パッケージ
No Drugs公式サイトへ
準備中
準備中
お気に入りタイトル/ワード

タイトル/ワード名(記事数)

最近記事を読んだタイトル/ワード

タイトル/ワード名(記事数)

LINEで4Gamerアカウントを登録
インディーズゲームならではの尖ったタイトル「No Drugs」をPoznań Game Arenaで試遊してみた
特集記事一覧
注目のレビュー
注目のムービー

メディアパートナー

印刷2016/10/24 20:59

イベント

インディーズゲームならではの尖ったタイトル「No Drugs」をPoznań Game Arenaで試遊してみた

 インディーズゲームのブームが世界中に広がるにつれ,一種の過当競争(しばしばIndieapocalypseと呼ばれる)も拡大し,結果的にインディーズゲームのデベロッパが「多くのユーザーが好きそうなもの」を作るという傾向もはっきりと現れている。
 とはいえ,「自分たちの作りたいものを作る」「誰も作っていないものを作る」という気概に満ちたデベロッパも,たくさん存在する。Poznań Game Arenaでは,そんななかでもとくに尖ったゲームを出展しているデベロッパがあったので,その出展作をレポートしよう。題して「No Drugs」。もうタイトルからして,すでにアレな雰囲気が満載である。

画像集 No.001のサムネイル画像 / インディーズゲームならではの尖ったタイトル「No Drugs」をPoznań Game Arenaで試遊してみた


「お前は死んだ」。でも死んでない?


 「No Drugs」では,プレイヤーはそもそも自分が何者なのか分からない。が,どうやら薬物中毒患者なのは間違いないようで,部屋の真ん中に置かれたテーブルには違法な薬物を入れたガラス瓶が乗っている。プレイヤーはチュートリアルの範囲で「薬を飲む」ことになる。

机の上に薬瓶が
画像集 No.002のサムネイル画像 / インディーズゲームならではの尖ったタイトル「No Drugs」をPoznań Game Arenaで試遊してみた

 かくして違法な薬物を摂取したプレイヤーは,謎の空間に移動する(あるいは妄想の中に入り込んだのか,幻覚を見ているのか)。
 試遊版では,プレイヤーはテレビから聞こえる謎の声に導かれるがままに部屋を探索し,電子ロックを解除するための4桁の数字を探し出すことになる。はじめのうちはどれだけ時間をかけても構わないが,先の部屋に進むに連れ,「2分以内に鍵を開けないと毒ガスが充満してお前は死ぬことになる」的なことを言われてしまう。そして実際,2分以内に謎が解けないと,プレイヤーは死んでしまうわけだ。
 ただ,死んでもゲームオーバーではない。画面が暗転したのち,何事もなかったかのように,再び「あと2分で鍵を開けないと死ぬ」と宣言される。

画像集 No.003のサムネイル画像 / インディーズゲームならではの尖ったタイトル「No Drugs」をPoznań Game Arenaで試遊してみた
薬を飲むと,世界が崩壊していく
画像集 No.004のサムネイル画像 / インディーズゲームならではの尖ったタイトル「No Drugs」をPoznań Game Arenaで試遊してみた
テレビからの声がプレイヤーを責め立てる

 試遊版では,最終的に部屋のあちこちから刃が飛び出すトラップルームへと案内される。しかるに声の指示に従って行動する(あるいは真っ向逆らって行動する)ことでトラップを乗り越え,最後のドアを開ければ,試遊版はクリアとなる。
 なお,言うまでもなく,刃の直撃をもらうとプレイヤーは死んでしまう。そして画面が暗転した後,何事もなかったかのように,トラップをすべて回避することを再び要求されるのだ。

画像集 No.009のサムネイル画像 / インディーズゲームならではの尖ったタイトル「No Drugs」をPoznań Game Arenaで試遊してみた


幻覚と現実の狭間で


 「No Drugs」はW/A/S/Dで移動し,マウスでオブジェクトを拾ったり投げたりする,標準的なFPS型のアドベンチャーゲームだ。ドアの開閉などもクリックで済むので,もはやFPS型アドベンチャーの古典とも言える「Amnesia」より操作はシンプルと言えるだろう。

