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「Xbox One S」分解レポート。内部構造のシンプルさは維持しつつ,カスタムAPUの低消費電力効果を小型化に活かしたマシンだった
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印刷2016/11/28 00:00

テストレポート

「Xbox One S」分解レポート。内部構造のシンプルさは維持しつつ,カスタムAPUの低消費電力効果を小型化に活かしたマシンだった

Xbox One S本体と,付属のゲームパッド「Xbox One Wireless Controller」
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 2016年11月24日,新型Xbox OneXbox One S」が国内発売となった。北米市場では8月31日発売だったので,約3か月遅れでの国内デビューとなる。
 Xbox Oneは,従来モデルのXbox Oneと100%の互換性を保ちつつ,筐体サイズは従来モデルよりも40%小さく,かつ,新要素として4K(3840×2160ドット)解像度とHDR(High Dynamic Range)に対応するHDMI 2.0a出力をサポートしたのが大きな特徴だ。

 日本市場ではかなりマニア向けの存在になってしまったXbox Oneシリーズだが,その最新モデルは,初代Xbox Oneからどのような進化を遂げているのか。4Gamerでは,発売日にXbox One Sを入手し,その分解を試みたので,今回はそのレポートをお届けしたい。

11月24日に発売となった「Xbox One S 1TB(Halo Collection 同梱版)」の製品ボックス。今回入手したのはこれである。「Halo 5: Guardians」(以下,Halo 5)と「Halo: The Master Chief Collection」が付属しており,外箱をHaloデザインのカバーが覆っている(左)。右はそのカバーを外した状態だ
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 本稿では従来版Xbox Oneの内部構造へ適宜言及することになるので,Webブラウザの別タブでそちらの分解レポートを開いておくと,読み進めやすいだろう。

「Xbox One」分解レポート。これはシンプルさと合理性をとことん突き詰めたハードだ


 なお,あらかじめお断りしておくと,Xbox One Sの「4K対応」は,PlayStation 4 Proのような「ゲームにおける4K対応」ではない。基本的に,「Netflix」のような動画配信サービスや,Ultra HD Blu-ray(UHD BD)の4Kビデオコンテンツを再生するためのものだ。つまり,ゲーム用途で何かを期待できるものではない。ただ,本体価格3万7778円(税込)のハードがUltra HD Blu-rayの再生に対応するのはトピックであり,その意味で,一部のビデオ好きには“刺さる”仕様と述べていいだろう。
 一方のHDRは,(PlayStation 4プラットフォームと同様に)対応ゲームと対応ディスプレイデバイスがあれば利用できる。実際,11月29日発売予定のXbox One版「FINAL FANTASY XV」はHDR対応だ。

※注意
 ゲーム機の分解はメーカー保証外の行為です。分解した時点でメーカー保証は受けられなくなりますので,本稿の記載内容を試してみる場合には,あくまで読者自身の責任で行ってください。分解によって何か問題が発生したとしても,メーカーはもちろんのこと,筆者,4Gamer編集部も一切の責任を負いません。また,今回の分解結果は4Gamerが入手した個体についてのものであって,「すべての個体で共通であり,今後も変更はない」ことを保証するものではありません。


40%の小型化で,見るからに小さくなったボディ。電源ユニットも待望の内蔵化


 分解に先立って,入手したXbox One Sの外観をチェックしていこう。

製品ボックスの中身。本体と付属ゲームパッド,電源ケーブルとHDMIケーブル,ゲームパッド用の電池,そして14日間無料のXbox Liveゴールドメンバーシップといった定番のアイテムに加えて,Halo 5の製品版ディスクも入っていた
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 まず,最も気になるその筐体サイズは,296(W)×234(D)×64(H)mm。従来型Xbox Oneが同332(W)×274(D)×80(H)mmなので,幅と奥行きは40mm前後,高さは約16mm小さくなったわけだ。

