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RX 6500 XT搭載のASUS製グラボ「TUF Gaming Radeon RX 6500 XT OC」レビュー。新型エントリー向けGPUの実力はいかに
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印刷2022/01/29 00:00

レビュー

Navi 2x世代における新エントリー向けGPUの実力はいかに

TUF Gaming Radeon RX 6500 XT OC Edition

Text by 宮崎真一


 RDNA 2アーキテクチャを採用したAMD製のエントリー市場向けGPU「Radeon RX 6500 XT」(以下,RX 6500 XT)を搭載するグラフィックスカードが1月21日に発売となった。名称から想像がつくとおり,RX 6500 XTは,「Radeon RX 6600」(以下,RX 6600)の下位に位置付けられる新世代のエントリー市場向けGPUであり,注目度は高い。

 今回,ASUSTeK Computer(以下,ASUS)から,同GPUを搭載したグラフィックスカード「TUF Gaming Radeon RX 6500 XT OC Edition」(以下,TUF RX 6500 XT OC)を借用する機会を得たので,その実力を検証してみたい。はたして,RX 6500 XTは,ゲーマーにとってリーズナブルな存在になり得るのだろうか。

TUF Gaming Radeon RX 6500 XT OC Edition
メーカー:ASUSTeK Computer
実勢価格:3万7000円前後(税込)
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新規開発のNavi 24コアを採用

6nmプロセスルールへと微細化を実現


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 まずは,RX 6500 XTがどのようなGPUなのかを説明しておこう。
 RX 6500 XTに採用されているGPUコアは開発コードネーム「Navi 24」と呼ばれるもので,ほかのRadeon RX 6000シリーズと同じくRDNA 2アーキテクチャに基づいているが,製造プロセスルールが6nmへと微細化された点がトピックのひとつとして挙げられよう。
 一般的に,プロセスルールが微細化されると,製造コストの削減と消費電力の低下が実現する。そのあたりがRX 6500 XTでどうなっているかが,焦点のひとつになるだろう。なお,ダイサイズは107mm2で,トランジスタ数は約54億個となっている。上位モデルのRX 6600などで採用されている「Navi 23」コアと比べて,それぞれ50%弱の規模だ。

 RDNA 2アーキテクチャでは,シェーダプロセッサ16基を束ねて,AMDが「Stream Processor」(以下,SP)と呼ぶ実行ユニットとしたうえで,それを4つ集めたうえで,キャッシュメモリやレジスタファイル,スケジューラやテクスチャユニットなどと組み合わせた演算ユニット「Compute Unit」(以下,CU)を構成している。RX 6500 XTでは,CUを16基備えるため,シェーダプロセッサの総数は16×4×16で1024基となる。これはRX 6600(1792基)と比べて57%程度の規模だ。

Radeon Softwareで確認したTUF RX 6500 XT OCの仕様
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 RX 6500 XTは,エントリー市場向けGPUであるが,ほかのRadeon RX 6000シリーズと同様に,リアルタイムレイトレーシング処理を担う「Ray Accelerator」(以下,RA)を内蔵している。RDNA 2アーキテクチャでは,1基のSPに1基のRAを組み合わせる構成であるため,RX 6500 XTでは16基のRAが組み込まれているわけだ。
 また,RDNA 2アーキテクチャで実装された新しいキャッシュシステム「Infinity Cache」はRX 6500 XTでも健在であるが,その容量は16MBと,RX 6600の32MBと比べてちょうど半分になっている。
 ほかのRadeon RX 6000シリーズと同様に,RX 6500 XTもPCI Express(以下,PCIe) 4.0や,CPUがグラフィックスメモリに対するフルアクセスを可能とする「Smart Memory Access」に対応している。

