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「そうだアニメ,見よう」第57回は「ひそねとまそたん」。女性自衛隊員がドラゴンと空を飛ぶ,荒唐無稽なお仕事アニメ
TVアニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」や「機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ」など,数多くの話題作の脚本を手がけた岡田麿里氏。彼女と映画「シン・ゴジラ」の監督・樋口真嗣氏がタッグを組んだオリジナルアニメが「ひそねとまそたん」だ。
「そうだアニメ,見よう」第57回のタイトルとなる本作「ひそねとまそたん」は,人間関係が苦手な女性自衛隊員がドラゴンと空を飛ぶという,なんとも破天荒な物語。原案は樋口氏と岡田氏,アニメーション制作をボンズ,メインメカニックデザインに「マクロス」シリーズでお馴染みの河森正治氏が参加している。
「ひそねとまそたん」
ある日,第8格納庫に行くよう言われたひそねは,そこでドラゴンにパクリと飲みこまれてしまう。なんと空自は古来から日本に棲まう「OTF(変態飛翔生体)」を戦闘機に擬態させ,管理していたのだった。
国家機密級のOTFとの相性を買われたひそねは,OTFを体内から操縦する飛行要員「Dパイ(ドラゴンパイロット)」に任命されるが,なかなか思うように操縦できない。戸惑うばかりのひそねだったが,ドラゴンを「まそたん」と命名し,飛行訓練を続けているうちに,次第に心を通わせていく。
そんな折,各地の3基地に所属するDパイ達が岐阜基地に集結し,模擬戦を含む合同訓練が行われることになった。のんびり屋の日登美真弓(CV:名塚佳織),視線恐怖症の絹番莉々子(CV:新井里美),そしてエリート志向の強い星野絵瑠(CV:河瀬茉希)という個性的な3人と,良好な人間関係を築こうとするひそねだったが……。
「ドラゴンと空を飛ぶ」と聞くと,ファンタジックなシーンを連想するのが普通だが,本作のそれはひと味違う。操縦者はドラゴンの背中にまたがったりするのではなく,口から飲み込まれて,胃の中で彼らを操作するのだ。当然,外に出るときも口から排出されるわけで,ひそねはいつもいろいろな液体でしっとり濡れて,ヒロインらしくないことこの上ない。
本作は,そんな残念系のヒロイン達とドラゴン達との心の交流をハートフルに描いているが,そのいっぽうで,ドラゴンが擬態した戦闘機が鮮やかに大空を飛び回るという,ミリタリー要素も盛り込まれた一風変わった作品だ。
ドラゴンの戦闘機形態はF(フォックストロット)と呼称されている |
現代にドラゴンがいるというインパクト,それを自衛隊が隠しているという謎めいた設定,まそたんがひそねにしか懐かない理由など,ミステリアスな要素をはらみつつ,ストーリーはどこかのんびりとしたテンポで展開していく。SFともミリタリーとも動物ものともハッキリ決められない,不思議な魅力の作品が本作「ひそねとまそたん」なのだ。
Dパイ達の人間関係は問題だらけ
ドラゴンに搭乗するDパイ達は,ひそねをはじめどこか人間として欠陥のある女性ばかり。なかでも絵瑠は,女性初のファイターパイロットを目指すあまり,自分のドラゴンを戦闘機としてしか扱わない頑固者。第5話の無人島でのサバイバル訓練では,なんとか協力して島を脱出しようというひそね達に耳を貸さず,絵瑠は1人で行動してしまうほどだ。
男性に負けじと意地を張る絵瑠にひそね達はついていけない |
そんなひと癖もふた癖もあるDパイ達をまとめようと,ひそねは奮戦するが自身も“マジレッサー”という問題を抱えているため,なかなかうまくいかない。それでもコミュケーションをとろうとするひそねと,ほかのDパイ達の心の交流がじっくりと描かれる。
原案・シリーズ構成を担当する岡田氏は,こうした人間関係の描写に定評のある人物。今回もひそね達の未熟なやりとりを自然な形で表現している。
無人島での訓練シーン。バラバラな4人にチームワークは生まれるのか? |
ドラゴン達が大空を飛び回る飛翔シーンの魅力
ドラゴン達が偽装しているのは,現実に存在する自衛隊の戦闘機だ。まそたんはF-15J,絵瑠搭乗のドラゴン・ノーマはF-2A,真弓のドラゴン・フトモモは輸送機のC-1,莉々子のドラゴン・あけみは早期警戒機E-2Cと,それぞれドラゴンの特性にあった機体が選ばれている。