Xbox One S(左)と従来モデル(右)を並べたところ。これだけでもずいぶんと小さくなったのが分かる
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従来型Xbox Oneに付属するACアダプター。出力側が定格215Wという仕様だった
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 体積で言えば,Xbox One Sが4432cm3で,従来型Xbox Oneが7277cm3なので,約61%。しかも,従来型Xbox Oneの場合,これに比べて大きなACアダプターが付属しているのに対し,Xbox One Sは電源ユニットを内蔵しているので,家庭内における取り回しやすさは,筐体の見た目以上に向上した印象を受ける。

上段は本体向かって正面と背面,下段は本体向かって左側面と右側面で,Xbox One SとXbox Oneを比較したカット。言うまでもないと思うが,いずれも写真も左がXbox One Sだ。「前面から見て左にスロットイン型光学ドライブを搭載し,電源ボタンは右端にある」「側面に大きな開口部があって,そこから吸気する」という基本構造は変わっていないものの,それ以外はけっこう異なっている
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天板には丸いメッシュの大型の開口部が設けられている。天板に開口部があるのは旧Xbox Oneも同じだった
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 上で写真のキャプションとして側面開口部の話をしたが,天板部に大きめの開口部があるというのも,Xbox One Sと従来型Xbox Oneでそれほど大きく変わっていないことの1つだ。詳細は後段で確認するが,開口部のデザインが大きく変わっていない以上,冷却系もそれほど大きく変わってはいないだろうという推測が,この時点で成り立つ。

 ちなみに,Xbox One Sを縦置きで設置する場合は,開口部を塞がないように別売りの専用スタンドを使う必要がある。今回は,撮影時にスタンドを用意できなかったので,そのまま立てて撮影してしまったが,くれぐれも真似しないようお願いしたい。

Xbox One SとXbox Oneはいずれも縦置きが可能だが,専用スタンドを使って,底面となる側の吸気孔を塞がないようにする必要がある。写真のように直接縦置きして使ってはいけない
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Xboxロゴをかたどった電源ボタン周辺。写真で左下に見えるのは,ワイヤレスゲームパッドのペアリング用ボタンだ。その右にうっすら見えるオーバル型のところには赤外線リモコンの受光部がある
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 電源部を内蔵したこともあり,Xbox One Sの本体重量は公称約2.9kgと,従来型Xbox Oneの3.2kg比では1割程度の軽量化に留まる。言い換えると,内部がけっこうスカスカだった従来型Xbox Oneと比べ,Xbox One Sでは相当に密度が高くなっている可能性が高いということだ。

 また,インタフェース面にも細かな違いがある。従来型Xbox Oneで本体向かって左側面にあったUSB 3.0ポートは,Xbox One Sで本体前面左下へと配置が変わった。USB 3.0ポートは前面にあったほうが使い勝手がいいので,改善点と言っていいだろう。

従来型Xbox Oneで本体向かって左側面にあったUSBポート(左)は,Xbox One Sで前面左下部に移動した(右)
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 主要なインタフェースがまとまる本体正面向かって背面側における大きな変更点は,従来のXbox Oneにあった「Xbox One Kinect Sensor」(以下,Kinect)接続専用端子の廃止だ。

Xbox Kinect Adapter
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 そのため,Xbox One SでKinectを利用するためには,別売りの変換アダプター「Xbox Kinect Adapter」(国内では「Xbox Kinectセンサーアダプター」)を用意して,Xbox One S側のUSBポートへつなぐ必要がある。
 このXbox Kinect Adapterは,税込の直販価格で5378円なのだが,Microsoftの日本法人である日本マイクロソフトは,従来型のXbox OneとKinectを所有し,かつXbox One Sを購入したユーザーを対象として,無償で提供するプログラムを実施中だ。期間は2017年6月30日までとなっているので,該当する人は公式サポートページをチェックしてほしい。

