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[GDC 2017]「Radeon RX Vega」はメモリ2〜4GBモデルもあり? 次世代GPUの情報がまた少し明らかになったAMDイベントレポート
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印刷2017/03/01 21:54

イベント

[GDC 2017]「Radeon RX Vega」はメモリ2〜4GBモデルもあり? 次世代GPUの情報がまた少し明らかになったAMDイベントレポート

画像集 No.002のサムネイル画像 / [GDC 2017]「Radeon RX Vega」はメモリ2〜4GBモデルもあり? 次世代GPUの情報がまた少し明らかになったAMDイベントレポート
 既報のとおり,北米時間2017年2月28日,AMDは,GDC 2017に合わせて自社イベント「Capsaicin & Cream」を開催した。
 AMDの次世代GPUである開発コードネーム「Vega」の詳細が明らかになると期待した人もいただろうが,蓋を開けてみると,明らかになったのはVegaの製品名が「Radeon RX Vega」になったことぐらい。ほかに新情報と呼べるようなものはあまりなく,会場を見渡しても,肩すかしを食わされた気になった人は少なくなかったようだ。

 とはいえ,次世代ハイエンドGPUの製品名以外に見るものが皆無だったわけではない。AMDのGPU部門を率いるRaja Koduri(ラジャ・コドゥリ)氏が登壇し,デモを交えてVegaの鍵となる技術を説明したり,VegaにおけるGPU仮想化の話題を取り上げたりしたあたりは,注目に値するだろう。今回はそれらVegaに関わる部分に絞って,イベントをレポートしたいと思う。

Raja Koduri氏(Senior Vice President and Chief Architect, Radeon Technologies Group, AMD)が,Radeon RX Vegaの名称とロゴマークを発表したのが,イベントの目玉だった
画像集 No.003のサムネイル画像 / [GDC 2017]「Radeon RX Vega」はメモリ2〜4GBモデルもあり? 次世代GPUの情報がまた少し明らかになったAMDイベントレポート 画像集 No.004のサムネイル画像 / [GDC 2017]「Radeon RX Vega」はメモリ2〜4GBモデルもあり? 次世代GPUの情報がまた少し明らかになったAMDイベントレポート


Vegaは4GBのグラフィックスメモリでも快適に動作


 イベントの冒頭でKoduri氏は,「ゲーム,プロ向けグラフィックス,そして人工知能(AI)の分野をカバーするGPUである」とVegaを位置づけ,それを支える重要な要素技術が4つあることを示した。
 実のところ,下のスライドに出ている4要素は,2016年12月に開催されたAMDの報道関係者向けイベントで公表済みのものだ。つまり,これら自体に新しさはない。

 ただ今回のイベントでは,4要素のうち,「HBM2」と呼ばれる広帯域メモリをオンパッケージで「High Bandwidth Cache」として実装するにあたって採用したメモリコントローラ「High-Bandwidth Cache Controller」(以下,HBCC)と,改良版Compute Unitである「Next-Gen Compute Unit featuring RPM」については,デモを交え,一歩踏み込んだ解説を行った。

Koduri氏が掲げたVegaが備える4つの特徴
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 とくに興味深かったのは,Vegaのキャッシュ管理機構であるHBCCの説明とデモだ。
 Koduri氏はまず,「今日(こんにち)のゲームは,メモリバス帯域幅の50%しか活用できていないが,HBCCによって,これを100%活用できるようになる。また,メモリバス帯域幅を有効活用することで,CPU負荷の低減も図れる」と述べている。
 これを踏まえて披露したのが,「Deus Ex: Mankind Divided」をVega搭載PCで実行したときのフレームレートの変化を見るデモだ。
 下はデモの様子を撮影したものだが,左のHBCCオフに対して,右のHBCCオン状態では,最小フレームレートが2倍以上,平均フレームレートでも1.5倍以上向上しているという。

Vega搭載PCによるDeus Ex: Mankind DividedにおけるHBCCオン,オフのフレームレート比較。最小フレームレートの向上が著しい
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 筆者が気になったのは,Koduri氏が「このデモは容量4GBのグラフィックスメモリを搭載したVegaによるもの」と語っていた点だ。さらに氏は,「HBCCによって,容量2GBのグラフィックスメモリでも(従来型のGPUにおけるグラフィックスメモリ容量)4GB(搭載モデル)以上の性能が得られる」とも述べている。
 これらの発言は,製品版のVegaでもグラフィックスメモリ容量4GBや2GBのモデルが登場するという意味なのか,それともデモ機限定や仮定の話なのか? Koduri氏はそれ以上の説明をしなかったので,具体的なところは不明だ。ただ,Vegaが採用するHBM2のコストがそれなりに高いであろうことと,Koduri氏の口ぶりから推測すると,登場の予想されるHBM2容量8GBモデルだけでなく,容量4GBモデルや2GBモデルのVegaが登場する可能性もありそうである。