なんかキラキラしている
画像集 No.006のサムネイル画像 / インディーズゲームならではの尖ったタイトル「No Drugs」をPoznań Game Arenaで試遊してみた

 なお,試遊版では事実上の脱出ゲームをプレイすることになったが,「プレイヤーが直面する状況は,飲んだ薬によって変わる」らしい。マリファナを吸えばマリファナの,コカインならコカインの,それぞれ異なるステージ(とシナリオ)が用意されているというわけだ(1ステージは15分くらいでクリアできるとのこと)。
 それぞれのステージは,試遊版と同様に閉鎖空間だったり,あるいは開けた場所だったりもするが,そこで起こることは異常そのもの。ときに恐ろしく,ときに奇妙な状況を,プレイヤーは乗り越えていかねばならない。

画像集 No.008のサムネイル画像 / インディーズゲームならではの尖ったタイトル「No Drugs」をPoznań Game Arenaで試遊してみた

 その上で本作には,もうひとつ大きな謎が隠れている。最初に述べたように,本作においてプレイヤーは自分が何者か分からない。いやそれどころか,タイトルからチュートリアルにかけてのシーンが,何かの薬物を摂取したことによる幻覚ではない保証など,どこにもない。
 つまるところ本作では,何が現実で何が幻覚なのか,はっきりとしない。プレイヤーはさまざまなシナリオを体験し,断片的な情報を得ていくが,それらを組み合わせた先に見えてくる物語が真実なのか否かを断定することはできないのだ。そしてさらに困ったことに,本作はマルチエンディングを有しているので,いよいよ「本当に起きていることは何か」を判断するのは,著しく難しくなる。

タイトルからチュートリアルに至るオープニングムービー。果たしてこれは現実なのか……
画像集 No.005のサムネイル画像 / インディーズゲームならではの尖ったタイトル「No Drugs」をPoznań Game Arenaで試遊してみた


事実を踏まえた作品


 実に尖ったゲームである「No Drugs」だが,本作を作るにあたってデザインチームは,薬物中毒に陥っていた人々にインタビューし,「薬物を摂取しているとき,世界がどのように見えるのか」「薬物を摂取した人物はどのような行動をするのか」といったことを調査したという。実際,本作のストーリーの一部は実話を踏まえたものだという。

画像集 No.010のサムネイル画像 / インディーズゲームならではの尖ったタイトル「No Drugs」をPoznań Game Arenaで試遊してみた

 本作を制作しているBlack Mirror GamesのCEO,Grzegorz Piasecki氏は,「いままでになかったゲームを作りたかった」と語る。この欲求をもとに,「薬物中毒患者を真正面から扱い,彼らが主人公となるようなゲームを作ることにした」そうだ。
 確かに,これまでも一時的にプレイヤーが薬物の影響下に置かれる(そして幻覚を見たり,非現実的な世界に入り込んだりする)ようなゲームはあったが,徹頭徹尾,薬物中毒患者をプレイして,現実と幻覚の区別が最後までつかないようなゲームとなると,なかなか類例がない。

Black Mirror GamesのCEO,Grzegorz Piasecki氏(左)と,Lead DesignerのMaciej Karbownik氏(右)
画像集 No.007のサムネイル画像 / インディーズゲームならではの尖ったタイトル「No Drugs」をPoznań Game Arenaで試遊してみた

 「No Drugs」の制作にはほぼ1年を要したが,2017年の初頭にはSteamでリリースする予定だという。その後,フィードバックをもとにコンシューマ版もリリースしていきたいとのこと。とはいえこの作品,コンシューマゲームの各種表現規制的に対してどこまで大丈夫なのだろうか。そのあたりも含めて,来年の展開に期待したいところだ。


「No Drugs」公式サイト

  • 関連タイトル:

    No Drugs

  • この記事のURL:
4Gamer.net最新情報
プラットフォーム別新着記事
総合新着記事
企画記事
スペシャルコンテンツ