Xbox One Sと従来型Xbox Oneで背面のインタフェース部を比較したところ。最大の相違点は,従来型Xbox OneにあったKinect接続専用端子がXbox One Sには存在しないところ。それ以外のインタフェースは共通だ
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Xbox One Sの背面インタフェース部を拡大してみた。左から電源ケーブル用,HDMI出力(Type-A),セットトップボックスとの接続に使うHDMI入力(Type A),USB 3.0(Type-A)が2つ,IR出力,光角形デジタルサウンド出力,1000BASE-T LAN(RJ45)といった並びになっている
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本体底面。四隅に滑り止めのゴムがある
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 Xbox One Sの筐体で面白いのは,底面のパネルに「Hello from Seattle」「Xbox One Model 1681」という刻印があるところだ。Microsoftの本拠地があるのはシアトル市ではなくレドモンド市ではないかとも思うのだが,両市は同じワシントン州キング郡に属しており,郡都は世界的にも名の知れたシアトルなので,シアトルということにしているのだろう。
 一方の「Model 1681」は,調べた限り,公式の製品型番として使われているものではなさそうだった。Microsoft社内でXbox One Sに与えたモデル番号なのかもしれない。

底面パネルには「Hello from Seattle」「Xbox One Model 1681」という刻印がある。前者はイマドキの米国製品っぽい感じ
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Xbox One S付属のXbox One Wireless Controller(左)と,従来モデルの付属ゲームパッド。左側グリップの近くに,3.5mmミニピンのヘッドセット用端子がある
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 なお,付属のワイヤレスゲームパッドである「Xbox One Wireless Controller」は,Bluetooth接続に対応した最新モデルとなっている。
 パッと見では,色とグリップ部の質感が少し違う程度で,あまり変わったような気はしないが,左右グリップの間にある拡張端子の左側に,3.5mmミニピンのヘッドセット接続用端子を備えている点が,大きな違いだ。


Xbox One Sを分解し,その密度感を確認


黒い底面カバーが填め込み式になっているので,薄いオープナーを使って爪を外していく必要がある。振り返ってみると,ここは全分解工程のなかでもかなりの難所だった
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 それでは,お待ちかねの分解を始めよう。
 従来のXbox Oneは,本体側板が填め込み式になっており,底面カバーを取り外すことで,本体内部の金属製シールド(≒シャシー)にアクセスすることができた。

 Xbox One Sでもその基本構造は受け継いでおり,填め込み式の底面カバーを外すと,内部のシールドへアクセスできる点に違いはない。ただ,底面カバーは「ユーザーが外すこと」を想定したものになっていないため,ツメを折らずに外すのはかなり大変だ。

底面カバーを外したところ。筐体側に,金属製シールドの底が見える
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底面カバーの裏にSABICとSAMSUNGの刻印があった。写真上部に見える時計のような刻印を見る限り,この筐体は2016年10月製造らしい。「MSXK-1207」は不明だが,管理番号のようなものかもしれない
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 興味深いのは,外した底面カバーの内側に「SABIC」と「SAMSUNG」という2つの企業名が刻まれていたこと。SABICとは,中東資本の世界的な大手樹脂メーカー,Saudi Basic Industries Corporationの略称だ。樹脂製品の成形も行っているようなので,Xbox One Sの外装は,ここが製造を請け負っているのかもしれない。

 一方,SAMSUNGのほうは,よく分からない。スマートフォンやSSDで4Gamer読者にも知られた大手エレクトロニクス企業であるSamsung Electronics(以下,Samsung)のことを指しているのは疑いようがないものの,Samsungが製造請負をやっているという話はあまり聞かないからだ。
 ひょっとすると,Xbox One Sの筐体設計にSamsungが何らかの形で協力しているという可能性はあるだろう。

金属製シールドの底面側(左)。こちらにも,パーツ番号および製造年月っぽい刻印があった
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 シールドの底面にある緑色のトルクスビスを外していくと,本体上部カバーが外れ,内部の金属製シールドを引き出せるようになる。

緑色っぽいトルクスビスを抜くと(左),上部カバーから内部の金属製シールドを外せるようになった(右)
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続けて上部カバーから金属製シールドを取り出す
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取り外した上部カバーは,おそらく3つのピースから構成されているようだ(左)。内部には青い線で何かマークらしきものが書いてあるが,これが何かは分からず。右は,上部カバー側にもあった,SABICおよびSAMSUNGの刻印に寄ったところ
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 というわけで金属製シールドだが,この「樹脂製外装の中に金属製シールドを組み込んである」構造それ自体は,従来型Xbox Oneと完全に同じだ。前段で冷却機構が変わっていない可能性を指摘したが,この時点で,設計の方向性は従来から継承している気配を強く感じられる。