GPU-Z(Version 2.44.0)でスペックを確認したところ。TUF RX 6500 XT OCはクロックアップモデルなので,ブースト最大クロックは2825MHzとなる
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 さて,動作クロックに注目すると,RX 6500 XTのベースクロックは未公開だが,ゲームクロックは2610MHzと,RX 6600に比べて500MHz以上も高い。ブースト最大クロックも2815MHzに達しており,3GHzの大台まであと一歩まで上げてきた。GPUコアの規模が縮小した分だけ,動作クロックも上げやすかったということなのだろう。
 ちなみに,AMDの資料では,クロックアップモデルのベースクロックは2685MHz,ブースト最大クロックが2825MHzと書かれていた,クロックアップモデルの仕様まで記載されているのは珍しい。実際にTUF RX 6500 XT OCは,ベースクロックが2685MHz,ブースト最大クロックが2825MHzだった。一方で,メモリクロックは18GHz相当で,リファレンス仕様と違いはない。

 GPUに組み合わせるグラフィックスメモリはGDDR6で,容量は4GBと,エントリー市場向けモデルらしく少な目だ。メモリインタフェースは64bitで,メモリクロックは18GHzであるから,メモリバス帯域幅は144GB/sとなる。これはRX 6600の224GB/sと比べて64%ほどの規模しかない。しかしAMDは,Infinity Cacheを含んだRX 6500 XTのバス帯域幅は231.6MB/sとなり,これは前世代のエントリー市場向けGPU「Radeon RX 5500 XT」(以下,RX 5500 XT)の224GB/sを上回るという。

 そんなRX 6500 XTの主なスペックを,RX 6600とRX 5500 XT,それに近い性能となるであろう「GeForce GTX 1660」(以下,GTX 1660)とともにまとめたものが表1となる。

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映像出力インタフェースは2つのみの構成


 それでは,TUF RX 6500 XT OCのカードそのものを見ていこう。

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カードを別の角度から。GPUクーラーはアルミニウム製のシュラウドで覆われており,プラスチック製と比べて強度が増している
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 カード長は実測で約250mm(突起部除く)だが,基板自体は195mmほどしかなく,基板よりも55mmほどGPUクーラーが長い格好だ。また,マザーボードに装着すると,垂直方向にブラケットからクーラー部分が34mmほどはみ出ており,背の高いモデルと言えよう。
 重量は実測で881gと,大きさのわりには控えめだ。

カードの裏側は,金属製のプレートで覆われている。エントリー市場向けグラフィックスカードでは,バックプレートを省略する製品もあるが,本製品は採用してきたわけだ
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カード長は実測で約250mm
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重量は実測で約881g(左)。カード後方は,裏面のバックパネルに大きなスリットが設けられ,前面からの空気が裏面へと抜ける構造になっていた
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 搭載するGPUクーラーは,エントリー市場向けモデルとしては厚めの2.7スロット占有タイプで,100mm径相当のファンを2基搭載している。これらのファンは,ASUSが「Axial-tech」と呼ぶもので,ブレードと外枠のバリアリングが一体成型されており,バリアリングが波を打ったような独特な形状をしているのが特徴だ。さらに,GPUの温度が50℃以下になると,ファンの回転を停止する機能も用意されている。

カードを横から見たところ(左)。2.7スロット厚のGPUクーラーは相応に分厚い。Axial-tech仕様のファンは,下向きの空気圧を高めているそうだ(右)
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 カードの横から覗き込むと,GPUクーラーには6mm径のヒートパイプが4本用いられているのが見て取れる。そのほかに,カード側面にあるTUFロゴとライン状のデザインは,LEDイルミネーションでカラフルに発光するのだが,テスト時点では,ASUS製のLED制御ツール「AURA Sync」に対応していなかった。

4本のヒートパイプが,中央から両サイドへと伸びているのが確認できる
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PCIe補助電源コネクタは6ピン×1のみ。電源ユニットに対する要求はかなり低めだ
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 PCIe補助電源コネクタは,6ピンが1基のみと,エントリー市場向けモデルらしく,消費電力は抑えているようだ。
 映像出力インタフェースは,DisplayPort 1.4とHDMI 2.1が1つずつと,かなり割り切った構成だ。液晶ディスプレイを3台以上接続する用途よりも,エントリー市場を意識して,コスト削減を優先したのだろう。

