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あれから4年。久々に姿を見せた「人喰いの大鷲トリコ」について根掘り葉掘り聞いてみよう――4年間で変わったこと,変わらなかったこと
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印刷2015/08/01 00:00

インタビュー

あれから4年。久々に姿を見せた「人喰いの大鷲トリコ」について根掘り葉掘り聞いてみよう――4年間で変わったこと,変わらなかったこと

VRとスマホについて語る


4Gamer:
 今注力しているトリコがこのあと順調に出たとして,そのあとの話もお伺いしたいんですが,上田さんが思い描く世界/表現したい世界を表現する手法を“変える”可能性ってありますか?

上田氏:
 今のところは考えていないですね。以前のインタビューでも言ったと思うのですが,世界観であるとか,物語であるとか,そういうものから発想しているわけではなく,ゲームのメカニックであったりゲームデザインだったり,それがありきでスタートしているわけです。

4Gamer:
 前回おっしゃったとおりですね。

上田氏:
 そして,それに最適な表現だったりリアリティであったりを,その時のリソースなどの制約の中で最適な表現を選択した結果が,あの世界観であり,あの物語なんです。これまでそのように作ってきて,かつ,うまくいってきたかなという自負もありますし。

4Gamer:
 では逆に,リアリティを――この言葉は使いどころが難しいですけど――追及するうえで新しいオプションがつくとか,そういう方向は考えたことはありますか? 例えば昨今で言えばVR系であるとか。

上田氏:
 ありますよ。例えばいまお話に出たVRなんかは,ワンダがスタートするタイミングで,ヘッドマウントディスプレイをやりたいんだという話を,当時の上司に言った記憶があります。

4Gamer:
 早いですね!

上田氏:
 これも繰り返しかもしれませんが,もともと僕が目指していたものはバーチャルリアリティなんですよね。実際には存在しない世界の,実在感だったり臨場感を体験する……そういう観点で言うと,これまでずっとバーチャルリアリティを目指して作ってきたんだと思うんです。

4Gamer:
 ワンダなんかは確かにVR系に向いてそうな気もしますね。

上田氏:
 でも単純にそのままというわけにはいかないですよね。VRでのゲームデザインにはまだまだ制約が多いですし。

4Gamer:
 そもそもあれほど忙しいゲームはまだちょっと無理っぽいですが。

上田氏:
 忙しさというよりも,視界操作と移動操作の整合性の問題もありますからね。

4Gamer:
 一瞬で酔っちゃいますねきっと。でも,考えたことはあるんですね。

Rift Development Kit
人喰いの大鷲トリコ
上田氏:
 最初のOculus Riftの開発キットも個人で買って試してみたりしました。

4Gamer:
 「バーチャルリアリティの構築」という意味では, VRはいま考えられる1つの解決としてはかなりのものですし。

上田氏:
 とはいえ,今はVR機材がないと“体験”できないですよね。それを逆手に取った,「そこに行かなければできない,体験型コンテンツ」は作ってみたいな,と以前から思ってます。

4Gamer:
 体感型のアーケードゲームみたいな感じをイメージしてますか?

上田氏:
 近いかもしれません。
 たとえばスマートフォンが今流行っていて,今すぐに,どこでも,気楽に始められます。代わりにコンシューマ機は,ハードを買って,ソフトを買って……と,体験するまでのハードルが高いですよね。

4Gamer:
 はい。

上田氏:
 それと同じような感じというと変ですが,ある場所に行かないと体験できなくて,しかもそれがとても豪華なものだったり……というものにも魅力を感じます。

4Gamer:
 確かに据え置きゲーム機って,やはり遊びはじめるまでのハードルが,いまとなっては高いんですよね。ハードウェアを買って,部屋のどこかにあの大きな筐体を設置して,電源をつないでネットワークをつないでTVにつないで,7000円くらいするソフトを買って,いざ遊ぶ段になったらコーヒーを用意して,トイレに行って,電源入れて……。

上田氏:
 その一連の儀式をやってもらうために,我々がシコシコと作っているわけですよね。少しでも,手にしてもらえる価値のあるコンテンツにするために。

4Gamer:
 はい,もちろんです。

上田氏:
 ですので,単に「ビジネスとして作りたい」とか,「次やることないからこれやりたい」とかそういうわけではなくて,多くの人が欲しいと思ってくれる企画じゃないと,とは思いますね。

4Gamer:
 では逆にスマホについては何か考えていたりします? スマホにはスマホのなりの表現があると思うんですが,上田さんとして「こんなのはどうだろう」と何かチラリと考えたことは。