樹脂製筐体の中で基板やドライブ類,冷却機構を完全に覆う金属製シールド。このデザイン自体は従来型Xbox Oneから変わっていない
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 ここで,シールドの天面側パネルを留めているトルクスビスを抜くと,上から分解作業を進められるようになるが,天板部を開けて最初に気付くのは,その密度感だ。とにかく空間が目立った従来型Xbox Oneと比べると,Xbox One Sの内部は,まるで別モノのようにみっちりとしている。

金属製シールドの天面側を外したところ。「いろいろ詰め込んである」感が強い
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 シールドの天面側を外した状態で確認できるのは,カスタムAPU用と思われるファンと電源ユニット,Ultra HD Blu-ray対応のBlu-ray Discドライブ(以下,BDドライブ),そして2.5インチHDDの4つだ。各部の樹脂製パーツ部分に,「HDD」や「FAN」といった名称や,組立工程において参照するためと思われる数字が入っているのは面白い。
 また,BDドライブを覆う樹脂製パーツには,Xboxを代表するキャラクターであるMaster Chiefのデフォルメ像が刻印してあったりと,設計者の遊び心も感じられる。

「FAN」「01」という刻印のあるファン(左)。その奥にはヒートパイプ付きのヒートスプレッダも見える。一方,その隣で「PWR」「03」という刻印の入った電源ユニットは,かなり小振りだ(右)
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「DISC」「02」という刻印入りのBDドライブはPhilips&Lite-On Digital Solutions製で,製品名は「DG-6M5S」のようだ。厚さは約23mm。Xbox One S用の特注品ということからか,データシートは見当たらなかったが,Ultra HD Blu-rayをサポートする以上,BDXL対応なのは間違いない
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「HDD」「04」と刻印のある2.5インチドライブトレイには東芝製の9mm厚HDDである「MQ01ABD100」が載っていた(左)。容量1TBで,2.5インチHDDとしてはごく一般的なものだ。右はBDドライブのトレイ部にあった,デフォルメ版マスターチーフの刻印
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本体前面右側にあったサブ基板上のモジュール(上)と,左側面後部にあったサブ基板上のモジュール(下)。従来型Xbox Oneでは,無線通信モジュールが細いケーブル経由でサブ基板につながっていたが,Xbox One Sでは,ケーブルを使わず,接続端子経由で直接マザーボードと接続する仕様になっていた
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 金属製シールドの前面側には,無線通信用と思しきモジュールとIR受光部を実装したサブ基板がある。また,シールドの左側面後部にも,別の無線通信用モジュールを載せたサブ基板が取り付けてあった。どちらもMicrosoftの社名入りだ。

 前者のモジュール上に記された米国連邦通信委員会(以下,FCC)の認証ID「C3K1682」で調べたところ,これはMicrosoft製の「Dual-band Wireless Accessory Radio」で,5GHz帯の電波を使うらしい記述があった。
 Xbox One Wireless Controllerは,無線LANやBluetoothと同じ2.4GHz帯だけでなく,5GHz帯の電波を使ってXbox One本体と通信する機能も持つ。それを踏まえるに,C3K1682は,2.4GHz帯と5GHz帯の両方を使ってゲームパッドと通信するための専用モジュールなのではなかろうか。

 一方後者は,FCCの認証ID「C3K1683」から,IEEE 802.11ac対応の無線LANモジュールであることを確認できた。基板上には「MEDIATEK」のシルク印刷があるので,モジュールを含む基板自体が台湾MediaTek製なのだと思われる。

