switch


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 以上,Nintendo Switchの内部構造を見てきたが,とにかく実装密度が高く,無駄なスペースがほとんどない本体の内部構造が非常に印象的だ。ジャンルとしてはあくまでも据え置き型ゲーム機に属するNintendo Switchであるものの,設計,そして内部構成を見ても,ハードウェアとしてはスマートフォンやタブレット端末に近い。というか,本体はほとんど「カスタムTegra X1搭載タブレット」である。
 個人的には,SIMスロット搭載のバリエーションモデルが出る可能性を感じられないかなと思っていたのだが,このみっちり具合からすると,少なくともこのままの設計でWAN機能搭載モデルが出る可能性はほぼゼロだろう。

 さて,そんな「単なるタブレット」のようにも見えるNintendo Switchをゲーム機たらしめているのは,やはりJoy-Conということになる。
 加速度センサーやジャイロセンサー,モーションIRカメラ,そしてHD振動を実現するハプティックリアクタは,Joy-Conに大いなる可能性を与えている。そしてそれは,Nintendo Switchというゲーム機そのものにも,将来性を与えている印象だ。

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 Nintendo Switchは,「果たして任天堂はJoy-Conで,家庭用ゲーム機にどんな新しい楽しさを与えてくれるのか」というワクワク感を与えてくれるハードウェアであり,家庭用ゲーム機の市場で長年戦ってきている任天堂らしいアドバンテージを感じさせてくれる存在だとまとめることができるだろう。

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任天堂のNintendo Switch公式情報ページ


※お詫びと訂正
 初出時,Nintendo SwitchドックのUSBサポートについて,誤った情報を掲載しておりました。お詫びして訂正いたします。


※2017年3月6日15:30頃追記
 搭載するカスタムTegraについて,初出時には「Tegra X1ではないか」としていましたが,考察を変更しました。
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    Nintendo Switch本体

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