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  • 発売日:2017/05/20
  • 価格:1400円(税別)
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「DARK SOULS TRPG」プレイレポート。TRPGで表現された「DARK SOULS III」の世界を,白霊と一緒に攻略してみた
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印刷2017/07/26 00:00

プレイレポート

「DARK SOULS TRPG」プレイレポート。TRPGで表現された「DARK SOULS III」の世界を,白霊と一緒に攻略してみた

今回は4Gamer編集部の御月亜希がゲームマスター(GM)を担当。筆者を含めた2名のプレイヤーが力を合わせ,攻略に挑む
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 2017年5月20日,人気アクションRPG「DARK SOULS III」PC/PS4/Xbox One)を原作としたテーブルトークRPG(以下,TRPG)「DARK SOULS TRPG」が,KADOKAWAから発売された。
 基本的な情報やシステムはすでに紹介しているが,発売から少し時間も経ったので,今回はより詳しくサンプルシナリオの体験記をお伝えしたい。今回プレイしたのは,本作に収録されている「灰の墓所」と「ロスリックの高壁」のシナリオだ。ゲームパッドではなく,ペンとダイスでDARK SOULS IIIの攻略に挑んでみた模様をお届けしよう。
 記事の性質上,サンプルシナリオのネタバレが含まれているので,その点はご了承いただきたい。


まずはキャラクターを作成。「持たざる者」以下の貧弱戦士が誕生!?


 最初に,今回担当するキャラクターの作成に挑むことに。本作のキャラクター作成には,キャラクターの設定をランダムに決定する「自作PC」と,名前などの基本設定以外があらかじめ定められている「サンプルPC」の2つのルールが用意されている。サンプルPCならすぐにゲームを始められるが,今回は時間もあったので,じっくり自作PCを作成することになった。

 自作PCルールでは,ダイスで能力値を決めることになる。6面ダイス2個を振り,その合計に4を足した数値を,8つ用意する。そして,その8つの数値をキャラクターの8種類の能力値に自由に割り振っていく。能力値の数値次第でキャラクターが選択できる「素性」が決まってしまうため,「戦士」の素性を選択したい場合は,「体力」と「筋力」の2つの能力値に高めの数値を割り振るという感じだ。
 この時,能力値を合計した値から80を引いた値が,キャラクターのレベルとなる。今回の合計値は83だったので,レベルは3となるわけだ。その後はキャラクターが持つ思い出(ダイスによって決まる背景設定)などを決めて,今回のキャラクター,戦士の“ミミズ”がめでたく誕生した。

筆者が操る“ミミズ”のキャラクターシート。戦士らしく体力と筋力は高めだが,それ以外の能力値は低い。思い出は「始まりの動揺」「動物への虐待」「喜びの贈り物」と,あまり明るいキャラクターになりそうになかったので,情けない性格の少年という設定にした。イメージは「体の頑丈さだけが取り柄のシンジくん」
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 ただ,作成当初は気がつかなかったのだが,実はこのミミズ,普通のキャラクターよりも数段弱い。というのも,ルールブックによると自作PCの平均レベルは8であり,能力値がかなり劣ってしまっているのだ。サンプルPCの「持たざる者」でさえ,初期レベルは4である。何も持ってない人より貧弱な戦士って,どういうこと!?
 さらに,本作ではレベル5ごとに追加で1つスキルを獲得できるので,覚えているスキルも少ない。DARK SOULSなのに,最初は「バックスタブ」も「パリィ」も使えないのだ。

 本作はシビアなバランスということもあって,弱いキャラクターを使うことは避けたほうが無難。自作PCの作成方法には,ダイスを使わずに,能力値にダイスを使った場合の平均値である88をプレイヤーが自由に割り振るという形式も用意されているので,バランスを考慮するのであればそちらの方法をオススメしたい。
 ……と言いつつ,キャラクターが弱い状態であえてゲームに挑む“縛りプレイ”に心惹かれるのもゲーマーの性。正直,「DARK SOULSなんだからマゾいぐらいが楽しいでしょ,きっと」ぐらいの感覚もある。ミミズの設定も情けない性格ということで,今回はこの貧弱性能のままで挑戦することにした。スタート前から先行き不安である。