HDDをトレイごと外したところ
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 分解の話に戻ろう。
 マザーボードにアクセスするには,数字の大きい順に構成部品を外していく……のかと思いきや,試した限りは,HDD(04)→BDドライブ(02)→電源ユニット(03)という順番で外していく流れになっていた。カスタムAPU用のファンはヒートシンクと一体になっていて,この段階では取り外せない。

マザーボード側のストレージ接続コネクタは,PCでおなじみのSerial ATAだったが,電源ケーブルを接続するコネクタは独自のものだった(左)。右はBDドライブも外したところ
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 続いては電源ユニットである。本稿の冒頭で,従来型Xbox Oneの場合は定格出力215Wの大型ACアダプターを外付けにしていたという話をしたが,Xbox One Sが内蔵する電源ユニットは,DC出力が12V 10Aの1系統のみで,定格出力は120Wという仕様になっている。電源ユニットレベルで100W近い省電力を実現したら,そりゃ小型化して内蔵もできるよなと,しみじみ納得させられた次第だ。

取り外した電源ユニット(左)。非常に小さく,DC出力は12V 10Aの1系統のみである(右)
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 以上のパーツを取り外すと,ようやくマザーボードを金属製シールドから取り出せるようになる。

金属製シールドからマザーボードを取り外した状態
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 ここまで来ると,クーラーがカスタムAPU用である(=メモリチップまでは覆っていない)ことを確認できるが,このクーラー,基板裏にある十字型の金具で固定されていた。
 この金具はネジ留めではなく,ヒートシンクから伸びたパイプに引っかけて,金属のテンションだけで圧着する構造だ。そのため,外すのはとても大変で,無理に外そうとすると,マザーボードを傷付けてしまう可能性が高い。今回は何とか外せたが,ユーザーが興味本位でやるべき作業でないのは明らかだ。

基板裏にある十字型の金具(左)。これをなんとか取り外すと,クーラーユニットを外せる仕組みだ(右)
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ヒートシンクとファン。ヒートシンクはかなり大型で,銅製のヒートパイプを2本使っている
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 カスタムAPUに取り付けられていたクーラーのファンは,実測でサイズが125(W)×123(D)×25(H)mmで,ヒートシンクは同じく実測で120(W)×120(D)×19(H)mmと,かなり大型である。カスタムAPUのダイ表面と接するヒートスプレッダからヒートシンクに2本のヒートパイプを通して熱を拡散するという,冷却効率の高そうな構造を採用しているのもポイントだ。これを見る限り,カスタムAPUは相応に発熱するようである。

 というわけで,おおまかな分解の流れを追ってみた。
 モジュールの実装密度は,従来型Xbox Oneと比べてかなり高くなっているが,HDDやBDドライブがモジュール化されて樹脂パーツで固定されているといったあたりは,従来モデルを彷彿とさせる。やたらと込み入った構造を持つPlayStation 4と比べると,依然として小型PCに近い作りを維持した据え置き型ゲーム機と言っていい。


Xbox One SのマザーボードはPCを思わせるシンプルさ


 それでは,Xbox One Sのマザーボードを細かく見ていこう。なお以下本稿では,カスタムAPUがある側を部品面,その裏側をパターン面と呼ぶことにする。

マザーボードの部品面(上)とパターン面(下)
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Xbox One SのカスタムAPU(上)と,参考として従来型Xbox OneのカスタムAPU(下)
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 Xbox One Sの心臓部であるカスタムAPUは,「Jaguar」(ジャガーもしくはジャギュア)マイクロアーキテクチャに基づくCPUコアが8基と,「Graphics Core Next」(以下,GCN)アーキテクチャに基づく768基のシェーダプロセッサ,容量47MBのeSRAMなどを集積したものとなっている。

 ダイサイズはデジタルノギスによる実測で約17.53mm×14.08mm。実際のダイサイズは実測値より若干小さく出ることを断ったうえで続けると,単純計算したダイ面積は約246.8mm2となる。従来型Xbox OneのカスタムAPUだと同約386.3mm2だったから,新型カスタムAPUは従来のざっくり約6割強にまでシュリンクした計算になるわけだ。
 Microsoftは,Xbox One SのカスタムAPUをどのプロセス技術ベースで製造しているのか明らかにしていないのだが,従来モデルの28nmプロセス技術から,16nmもしくは14nmのFinFETプロセス技術へ切り換えた効果が出ているということなのだろう。仮に16nm FinFETだとすれば,単純なシュリンクでダイサイズはおおむね60%に小型化できると言われているので,妥当なところだとも思う。

