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「艦これ」Android版を快適に動かせる端末はどれだ? スマートフォン&タブレット8機種で先行運用版の動作を検証してみた
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印刷2016/07/02 00:00

テストレポート

「艦これ」Android版を快適に動かせる端末はどれだ? スマートフォン&タブレット8機種で先行運用版の動作を検証してみた

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 去る2016年6月10日,Android端末用「艦隊これくしょん -艦これ-」(以下,艦これ)の先行運用版がリリースされた。
 先行運用版とは,本番のサービス開始を前に,抽選で選ばれたユーザーを対象に行っているテスト版のこと。正式なスタート時期はまだ確定していないが,今夏のサービス開始に向けて開発が進んでいるようだ。

 Android版艦これがあれば,Androidスマートフォンやタブレット端末を使い,移動中でも手軽にプレイできるようになるわけで,「出先からでもサクッと遠征回しができる,キラ付けができる」とか「イベント期間中でも,フルタイムで攻略を進められる」といった具合に,期待に胸を膨らませている熱心な提督も少なくないのではないか。あるいは,艦これのためだけに買ったWindowsタブレットを持ち歩く必要がなくなると,喜んでいる人もいるだろう。

 そこで本稿では,最新のハイエンドスマートフォンから低価格なSIMロックフリースマートフォン,タブレット端末など計8機種のAndroid端末を用いて,どれくらいのスペックがあればAndroid版艦これを快適にプレイできるのかを検証してみることにした。
 現在進行形で開発が進んでいるアプリであるため,本稿執筆時点での情報と正式リリース版でのそれが異なる可能性は否定できないのだが,自分の端末で快適に動くのか,艦これ用に端末を選ぶときの基準といったものが,8製品を並べてテストすれば見えてくるのではないかと考えた次第である。提督諸兄における快適な艦これライフの一助になれば幸いだ。

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公式の動作確認機種には「推奨」とそれ以外がある


 検証に進む前に,Android版艦これが動作する端末の基準を明確にしておこう。
 艦これ運営担当鎮守府は,公式Webページにて推奨動作環境と動作確認機種の一覧を発表している。そこに明記された推奨環境は,以下のとおりだ。

  • OS:Android 4.4以上
  • CPU(動作クロック):1GHz以上
  • メモリ(メインメモリ容量):1GB以上
  • 本体空き容量(内蔵ストレージ空き容量):100MB以上

 これだけ見ると,低スペックのAndroidスマートフォンでも動作することになり,「なんだ,これならどの端末でも快適に動くんじゃないの?」と思うかもしれない。だが,実態はそう単純なものでもないようだ。

6月22日時点における動作確認済み端末の一覧。クリックするとフルサイズの画像を表示します
画像集 No.012のサムネイル画像 / 「艦これ」Android版を快適に動かせる端末はどれだ? スマートフォン&タブレット8機種で先行運用版の動作を検証してみた
 艦これ運営担当鎮守府が6月22日付けで発表した,Android版艦これの先行運用における動作確認済み端末の一覧を見てみると,NTTドコモとKDDI(au),ソフトバンクの3キャリア製品を中心に,ここ数年の端末201機種が列挙してある。
 問題は,ここに並んでいる端末のすべてでまったく問題なくプレイできるわけではないということだ。端末名の前には「」「」という記号があるのだが,「推奨端末」という扱いなのは前者だけで,後者は「他機種と一部挙動が異なるものの、「艦これ」プレイが可能な端末」(※原文ママ,以下 対応端末)という扱いになっているのである。

 6月22日付けのリストにおいて,◎付きの推奨端末は132製品,○付きの対応端末は69製品。ただし,新しめの端末であれば全部◎かというとそうではなく,2015年冬モデルの「Nexus 5X」や,2016年5月発売の「Galaxy S7 edge」をはじめとするSamsung Electronics製端末の多くが○付きの対応端末扱いだったりと,どういう理由で◎と○に分かれるのか,ぱっと見ただけではよく分からない。

