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[GDC 2016]「次に来るのは没入感」。AMDのイベントでデュアルFijiにワイヤレスVR HMD,アサシン クリードVRが発表
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印刷2016/03/16 00:00

イベント

[GDC 2016]「次に来るのは没入感」。AMDのイベントでデュアルFijiにワイヤレスVR HMD,アサシン クリードVRが発表

会場となったRuby Skyeは劇場を改装したナイトクラブ兼イベントスペースだ
Radeon R9 Fury
 北米時間2016年3月14日,AMDは,米サンフランシスコ市内のナイトクラブ兼イベントスペース「Ruby Skye」で,「Capsaicin」(カプセイシン)という名のイベントを開催した。

 日本語読みだと「カプサイシン」になるCapsaicinは,唐辛子の辛みの主成分となる化合物のこと。イベント開始の数日前にその名だけ公表されたため,「新しいAMDのプロセッサのコードネームは味覚に関わる化合物名になったのか」……などといった憶測も飛んだが,なんのことはない,AMDのGPU部門である「Radeon Technologies Group」(以下,RTG)を率いるRaja Koduri(ラジャ・コドゥリ)上級副社長兼チーフアーキテクトが辛味に強い“辛味王”だから,それにちなんで名付けられただけだという。

白衣姿で登場したRaja Koduri氏(Senior Vice President & Chief Architect, AMD)は,「酒と辛味とRadeonがあれば生産効率倍増」(AMD調べ)というトンデモ科学理論を展開
Radeon R9 Fury Radeon R9 Fury
辛いものが大好きなインド人のKoduri氏は激辛チキンをぺろり(左)。自分より辛いものが得意な人がいればいつでも挑戦を受け付けるとのことである。AMDの社長兼CEOであるLisa Su博士もハイテンションに空気砲でAMD特製Tシャツを会場内にばらまいていた(右)
Radeon R9 Fury Radeon R9 Fury


2017年以降のGPUロードマップが明らかに


 さて,いきなり「お酒と辛味とRadeonと生産効率の関係性」についてトンデモ科学漫談を展開したKoduri氏だが,そこからは一転して真面目に,AMD製GPUマクロアーキテクチャのロードマップを披露した。AMDは2016年中に「Polaris」(ポラリス,開発コードネーム)を展開予定だが,2017年には「Vega」(ヴェガ,同),2018年には「Navi」(ナヴィ,同)というGPUマクロアーキテクチャをリリースしていくという。
 Polaris(北極星)に倣い,今回公表された開発コードネームも星の名前である。Vegaはこと座を構成する恒星の1つで,日本では七夕の織り姫星として有名な星だ。一方のNaviは,日本では馴染みが薄いが,カシオペア座を構成する「W」形状の真ん中に位置する恒星を指す。

Koduri氏が示したGPUマクロアーキテクチャのロードマップ
Radeon R9 Fury

 ロードマップによれば,「Radeon R9 285」と思われる28nmプロセス技術世代のGPUに対して,Polarisのワット性能は2.5倍に達するとのこと。またVegaはメモリシステムとしてHBM2を採用し,Naviではさらなるワット性能の向上と次世代メモリ技術の採用を果たすようだ。

GPUOpenに参加したり,自社開発した技術をGPUOpenへ提供するゲームスタジオとして,EA DICEやスクウェア・エニックスのエンジニアが登壇した
Radeon R9 Fury
 Koduri氏はまた,2015年12月にアナウンス済みである「GPUOpen」の紹介もあらためて行った。GPUOpenとは,流用/改造自由のミドルウェアおよびライブラリ,ツール,ドキュメントまでを含めた,総合的な開発者向けの情報支援フレームワークのこと。包み隠さずいえば,NVIDIAが展開している技術支援ブランド「GameWorks」の対抗馬に相当するものである。

