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[E3 2016]「人喰いの大鷲トリコ」をさっそくプレイ。これぞ血統書付きの上田ワールドだ!
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印刷2016/06/17 15:23

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[E3 2016]「人喰いの大鷲トリコ」をさっそくプレイ。これぞ血統書付きの上田ワールドだ!

人喰いの大鷲トリコ
 時間は夢を裏切らない。
 「人喰いの大鷲トリコ」をプレイして思い出された言葉である。

 いやあ,長かった。プロジェクトの存在が明らかになったのが2009年のE3 2009。当初はPlayStation 3専用ソフトとして発表されたものの,発売は幾度となく延期になり,2011年には「発売日未定」というショッキングなニュースが流れた
 さらに同年,メインクリエイターの上田文人氏のSCE退社が報じられ,かなり真剣に「開発中止」が心配されたが,昨年のE3 2015では,実際のゲームプレイを収めた映像が公開。多くのゲームファンに安堵の息をつかせたのであった。かくいう筆者もその一人だ。
 そして2016年の今年,E3 2016に合わせて開催されたSIEプレスカンファレンスで,満を持して2016年10月25日の発売日が発表になったのである。

 さて,上でも名を挙げているが,人喰いの大鷲トリコの制作を指揮しているのは,「ICO」「ワンダと巨像」のクリエイターとして知られる上田文人氏である。筆者は氏の作品(あるいは氏が参加した作品)をワープ時代の「エネミーゼロ」を含めてすべてプレイしているが,そこにはいくつかの特徴があると考えている。
 具体的には,「未知なる世界に放り出されたことがもたらす快感」「聖なる世界,静なる世界」「体積比,数千:1の巨大なキャラクターとの濃密なインタラクション」の3つがそれだが,皆さんはどうだろうか。

 ともあれ,今回は本作のデモプレイを体験してきたので,本稿ではこれら「3つの要素」に評価の軸足を置いて,筆者視点のプレイレポートをまとめてみることにしたい。

「人喰いの大鷲トリコ」公式サイト



未知なる世界に放り出されたことがもたらす快感


人喰いの大鷲トリコ
 デモプレイは,野太い男声のナレーションから始まる。「I」(私)という一人称で語られるストーリーなのだが,プレイヤーが操作できるのは古代遺跡の内部で目を覚ましたばかりの少年。ここで,この作品は年老いた主人公が回想録のような形で物語を語るスタイルなのだなあ,という想像が働く。

 起き上がった少年は,そこで鎖につながれた巨大な生き物「トリコ」と出会うことになるが,暴れるトリコに吹き飛ばされ,打ちどころが悪かった少年はいきなり気絶してしまう。

 ブラックアウト。

 この演出!! ここがどこか分からないし,何をすればいいのかさえも分からない。ただ,巨大生物トリコは非常に不機嫌だという情報だけがプレイヤーに届けられる。「右も左も分からない不思議な世界に放り出されて,さあ,あなたならどうする?」と言わんばかりの,ゲーム世界からの挑戦状。これこそが上田ワールドの特徴であり,本作においても「このテイスト」はのっけから全開なのである。

人喰いの大鷲トリコ

 再び目を覚ました少年。これを操作するプレイヤーは,トリコの不機嫌を取り除くことが目的なのかなあ,と薄々感じ始める。
 あらためてトリコの正面に立つと,吠えるような息使いに吹き飛ばされて大転倒。今度は気絶しないが,正面には近づかないほうがいいということが分かってくる。では,とコントローラを操作して後ろに回ってみると,トリコの身体に何本かの槍が刺さっている。少年(≒プレイヤー)は,トリコの不機嫌の理由はこれかと気付くのだ。

人喰いの大鷲トリコ
 次にやるべきことが,この槍を抜くことだというのは,ゲームファンならば直感で分かるだろう。ということで,トリコの背後から近づいていくと,その身体によじ登るための操作系が示されるので,そのままトリコの体にしがみつき,槍の刺さっている場所に歩みを進めていく。
 そんな少年をふりほどくかのように身を揺すり始めるトリコ。少年はトリコの身体の回転に翻弄されて落ちそうになるが,「掴み」操作をしている限りは振り落とされない。そのままよじ登り,槍に到達すると,今度は「槍を抜く」ための操作系の表示が。力任せに槍を抜くと,トリコは「ギャー」という悲鳴と共に渾身の力を振り絞って少年を振り落とす。

 はい。少年は吹き飛ばされ,画面は再びブラックアウトとなる。

 次に目を覚ますと,トリコは以前よりも警戒を解いている様子だ。トリコの観察を進めると,さらにもう一本の槍が刺さっていることに気が付く。おまけに,首輪には重厚な金属製の鎖が! ここまでくれば,次にやるべきことはもう分かりますね?