GMからのコメント:
 今回は自作PCを使っているが,不慣れなうちは「プレイヤーがやりたい素性」を聞いて,サンプルPCを使用すると,強すぎず,弱すぎずのバランスで遊びやすいかと思う。
 今回は,たまたま「妙に弱い戦士」ができあがったが,逆にダイスの値が高すぎてあまりに強いキャラクターになっても,ゲームバランスが崩れてしまう。その場合は,ダイスの振り直しなどで調整したほうが楽しく遊べるだろう。


 しかし,ミミズには心強い……かどうかはともかく,味方がいる。今回は筆者に加えて,1名のプレイヤーがシナリオに参加しており,原作でもおなじみの「白霊」としてミミズを助けてくれることになっていたのだ。
 本作を複数人のプレイヤーで遊ぶ場合,1人がホストプレイヤー,ほかのプレイヤーは「ホストを助ける白霊」という扱いになる。この時,遊び方の1つとして,「白霊は一切しゃべらずにジェスチャーで意思疎通を行ってもよい」というものがある。これは原作のオンラインプレイを意識したもので,原作で使用することができるジェスチャーを収録した「ジェスチャー表」が本作には用意されているのだ。せっかくなので,この遊び方を試してみたいというGMの希望もあり,今回のシナリオ中,白霊プレイヤーはすべてジェスチャーで意思疎通を行った。

 お互いに作成したキャラクターの紹介を済ませつつ,いよいよシナリオの攻略を開始していく。

白霊プレイヤーのキャラクターである“パリピ”。「明るいイメージの思い出が多く出たから,楽しそうな名前にした」とのこと。妙に高いテンションでジェスチャーを行う,変なおっさんなのだが,素性は傭兵で,戦闘では頼りになりそう
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まずはチュートリアルを兼ねて「灰の墓所」


 まずは「灰の墓所」シナリオに挑戦。チュートリアルを兼ねたマップとして,原作でもプレイヤーが最初に挑むことになる場所だ。原作ではマルチプレイができないマップとなっており,本作でも1人用のシナリオとして設定されてはいるものの,「どうせなら最初からパリピのおっさんに参加してもらおう」とGMが調整を行い,2人で攻略していくことになった。

 暗い棺の中で目を覚ましたミミズ。右も左も分からないが,自分が戦えるということは覚えている。薄暗い墓所を抜けたいという一心で動き出すことを決意し,まずは近くに記されていた白いサインから,白霊であるパリピを呼び出す。お互いに“太陽のポーズ”で挨拶を交わしつつ,さっそく墓所の探索を始めることにした。

GMからのコメント:
 設定的に,スタート直後に“太陽のポーズ”はあり得ないと思うのだが,DARK SOULS経験者は,なぜかとりあえずこれで意思疎通しようとする。ほかの場でDARK SOULS TRPGを遊んだときも同じ現象が発生したし,おそらく,読者の皆さんで本作を遊んだことがある人も,同じ光景を見たのではないだろうか。太陽万歳!

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原作の「灰の墓所」。本作に収録されているサンプルシナリオは原作のストーリーを踏襲したものとなっており,マップのギミックやボスキャラクターなども原作に合わせたものが用意されている
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 本作のマップは並べたトランプで表現されている。トランプ1枚が1つのエリアとなっており,自分がいる場所から隣のトランプ(エリア)へと移動することで,マップの探索を進めていくのだ。

 最初のエリアには何もないということで,次のエリアに進んでみる。そこは少し開けていて,中央には大きな水盆がある場所だった。原作で言えば,開始場所から道なりに進んだところだろう。原作では水盆の側にある死体からアイテムを入手できたが,TRPG版ではそういった死体は見当たらず,その代わりに水盆を調べられるようだ。
 調べればアイテムを獲得できるかもしれないが,DARK SOULSシリーズの常として,こうした場所に罠がある可能性も否定できない。どうするべきかを悩んでいたところ,パリピが「任せろ」と言わんばかりのジェスチャーを見せ,颯爽と水盆に近づいていくではないか。おっさん,かっこいい!
 パリピは,GMが要求したダイスロールを見事にクリア。水盆の陰に隠れていたアイテムを見つけ出すことに成功する。

