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「Radeon RX Vega 64 Liquid Cooled Edition」レビュー。動作クロックがより高く消費電力の大きい簡易液冷版はどれだけ速いのか
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印刷2017/08/31 00:00

レビュー

動作クロックがより高く消費電力の大きい簡易液冷版はどれだけ速いのか

Radeon RX Vega 64 Liquid Cooled Edition

Text by 宮崎真一


 AMDの新世代GPU「Radeon RX Vega」がデビューした。4Gamerではすでに,「Radeon RX Vega 64」(以下,RX Vega 64)の空冷版リファレンスカードと,「Radeon RX Vega 56」(以下,RX Vega 56)リファレンスカードのレビューをお届け済みだが,今回,簡易液冷クーラーを標準搭載する最上位モデル的なリファレンスカード「Radeon RX Vega 64 Liquid Cooled Edition」(以下,RX Vega 64 Liquid Cooled)も,AMDから貸し出しを受けることができた。

RX Vega 64 Liquid Cooledリファレンスカード
Radeon RX Vega

 空冷版RX Vega 64について筆者は,AMDのGPU部門であるRadeon Technologies Group(以下,RTG)の心意気や思想といったものに共感する人が,将来的なドライバの最適化や,ゲームとキャッシュシステムの互換性向上によって“化ける”ことを期待して選ぶGPUだと結論づけたわけだが(関連記事),果たしてその上位モデル的な扱いとなる簡易液冷版RX Vega 64の実力はどれほどのものか。
 空冷版と同じく,特別な製品ボックスで届いたカードをテストしてみよう。

RX Vega 64 Liquid Cooledの入っていた,レビュワー向けの特別版製品ボックス。サイズは360(W)×58(D)×356(H)mmとかなり大きい。空冷版RX Vega 64だとカードは専用のボックスに入っていたが,さすがに簡易液冷クーラークーラー付きカードはそうもいかなかったようで,スポンジで守る仕様に変わっている
Radeon RX Vega Radeon RX Vega Radeon RX Vega
製品ボックスの内容物(左)。小冊子や小箱,記念のアクリルキューブが入っているのは空冷版RX Vega 64リファレンスカードと同じだ。小箱の中にGPUのモックアップとシール4枚,リストバンドが入っているのも同じだが,小箱の中にはもう1つ,ラジエータをPCケースに取り付けるためのネジが4本入った小袋が追加となっていた
Radeon RX Vega Radeon RX Vega


動作クロックは7〜10%程度上がり,消費電力も50W増大


 本稿ではいきなりRX Vega 64 Liquid Cooledの主なスペックを表1に示してしまうが,これを見ると,「簡易液冷版と空冷版で何が違うのか」は一目瞭然だろう。そう,GPUの動作クロックである。


Radeon RX Vega
 RX Vega 64 Liquid Cooledの動作クロック設定はベース1406MHz,ブースト1677MHzで,空冷版と比べると順に約10%,約8%高い。さらに,後述するテスト環境を使って確認したところ,ブースト最大クロックは,RX Vega 64 Liquid Cooledが1750MHz,空冷版RX Vega 64が1630MHzなので,約7%高い計算になる。簡易液冷クーラーを採用することによる冷却能力がもたらす余裕を,高い動作クロックに振っているという理解で問題なさそうだ。
 一方で,広帯域幅メモリ「High Bandwitdh Memory」の第2世代モデルである「HBM2」によるキャッシュメモリ「High Bandwidth Cache」(以下,HBC)の動作クロックは1890MHz相当のまま変わっていない。

 また,気になるのは,動作クロックの引き上げに伴って,公称典型消費電力が345Wと,空冷版RX Vega 64比で50W上がっていることだ。空冷版RX Vega 64の時点で,その消費電力はかなりのものになっていただけに,ここは不安もあるが,そのあたりは後段で検証したいと思う。

AMDが示している,RX Vega 64 Liquid Cooled(と空冷版RX Vega 64,RX Vega 56)の主なスペック
Radeon RX Vega


空冷モデルより4mm長いカード長の簡易液冷モデル,その外観は「銀色の箱」

Radeon RX Vega
 というわけで,RX Vega 64 Liquid Cooledのカードを概観していこう。
 カード長は実測約272mm(※突起部含まず)で,空冷版リファレンスカードの同268mmと比べると+4mmと,わずかながら長くなっている。
 GPUクーラーは,カード全体を覆う“銀色の箱”があって,その側面,外部出力インタフェースに近いところから実測約55mmのホースが2本伸び,その先に120mm角ファン付きラジエータユニットがあるという構造だ。