映像出力インタフェースは2つだけと潔い構成。その分,排気孔となるスリットはかなり広めに設けられている
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カード側面に用意されたVBIOS切り替え用スイッチ。ブラケット側がPモード,反対側がQモードとなる
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 補助電源コネクタの近くには,VBIOSを切り替えるディップスイッチがあった。TUF RX 6500 XT OCは,PモードとQモードの2つのVBIOSを搭載しており,工場出荷時設定はPモード側だ。ディップスイッチでVBIOSをQモードに変更すると,ファンの回転数とPower Targetが低く抑えられるので,性能は低下するものの静音性が向上する。


Gaming Modeに加えて,動作クロックをリファレンスに落としてテストを実施


ASUS製のGPU設定ソフト「GPU TweakII」
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 ASUS製グラフィックスカードの通例どおり,TUF RX 6500 XT OCは,「OC Mode」「Gaming Mode」「Silent Mode」という3種類の動作モードを搭載している。これらの動作モードは,ASUS製アプリケーションの「GPU TweakII」(Version 2.3.8.0)から切り替え可能で,工場出荷時設定はGaming Modeだ。
 Gaming Modeの動作クロック設定は先述したとおりだが,OC Modeに変更するとゲームクロックが2705MHzに上昇する。ただ,ブースト最大クロックは2825MHzのままだった。一方のSilent Modeは,動作クロック設定が公開されていないが,実際に試したところ,ブースト最大クロックがGaming Modeから40MHz低下し,Power Targetも94%に抑えられていた。
 なお,どの動作モードでもメモリクロックは18GHz相当で変わりはない。

GPU TweakIIで,Advance Modeに切り替えてOC Modeの設定内容(左)を見ると,ブースト最大クロックは2889MHzとなっていた。Silent Mode(右)では,ブースト最大クロックこそ2809MHzと高めだが,Gaming ModeがGPU TweakIIでは2849MHzとなっていたので,ちょうど40MHz低下した計算になる
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 それでは,テスト環境の構築に話を移そう。今回,比較対象には,先ほど挙げたRX 6600,RX 5500 XT,GTX 1660の3種類を用意。上位モデルとの差や前世代からの伸びを確認しつつ,競合製品との位置付けをハッキリさせようというわけだ。

 なお,今回用意した製品のうち,RX 5500 XT搭載モデルの「Radeon RX 5500 XT GAMING X 8G」と,GTX 1660搭載カードの「GeForce GTX 1660 GAMING X 6G」は,クロックアップモデルであるため,MSIのオーバークロックツール「Afterburner」(Version 4.6.4)を用いて,リファレンスにまで動作クロックを下げて使用している。
 また,TUF RX 6500 XT OCは,クロックアップされたGaming Modeに加えて,GPU TweakIIでリファンレスまでブースト最大クロックを抑えた状態でもテストを実施した。以降,それぞれの設定を区別するため,文中とグラフ中ともに,後者を「RX 6500 XT」と表記することを断っておく。

 使用したドライバソフトは,AMDが全世界のRX 6500 XTのレビュワー向けに配布した「21.40.23.01-220104a-375481E-RadeonSoftware」だ。ドライババージョンを見ると,「Radeon Software Adrenalin 22.1.1」をベースに,RX 6500 XT対応を図ったものと捉えてよさそうだ。それ以外のテスト環境は表2のとおり。