本作でマルチプレイを行う場合は,「悪意」ルールが追加される。プレイヤーがエリアを移動する,あるいは特定の条件を満たすことで「悪意」が溜まっていき,ゲームマスターはそれに応じて,敵の強化などを行えるのだ
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 頼りになるパリピの先導に従い,どんどんエリアを移動していく。続いて到着したのは墓地裏のエリアで,ここには死角になっている場所があるようだ。先程と同じく,ここでもアイテムがもらえるかもしれない……。そんな淡い期待を抱きつつ調べてみると,残念ながら,今度は敵が隠れていた。ということで,こちらに襲い掛かってきた2体の「墓守」と,初めての戦闘を行うことに。

 ここで簡単に,本作の戦闘を解説しよう。本作の戦闘は,5つの「スタミナダイス」を用いて行われる。攻撃や回避,武器の持ち替えなど,戦闘中に何かしらのアクションを行う時には必ずスタミナダイスを消費しなければならない。そしてスタミナダイスを使い切ってしまうと,そのターン中は行動できなくなる。攻撃にダイスを使うのか,それとも回避や防御に使うのか。原作同様,スタミナ配分が生死を分けるというのが,本作の戦闘の面白いところだ。

 戦闘が開始すると,まずは行動順を決定する「イニシアチブ決定処理」を行う。これは,未行動のキャラクター全員がダイスロールでキャラクターのイニシアチブ値を決定し,最も高いキャラクターが行動できるというものだ。
 最高値を出したキャラクターは「アクション権」を獲得し,任意の個数のスタミナダイスを使用できる。そしてその出目を使って,攻撃やアイテムの使用などの「アクション処理」を行うことが可能だ。攻撃を受けたキャラクターには「リアクション処理」が発生し,ガードや回避などのアクションに任意の個数のスタミナダイスを消費する。アクション権を獲得したキャラクターが好きな回数のアクションを終えると,そのキャラクターは行動済みとなって,再びイニシアチブ決定処理が行われるのだ。
 これをすべてのキャラクターが行動済みになるまで繰り返し,全員がアクションを終えると,次のターンに移行する。

イニシアチブ値は2D6(6面ダイス2個)+修正値で決定する
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 さて,墓守達との戦闘に突入したミミズとパリピの2人。チュートリアルの最初の戦闘だが,悪意ルールによって敵からのダメージが上昇していたこともあって,敵からの攻撃を1度くらうだけでHPがほぼ半減するというDARK SOULSらしい難度になっていた。そのため運悪く集中砲火を浴び,しかも攻撃を避け損ねたミミズが,あっという間に死にかけてしまう事態に。
 ホストプレイヤーであるミミズが死亡した場合は,即座に全滅扱いとなってしまう。一瞬「もしかしてここで全滅するのでは」という緊張がパーティに走ったものの,やはりここでもパリピが頼りになった。体力が減ったミミズは回避に専念し,その間にパリピが的確に墓守への攻撃を重ね,ダメージを与えていく。そしてなんとかミミズの体力が尽きてしまう前に,敵を殲滅できた。
 序盤でも運が悪いと死んでしまう。ミミズとパリピはその“シビアさ”を改めて実感し,墓場の探索を再開することにした。

GMからのコメント:
 本作の戦闘において,敵の行動にGMの意思は介入しない。敵の行動パターンや攻撃対象はすべてダイスで決まるのだ。そのため,進行上の都合や難度,設定的なアレコレを気にすることなく,「全員ぶっ倒してやる!」という気分でダイスを振れる。プレイヤー側も,「DARK SOULSだし,そりゃあ死ぬよな」という感覚があり,情け容赦のない展開であっても納得できてしまう。対戦ゲーム的な感覚で戦闘が進行していくのは,本作の魅力の1つだ。
 なお,今回は1人プレイ用のマップでマルチプレイを行ったので悪意ルールを適用したが,本来の灰の墓所では悪意が溜まらないので,もう少し簡単なバランスとなっている。