上田氏:
 それはありますね。ありますけど……どうでしょうね,誤解を招きそうですが,気楽に始められるものは,気楽なだけになかなか価値を感じにくい側面もあると思うんです。

4Gamer:
 おっしゃることは分かります。……これは古い考え方なのかもしれませんが,気軽に無料でダウンロードできていつでも消せるというのは,結果としてコンテンツのバリューそのものが下落していくように思ってるんです。いつでも手に入って,いつでも捨てられるもの。

上田氏:
 なるほど。

4Gamer:
 とはいえ一方で,スマホはいま現実的に「世界的に凄まじく普及しているゲーム機」だと考えれば,より多くの人達に良質のコンテンツを届けるという役目を果たすには十分な場だとも思うんです。

上田氏:
 ええ。実際,僕もスマホでゲームしていますし。いまおっしゃったように,ポジティブに「ものすごく普及しているゲーム機」だと考えればいいんです。でも,いまのところはそこを考える余裕がないというのが一番大きいですね。

4Gamer:
 “そこにないものをあるかのように表現する人”がスマホを使ってどのようにコンテンツを作るのかは,とても興味があります。その世界を楽しむであったり,ゲームのシステムを楽しむであったり,そういうものがまだスマホには多いわけではないので。

上田氏:
 ただ僕自身,今のスマホを取り巻くこの情勢,生産者と消費者の関係を,頭の中で正確にシミュレートできないというのが若干の本音でもあります。それは割り切れればいいのかもしれませんが。

4Gamer:
 いやでもよく分かります。やっぱりどこかまだ「外来種」なんですよね。頭では理解していますし,スマホゲームについていっぱしのことは語れますが,本質的な感覚で理解できていないといいますか。
 世代的に我々と同じ場所にいるクリエイターさんも多そうですが,みなさんどうしてるんだろう。理解できてないのは私だけだったりするんですかね……。 

上田氏:
 まぁでもゲームの裾野が広がるという意味では悪いことではないですよね。気楽であることは悪いことではなくて,気楽でかつ感動も与えられるようになればいいのでしょうけど。

4Gamer:
 もちろんそうですね。でもビジネス的な理由もいろいろあったりして,かつてのクリエイターさん達がスマホにばかり流れて(流されて)しまうのは,ちょっと悲しい気もしています。


ゲームをしない人にゲームを届けるということ


上田氏:
 そうはおっしゃいますが,今回のE3では,トリコだけじゃなく,シェンムーだったりFF7だったり,ニーアであったり……。

4Gamer:
 今年のE3は久しぶりに「日本のコンシューマコンテンツ」を見せつけたなという印象があってすごくうれしかったですね。上田さんも,あの独特で繊細な表現をコンシューマで作ってくれていますし。

上田氏:
 うーん,僕の作品はビジュアルにすごくこだわったゲームだと皆さん感じているのだと思うんですけど,以前のインタビューでも言ったように,大学の時に専攻していたのは抽象絵画ですし,その後インタラクティブアートが好きだったり。SCEに入ったときも,パラッパラッパーが大好きだったり(笑)。
 でも結局は,自分がプレイしてみたいゲーム,自分がプレイする価値があるゲームってどんなものだろうと考えて作っているだけなんです。あわよくば,ゲームをやらない人もやってほしいと思っていますし,そういう人に届けばいいなという願いを込めて,ギリギリの線を攻めているわけですけど。


4Gamer:
 ゲームをやらない人にどうやって届けたらいいでしょうねえ……。

上田氏:
 そうですね……何かしらゲームに興味がない人にも引っかかるようなビジュアルにするとか,内容にするしかないですね。あとは,それこそ4Gamerさんのようなメディアが,うまくアピールしてくれたら(笑)。

4Gamer:
 むろんそこはがんばります。

上田氏:
 ゲームがそうだし映画もそうですけど,結局のところ,エンターテイメントに「価値がある」と感じるから体験しようと思うんですよね。

4Gamer:
 確かにそうですね。無意識のうちにバリューを判断しているんだと思います。

上田氏:
 ですのでこれまでのICOやワンダもそうですけど,単に“ゲーム”だと思われないように,「あぁ新しいゲームだね」と目の前を流れてしまうんではなくて,ゲームをやらない人も何かしら「おや?」と引っかかるように作っているつもりです。

4Gamer:
 しかしゲームをやらない人へのアピールという話で言うと,やはり「コントローラー」の問題は大きいと思うんです。あんなボタンが多いゲームパッドを見たら,普通の人はそれだけで触る気がしないんじゃないかなぁって。