2スロット占有タイプのGPUクーラーはアルミ製のカバーですっぽり覆われている。背面にもアルミ製のバックプレートが装着してあり,しかもカバー側にファンもないため,いよいよ「箱」感が高まる
Radeon RX Vega Radeon RX Vega
ホースの全長は実測約550mmと長めで,かつ柔らかい。同370mmで,しかもカード後方側からホースが出る仕様だった「Radeon R9 Fury X」と比べると,ホースの取り回しはかなりやりやすくなっている
Radeon RX Vega Radeon RX Vega

 ラジエータユニットのサイズは120(W)×63(D)×154(H)mmで,これは「Radeon R9 Fury X」に標準で付属しているのと同じ大きさである。

ラジエータユニットには,120mm角相当のファンが標準で取り付けられている,ファンのところにあるシールを除けば,R9 Fury Xが採用するのとまったく同じものかもしれない
Radeon RX Vega Radeon RX Vega

 補助電源コネクタは空冷版RX Vega 64リファレンスカードと同じく8ピン×2という構成。その近くに,GPUコアの負荷状況を示すLEDイルミネーションインジケータ「GPU Tach」があり,さらにその近くにある2つのDIPスイッチにより,GPU Tachの有効/無効と,有効時におけるLEDの色を赤/青でそれぞれ切り換えるためのDIPスイッチがあるのも空冷版RX Vega 64から変わっていない。

補助電源コネクタは8ピン×2という構成。コネクタのすぐ側にGPU TachのLEDがあり,その近くには設定用DIPスイッチがあるというデザインは,空冷版RX Vega 64と同じだ
Radeon RX Vega Radeon RX Vega

Radeon RX Vega
 ホースのすぐそばに,2つのグラフィックスBIOS(以下,VBIOS)を切り換えるためのスライドスイッチ「Dual BIOS Toggle Switch」があるのも共通だが,RX Vega 64 Liquid Cooledの場合,工場出荷時設定である,外部出力インタフェース側にスイッチの入った状態だと消費電力の目安が264Wとなるのに対し,反対側に入れるとこれが220Wにまで下がる。空冷モデルだと両者の違いは20Wだったので,簡易液冷モデルのほうがメリハリの効いたVBIOS設定になっているわけだ。

Power Profileの変更用スライドバー。日本語版だとPower Profileが「パフォーマンスプロファイル」,Turboが「ターボ」,Power Saverが「Power Save」といった具合に,微妙に原語と異なる表記なのは変わっていない
Radeon RX Vega
 Radeon Settingsの「WattMan」からは,「Turbo」「Balanced」「Power Saver」という3つの「Power Profile」が用意されているため,Dual BIOS Toggle Switchを含めると計6つの動作モードがある点も空冷モデルと同じ。ただし,Power Profileの設定項目は空冷モデルと大きく異なっており,上は303Wから下は165Wまでと,かなり幅広いものになっている。

AMDがRX Vega 64のレビュワーズガイドで示している,Power Profileの詳細。RX Vega 64のレビュー時に掲載したものと同じだが,RX Vega 64 Liquid CooledのセカンダリVBIOSが,空冷版RX Vega 64のプライマリVBIOSと同じPower Profile設定になっている
Radeon RX Vega

外部出力インタフェースはDisplayPort 1.4×3,HDMI 2.0b×1という構成で,つまりは空冷版と同じだ。空気孔の奥に見える赤い部分が簡易液冷クーラーの一部である
Radeon RX Vega
 今回もAMDから「分解禁止」とのお達しを受けているので,スリットから中を覗きつつ,AMDが公開したスライドを見て内部構造を推測するほかないのだが,高い消費電力に対応するため,電源部はかなり豪華かつ堅牢な構成になっているはずだ。
 なお,スライドを見る限り,簡易液冷ユニットはGPUだけでなく電源部の冷却も行っていることが分かる。

AMDが公開しているRX Vega 64 Liquid Cooledの内部構造。簡易液冷クーラーは,GPUだけでなく,電源部の冷却も目的にしていることが見て取れる
Radeon RX Vega