「灰の審判者グンダ」と真っ向勝負


 途中,欲を出して探索した結果,洞窟で「大喰らいの結晶トカゲ」に襲われて一目散に逃げだしたり,上から大岩が振ってきたりとさまざまなハプニングがあったものの,なんとか最後のエリアに到着した2人。そのエリアは大きな円形の広場になっており,中心には大きな人影が1つ,跪くようにして佇んでいた。そしてその人影の胸を貫いている,1振りの剣を抜いてみると……。突如として人影は動き出し,こちらへと襲い掛かってきた。
 原作で多くのプレイヤーを苦しめたボスキャラクター,「灰の審判者グンダ」との戦闘である。原作では剣を抜いた直後から攻撃を加えることで,攻撃を受けずにある程度の体力を減らすことができるというテクニックがあるが,残念ながらTRPG版では使えない。強敵であるグンダと真っ向勝負だ。

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 本作では,敵の攻撃方法はランダムで決定される。つまりボスキャラクターが“強い”攻撃を使ってくるかどうかは,運次第なのだが……。今回はプレイヤーの運が悪かったのか,それともGMの運が良かったのか,全体攻撃である「薙ぎ払い」を連発してきて大苦戦。当たれば致命傷になりかねない攻撃を必死に回避し,避けられなかった場合はすぐにエスト瓶を飲む,という防御重視の作戦で挑んでいたが,全体攻撃を使われると,攻撃担当と防御担当といった役割分担ができなくなるので,かなりキツい。
 一度捕まってしまったら終わりという緊張感の中,隙を見て攻撃を重ねていくミミズとパリピ。スタミナダイスの配分を回避やガードに多めに割り振り,また攻撃をまったく受けない代わりに使用回数に制限がある「安全地帯エリア」を積極的に利用したこともあって,なんとかパーティが壊滅しないうちにボスのHPを0にできた。
 しかし次の瞬間,倒したはずのボスの体から,大量の膿が勢いよく噴出する。そしてその膿は腕のような,あるいは化け物のような形となって,再び襲い掛かってきた。ということで第2ラウンド,スタートだ。

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 原作における灰の審判者グンダは,HPが残り半分を切ると攻撃方法を大幅に変化させてくる。とくに,膿を使った広範囲攻撃には筆者も苦労させられた。
 しかし日頃の行いが良かったのか,ボスが動き出すよりも先にアクション権を得たパリピが振ったダイスは,まさかのゾロ目。パリピは「ゾロ目の3つのダイスがコスト」という厳しい使用制限がある代わりに,敵の防御を無視して大ダメージを与えるスキル「バックスタブ」のスキルを所持していた。これにより,ボスのHPを一度に半分以上削るという大活躍。ノリに反して,頼りになりすぎる。

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 ここで流れがこちらに傾いたと感じ,一気に攻勢に出ることに。攻撃にすべてのスタミナダイスを使い,敵の攻撃は安全地帯エリアに逃げることで防ぐというゴリ押し戦法で,ひたすらダメージを与えていく。そのままHPを削り切り,第2ラウンドではとくに大きな被害を受けることなくボスを撃破。無事に「灰の墓所」シナリオクリアとなった。