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 HBCCのデモに続いて行われたのが,Next-Gen Compute Unit featuring RPMのデモである。
 VegaでAMDは,GCNアーキテクチャにおける演算ユニット「Compute Unit」を拡張して「Next-Gen Compute Unit」(以下,NCU)とした。そしてNCUは,FP16とINT8のPacked演算をサポートするようになったのが特徴である。
 Packed演算のことをKoduri氏は「Rapid Packed Math」(RPM)と呼び,「これを利用することで,従来のGPUと比べて2倍以上の演算速度をVegaは実現できる」と述べ,その具体的なゲームにおける事例の1つとして,物理シミュレーションにより髪の毛の動きを表現する「TressFX Hair」のデモを披露した。
 1基で,1クロックあたり64個のFP32積和算(2 Ops)を実行できるNCUは,Packed演算により,1クロックあたり128個の半精度浮動小数点(FP16)演算を行える。そのため,TressFX HairをFP16で実装すれば,1秒間で処理できる髪の量を従来比で2倍にできることになる。

RPMを利用したTressFX Hairのデモ。RPMがオフの状態(左)とRPMオン状態(右)を比較すると,オフ時が1秒あたり55万に対して,オン時は120万と,ほぼ2倍になった
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 「RPMは,AIにおいても有効である」とKoduri氏。Radeon RX Vegaのリリース後,Packed演算周りは広く訴求されることになるだろう。


GPU仮想化でクラウドゲームサーバーも狙うVega


 今回のイベントで新しい話題として出てきたものに,VegaにおけるGPU仮想化がある。GPUの仮想化自体は,AMDも以前から取り組んでいたが,「Vegaにおける仮想化」の話が出たのは,筆者の記憶する限り,今回が初めてではないかと思う。

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 イベントでは,Vegaにおける仮想化の応用例として,クラウドゲームサービス=インターネットを介したゲームストリーミングが取り上げられた。
 クラウドゲームサービスでは,データセンターにあるGPU上でゲームを実行して,その結果を映像データとしてユーザーまでストリーミング配信する必要がある。ここで仮想化技術を使い,1基のGPUで同時に複数のゲームを実行,配信することができれば,サービス提供者側のコストが下がるわけだ。
 それを実現するため,VegaコアのGPUには,仮想化に対応したビデオエンコード機能「Radeon Virtualized Encode」が備わっているという。

Ian McLoughlin氏(CEO,LiquidSky)
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 イベントには,AMD製GPUによるクラウドゲーム環境の開発に取り組むLiquidSkyのCEOであるIan McLoughlin(イアン・マクローリン)氏が登場。LiquidSkyの持つクラウドゲームサービス技術の特徴や,Vegaへの期待を語っていた。

 1基のVegaで多数のユーザーにサービスを提供できれば,クラウドゲームサービスの分野は,さらに活気づく可能性があるだろう。ただ,データセンター向けGPUやクラウドゲームサービスの分野では,NVIDIAが圧倒的に先行しているのが実情だ。これから後を追うAMDが,どこまでNVIDIAに迫れるだろうか。


Radeon RX 400シリーズに最適化した「Sniper Elite 4」のデモを披露


Sniper Elite 4の開発を担当したRebellionのChris Kingsley氏(CTO,Rebellion)
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 今回のイベントで最も注目の集まったのが,Vegaであることに疑いはない。ただ,AMDとしては,現行製品であるRadeon RX 400シリーズを放置しているわけではなく,Radeonに最適化された最新ゲームのアピールも行っていた。
 その1例として,Koduri氏が「新世代のAPIとソフトウェアの素晴らしいコラボレーションの成功例」と紹介したのが,2017年2月にリリースされたばかりの「Sniper Elite 4」だ。

 DirectX 12を活用しているSniper Elite 4で,4K解像度の「Very High Textures」設定を「Radeon RX 480」のシングルGPU構成で実行した場合,フレームレートは30fps程度になる。それに対し,2-way CrossFireによるマルチGPU構成で実行すると,きっかり2倍となる約60fpsのフレームレートが得られるとのことである。
 Sniper Elite 4は,Radeon Technologies Groupが2016年末にリリースした,「マルチGPU化を容易にするライブラリとサンプル」の実装に成功したタイトルの第1弾だそうで,Koduri氏もその成果に誇らしげであった。

Radeon RX 480のシングルGPU構成(左)と比べて,2-way CrossFire構成(右)では,4K解像度の「Very High Textures」設定におけるフレームレートが倍になるそうだ
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Radeon 公式Webサイト(英語)

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