 一覧を見ただけではよく分からないとなれば,実際に検証してみるしかない。
 そこで今回の検証では,搭載SoC(System-on-a-Chip)のスペックを基準として,2014年後半から2016年前半に発売されたハイエンド,ミドルクラス,エントリー向けのスマートフォンを7製品と,タブレット端末1製品を,「なるべく異なるSoCを搭載するもの」という基準で選んでみた。6月22日付けのリストにおいて推奨端末なのか対応端末なのか,リスト外なのかといった情報も含め,製品概要は下にまとめたので,参考にしてほしい。
 なお,各製品の説明は省略しているので,詳しく知りたい人はキャプションにある関連記事を参照してもらえれば幸いだ。

Snapdragon 8xx系列搭載スマートフォン
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Galaxy S7 edge SC-02H
メーカー:Samsung Electronics
SoC:Snapdragon 820(MSM8996)
メインメモリ容量:4GB
パネルサイズ:5.5インチ
解像度:1440×2560ドット
2016年5月発売(関連記事
公式の動作確認:「○」
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Xperia Z4 SO-03G
メーカー:ソニーモバイルコミュニケーションズ
SoC:Snapdragon 810(MSM8994)
メインメモリ容量:3GB
パネルサイズ:5.2インチ
解像度:1080×1920ドット
2015年5月発売(関連記事
公式の動作確認:「◎」

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BlackBerry Passport
メーカー:BlackBerry
SoC:Snapdragon 801(MSM8974AA)
メインメモリ容量:3GB
パネルサイズ:4.5インチ
解像度:1440×1440ドット
2015年10月発売(関連記事
公式の動作確認:リスト外
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GALAXY S5 Active SC-02G
メーカー:Samsung Electronics
SoC:Snapdragon 801(MSM8974AC)
メインメモリ容量:2GB
パネルサイズ:5.1インチ
解像度:1080×1920ドット
2014年10月発売(関連記事
公式の動作確認:「○」

Snapdragon 615/410搭載スマートフォン
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AXON mini
メーカー:ZTE
SoC:Snapdragon 615(MSM8939)
メインメモリ容量:3GB
パネルサイズ:5.2インチ
解像度:720×1280ドット
2015年12月発売(関連記事
公式の動作確認:リスト外
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ZenFone Max
メーカー:ASUSTeK Computer
SoC:Snapdragon 410(MSM8916)
メインメモリ容量:2GB
パネルサイズ:5.5インチ
解像度:720×1280ドット
2015年12月発売(関連記事
公式の動作確認:リスト外

その他のSoCを搭載するスマートフォン
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BLADE E01
メーカー:ZTE
SoC:MTK6735P
メインメモリ容量:1GB
パネルサイズ:5インチ
解像度:720×1280ドット
2016年7月発売(関連記事
公式の動作確認:リスト外
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Predator 8
メーカー:Acer
SoC:Atom x7-Z8700
メインメモリ容量:2GB
パネルサイズ:8インチ
解像度:1200×1920ドット
2016年2月発売(関連記事
公式の動作確認:リスト外

 ちなみに,Snapdragon 8xx系列だけで4機種もあるが,2014年モデルもあれば2016年モデルもありと,中身はかなりばらけている。各端末が搭載するSoCのスペックは,表2にまとめておこう。

表2 今回用意した端末が搭載するSoCの主な仕様
名称 CPU CPU最大動作クロック 統合型GPU
Snapdragon 820(MSM8996) Kryo×4 2.2GHz Adreno 530
Snapdragon 810(MSM8994) Cortex-A57×4
Cortex-A53×4
2GHz Adreno 430
Snapdragon 801(MSM8974AA,MSM8974AC) Krait 400×4 2.2GHz(MSM8974AA)
2.5GHz(MSM8974AC)
Adreno 330
Snapdragon 615(MSM8939) Cortex-A53×8 1.7GHz Adreno 405
Snapdragon 410(MSM8916) Cortex-A53×4 1.2GHz Adreno 306
MTK6735P Cortex-A53×4 1.3GHz Mali-720
Atom x7-8700 Airmontコア×4 2.4GHz Intel HD Graphics(第8世代)