「闇霊」としてほかの世界に侵入せよ。「ロスリックの高壁」シナリオに挑戦


 灰の審判者グンダとの戦いを潜り抜けたミミズは,続いて「火継ぎの祭祀場」へと足を踏み入れた。火継ぎの祭祀場は,DARK SOULS IIIにおけるプレイヤーの拠点となっていたエリアで,本作でもソウルを消費することにより,レベルアップやアイテムの購入を行える。というわけで休憩がてら,灰の墓所で獲得したソウルを使って,各々のキャラクターの強化を行うことに。
 ソウルをやりくりしつつ,どのようにキャラクターを強化していくかを考えるのもDARK SOULSシリーズの楽しみの1つだが……。残念ながらミミズの場合は,とにかくレベルを上げなければ話にならない。ソウルのほぼすべてをレベルアップに費やした結果,ミミズのレベルは10にまで上昇。サンプルキャラクターよりもちょっと強いくらいの,ようやく1人前と呼べる程度の強さになった。
 もちろん,強くなったのはミミズだけではない。パリピもこれまでの戦いで得たソウルによってレベルアップを果たし,さらに頼りがいのある強さに。格段にパワーアップした2人の力を合わせて,次の「ロスリックの高壁」シナリオに挑む。

原作の「火継ぎの祭祀場」。薄暗い雰囲気だが,どこか神聖さを感じさせる趣がある
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 ロスリックの高壁は,火継ぎの祭祀場の篝火からの転送で向かえるマップだ。原作では序盤といえども油断できない,難度の高いマップとして登場しており,筆者もこのマップに出てくる敵に何度も篝火送りにさせられた覚えがある。本作でもさぞ難しい難度になっているのだろうと,プレイヤー同士で無言のアイコンタクトを交わしつつ,気合を入れて攻略を始めることにした……のだが,転送を行おうとしたミミズに,原作でおなじみの「火防女(ひもりめ)」が話しかけてきた。

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 話を聞いたところによると,どうやら先日,この場所に1人の少女の霊が迷い込んできたらしい。そしてその少女はこの世界以外の住人に一方的に殺されてしまったとのことで,その相手に報復を行って彼女の無念を晴らしてほしい,という依頼を持ち掛けてきた。とくに断る理由もないので承諾したミミズに対して,火防女が手渡してきたアイテムはなんと,「ひび割れた赤い瞳のオーブ」。どうやら「闇霊」となって誰かの世界に侵入し,その世界のキャラクターを倒すことが依頼の目的となるようだ。ひとまずはこの依頼を解決することを目標に,攻略を進めていく。

GMからのコメント:
 サンプルシナリオでは,火防女の依頼のような,原作にはなかったオリジナル要素もいくつか用意されている。NPCからのクエストという要素を,DARK SOULSの世界観に取り込むにあたっての一例と考えるといいだろう。サンプルシナリオでは,原作以上に「会話の通じるNPC」が多い。原作の場合「出会ったやつはほぼ敵」となってしまうので,TRPGとして戦闘以外の選択肢を与えるのに,ある程度のキャラクター付けが行われているのだ。
 とはいえ,そこはDARK SOULSなので,会話はあっさりしており,GM側がNPCを演じてどうこう……という必要はない。サンプルシナリオを遊ぶぶんには,TRPG初心者であっても,GMの負担が軽い作りだ。


 篝火による転送で,ミミズはロスリックの高壁へと初めて足を踏み入れる。レンガと石で構成された建造物の数々が並ぶ,荘厳とも言えるその光景に,ミミズは思わず目を奪われ……。ふと,足元で白く輝く見覚えのあるサインを見つけた。
 といったロールプレイを挟みつつ,白霊であるパリピを呼び出すことに。本作はロールプレイの必要性が薄いシステムではあるが,サンプルシナリオではエリアの外観などの描写がきちんと用意されており,それらを読み上げるだけで簡単にゲームの世界を思い浮かべられる。自分のキャラクターはきっとこういう風にロスリックを探索しているのでは,という想像を膨らませながらのプレイも楽しいものだ。