TurboとBalanced,2つの動作モードでテスト。ドライバには最新の17.8.2を利用


Radeon RX Vega
 テスト環境のセットアップに入ろう。今回,比較対象としては,RX Vega 64の空冷版リファレンスカード,そして競合製品である「GeForce GTX 1080 Ti」(以下,GTX 1080 Ti)と「GeForce GTX 1080」(以下,GTX 1080)の両「Founders Edition」を用意した。なお,RX Vega 64 Liquid Cooledは前述のとおり6つの動作モードを持つが,今回は工場出荷時設定であるBalancedと,最も高い性能の期待できるTurboを利用することにしている。スケジュールの都合上,空冷版RX Vega 64は工場出荷時設定であるBalancedのみになる点はお断りしておきたい。

 テストに用いたグラフィックスドライバはRadeonの2製品が「Radeon Software Crimson ReLive Edition 17.8.2」,GeForceの2製品が「GeForce 385.41 Driver」で,いずれもテスト開始時点における公式最新版である。
 そのほか,テスト環境は表2のとおりだ。


 テスト方法は4Gamerのベンチマークレギュレーション20.0に準拠。ただし,グラフィックスカード単体の消費電力測定は,機材トラブルが解決できていないため,後日の宿題とさせてほしい。
 ゲームアプリケーションのテスト解像度は,RX Vega 64がハイエンド市場向けということもあり,3840×2160ドットと2560×1440ドット,1920×1080ドットの3つを選択している。


空冷モデル比でざっくり10%の性能向上を実現。GTX 1080と互角かそれ以上に立ち回る


 以下,グラフ中に限り,RX Vega 64 Liquid Cooledの両動作モードを「RX Vega Liquid(Turbo)」「RX Vega Liquid(Balanced)」,そして空冷版RX Vega 64も動作モードを明確にすべく「RX Vega 64(Balanced)」と表記することをお断りしつつ,テスト結果を順に見ていこう。

 グラフ1は「3DMark」(Version 2.3.3732)のDirectX 11テストである「Fire Strike」の総合スコアをまとめたもの,グラフ2はそこから事実上のGPUテストである「Graphics test」のスコア「Graphics score」を抜き出したものだ。RX Vega 64 Liquid Cooledは空冷版RX Vega 64に対し,Turboモードで7〜12%程度,Balancedモードで6〜8%程度高いスコアである。「Balancedモードで比較した場合に,ブースト最大クロックが空冷版と比べて約7%高い」ことを踏まえると,おおむね妥当な結果が出ていると言えるだろう。

 また,RX Vega 64 Liquid CooledのBalancedモードがGTX 1080に対して6〜10%程度高いスコアを示している点もトピックだ。高負荷になるほどスコア差は開いていっているので,全体として優位に立ち回っていると述べて差し支えない。
 ただ,GTX 1080 Tiにはかなり置いて行かれているのも確かだ。RX Vega 64 Liquid Cooledに「最速」の夢を見るのは難しそうである。


 グラフ3は同じく3DMarkから,DirectX 12ベースのテストである「Time Spy」の総合スコアとGraphics scoreをまとめたものになる。
 ここでも,Balancedモードで比較するとRX Vega 64 Liquid Cooledは空冷版RX Vega 64と比べて7〜9%程度高いスコアであり,また対GTX 1080で6〜8%程度高いスコアなので,Fire Strikeと同じ傾向と言っていいだろう。なお,TurboモードだとBalancedモードよりも約3%程度高いスコアが得られるが,この傾向もFire Strikeと大きくは変わらない。


 「Superposition Benchmark」(以下,Superposition)の総合スコアがグラフ4となるが,ここでRX Vega 64 Liquid Cooledは空冷版RX Vega 64に対して10〜11%程度と,動作クロックの違い以上に大きなスコア差を示した。Superpositionにおいては,簡易液冷クーラーを搭載するほうが,より高い動作クロックに入りやすい(≒クロックが落ちにくい)ということなのだろう。
 また,その結果として,空冷モデルだとGTX 1080に対して若干届かないところが,RX Vega 64 Liquid Cooledでは互角以上に立ち回れている点も押さえておきたい。Turboモードになると,テストした全条件でGTX 1080を上回った。


 続いてSuperpositionの平均およびフレームレートと最小フレームレートの結果がグラフ5〜7となる。
 基本的には総合スコアを踏襲した結果になっているが,「1080p High」でBalancedモードのRX Vega 64 Liquid CooledがGTX 1080を上回っている点は,平均フレームレートで見たほうが分かりやすいかもしれない。