表2 テスト環境
CPU Ryzen 9 5950X(16C32T,定格クロック3.4GHz,最大クロック4.9GHz,共有L3キャッシュ容量64MB)
マザーボード MSI MEG X570 ACE(AMD X570,BIOS 7C35v1D2)
メインメモリ G.Skill F4-3200C16D-16GIS PC4-25600 DDR4 SDRAM 8GB×2(DDR4-3200の16-16-16-36設定で利用)
グラフィックスカード ASUS TUF-RX6500XT-O4G-GAMING(Radeon RX 6500 XT,グラフィックスメモリ容量4GB)
Sapphire PULSE RX 6600 Gaming(Radeon RX 6600,グラフィックスメモリ容量8GB)<
MSI Radeon RX 5500 XT GAMING X 8G(Radeon RX 5500 XT,グラフィックスメモリ容量8GB)
MSI Geforce GTX 1660 GAMING X 6G(GeForce GTX 1660,グラフィックスメモリ容量6GB)
ストレージ Samsung Electronics SSD 850 EVO(MZ-75E500,500GB)
電源ユニット Corsair CMPSU-1200AX(定格1200W)
OS 64bit版Windows 10 Pro(Build 19043.1466)
チップセットドライバ AMD Chipset Drivers 2.13.27.501
グラフィックスドライバ Radeon:21.40.23.01-220104a-375481E-RadeonSoftware
GeForce:GeForce 511.23 Driver

 テスト内容は,4Gamerのベンチマークレギュレーション25に準拠したものだ。それに加えて,今回はリアルタイムレイトレーシング性能を確認するため,「3DMark」(Version 2.22.7334)において,「Port Royal」と「DirectX Raytracing feature test」を追加した。また,「Call of Duty: Warzone」は,「Call of Duty: Warzone Pacific」へと名前を変えて,一部ゲーム内容が変更されたため,「GeForce RTX 3080 12GB」のレビュー記事と同様に,「基本演習」でテストを行っている。

 テスト解像度は,AMDがRTX 6500 XTのターゲットを1920×1080ドットでのゲームプレイとしているため,同解像度に加えて,アスペクト比16:9でそのひとつ上となる2560×1440ドットを選択。さらにRX 6500 XTにとっては負荷が大き過ぎることは理解しつつも,ほかのGPUと性能比較が行いやすいよう,3840×2160ドットでのテストも行った。


RX 6600比で65%前後の性能

タイトル次第でGTX 1660を凌駕する場面も


 それでは,3DMarkから順にテスト結果を見ていこう。
 Fire Strikeの総合スコアをまとめたものがグラフ1となる。

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 RX 6500 XTは,RX 6600の64〜67%程度といったところだが,RX 5500 XTからは1〜8%程度スコアを伸ばしたほか,GTX 1660に対してもすべてのテストで安定して上回る性能を発揮した。また,TUF RX 6500 XT OCとRX 6500 XTとの差は1%前後で,クロックアップの効果はさほど大きくない。

 続いてグラフ2は,Fire Strikeから「Graphics score」を抜き出したものとなる。

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 このテストではCPU性能の影響がなくなるものの,RX 6500 XTは,RX 6600の62〜66%程度に収まっており,総合スコアを踏襲した形だ。RX 5500 XTに対しては,2560×1440ドット以上の解像度で1〜2%程度しか差をつけていないものの,1920×1080ドットでは10%以上にまで差が広がっている点は興味深い。また,本来RX 6500 XTにとって不得意であろう3840×2160ドットで,GTX 1660との差が20%にまで広がっているなど,RX 6500 XTのスコアはなかなか優秀だ。

 次のグラフ3は,Fire Strikeにおけるソフトウェアベースの物理演算テスト結果を「CPU score」として抜き出したものだ。

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 今回のテストでは,すべてのGPUでCPUを統一しているためキレイに横並びになる……はずだが,若干,GTX 1660が高く,RX 5500 XTが低い傾向が見られる。つまり,3DMarkにおいてRX 6500 XTやRX 6600のCPU負荷は,GTX 1660よりわずかだが高めなようだ。