原作の「ロスリックの高壁」。ヨーロッパ風の建造物が並ぶ街並みが,在りし日の栄華を感じさせる
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 最初のエリアには火継ぎの祭祀場に帰還できる篝火しか見当たらず,次のエリアに進んでみる。そこは渡り廊下のような場所で,祈りを捧げている亡者の集団と,どこかに続いている小さな階段が存在していた。原作ではマップを少し進んだ先にある場所だが,本作ではエリアの配置がランダムのため,このように原作とは異なるタイミングでエリアが登場することがある。
 さて,何かを調べてみるか,それとも無視して先に進んでみるか。火防女からの依頼も解決しなければならないという事情もあるため,できる限り探索してみようということで,まずは亡者達を調べることに。すると亡者達の近くにはアイテムが置いてあり,今ならそれを失敬できるかもしれない,という状態らしい。気づかれずにアイテムを手に入れられるかは,ダイスロールによる判定次第だが……。ここで頼りになるのがやはり,この男。グッと親指を立てるジェスチャーを見せ,パリピは颯爽と亡者達に近づいていく。そして見事にダイスロールを成功させて,亡者の注意を引くことなく,アイテムを手に入れた。
 ……ホストプレイヤーであるはずのミミズに,目立った活躍がなく,基本的にオロオロしているだけなのだが,これでいいのだろうか。

 続いて小さな階段を調べていく。階段を下りた先には薄暗い空間が広がっており,そこで待ち伏せをしていたのか,1体の亡者が不意打ちをかけてきた。とはいえこちらは2人で,相手は1体。苦戦することもなく蹴散らした後,その場所の探索を始めると……。なんと,この場所で「ひび割れた赤い瞳のオーブ」を使うと,火防女の依頼にあった世界に侵入できるらしい。エリアの配置運に助けられ,予想外のサクサク進行となったが,早く依頼を解決できるに越したことはない。ということでさっそくアイテムを使用し,闇霊としてほかの世界に侵入してみた。

メッセージや白霊での協力プレイといった,ほかのプレイヤーとつながるオンライン要素は原作の大きな魅力の1つだ。TRPG版でも今回の依頼のように,原作の要素を意識したイベントが収録されている
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 侵入した世界にいたのは,銀色の甲冑に身を包み,大剣を構える1人の男。「狂戦士ブルーゾ」というサンプルシナリオのオリジナルキャラクターだ。この男こそが依頼にあった少女の仇であり,彼を倒すことで依頼は解決となる。ミミズとパリピはお互いの武器を構えて,男へと襲い掛かっていった。
 先程の灰の審判者グンダとの戦いを思い出して,バックスタブによる大ダメージを狙いつつ,相手の攻撃は安全地帯エリアを活用して避けていくという戦法で挑んでいくミミズとパリピ。せっかく与えたダメージをエスト瓶で回復される,という対人戦ならではの苦労はあったものの,ダイスの神様が微笑んでくれたのか,敵からの攻撃を避けつつバックスタブを発動するという理想的な展開で戦闘を進めていく。そして最後はパリピの一撃が決め手となって,狂戦士ブルーゾを撃破できた。
 狂戦士ブルーゾを倒すと,プレイヤー2人は自動的に元の世界へと帰還する。これで渡り廊下のエリアはすべての探索を終えたことになるが,次のエリアに進むべきか,それとも依頼の報告のためにいったん戻るべきか。帰還を選ぶ場合,エリアの移動回数が増えるので,悪意が溜まって敵が強化されてしまうのだが,相談の結果,今後に備えて1度火継ぎの祭祀場へと戻ることにした。

 火継ぎの祭祀場へと戻り,火防女に依頼の報告をするミミズ。少女の仇を討った報酬として,2000ソウルを獲得できた。これで一段落と思いきや,なんでも次の目的地であるロスリック城に行くためには,「祭儀長エンマ」という女性に道を尋ねなければならないとのこと。次の依頼は,ロスリックの高壁のどこかにある礼拝堂を探し,エンマに会うというものだ。

GMからのコメント:
 「悪意」ルールについて補足しておくと,本作ではエリアの移動や篝火の使用によって,プレイヤーへの悪意が溜まっていく。悪意が溜まると,GMはダイスを振って,その出目によってさまざまな効果が付与できる。例えば,2と偶数の目を出すと敵からのダメージが+5,4といくつかの奇数の目を出すと攻撃を回避するのに必要なコストが増える,といった感じだ。先に述べたとおり,戦闘の内容にGMが介入することはないが,どういった悪意の効果でプレイヤーを苦しめるかは,ある程度GMが選択できる。ダメージを増やして純粋に殺しにかかるのも,ハプニングを増やして右往左往させるのも楽しい。……いじめすぎると攻略に失敗するかもしれないが。