 序盤の進行はこんな具合になっており,次に何をすべきかの説明はなく,直感で判断していく楽しさがある。実際,試してみたことのすべてが正解とは限らない。この「適度な説明不足感」が,プレイヤーを「なんだかよく分からない世界を探索してやろう」という気にさせる。そして,その結果得られた発見が些細なものであっても,プレイヤーの側では妙に充足感が得られてしまうのだ。
 この感覚は,ICOのときに感じたものとまったく同じである。冒険心を育む「絶妙な説明不足感」。このストーリーテリングのメソッドこそ,まさしく上田式にほかならない!!


聖なる世界,静なる世界


人喰いの大鷲トリコ
 巨大生物トリコの信頼を獲得した少年。この世界が何だかよく分からないのは以前と変わりないが,歩き回ってみると発見はいくつかある。上を見ても横を見ても岩壁。要するに,ここは巨大な洞窟なのだ。しかし,やさしい光に満ちあふれてもいる。もう少し観察すると,天井側の岩壁には亀裂が。光はここから漏れているのだ。

 さらによく観察すると,石の階段があるし,ただの岩壁かと思った場所にも岩を彫って作ったかのような祭壇や,レリーフ付きの柱がチラホラと見える。そもそも,トリコがつながれていた鎖の先には見事な彫刻が施された石板のようなものもある。ここはただの洞窟ではなく,巨大な祭壇か,あるいはその遺跡なのだ。

 彩度を押さえた淡い光で描かれたビジュアルはワンダと巨像に通ずるものがあり,ファンは感涙ものだろう。
 この淡い光に包まれた遺跡空間をトリコと共に探索していると,気が付かずにいられないのが青白く光る樽である。「持てる」「投げられる」というシンプルな操作説明が出るのでそのとおりにしてみると,トリコがそれを食べ始めた! この樽は,どうやらトリコにとってエサのような存在らしい。

人喰いの大鷲トリコ
 これを食べさせると,トリコの少年への忠誠心がますます上がっていくようだ。ただ,「忠誠心ゲージ」のようなものはない。上田ワールドにおいて,そんな無粋なものは不要である。考えるな,感じろ! 最初はどう猛だったトリコも,いまやプレイヤーが「トリコー!」と叫ぶ(=トリコを呼び寄せる操作を行う)と,ドシンドシンと駆け寄ってくるほどの仲良しに。これは嬉しい。胸キュン(死語)だ。

 こうなれば,どんどん仲良くなりたいと思うのが人情である。プレイヤーは,いつの間にかトリコのエサ樽を見つけることに躍起になりだす。子供の頃,金魚すくいで獲ってきた金魚達が水槽の中でエサを食べるのを見て嬉しくなり,うっかり金魚の元気がなくなるくらいエサを入れてしまったことを思い出した。
 エサ樽を担いではトリコに食べさせる,というループに夢中になっていた筆者の前に「いい加減にしなさい」と言わんばかりに現れたのは,少年がようやく潜り抜けられるくらいの小さな穴。あるエサ樽をどけた先に発見したのだ。

人喰いの大鷲トリコ
 穴の中に入ってみると,そこには人型の棺のようなものが。その棺の上には美しいのようなものが置いてある。これを取り,トリコのもとに戻って鏡を取り出すと,なんということでしょう。光のビームが放出されました。ビビーン!!
 この光に呼応したのか,それまで可愛らしい子犬のようだったトリコの目が「暗がりでフラッシュ撮影したワンコの目」のようにギラリンと光りだす。そのまま,しばし硬直するトリコ。説明がないので「考えるな,感じろ」を実践するしかないのだが,どうやらトリコと主従関係が結ばれた様子だ。

 敵は出現せず,戦闘もないここまでの展開。文章で伝わったかどうかは分からないが,まったく退屈さはない。ICOやワンダと巨像でも,戦闘はその必然性があるときにだけ発生し,戦闘がないときでも退屈はしなかった。ここにも,上田マジックともいえる演出や展開の妙を感じざるを得ない。