 なお,今回は艦これの動作に特化したテストであるため,一般的なベンチマークテストによる性能検証は行っていない。BlackBerry PassportとBLADE E01以外の製品は,上で紹介した製品写真のキャプションからテスト記事へのリンクを張っているので,艦これ関連以外の性能を知りたい人は,そちらを参照してもらえればと思う。


艦これの快適さを動画でチェック

SoC性能が高い=快適ではない?


 それでは検証を進めていこう。
 言うまでもないが,艦これにはベンチマークモードがない。そこで,プレイの様子を録画して,描画状況を確認,比較するという手段で検証することにした。基本的には,6月22日に配信となったクライアントのアップデートを適用した状態で撮影しているのだが,機材貸し出しスケジュールの都合により,BLADE E01のみ,クライアントアップデート前の状態であることをお断りしておきたい。

 テストプレイの手順は毎回共通で,起動画面で「スタート」(BGMあり)を選び,1−1へ出撃。1−1を勝利したら撤退して母港に戻るまでを1セットとしている。なお,撮影の前には同じ内容で一度プレイし,端末側にデータをキャッシュしておいた。これは通信回線による影響を最小限にするためだ。
 花びらや紙吹雪といった画面上で何かが動くときのスムーズさや,画面遷移のスムーズさに注目すると,違いが分かりやすいかと思う。









BlackBerry Passportが意外なほど快適だった。とはいえ,画面が小さくタッチしにくいので,本格的な艦これ用端末としてはお勧めしづらいが
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 動画を見ると,やはり推奨端末であるXperia Z4の動きが良好だ。「快適な動作」の基準はこれくらいの動きだという理解でいいだろう。
 それを基準に見ていくと,BlackBerry Passportも同じくらいヌルヌル動いているのが分かる。筆者も驚いたが,1440×1440ドットという特殊な解像度の端末なので,実際に描画している範囲は画面全体の6割弱にすぎず,描画負荷が低かった可能性がある。ある意味,かなり例外的な結果ではないかと思う。
 そのほかだと,○付きの対応端末となるGALAXY S5 Activeは快適に動作していた。AXON miniやZenFone Maxといった,動作確認済み端末リストにない製品でも,問題なく動作しているのを確認できよう。

Windowsタブレットを使ったモバイル艦これ時もそうだったが,完全勝利時の演出が重いのは,スマートフォンでも同様だ。表示負荷の傾向はブラウザ版と変わらないように見える
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 今回テストした端末の中で最もスペックの低いBLADE E01がやや動きに滑らかさを欠いているのは納得できる。その一方で,ゲーマー向けタブレットを謳うPredator 8も,それとあまり変わらないのが意外だ。付け加えると,Predator 8の場合,タップしたときに,引っかかりのような反応の悪さを感じた。
 さらに,今回の端末では最も新しくスペックも高いはずのGalaxy S7 edgeが,目に見えて動きに滑らかさを欠くというのも驚いた。Galaxy S7 edgeは○付きの対応端末なのだが……。

 Android版艦これの通信周りを解析した有志により,本作は,Adobe Systemsのアプリケーション実行環境「Adobe AIR」を使うアプリであることが判明している(関連リンク)。つまり,Flash Playerで動くブラウザ版をAdobe AIR用に変換したうえで,タッチやスワイプといったスマートフォン操作に対応させたり,スマートフォン向けのチューニングを加えたりしたものだというわけである。
 画面解像度が高くなると,ブラウザ版の艦これの表示負荷が高くなるのはよく知られたことだ。なので,「Adobe AIRで動く艦これでも同じ現象が起きていて,画面解像度が1440×2560ドットと高いGalaxy S7 edgeは,そこで割を食っている」という可能性はあるかもしれない。