原作よりも強くて硬い「冷たい谷のボルド」に挑む


 途中,親切な騎士に礼拝堂の場所を教えてもらったり,直後にいきなりその騎士が襲い掛かってきたり,尖塔の上に居座っているドラゴンの炎を必死に避けたりと,いろいろなイベントがあったものの,なんとか礼拝堂へと辿り着いたミミズとパリピ。火防女からもらった鍵を使って扉を開けると,中には椅子に腰かけている1人の女性がいた。
 彼女こそが祭儀長エンマで,この先の大城門というエリアから次のマップへと移動できること,そしてそのエリアにはボスが待ち構えているであろうことを教えてくれる。そして次のマップに向かうためのアイテム「ロスリックの小環旗」をプレイヤーに渡した彼女は,さっそく大城門へ向かうように促してきた。

 まだ探索していないマップはあったのだが,この時点でエスト瓶などを消耗しており,リソースにそれほど余裕はない。また,GMが悪意を使って特殊な効果を発動させてきたせいで,「次のボス戦以外の戦闘に突入すると,強力な闇霊が乱入してくる」という状況だ。もう一度,火継ぎの祭祀場へと戻るというのも,敵の強化が怖いので選びたくはない。
 そこで,今回は怪しいエリアの探索を避け,最短ルートで大城門へと移動することにした。道中で入手できるはずのアイテムも無視することになるが,安全第一だ。

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 大城門の扉を開くと,そこは大広間のような空間。広間の奥へと入り込んでみると,ふと,背後に殺気を感じる。振り返ったプレイヤーが見たものは,巨大な騎士のような,あるいは獣のような強大な存在が,明確な敵意を向けていた姿であった……。

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 ロスリックの高壁のボスキャラクター「冷たい谷のボルド」との戦闘である。原作の冷たい谷のボルドは,攻撃力が高いことに加えて,状態異常でプレイヤーのHPとスタミナの双方を削ってくる,実にいやらしい性能のボス。しかし序盤のボスである以上,全体的な強さで言えば弱い部類に入る。
 が,TRPGであれば,どうやらその強さを存分に発揮できるらしい。高火力はそのままに,「ガード」によってダメージを大幅にカットしてくるため,“痛い上に硬い”という強力なボスとして立ちふさがってきた。
 普通に殴るだけではほとんどダメージが通らず,また今回もGMの鬼のようなダイスで全体攻撃を多用してきたため,必死にボスの攻撃を避け続けなければならない。回避にスタミナダイスを使わなければ死ぬ。しかし,それによってダイスが減ると,火力が……。

 普通に戦うだけではジリ貧になると感じたミミズとパリピは,もはやおなじみのようにも思えてきた,“バックスタブを狙って安全地帯エリアに逃げる”という,ハイリスクハイリターンな戦法で冷たい谷のボルドに挑む。
 バックスタブは敵に大ダメージを与え,かつガードを貫通する。そのため今回のような場合には非常に役に立つものの,発動にはゾロ目のダイスが3つ必要になるため,運がなければ話にならない。しかし,これに賭けなければ全滅というところまで追い込まれてしまったのだ。
 幸い,今回はツキがあったらしい。これまで活躍のなかったミミズが,なんと2ターン連続でバックスタブを発動。ボスのHPの大半を削り切り,そのまま勢いに乗って撃破に成功する。

 もちろん,1回だけで終わりではない。先程のボスと同じく,冷たい谷のボルドも第2形態として復活し,再びプレイヤーへと襲い掛かってくる。
 第2形態もこれまでと同じように,バックスタブを狙っていく戦法で挑むミミズとパリピ。安全地帯エリアはとにかく強力なので,今回もこれでなんとかなるだろう,と思っていたのだが……。ボスが第2形態から使い始めた攻撃「突撃」は,単体の対象に高いダメージを叩きだすだけでなく,なんと安全地帯エリアを1つ使用不可能にする効果を持っていた。しかも,ここでもGMのダイスが炸裂し,突撃の連発であっという間に安全地帯エリアが0に。逃げる場所がない!