 グラフ4は,GPUとCPU両方の性能が効いてくる「Combined test」の結果だ。

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 ここでのRX 6500 XTは,1920×1080ドットでRX 6600の約52%までスコアが低下している。ただ,同解像度でも,RX 6500 XTはRX 5500 XTに約6%,GTX 1660に約4%の差をしっかりつけているので,ここはRX 6600が好成績を発揮したと捉えたほうがよさそうだ。

 DirectX 12のテストとなる「Time Spy」の結果を見ていこう。グラフ5は総合スコアをまとめたものだ。

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 ここでもRX 6500 XTは,RX 6600の64〜65%程度であり,Fire Strikeと位置付けは変わらない。ただ,RX 5500 XTと比較すると,Time Spy Extremeで肩を並べられてしまっている。これは,今回使用したRX 5500 XT搭載カードがグラフィックスメモリ8GBモデルで,4GBしか持たないRX 6500 XTでは,高解像度で不利になるということなのだろう。
 同様に,GTX 1660に対しても7〜8%の差を付けられている。RX 6500 XTは,描画負荷が大きいDirectX 12をあまり得意としない傾向がうかがえる。なお,TUF RX 6500 XT OCとRX 6500 XTとの差は1%にも達しておらず,クロックアップの効果はあまり見えない。

 続くグラフ6は,Time SpyのGPUテスト結果,グラフ7はCPUテストの結果となる。

画像集#028のサムネイル/RX 6500 XT搭載のASUS製グラボ「TUF Gaming Radeon RX 6500 XT OC」レビュー。新型エントリー向けGPUの実力はいかに
画像集#029のサムネイル/RX 6500 XT搭載のASUS製グラボ「TUF Gaming Radeon RX 6500 XT OC」レビュー。新型エントリー向けGPUの実力はいかに

 まず,GPUテストのほうは,おおむね総合スコアを踏襲した格好になっている。RX 6500 XTは,RX 6600比で約63%のスコアに留まり,Time Spy ExtremeではRX 5500 XTと同程度に落ち着いている。
 一方のCPUテストのほうは,Fire Strikeとは異なり,若干のバラツキはあるもののスコアはおおむね横並びとなっている。

 続いて,リアルタイムレイトレーシングの性能を計るPort Royalの結果がグラフ8だ。なお,RX 5500 XTとGTX 1660のスコアが「n/a」なのは,両GPUがレイトレーシングユニットを持たないためである。

画像集#030のサムネイル/RX 6500 XT搭載のASUS製グラボ「TUF Gaming Radeon RX 6500 XT OC」レビュー。新型エントリー向けGPUの実力はいかに

 RX 6500 XTのスコアは,RX 6600の約15%しかない。RAを16基有するとはいえ,RX 6500 XTのレイトレーシング性能は,あまり実用的ではないと言ってよさそうだ。

 それは,グラフ9のDirectX Raytracing Feature testでも同じだ。なお,RX 5500 XTとGTX 1660のスコアがn/aの理由は,Port Royalと同じである。

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 ここではRX 6600のスコアも落ち込んだため,相対的にRX 6500 XTはRX 6600の63%程度となったが,フレームレートは6fps程度しか出ていない。RX 6500 XTのレイトレーシング性能は期待しないほうがよいだろう。

 では,実際のゲームではどうなのだろうか。まずはグラフ10〜12の「Far Cry 6」の結果から見ていこう。

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 今回は,中プリセットでテストしているが,1920×1080ドットにおけるRX 6500 XTの平均フレームレートは,RX 6600の約60%となった。解像度が上がるにつれて差が広がるあたりは,RX 6500 XTがグラフィックスメモリを4GBしか持たない点が足を引っ張ったと思われる。ただ,1920×1080ドットでも,RX 6500 XTはGTX 1660に平均フレームレートで約9%,最小フレームレートで約22%も離されており,3DMarkのような勢いは見られない。また,RX 5500 XTに対しては,平均フレームレートこそ若干追い越されているものの,最小フレームレートで約7%ほど差を付けている点は見どころと言えよう。