 ただ,そう仮定したとき,1つの疑問が浮かぶ。
 今回のテスト対象ではないのだが,ソニーモバイルコミュニケーションズ製の「Xperia Z5 Premium SO-03H」は,2160×3840ドットと非常に高い画面解像度を備えているにも関わらず,推奨端末となっているのだ。また,Galaxy S7 edgeと同じ画面解像度を備えた「arrows NX F-02H」が,やはり推奨端末だったりする。
 艦これ運営側では,推奨端末なら快適だと明言していたりはしないので,これらの端末で実際にどういう挙動なのかは要確認だが,それでも,「画面解像度と快適度が反比例するわけではなさそう」ということは言える。

画像データもブラウザ版から変更はないようで,画面全体は少しぼやけた感じ,フォント部分は鮮明になる仕様だ
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 いずれにしても,艦これを滑らかに表示できるかどうかは,SoCのスペックで決まるわけではないと判断できる。ただ,表示に滑らかさを欠いたものがあるとはいえ,今回テストした8機種はいずれも,プレイできないレベルの問題がないのも確かだ。


CPUの挙動をリアルタイムでチェック

描画が遅くなる原因はクロックの変動にあり?


 なぜSoCのスペックと艦これの快適さが比例しないのか。可能性として考えられるのは,端末メーカーごとのチューニングの影響だ。
 とくにスマートフォンの場合,同じSoCを搭載していても,バッテリー駆動時間の延長や発熱の低減を目的に,メーカー独自の調整によってCPUや統合型GPUの動作クロックに細かく変化を付けることがある。筆者が今までテストしてきたスマートフォンを振り返ると,とくにシャープのAQOUSシリーズは,バッテリー駆動時間重視でSoCが持つ性能を制約している傾向にあった。艦これでも,それがネックになっている可能性はあるかもしれない。

Intel Performance Viewer。画面上に半透明のグラフを表示して,CPU負荷や動作クロックなどをリアルタイムに確認できる。ログの保存機能があればよかったのだが,それはない
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 実際のところはどうなのか。Android版艦これ実行中のCPU使用率や動作クロックをチェックしてみよう。
 テストに使用したアプリは「Intel Performance Viewer」。名前で分かるとおりIntel製だが,他社のSoC上でも動作し,CPUやメインメモリの使用率やCPU動作クロック,通信データの送受信量,バッテリーの状態などを,アプリの画面上にオーバーレイ表示してくれるという,優れものである。

 グラフのオーバーレイ表示中は画面が多少見にくくはなるものの,オーバーレイ表示したグラフをタッチすると,グラフをスルーしてアプリやOSに触れたことになるので,ゲームを実行しながらテストできる便利なツールである。Intel Performance Viewer自体のCPU使用率は1%ほどなので,ゲームの動作が遅くなることもなさそうだ。
 他のアプリを立ち上げたときに,CPUクロックの取得がうまくいかないことがあるため注意しなくてはならないことと,ここ10か月ほどアップデートが行われていないことが気になるものの,ゲーム中の端末性能チェックに役立ちそうなので,今後は積極的に活用していきたいと考えている。

 なお,ゲーム実行時の動作状況という意味では,GPUも見てみたくはあるのだが,Intel Performance Viewerにその機能はなく,調べた限り,Intel Performance Viewer的なGPUの動作状況確認ツールの存在は確認できなかった。
 Android版艦これは3Dグラフィックスを駆使するようなゲームではないため,今回はとくに問題ないはずだが,今後,なんとかしたいところではある。

 話を戻して,実際にIntel Performance ViewerからAndroid版艦これのCPU使用状況をいくつかのシーンでチェックしてみる。すると,ケッコンカッコカリ済みの艦娘を秘書艦にしている状態における母港画面が,CPU負荷の高い状況であることが分かった。
 Galaxy S7 edgeとGALAXY S5 Activeでゲームの開始から母港画面までを動画で撮影してみたので,まずはこれら動画を再生してみてほしい。