人喰いの大鷲トリコ


体積比,数千:1の巨大なキャラクターとの濃密なインタラクション


人喰いの大鷲トリコ
 主従関係を結んだためか,エサ樽で満腹になったからなのか,前よりもさらに仲良くなった少年とトリコ。先ほど見つけた鏡から放出される光で遺跡空間内を照らしまくって遊んでいると,突然「ビビビ」という赤色の稲光が放たれ,その先の岩が爆発して崩れた。これまで平和だった遺跡空間が,突如,焦げくさい雰囲気になる。

 赤い稲光の発生源を探ると,それはなんとトリコの尻尾から放たれている。またしても「考えるな,感じろ」を実践した結果で恐縮なのだが,この鏡から放たれた光は,どうやらトリコの尻尾から放出される赤い稲妻の照準の役割を果たすようだ。そして,稲妻は特定のオブジェクトを破壊してしまうらしい。なんて恐ろしい! しかし,使いようによっては,この閉ざされた空間から脱出するのに利用できるかもしれない。

人喰いの大鷲トリコ
 トリコの稲妻であたりを壊しまくっていると,その先に進める場所が新たに出現した。トリコは意気揚々と先に進んでしまうが,少年にとっては段差が高すぎて,ジャンプしても届かない。先ほどは身体の小ささを活かして穴を潜った少年だったが,今度は小柄な体型が災いしてしまった。しかし,それはそれ。トリコにしがみついて渡ればいいのだ。
 先に行ってしまったトリコを呼び戻し,その身体をよじ登って,ラクラクと段差をクリア。このあとも,こうした体格差を活かしたパズルアドベンチャーな謎解きがあったりするのだが,本稿ではここまでに留めておこう。

人喰いの大鷲トリコ

 ここで強調しておきたいのは,上田氏がPlayStation 2時代に発明した「体積比,数千:1の巨大なキャラクターとの濃密なインタラクション」というゲームメカニクス,そして,そこから得られるカタルシスである。
 正直,人間サイズのプレイヤーキャラクターがデカキャラと対峙するゲームは,いまや珍しくない。しかし,その多くはデカキャラとの関係性が希薄で,いわば「点と点」でしか両者が結ばれていない

 例えば,「巨大な敵の弱点を狙え」というのは,いまやありふれたシチュエーションだ。多くの場合,銃などの飛び道具を使って,その弱点を狙うことになるわけだが,突き詰めてしまえばこれは,高いところや遠いところに「壊せる的」があるのと変わらない。これは点と点のインタラクションであり,「体積比,数千:1」のスケール感がゲームメカニクスに活かされていない。

 もう1つ,よくあるのが,前述したような弱点を攻撃すると,巨大な敵が横倒しになって気絶するので,近寄って刀剣などの近接武器で切りつけるパターンだ。これも,点と点のインタラクションであり,巨大な敵が寝てしまった時点で,せっかくのスケール感が消失してしまっている。

人喰いの大鷲トリコ

 しかし,ワンダと巨像は違った。
 巨像の弱点は点だったかもしれないが,その弱点に到達するまでの,巨像をよじ登っていく過程が,巨体のダイナミズムを感じさせてくれた。そして,よじ登ろうとするプレイヤーに対する巨像の必死の抵抗と,それへの臨機応変な対応を求めてくるシビアさが,プレイヤーの脳裏に「体積比,数千:1」のスケール感を焼き付けてくれた。

 今回の人喰いの大鷲トリコはどうだろうか。
 ワンダと巨像では,プレイヤーの前に困難として立ちはだかった「体積比,数千:1の巨大なキャラクターとの濃密なインタラクション」が,本作では一転してプレイヤーの味方となり,ゲームメカニクスの根幹として機能するのである。この発想はなかった!

 このあと少年の物語は,大いなる結末へ向かって突き進んでいく。詳しく語ることはできないが,少年はその小さな身体では到底克服できない困難と対峙し,彼の「情念の強さで巨大な困難を克服する」ことになる。
 世界観,ゲームメカニクス,ストーリーテリング,演出。そのどれを取っても,血統書付きの上田メソッドが炸裂していることは筆者が保証する。今から発売日が待ち遠しくてたまらない。

 さあ,みんな,ちょっと前傾姿勢になり,両手を口に添えて少年のように叫ぼう。
 「トリコー!」と。

「人喰いの大鷲トリコ」公式サイト

  • 関連タイトル:

    人喰いの大鷲トリコ

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