 続いて,「バイオハザード ヴィレッジ」の結果がグラフ13〜15となる。

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 バランス重視プリセットでテストを実施しているが,本テストにおけるRX 6500 XTのスコアは,平均フレームレートでRX 6600の61〜65%程度,1パーセンタイルフレームレートで62〜67%程度となり,3DMarkのFire Strikeと似た傾向だ。
 とくに注目したいのは,1920×1080ドットにおいて,RX 6500 XTが平均フレームレートでRX 5500 XTに約25%,GTX 1660に約12%もの差を付けた点である。1パーセンタイルフレームレートでもRX 6500 XTが優位な点は変わりなく,バイオハザード ヴィレッジにおけるRX 6500 XTの性能は良好だ。この結果から察するに,RX 6500 XTは2560×1440ドットでも十分快適なプレイが可能と言えよう。

 グラフ16〜18のCall of Duty: Warzone Pacificでも,1920×1080ドットにおけるRX 6500 XTの結果は良好だ。

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 ここでは,低負荷設定でテストを実施しているが,RX 6500 XTは,平均フレームレートでRX 6600の62〜64%程度といったところ。1920×1080ドットの結果に注目すると,RX 6500 XTは,RX 5500 XTに並ばれてしまってはいるものの,GTX 1660には約6%の差を付けている。さらにTUF RX 6500 XT OCは,RX 6500 XTから平均フレームレートと1パーセンタイルフレームレートともに約3%ほどスコアを伸ばしており,GTX 1660との差を広げている点は評価できよう。
 ただ,2560×1440ドットでは,1パーセンタイルフレームレートで,RX 5500 XTに約11%,GTX 1660に約5%ほどの溝を開けられており,4Kでは平均フレームレートも下回っている。メモリ容量の少なさが露呈した格好だ。

 RX 6500 XTにとってベストケースとも言えるのが,グラフ19〜21の「Fortnite」の結果だ。

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 ここでは,中プリセットでテストを行ったが,RX 6500 XTは,平均フレームレートでRX 6600の70〜89%程度,最小フレームレートでも71〜93%程度となり,とくに1920×1080ドットのフレームレートが優秀だ。1920×1080ドットでRX 6500 XTは,平均フレームレートでRX 5500 XTに約20%,GTX 1660に約21%の差を付けており,格の違いを見せつけている。TUF RX 6500 XT OCも,1920×1080ドットではRX 6500 XTから平均フレームレートを約3%伸ばしており,クロックアップがしっかりとフレームレートに影響を与えている。
 一方で,2560×1440ドットになるとGTX 1660の追随を許しているあたりを見ても,RX 6500 XTはグラフィックスメモリ容量をあまり必要としない場面では,良好な性能を発揮すると言ってよさそうだ。

 続いてグラフ22〜24は「Borderlands 3」の結果だ。

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画像集#045のサムネイル/RX 6500 XT搭載のASUS製グラボ「TUF Gaming Radeon RX 6500 XT OC」レビュー。新型エントリー向けGPUの実力はいかに
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 中プリセットでベンチマークモードを実行しているが,RX 6500 XTは,平均フレームレートでRX 6600の68〜75%程度,1パーセンタイルフレームレートで72〜89%程度となり,やはり1920×1080ドットの結果が優秀だ。1920×1080ドットにおいては,RX 5500 XTに平均フレームレートで約12%,1パーセンタイルフレームレートで約15%の差を付けている。一方で,GTX 1660にはわずかだが逆転されてしまっている。
 とはいえ,RX 6500 XTは1920×1080ドットで常時70fps以上の性能を発揮しているので,ゲームの快適性に懸念はない。

 RX 6500 XTにとって厳しい戦いとなったのが,「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」(以下,FFXIV暁月のフィナーレ ベンチ)だ。グラフ25は,同ベンチマークの総合スコアをまとめたものとなる。