 そんなカスタムAPUのダイには,Xbox Oneのロゴとともに「X949211-011DG4001FYG871A」という,型番のような文字列があった。
 後者は,AMD製APUやCPUにある文字列と似ているので,AMD側の型番なのだろう。そうすると,前者の文字列がMicrosoft側の型番なのではなかろうか。
 ちなみに,従来版Xbox OneのカスタムAPUにおける「Microsoft側の型番と思しき文字列」は「X861949-005」だったので,かなり異なっている。

SK hynix製のDDR3 SDRAMチップ。16枚で総容量8GBのグラフィックス兼メインメモリとしている
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 カスタムAPUを囲むように並ぶ16個のチップは,SK hynix製のDDR3 SDRAMチップ「H5TQ4G63CFR-TEC」だ。SK hynixのWebサイトで調べたところ,記憶容量は4Gbit(=512MB)で,データレートは2133MHz相当だった。
 ちなみにPlayStation 4は,2015年6月発売のCUH-1200シリーズから,8GbitのGDDR5メモリチップを採用するようになった。それ以前の4Gbit GDDR5メモリチップから8Gbit品へと切り替えたことで,メモリチップの数が8個に減り,マザーボードの小型化も実現していたのは,憶えている読者もいることだろう。

 それに対し,Xbox One Sでは,従来と同じように,16枚のDDR3メモリチップがやや遠巻きにカスタムAPUを取り囲むようなデザインを踏襲している。ソニー・インタラクティブエンタテインメントと異なり,Microsoftは,筐体の小型化にあたって,メモリ周りの設計刷新を選択しなかったということになるわけだ。

ON Semiconductor製の「NCP4205」。位置的に見てフェーズコントローラだろう
画像集 No.059のサムネイル画像 / 「Xbox One S」分解レポート。内部構造のシンプルさは維持しつつ,カスタムAPUの低消費電力効果を小型化に活かしたマシンだった
 カスタムAPUの周囲にある電源部と思われるコイルは,従来モデルの4+1フェーズ構成から,3+1フェーズに変更となったようだ。カスタムAPUの消費電力が低下したことで,電源部をシンプルにできたのだろう。
 電源部の下側にあるON Semiconductor製の「NCP4205」は,データシートがないので詳細は不明ながら,おそらくフェーズコントローラではないかと推測される。

Xbox Oneロゴ入りの書かれたサウスブリッジらしきチップは,従来型Xbox Oneと同じ型番(上)。近くに容量8GBのフラッシュメモリチップが載る構成も変わっていない(下)
画像集 No.060のサムネイル画像 / 「Xbox One S」分解レポート。内部構造のシンプルさは維持しつつ,カスタムAPUの低消費電力効果を小型化に活かしたマシンだった
画像集 No.061のサムネイル画像 / 「Xbox One S」分解レポート。内部構造のシンプルさは維持しつつ,カスタムAPUの低消費電力効果を小型化に活かしたマシンだった
 マザーボード上で目立つもう1つの大きなチップは,サウスブリッジ(と思われるもの)だ。
 こちらには,「X861949-005T6WD5XBG-0003」とレーザー刻印されているので,従来型Xbox Oneとまったく同じだと分かる。

 サウスブリッジの近くに,おそらくファームウェア格納用である記憶容量8GBのフラッシュメモリチップがあるのは従来型Xbox Oneと同じ。4Gamerで先に分解した従来型Xbox OneだとSK Hynix製チップを搭載していたが,今回入手したXbox One Sだと,Samsung製の「KLM8G1GEME」だったが,これは単純に,調達上の都合によるものではなかろうか。