このドラゴンが戦闘機というアイデアは,樋口氏の「基地の中にはなにかいる」という想像から生まれたのだとか。機密に包まれた自衛隊では,取材しても中を見られない建物が多い。そんなときに思いついたのが,このとんでもない設定だったというわけだ。
しかし,偽装とはいえ,戦闘機の外郭を着たドラゴン達は窮屈そう。その鬱憤を晴らすかのように,ドラゴン達が自由に空を飛び回るシーンは,彼らの気持ちとあいまって,非常に爽快な気分を味あわせてくれる。戦闘機のドッグファイトシーンとは違った,生物が空を飛ぶ力強さが感じられるこの飛翔シーンは,本作の魅力のひとつだ。
ひそねらDパイとドラゴン達のほのぼのとした交流が続くと思われた本作だが,第8話で物語は急展開する。ひそね達に国家の存亡を懸けた命令が言い渡されるのだ。いまいち緊張感のないひそね達に果たして,そのような大役が務まるのか。現在第10話まで放送され,物語はいよいよクライマックスに突入している。ひそねとまそたんの任務の成否を見守ろう。
なお,これまでのあらすじを講談師・神田松之丞さんが語ってくれる「振り返りダイジェスト動画」(第1〜3話,第4〜6話)が公式サイトで公開されている。見逃したという人や,これから視聴し始める人はこの動画で予習するといいだろう。
「ひそねとまそたん」公式サイト
放映データ |
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2018年4月〜 |
キャスト | |
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甘粕ひそね:久野美咲 | 貝崎名緒:黒沢ともよ |
星野絵瑠:河瀬茉希 | 絹番莉々子:新井里美 |
日登美真弓:名塚佳織 | 樋本 貞:朴 璐美 |
小此木榛人:梶 裕貴 | 財投 豊:徳本恭敏 |
柿保令美:釘宮理恵 | 幾嶋博己:諏訪部順一 |
曽々田 弘:中田譲治 | 変態飛翔生体:神田松之丞 |
飯干:下山吉光 | 三角 棗:福本莉子 |
スタッフ |
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原作:BONES・樋口真嗣・岡田麿里 |
総監督:樋口真嗣 |
監督:小林 寛 |
シリーズ構成:岡田麿里 |
キャラクター原案:青木俊直 |
キャラクターデザイン:伊藤嘉之 |
ミリタリーアドバイザー:小柳啓伍 |
美術監督:金子雄司 |
撮影監督:佐々木康太 |
3DCG監督:安東容太 |
編集:奥田浩史 |
音楽:岩崎太整 |
音響効果:野口 透 |
アニメーション制作:ボンズ |
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<商品名>
ひそねとまそたんBlu-ray BOX 接触篇<特装版>
ひそねとまそたんDVD BOX 接触篇<特装版>
ひそねとまそたん Blu-ray BOX 発動篇<特装版>
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<収録内容>
接触篇:1〜6話収録
発動篇:7〜12話収録
<Disc数>
各巻2枚
<発売日>
接触篇:2018年10月10日(水)
発動篇:2018年11月14日(水)
<税別価格>
各巻\22,000
<特装版特典>
接触篇
●伊藤嘉之 描き下ろし三方背ケース
●伊藤嘉之 描き下ろしデジパック
●特製ブックレット
●スペシャルイベントチケット先行購入抽選申込券
●その他特典(予定)
発動篇
●伊藤嘉之 描き下ろし三方背ケース
●伊藤嘉之 描き下ろしデジパック
●特製ブックレット
●その他特典(予定)
<映像特典>
接触篇
●ED映像 OTFダンシングver.
●振り返りダイジェスト動画(第1〜3話、第4〜6話)
●ノンテロップ・歌詞テロップ付OP(少女はあの空を渡る)/ED(Le temps de la rentree〜恋の家路(新
学期)〜)
発動篇
●Anime Expo 2018 イベント映像
●振り返りダイジェスト動画(第7〜9話、第10〜12話)
●ノンテロップ・歌詞テロップ付OP(少女はあの空に惑う)
●CM集
<音声特典>
●オーディオコメンタリー
(C)BONES・樋口真嗣・岡田麿里/「ひそねとまそたん」飛実団
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