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 スクウェア・エニックスの指標では,1万5000以上を最高評価としている点を踏まえて,今回は「標準品質(デスクトップPC)」に設定してベンチマークを実行している。その結果だが,RX 6500 XTは,1920×1080ドットでRX 6600の約77%に留まっているものの,RX 5500 XTに抜かれたうえ,GTX 1660に対しては約17%もの差を付けられてしまっている。元々,GeForceシリーズへの最適化が進んでいるゲームタイトルだが,それでもRX 5500 XTの後塵を拝するあたりは,メモリ容量の差だけでなく,最適化も足りていない印象だ。
 ただ,1920×1080ドットであれば,RX 6500 XTは,指標における最高評価をクリアしている点は評価できよう。

 そんなFFXIV暁月のフィナーレ ベンチにおける平均フレームレートと最小フレームレートをまとめたものが,グラフ26〜28となる。

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 平均フレームレートは,おおむね総合スコアを踏襲した傾向になっており,RX 6500 XTは,RX 5500 XTやGTX 1660に及ばない。しかし,1920×1080ドットの最小フレームレートは,GTX 1660に約7%の差を付けられた一方で,RX 5500 XTには約15fpsもの差を付けた。RX 5500 XT比で考えると,総合スコアでは届いていないものの,プレイの快適度はRX 6500 XTに軍配が挙がると言ってよさそうだ。

 グラフ29〜31には,「Project CARS 3」の結果をまとめている。

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 ここでは低負荷設定でテストを行っているが,RX 6500 XTの結果は芳しくない。負荷が大き過ぎる3840×2160ドットはともかく,それ以外の解像度でRX 6500 XTは,RX 6600の約66%ほどで,これまでのテストと立ち位置はさほど変わらない。とはいえ,1920×1080ドットでも,RX 5500 XTと同程度のフレームレートしか発揮できておらず,GTX 1660には平均フレームレートで39%もの差を付けられている。RX 6500 XTは,描画負荷が大きなProject CARS 3を得意としないようだ。


カード単体の消費電力は100W前後

RX 5500 XTをはじめGTX 1660より低い値


 消費電力についても確認していこう。
 RX 6500 XTの公称Board Power(カード全体の消費電力)は105Wで,RX 6600から25Wも下がっている。また,AMDの資料では,RX 6500 XTのBoard Powerは120Wという表記もあり,これはNVIDIAが示すGTX 1660のTGP(Total Graphics Power)と同じ値だ。では,実際にRX 6500 XTの消費電力は,どの程度なのだろうか。
 そこで,今回はNVIDIAが開発した消費電力計測ツール「PCAT」(Power Capture Analysis Tool)を用いて,グラフィックスカード自体の消費電力を計測してみたい。なお,今回は3DMarkのTime Spyにおいて,消費電力が高くなる傾向がでたGraphics test 2実行中の結果を示している。その結果はグラフ32のとおりだ。

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 この結果では,RX 6500 XTとGTX 1660が100W前後で,それ以外が110〜130Wでそれぞれ推移しているように見える。120Wを超える場面をカウントしてみると,RX 6600が459回,RX 5500 XTが692回もあったのに対して,GTX 1660は59回,RX 6500 XTは0回と,消費電力はかなり抑えられているようだ。なお,TUF RX 6500 XT OCも同様に数えてみると94回で,クロックアップによって消費電力も増大しているのが分かる。

 グラフ32の測定結果から,分かりやすくなるように中央値を求めたものがグラフ33となる。

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 RX 6500 XTは,RX 6600から約22Wほど低く,RX 5500 XTと比べて約30W以上も消費電力を抑えている点は立派だ。GTX 1660と比べても,約6Wほどだが消費電力が低い点も評価できよう。なお,TUF RX 6500 XT OCはTX 6500 XTから13W増えており,クロックアップの代償は小さくない印象だ。