 これまでの戦法は使えない。しかし,普通に殴るだけでは倒しきれない。焦るミミズ。よく分からないジェスチャーでやる気を見せるパリピ。ここで2人が出した結論は……「倒される前に倒せばいい」である。要するに,ノーガードでバックスタブを狙う,一か八かの脳筋スタイルだ。
 運が悪ければた易く全滅してしまうような作戦だったが,やはり今回はダイスの神様が微笑んでくれていたらしい。ボスの攻撃で大ダメージをくらいながらも,ミミズとパリピが連続でバックスタブを発動するという奇跡を見せ,ボスを瀕死の状態にまで追い込む。

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 が,ここで運が尽きたのか,それとも当然の帰結か。これまでミミズを助けてくれた頼りになる白霊,パリピがボスの突撃を避けきれず,とうとうHPが0になってしまう。別れの挨拶をする暇もなく,パリピの姿は消え去って……。
 1人きりになり,凶悪な冷たい谷のボルドを睨むミミズ。ここで引くわけにはいかない。先手を取ったミミズは,次のターンのことは考えず,すべてのスタミナダイスを攻撃に投入し……見事,連続攻撃を叩き込み,ボスの撃破に成功したのだった。

 広間の奥の扉がゆっくりと開いていく。扉の先には広々とした空間が広がっており,その先には大きな橋の姿が見えていた。ミミズはパリピとの別れを悲しみながら,祭儀長エンマの言葉に従い,そこでロスリックの小環旗を掲げる。するとどこからか現れた怪物が,無造作にミミズの腕を掴み上げ,空高くへと飛び上がった。祭儀長エンマの言葉のとおりならば,この怪物こそ,次のマップへと向かう方法なのだろう。眼下には,原作経験者ならご存じ「不死街」が……。
 ということで,「ロスリックの高壁」シナリオも無事にクリア。5時間超にも及んだ今回のセッションは,これにて目標達成となった。

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DARK SOULSファンなら,TRPG熟練者でも初心者でも遊んでほしい


 以上が,今回プレイしたDARK SOULS TRPGのセッションとなる。少しでも本作のイメージが伝われば幸いだ。
 TRPGに対して「難しそう」「遊ぶためのハードルが高そう」といったイメージを持つ人も多いかもしれないが,本作はTRPG初心者でも遊びやすい,気軽に友達を誘ってプレイできる作品である。というのも,本作はGMが作成や管理しなければならない情報が少ないため,GMが初心者でも問題なくシナリオが進行するはず。さらに世界観などもDARK SOULS IIIのものを踏襲しているので,原作の経験者であれば簡単にマップの雰囲気などを共有できるというのも,遊びやすさにつながっている。

 また,前回の体験会の記事でも少し触れたが,本作では,原作のさまざまな要素が再現されている。サンプルシナリオはもちろん,戦闘バランスのシビアさなども含めて,DARK SOULSシリーズの独特な雰囲気がうまくTRPGに落とし込まれているのだ。DARK SOULSとTRPGの両方が好きという人はもちろん,「TRPGはやったことないけど,DARK SOULSのファンだからやってみたい」という人も,ぜひ手にとってみてほしい。

GMからのコメント:
 今回は,DARK SOULSファンに伝わりやすいよう,原作の流れに沿った作りのサンプルシナリオをプレイした。サンプルシナリオは,「灰の墓所」「ロスリックの高壁」以外にも,より難度の高い「不死街」「深みの聖堂」が収録されている。1日で全部遊びきるのはプレイ時間の問題で難しいかと思うので,何回かに分けるといいだろう。サンプルシナリオで慣れたら,自作シナリオにも挑戦してみよう。

「DARK SOULS TRPG」公式サイト

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