DisplayPort to HDMIリタイマーであるSN75DP159
画像集 No.062のサムネイル画像 / 「Xbox One S」分解レポート。内部構造のシンプルさは維持しつつ,カスタムAPUの低消費電力効果を小型化に活かしたマシンだった
 代わり映えのないメモリやサウスブリッジ周りと対照的なのが,Xbox One Sで初搭載となる「SN75DP159」だ。HDMIインタフェースの近くにある,このTexas Instruments製チップは,「DisplayPort to HDMIリタイマー」と呼ばれるもので,最大で6GbpsのHDMI信号を出力可能となっている。4K出力対応を実現するために,新しく載せたものだろう。
 ちなみに,従来型Xbox Oneだと,カスタムAPUからHDMIが直接出力されているようなデザインだったので,SN75DP159の採用は,Xbox One Sのマザーボードにおける大きな特徴と言っていい。

PCのマザーボードでよく見かけるPCIe x1接続のEthernetコントローラであるRTL8111HM
画像集 No.063のサムネイル画像 / 「Xbox One S」分解レポート。内部構造のシンプルさは維持しつつ,カスタムAPUの低消費電力効果を小型化に活かしたマシンだった
 そのほかに目に付いたチップといえば,PCでもおなじみのGigabit EthernetコントローラチップであるRealtek Semiconductor製「RTL8111HM」がパターン面にあった程度だ。

 その一方で,従来型Xbox Oneでサブ基板上にあったNuvoton Technology製のビデオ&音声処理専用SoC(System-on-a-Chip)「ISD9160」は,Xbox One Sのどこを探しても見あたらなかった。
 これを単に省略してしまっては,Xbox One SでKinectを使えなくなるだろうから,先述したXbox Kinect Adapter側に,ISD9160そのものか,相当する機能を組み込んだ可能性が高そうだ。

 Kinect用のSoC省略により,Xbox One Sのマザーボードは,ますますPCのマザーボードに近づいた印象を受ける。スリープ時のシステム制御専用LSIがあったり,ローカルメモリを持つ特殊なサウスブリッジがあったりするPS4とは,設計の方向性がまったく異なるゲーム機なのだなと,あらためて感じた次第だ。


カスタムAPUの省電力化で小さくなったXbox One S。さて,Project Scorpioはどうなる?


画像集 No.065のサムネイル画像 / 「Xbox One S」分解レポート。内部構造のシンプルさは維持しつつ,カスタムAPUの低消費電力効果を小型化に活かしたマシンだった
 Xbox One Sの分解レポートは以上のとおりである。
 マザーボードはカスタムAPUが小さくなり,Kinect用のコントローラがなくなった程度なので,電源部レベルで95Wもの省電力化を実現したのが,小型化を実現するための決定打だったということなのだろう。
 eSRAMを統合するXbox OneのカスタムAPUは,従来,それだけ消費電力と発熱が大きく,一見無駄にも見えるほど,筐体内に冷却用のスペースを設けねばならなかった。それが,プロセスシュリンクによって大幅に改善し,各種コンポーネントを詰め込めるようになった結果がXbox One Sなのだという理解が,おそらく正解である。

 ちなみにMicrosoftは,2017年に,Xbox Oneシリーズのハイエンドモデルとなる「Project Scorpio」(プロジェクトスコーピオ,開発コードネーム)を市場投入予定だ。Microsoftは,Project Scorpioの技術的な詳細を未だ明らかにしていないが,GPUコアの規模を引き上げるだけでなく,CPUのマクロアーキテクチャも刷新する可能性が高く(関連記事),その性能はPlayStation 4のハイエンドモデルであるPlayStation 4 Proをかなり上回るものになると見込まれている。そうなれば,カスタムAPUの消費電力も発熱も,再び大きなものになるはずだ。

 そのときMicrosoftは,これまでの筐体デザインを踏襲しながら,従来型Xbox Oneのように,筐体内部のゆとりを確保しようとするのか,はたまた,Xbox One Sで培った高密度設計を応用することになるのだろうか。今から楽しみにしておきたい。

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Microsoftの「Xbox One S」特設ページ

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