 さらに,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて,システム全体の最大消費電力のみを計測した結果も見てみよう。
 テストにあたっては,Windowsの電源プランを「バランス」に設定。さらに,ゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイ出力が無効化されないよう指定したうえで,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点をタイトルごとの実行時,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」としている。その結果はグラフ34のとおり。

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 このテストはピーク値を結果として採用するため,どうしても差が開きやすい。とはいえ,RX 6500 XTはRX 6600に39〜70W程度の差を付け,ここでも消費電力の低さがハッキリと見てとれる。興味深いのは,GTX 1660との差が30〜40W程度も開いている場面が多い点だ。これは,GTX 1660のほうがピーク値が大きくなりやすいということなのだろう。

 最後に,GPU-Zを用いて計測したGPU温度も確認しておきたい。ここでは,温度約24℃の室内で,テストシステムをPCケースに組み込まず,いわゆるバラックに置いた状態から,3DMarkの30分間連続実行時を「高負荷時」として,アイドル時ともども,GPU-Zから温度を取得することにした。
 GPUによって,温度センサーの位置や取得方法が異なっていることは想像に難くなく,またそれぞれファンの制御方法が違うため,同列に並べての評価にあまり意味はない。それを踏まえた結果はグラフ35のとおりだ。

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 RX 6500 XTは,高負荷時でも約50℃と,非常に低い温度を記録した。TUF RX 6500 XT OCは,もともと消費電力が低めのRX 6500 XTにかなり豪華なGPUクーラーを組み合わせている効果なのだろう。そのため,自己責任になるが,オーバークロックを試すのであれば,さらに高い動作クロックが狙える可能性はあるだろう。なお,低負荷時での温度が高めなのは,ファンの回転が停止するためだ。

 最後に,筆者の主観であることを断りつつ,TUF RX 6500 XT OCの動作音について触れると,非常に静かな印象を受けた。少なくとも今回,使用したカードの中では一番動作音が小さく,静音性は良好と言っていい。


エントリー市場向けGPUとしては十分魅力的

やはりネックは3万円台半ばの価格


 以上のテスト結果を踏まえ,RX 6500 XTのメリットをまとめると以下のとおりとなる。

  • タイトル次第でGTX 1660を超える性能
  • 消費電力が100W程度と低め
  • 最新アーキテクチャをエントリー市場向けGPUでも利用できる

 解像度は1920×1080ドットに限られるものの,タイトル次第ではGTX 1660を凌駕しており,エントリー市場向けモデルとしては申し分のない性能と言える。消費電力が100W程度と,電源ユニットに対するハードルが低く,補助電源コネクタが6ピンが1本のみとケーブルの取り回しが容易な点もうれしいところだ。

 その一方で,デメリットもいくつかある。

  • グラフィックスメモリ容量の少なさ
  • エントリー市場向けとしては高い価格

 ゲーム用途を意識すると,やはりグラフィックスメモリ容量が4GBというのは少ないと言わざるをえない。グラフィックスメモリ容量を8GBに増やしたモデルの登場を望みたいところだ。

TUF RX 6500 XT OCの製品ボックス
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 RX 6500 XT搭載カードの実勢価格は,3万〜3万7000円程度であり,これまでのエントリー市場向けGPUにおける常識とは異なる。今回,使用したTUF RX 6500 XT OCも,実勢価格は税込3万6800円と,ひと昔前のミドルレンジ向けの価格帯だ。需要の高さに加えて半導体不足の煽りもあり,価格が上がってしまうのはしかたない面があるものの,せめて2万円台半ばでこそ,このRX 6500 XTは輝くGPUであるように思える。

 とはいえ,ゲーマーの選択肢が広がった点は,素直に歓迎できる。最新のRDNA 2アーキテクチャをエントリー市場向けクラスでも利用できる点に興味を惹かれる人も多いのではないだろうか。

ASUSのTUF Gaming Radeon RX 6500 XT OC Edition製品情報ページ

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    TUF Gaming

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