 グラフ8〜10は「Prey」の結果だが,ここでは解像度1920×1080ドット条件において,相対的なCPUボトルネックによるスコアの頭打ちが見られる。
 そこで2560×1440ドット条件以上で比較することになるが,BalancedモードのRX Vega 64 Liquid Cooledは,同モードの空冷版RX Vega 64に対して7〜15%程度高いスコアを示した。平均フレームレートではGTX 1080に対しても7〜8%程度高い結果なので,「完全に上回った」と言えるレベルである。
 一方,Turboモードの効果は限定的で,最小フレームレートを中心に,若干向上する程度に留まった。


 「Overwatch」の結果がグラフ11〜13となる。ここでもまずはBalancedモードのRX Vega 64 Liquid Cooledと空冷版RX Vega 64の比較を行ってみるが,スコア差は平均フレームレートで13〜14%程度,最小フレームレートだと12〜15%程度高い。このクラスのGPUからすると,Overwatchの描画負荷は大きくないため,動作クロックの違いがスコアを左右しやすいということなのだろう。
 その割にTurboモードのスコアがいまいち振るわないわけだが,Balancedモードで十分に高いスコアが得られるため,そこからの上積みが少ないのだと考えられる。

 対GTX 1080だと,RX Vega 64 Liquid Cooledのスコアはあと一歩といったところ。完敗している空冷版RX Vega 64との違いは明らかだ。


 17.8.2ドライバで最大18%の性能向上が得られたという「PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS」(以下,PUBG)。その結果がグラフ14〜16だ。
 主役の話をする前に,空冷版RX Vega 64において17.8.2ドライバの効果を確認してみると,8月14日のレビュー記事掲載時にBalancedモードの空冷版RX Vega 64は,GTX 1080に対し,平均フレームレートで72〜77%程度,最小フレームレートで73〜79%程度のスコアとなっていた。それが今回は順に73〜83%程度,76〜86%程度だ。「18%」はともかく,確かに最適化は進んでいると言っていいだろう。

 それを踏まえてRX Vega 64 Liquid Cooledだが,Balancedモードで空冷版RX Vega 64に対して平均フレームレートでは8〜10%程度高いスコアを示した。対GTX 1080だと依然として80〜89%程度なので,厳しい戦いなのは変わらないが,だいぶ持ち直しているのは間違いない。
 Turboモードが,2560×1440ドットにおいて,レギュレーション20世代で合格ラインとする最小60fps(平均70fps)をクリアしている点も注目したいところである。


 グラフ17〜19は「Tom Clancy’s Ghost Recon Wildlands」(以下,Wildlands)の結果だ。ここでもBalancedモードで比較したときRX Vega 64 Liquid Cooledは空冷版RX Vega 64に対して平均フレームレートで6〜10%程度,最小フレームレートで9〜10%程度高いスコアを示し,2560×1440ドット以上の条件ではGTX 1080をも完全に上回った。
 一方,Turboモードの恩恵はほとんどないと言っていい。


 次にグラフ20は「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」(以下,FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチ)の総合スコアだが,ここでもRX Vega 64 Liquid CooledのBalancedモードは空冷版RX Vega 64のBalancedモードに対してスコアを伸ばしている。よく見ると1920×1080ドット条件ではCPUボトルネックが近いためかスコア差は縮まっているものの,2560×1440ドット以上の条件では9〜10%程度高いスコアだ。
 ファイナルファンタジーXIVはNVIDIAのゲーム開発支援プログラム「GameWorks」の下で開発されていることもあり,競合と比べるとさすがに分が悪いものの,Balancedモードで93〜96%程度のところまで詰めているので,かなり頑張っているとは言えるだろう。


 グラフ21〜23はそんなFFXIV紅蓮のリベレーター ベンチの平均フレームレートと最小フレームレートをまとめたものだが,端的に述べて,総合スコアを踏襲した形となっている。


 性能検証の最後は空冷版RX Vega 64のスコアが良好だった「Forza Horizon 3」だが,RX Vega 64 Liquid Cooledはそれに輪をかけて景気のいいものになっている。グラフ24〜26を見ると分かるが,BalancedモードのRX Vega 64 Liquid Cooledは,同モードの空冷版RX Vega 64に対して平均フレームレートで10〜19%程度高いスコアを示した。対GTX 1080だと17〜20%程度も高いので,これは「圧倒」と呼んで差し支えない。とくにForza Horizon 3だとGeForce勢は最小フレームレートが低く出るため,Radeon勢の優秀性が光る。



さらに電力食いとなった簡易液冷モデル。TurboモードはGTX 1080の倍近い結果に


 さて,前述したとおり,簡易液冷モデルでは公称典型消費電力が空冷モデルから50W増加している。もともと消費電力が低いわけでないRX Vega 64は,この50W増でどういう消費電力特性を見せることになるのか,今回も,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて,システム全体の消費電力を比較してみよう。

 テストにあたってはゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイ出力が無効化されないよう指定したうえで,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点を,タイトルごとの実行時とした。
 その結果はグラフ27のとおり。まずアイドル時だが,RX Vega 64 Liquid Cooled搭載環境は動作モードを問わず71Wと,空冷版RX Vega 64環境比で若干大きくなった。これは,標準で組み合わせられるポンプユニットの分と考えるのが妥当だろう。ただ,競合製品と比べてこの時点ですでに10W以上大きいのは,ちょっと無視できない。

 さて,各アプリケーション実行時を見ていくと,Balancedモードで比較したとき,空冷版RX Vega 64に対して,RX Vega 64 Liquid Cooledは65〜101Wと,かなり増大してしまった。Turboモードに至ってはそこからさらに65〜107W増えており,スコアにしてなんとGTX 1080搭載環境比のざっくり2倍である。Turboモードは,消費電力は一切気にすることなく,「これをベースに自己責任でオーバークロックして使いたい」人向けといった印象だ。


 簡易液冷CPUクーラーの冷却能力も確かめておこう。ここでは,3DMarkのFire Strike Ultraを30分間連続実行した時点を「3DMark時」として,アイドル時ともども,簡易液冷モデルと空冷モデルはRadeon SettingsのWattManで,GTX 1080 TiとGTX 1080は「GPU-Z」(Version 2.2.0)からGPU温度を追うことにした。その結果がグラフ28だ。
 テスト時,システムはPCケースに入れることなく,いわゆるバラックの状態で室温24℃の環境に置いている。

 今回用意したカードはすべてクーラーがすべて異なり,RX Vega 64搭載カードであっても,採用している温度センサーの配置が簡易液冷モデルと空冷モデルで異なる可能性を否定できない。そのため,横並びの比較にはまったく適していないので,その点はくれぐれも注意してほしいが,スコアを見ると,RX Vega 64 Liquid Cooledはさすが簡易液冷というスコアになっている。アイドル時,3DMark時ともに,文句なしに低い。
 PCケースへ組み込むと,取り入れられる外気の量によって冷却能力は影響を受けるはずだが,それを差し引いても冷却能力は高いと言っていいのではなかろうか。


 なお,気になる動作音だが,筆者の主観であることを断ったうえで述べると,かなり静かだった。少なくとも,今回テストした4製品の中では最も静かで,このあたりはさすが,大型のファンを利用できる簡易液冷といったところか。


GTX 1080の対抗馬としての性能は十分ながら,高すぎる消費電力が最大のネックに


Radeon RX Vega
 以上,RX Vega 64 Liquid Cooledを見てきた。
 こと3D性能に特化して話をするのであれば,空冷版RX Vega 64が「今度のドライバアップデート次第で,競合といい感じに戦えるかも」という仕上がりだったのに対し,今回の簡易液冷版からはは,「とりあえず今すぐGTX 1080と戦えるレベルに仕上げてみました」という,RTGのメッセージを強く感じることができる。もちろんこちらにも,ドライバの最適化による,さらなる性能向上への期待が可能だ。

 しかし,それを実現するために支払っているコストとしての消費電力は,大きなマイナスポイントと言わざるを得ない。空冷版RX Vega 64の時点で消費電力対性能比は競合に大きく置いていかれることを筆者は指摘したが,RX Vega 64 Liquid Cooledは,そこからさらに,しかも大幅に1Wあたりの性能が悪化している。
 今回取得した消費電力のスコアはあくまでシステム全体のもので,GPUそのものではないが,それを無視してあえて乱暴に計算してみると,PUBGを解像度1920×1080ドットでプレイする場合に,1Wあたりに実現できる平均フレームレートはRX Vega 64 Liquid CooledのBalancedモードが約0.19fps,GTX 1080が約0.42fpsなので,なんと半分以下だ。

 2017年8月31日現在,リファレンスデザインを採用するRX Vega 64 Liquid Cooledの実勢価格は9万2400〜3000円程度。競合のGTX 1080を搭載するカードの実勢価格が6万7000〜7万9000円程度で,ブランドを選ばなければGTX 1080 Tiカードも8万円台後半から購入できてしまうことを考えると,RX Vega 64 Liquid Cooledは,ごく一部のRadeonファン向けコレクターズアイテムということになるのではなかろうか。

Radeon RX Vega

Radeon公式Webサイト「Radeon.com」


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