Galaxy S7 edgeでクロックが落ちているときは,ゲーム中でも全コアが1GHzを下回る。ゲームの描画が遅くなるのも道理だ
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 動画を見ると分かるとおり,Galaxy S7 edgeのCPU動作クロックは頻繁に上下しており,下限では1GHzを切っている。1GHzを割り込むタイミングで細かくもたつくので,その連続がもっさり感を生むようだ。逆にGALAXY S5 Activeの場合,4コア中2コアはほぼ最大動作クロックを維持していた。これが結果として,描画のスムーズさにつながっているのではないだろうか。

 一方,推奨端末であるXperia Z4のグラフを見てみると,big.LITTLEで実装されるCPUコア8基のうち,LITTLEにあたる4基がほぼ常時1GHz以上で動作していることが分かった。また,同じくCPUコアを8基搭載するAXON miniでも,やはりLITTLE側の4コアが高い動作クロックに入っていることを確認できる。

Xperia Z4の場合は,LITTLE側のCore 0〜3が高めの動作クロックで動いている。big側も2コアほどがときどき高いクロックで動作しているのだが,艦これではなく,バックグラウンドのプロセスを処理しているのではないだろうか
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AXON miniもLITTLE側のCore 4〜7がほぼ上限の動作クロックで動いていた。ただ,big側のCore 2〜3は0MHzのままで,まったく動作していない
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 この結果だけ見ると,CPUコア数が多い方が艦これは快適なのかと思うかもしれないが,ZenFone MaxのようにCPUコア数が4基でも軽快に動いている例があるので,そうとも言い切れない。動作クロックを追った限りでは,「メーカーごとの動作クロックチューニングとAndroid版艦これの相性問題」のような感じもある。

ZenFone Maxの場合,4コアすべてが1.2GHzで動作することが多く,実際の挙動もAXON miniと同じくらい安定していた。推奨環境にあるとおり,1.2GHz程度の動作クロックがあれば,艦これはおおむね快適に動くのではないだろうか
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BlackBerry Passportでは,CPU使用率しか表示されなかった
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 ちなみに,Webブラウザ版もかくやという快適動作を実現していたBlackBerry Passportはというと,Intel Performance ViewerではCPU動作クロックを取得できず。念のため,CPUの動作状況を確認できる「CPU-Z」や「AIDA 64」といったアプリも使ってみたが,状況に変化はなかった。

 BlackBerry PassportだけCPUクロックを取得できないのは,おそらく,本製品が,「Androidの上で『BlackBerry OS』というBlackBerry端末用OSが動作している」という特殊仕様で,Androidのサービスがほとんど動いていないためだろう。Androidのサービスが動いていないのでCPUの動作状況は確認できないものの,その分“軽い”ので快適,ということかもしれない。

 一方で,SoCの性能が高いにも関わらず,Galaxy S7 edgeでは艦これの動作が遅い理由は何だろう? あくまでも結果から見た推測ではあるが,端末側が「艦これは高い処理負荷を要求するアプリである」と判定してくれず,それが原因でCPU動作クロックが安定して高い状態を維持できずに激しく変動するため,描画のもたつきが生じているのではないかと,筆者は考えている。

 ただ,Galaxy S7 edgeでは今後も快適にプレイできないかと言うと,その心配はなさそうだ。というのも,先行運用版の公開がスタートした直後は,遠征に出すだけでもストレスが溜まるというプレイする以前の問題で,「一応動作する」程度にすぎなかったのが,前段の動画で示したとおり,6月22日のアップデート以降は,少なくともプレイ自体に支障はない程度で動作するようになったからである。
 今後のアップデート次第ではあるが,開発側での最適化が進むことで,現在は対応端末扱いになっているスマートフォンやタブレットでも,「普通に遊べる」ものは増えていくのではなかろうか。

