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[GDC 2017]ノルウェーの戦後の闇を鮮やかな痛みと共に描く。「My Child: Lebensborn」のデモをプレイしてみた
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印刷2017/03/03 20:56

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[GDC 2017]ノルウェーの戦後の闇を鮮やかな痛みと共に描く。「My Child: Lebensborn」のデモをプレイしてみた

 第二次世界大戦中,ドイツ民族の人口増加などを目的として,ドイツに占領されたノルウェーで行われた「生命の泉」(レーベンスボルン)計画は,ドイツ人とノルウェー人の間に生まれた約1万2000人の新生児という形で結実する。
 戦後,「レーベンスボルン」と呼ばれるようになった子供達は新たな里親に引き取られたが,彼らは「ナチの子供」として社会的な抑圧を受けることになる。

画像集 No.001のサムネイル画像 / [GDC 2017]ノルウェーの戦後の闇を鮮やかな痛みと共に描く。「My Child: Lebensborn」のデモをプレイしてみた

 ノルウェーのデベロッパ,SAREPTA STUDIOが制作している「My Child: Lebensborn」iOS/Android)は,そんなレーベンスボルンを引き取った里親となって,子を育てていくインディーズゲームだ。この作品を通じ,プレイヤーはレーベンスボルンに対してどのような迫害があったのか,また彼らがいかにして生きていったのかを,「親」の視点で追体験することになる。

 「My Child: Lebensborn」は,2016年にクロアチアで開催された技術カンファレンス,Reboot Developにおいてブースが出展されていた(関連記事)。だが,このときはプレイアブルなものはなく,ゲームとドキュメンタリー映画のトレイラーのみだった。
 あれから約10か月を経て,GDC 2017の併催イベントであるGDC Playに「My Child: Lebensborn」の最序盤をプレイできるデモが出展されていた。さっそく体験してきたので,どのようなゲームなのかを紹介したい。

画像集 No.004のサムネイル画像 / [GDC 2017]ノルウェーの戦後の闇を鮮やかな痛みと共に描く。「My Child: Lebensborn」のデモをプレイしてみた 画像集 No.003のサムネイル画像 / [GDC 2017]ノルウェーの戦後の闇を鮮やかな痛みと共に描く。「My Child: Lebensborn」のデモをプレイしてみた


ちゃんと作られた「育成」と「日常」パート


 本作において,プレイヤーの立場はレーベンスボルン(養育するのは1人)の里親である。プレイヤーは限られたリソース(時間とお金)を使って,我が子を育てていくことになる。
 歴史がテーマのシリアスゲームなので,そのあたりの「ゲーム的なリソース管理」は甘いバランスになっていると思ったのが,とくに資金繰りのほうは真面目に取り組まねばならないようだ。

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銀行からの厳しいお知らせ
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家計は苦しいが,子供はケーキを焼きたいと言う。ちなみに子供はLive2Dでアニメーションする

 子供には「食事」「衛生」「幸福」という3つの欲求が画面上に表示されている。時間が経過すれば空腹になるので,食事を与える必要がある。外で遊んできたら,バスルームで顔を洗ったり,風呂に入れたりしなくてはならない。幸福度が落ちたときには,一緒に遊んだり,頭をなでてあげたりするという具合だ。

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画面下にあるアイコンがそれぞれ「食事」「衛生」「幸福」のゲージ。それらを満たすための部屋に移動するボタンも兼ねている(幸福は比較的場所を選ばず,充足が可能)。右端のボタンは「居間に移動する」ボタンだ
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お風呂で体を清潔に。汚れている箇所を画面左下のスポンジを使って洗うというUI

 ゲームの基本的な進行はターン制である。
 朝が来ると子供が起きてくるので,身だしなみを整え食事を与える。そうしてうちに「朝の時間ゲージ」を使い切ったら(1アクションにつき1ゲージ減る),子供は学校へ,プレイヤーは会社へと向かう。プレイヤーは残業してお金を稼いでもいいが,そうすると子供と触れ合う時間は減ってしまう。
 夕方になったら,子供は学校から帰ってくる。再び子供に食事を与え,お風呂に入れ,場合によっては一緒に遊んだりする。そうこうしているうちに夜がふけて,子供部屋のベッドに寝かしつければ1日は終了だ。

 スケジュールの進行は一定ではなく,1日1日と順を追っていくこともあれば,一気に1か月が経過することもある。このあたりはシナリオに基づいているということだろう。
 操作自体はスムーズだったが,まだデモ版ということもあってか,随所に不親切なところがあった。このあたりは今後のリファインに期待したい。


答えられない質問にどう向き合うのか


 さて,デモ版とはいえ,すでに「ゲームを通じて制作者がプレイヤーに体験させたいこと」が鋭い刃のように埋め込まれている。

 子供を引き取ったばかりの頃は,楽しい毎日が過ぎていく(この期間はチュートリアルも兼ねている)。子供に友達ができ,誕生日にはプレゼントのボールをもらい,家ではケーキを焼いて祝う。夜になれば枕元で童話を読み聞かせ,子供は幸せに眠る。
 子供との対話は選択肢を選ぶ形で,不安はあれども穏やかで和やかな日々が過ぎていく。

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子供から絵をプレゼントされたり……
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子供の友達から手紙を受け取ったり……
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「今日は楽しかったね」

 だが,小学校に入学した途端,地獄の釜の蓋が開く。

 小学校で子供は,初めのうちは無視という形で,やがて具体的な暴力による「いじめ」を受けるようになる。

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無視という形で,すでにいじめは始まっている
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ついに上級生からの暴力を受ける

 ここにおいて,子供は鋭利な問いを投げかけてくる。

 「僕は何も悪いことをしていないのに!」

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「どうしてみんなは僕を嫌うの?」
 泥まみれになって訴える子供に対し,プレイヤーは何と答えればいいのだろう? 「ナチの子供って何?」と尋ねる子供に対し,何と答えたらいいのだろう?
 不安を訴える子供に対し,「こんなことは二度とさせないようにするから」と言って安心させようとするのはいいが,その「約束」を空手形で終わらせない覚悟と自信はあるだろうか? できもしないのに約束するのは,より残酷であるということを,かつて子供だった私達は知っているはずだ。

 デモは15分程度の内容だったが,プレイ中は倍以上の時間に感じた。完成した暁には4時間前後のプレイ時間になる見込みとのことだが,恐ろしく長い4時間になることは疑いようがない。

 「My Child: Lebensborn」は2017年夏〜秋のリリースを目指しているという。タッチパネルを使用することを踏まえて,Nintendo Switch版のリリースも考えているそうで,大いに期待したいところだ。

「My Child: LebensBorn」公式サイト

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