上田氏:
 そうですね。ゲームプレイの奥深さと,ゲームをやらない人に向けてハードルを下げるという部分は反比例してしまうんですよね。

4Gamer:
 そうなりますよね。

上田氏:
 例えばボタン1つで何でもできるようにしたりとか,シンプルにすることはできるんです。でもそうすると今度は,プレイした時の奥深さとか達成感というものを感じにくくなるんですよね。もちろんそんなことはないという方もいらっしゃるんですけど,僕のこれまでの経験で考えていくと,そのあたりがジレンマになります。

4Gamer:
 達成感というか,頑張って「やっと越えた」という充実感といった感じでしょうか。

上田氏:
 そうですね。努力してプレイする……というか自分がプレイしているという感覚というか。そこが難しいところですね。
 例えばワンダを例にすると,R1ボタンを押さずにしがみつくように作ることは簡単にできるんですよね。でもそれだと,手に汗握る,自分でしがみついているという感覚がなくなってしまうわけです。ハードルを下げる代わりに,プレイへの没入感を減らしていいものか,というのは悩むところですね。

4Gamer:
 ワンダのR1ボタンは分かりやすい例ですね。まぁワンダは割と操作体系の難しいゲームですが。
 実際のところトリコの操作体系ってどんな感じなんでしょうか。こういう作品で説明書って読みたくないんですよね……。ゲーム中に「これって何するボタンだっけ?」と説明書を見ると,急に現実に引き戻されるといいますか。

上田氏:
 なるほど。でもそのあたりは大丈夫だと思いますよ。
 例えば先ほどから例に出ているワンダなんかは,操作は割と大変でしたよね。そのあたりもだいぶこなれてきていると思います。

4Gamer:
 最近アクションゲームがめっきり苦手なので期待しております。

ICO(上)とワンダ(下)。とりわけワンダは,操作が難しいばかりか,ひとたびステージ攻略が始まると常に緊張感に満たされる,大変に(良い意味で)難度の高いゲームだった
人喰いの大鷲トリコ
人喰いの大鷲トリコ


「映画が始まるのをワクワクしながら」待つ気分が,あと1年


4Gamer:
 それではお約束ですが,最後に何か読者に伝えたいことがあれば,ぜひ。4年前と比べて,上田さんの表情も心なしか自信にあふれている気がしますし。

上田氏:
 先ほども言った通り,僕自身のクリエイティブの作業はほぼ終わっています。落とし込みもできているので,あとは商品価値を高めるためのブラッシュアップや,テストプレイをおこなって調整――をキッチリできれば……というところです。

4Gamer:
 ちなみに,次の情報公開はいつごろになりそうですか?

上田氏:
 トリコのようなゲームは,多くの情報を出すようなものではないと思うので,あまりないかもしれません。

4Gamer:
 まぁ確かに,RPGとかみたいに,あんまり色んな情報出されてもイヤですし。

上田氏:
 今回E3に出すのも,実は大変だったんです。

4Gamer:
 あら,そうだったんですね。

上田氏:
 もちろん,製品版のスケジュールに影響を与えない範囲で,何かしらお見せできるものがあれば,と思っていますけど。

4Gamer:
 上田さんがかつておっしゃっていた「映画館で映画が始まるのをワクワクしながら待っている気分」というのを,4年ぶりに味わえて嬉しいです。まだあと1年ありますけど,それはそれで。

上田氏:
 すみません(笑)。でも,そういうタイトルになれればいいなと思って作っていたので,今回発表してみて,忘れ去られているわけでなく,期待して待ってくれているお客さんがいるというのは,本当にありがたいことです。

4Gamer:
 さっきも話題に出ましたが,最近の自分はコンシューマ機で遊ぶにしても,どうしてもPS Vitaとか3DSといった携帯機のほうに逃げてしまう傾向があるというのが正直なところなんです。ゲームをプレイするために据え置き機の準備をしてリビングに座るという労力のための“カロリー”が,なかなか自分の中では得られなくて。
 逆に言うとそんな,私のような人ですら突き動かす“カロリー”がトリコにはあるわけです。

上田氏:
 そういう風に言われるような「遊ぶ価値のあるタイトル」にするために頑張っているので,待っていてください。

4Gamer:
 最後に心強い言葉が聞けました。では2016年を楽しみに待っています!

――2015年7月10日収録

人喰いの大鷲トリコ


「人喰いの大鷲トリコ」公式サイト

  • 関連タイトル:

    人喰いの大鷲トリコ

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