 余談気味だが,検証中に気がついたことを付け加えておこう。端末メーカーによって「STAMINAモード」や「省電力モード」といった具合に名称は異なるが,Android端末にはバッテリー駆動時間を延ばすために,CPUの最大動作クロックを下げたり,バックグラウンドプロセスを停止したりする省電力機能がある。今回評価した端末で,これらの機能を有効にした状態で艦これをプレイしてみたのだが,顕著に描画が遅くなったりはしなかった。
 ゲームをプレイ中は,処理性能を稼ぐために省電力機能をオフにしている人もいるだろうが,こと艦これに限っては,そこまでする必要はなさそうである。

GALAXY S5 Activeで「省電力モード」をオンにした状態の母港画面。CPUの動作クロックは最大1728MHzに下がった。その結果として,ときおり867MHzにまで落ちることも確認できたが,体感レベルでは「気持ち遅くなったかな?」程度なので,もともと快適に動作する端末なら,バッテリー駆動時間を伸ばす設定を有効にしたままでもよさそうである
画像集 No.034のサムネイル画像 / 「艦これ」Android版を快適に動かせる端末はどれだ? スマートフォン&タブレット8機種で先行運用版の動作を検証してみた


艦これ専用ならSnapdragon 6xx/4xx世代のSIMロックフリー端末。他のゲームもするならXperia Z4以降が無難


 それではまとめに入ろう。
 8機種のテストを通じて見えてきたのだが,冒頭で示した公式の動作確認端末一覧にある推奨端末と対応端末は,こう言い換えられそうだ。

  • ◎付きの推奨端末:ほぼブラウザ版と同じように遊べる
  • ○付きの対応端末:それなりに動作する。遠征回しやキラつけ,演習中心ならアリ

 GALAXY S5 Activeのように,対応端末でも快適に動作するという例外はあるだろうが,現時点ではこの見方でおおむね問題ないと思う。現時点では,出先でもフルに遊びたいのであれば推奨端末を,遠征回し程度でいいのであれば対応端末を選ぶのが適当といったところだろうか。

動作もおおむね快適だったAXON mini。税込価格が3万円未満ということを考えると,艦これ専用機の有力候補になり得る
画像集 No.033のサムネイル画像 / 「艦これ」Android版を快適に動かせる端末はどれだ? スマートフォン&タブレット8機種で先行運用版の動作を検証してみた
 そう考えた場合,Android版艦これを目的にスマートフォンを選ぶのであれば,SoCにSnapdragon 6xx/4xx世代を搭載して,性能面以外での評価が高いSIMロックフリー端末で,かつ推奨端末としてリストに名前があるものが,費用対効果に優れる端末ということになるはずだ。

 ただ,困ったことに6月22日時点の動作確認端末リストには,SIMロックフリー端末があまり入っていない。推奨端末入りしている中古のスマートフォン――たとえばXperia Z1〜Z3やXperia Aシリーズなど――を買って艦これ専用機にするといった手もあるが,Android OSのアップデートが4.x世代で止まっているスマートフォンを現役の端末として利用するのは,セキュリティ面のリスクがあるのでお勧めしかねる。

 艦これ以外のゲームもする,たとえば提督業とプロデューサー業を兼任にしたいというのであれば,Android 6.0以降に対応するXperia Z4以降の製品が無難だ。モバイル提督業は遠征のみというなら,Galaxyシリーズも視野に入る。とにかく端末費用を抑えたいのであれば,AXON miniのようなミドルクラスのSIMロックフリー端末をターゲットにするといったところが,艦これに重点を置いたスマートフォン選びの現実的な解であるかと思う。
 何はともあれ,Android版艦これ自体の要求性能は高くないので,ほかにプレイするゲームタイトルの要求性能と相談しつつ,自分にとって適当な,あるいは好みに合った端末を決めるのが正解だろう。

艦隊これくしょん -艦これ- 公式Webサイト

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