GPUOpenでは,これまでブラックボックスとされてきた「GPUのかなり中枢部分の仕様」も開示していくとKoduri氏は強調していた。現行製品であるFijiに関する情報はもちろんのこと,それ以降のGPUでも開示を行っていくという。スライドを見ると,さりげなく「TrueAudio Next」という新要素がある点にも注目したい
Radeon R9 Fury

Asynchronous Computeを実現する「Asynchronous Compute Engine」(ACE)のスライドを示すRichard Huddy氏(Chief Gaming Scientist, AMD)
Radeon R9 Fury
 続いて,AMDでチーフゲーミングサイエンティストを務めるRichard Huddy(リチャード・ハディ)氏が登壇。今回,ヒゲを剃って登壇したKoduri氏をいじる意図で「彼のヒゲがみんなの座席の周りに落ちてないか確認してくれ」と開口一番にジョークを飛ばした後,話し始めたのは「Asynchronous Compute」についてであった。

 Asynchronous Computeについては筆者の連載記事バックナンバー「西川善司の3DGE:AMDによる主張「NVIDIA製GPUは,DirectX 12の優位性を活用できない」を考察する」を参照してほしいが,Huddy氏が言いたいのは要するに,「Graphics Core NextアーキテクチャベースのGPUや,据え置き型ゲーム機に統合されるAPUでは,グラフィックスレンダリングスレッドとGPGPUスレッドを同時に,なおかつ非同期に実行可能だ。しかし現行のGeForceではできない」ということだ。だからこそAMDは今,積極的に訴求していくところだというわけである。

Radeon R9 Fury
Huddy氏は,Microsoftの元DirectXアーキテクトや,Oxide GamesおよびCreative Assemblyのエンジニアを招いて,DirectX 12やAsynchronous Computeの優位性に関してトークを行った
Radeon R9 Fury
Creative AssemblyのTim Heaton氏は,2016年5月24日に北米市場で発売予定となっている最新作「Total War: Warhammer」の最新映像を披露。DirectX 12とAsynchronous Computeを活用したとアピールしていた


VRと連動したRadeonの新ブランディング


 2016年は,VR(Virtutal Reality,仮想現実)対応のヘッドマウントディスプレイ(以下,HMD)が続々登場予定となっていることから「VR元年」とも言われるが,VR HMDを利用するためのPC要求スペックが一般ユーザーにとってやや分かりにくいという声があった。そこで今回AMDは,Radeonのうち,Oculus VRの「Rift」やHTCの「Vive」といった主要なVR HMDの要求する3D性能を満たす製品について,「Radeon VR Ready Premium」ロゴバッジを付与するブランディング戦略を明らかにしている。具体的には,Radeon R9 FuryシリーズとRadeon R9 390シリーズ,Radeon R9 290シリーズに付与するという。

Radeon R9 Fury
Radeon VR Ready Premiumのマークが入ったRadeonやRadeon搭載PCなら,VR HMDを快適に利用できるというブランド戦略である。要するに,NVIDIAの「GeForce GTX VR Ready」プログラム対抗だ
Radeon R9 Fury
Atari用タイトルをVR対応で復活させた「BATTLE ZONE」も,Radeon VR Ready PremiumロゴのあるRadeonを使うと快適にプレイできると,デベロッパであるRebellionの創業者・Chris Kingsley氏が語っていた


広がるVRの世界


スマホの次に来るのは没入感だとAMD
Radeon R9 Fury
 スマートフォンとアプリの次に来るのは没入感だとするAMDは,ここから,VRに関連した発表を立て続けに行うことになる。

 なかでも会場の注目度が高かったのは,実機の公開は今回が初というVR HMD「Sulon Q」だ。

Sulon TechnologiesのCEO,Dhan Balachand氏自らが登壇し,まったく新しいVR HMDとしてSulon Qを発表した
Radeon R9 Fury

AMD FX APUを搭載する初のHMDとなるSulon Q
Radeon R9 Fury
 Sulon Qは,2560×1440ドット解像度の有機ELパネルを採用するVR HMDなのだが,それ自体がAMD製のノートPC向けAPU「FX-8800P with Radeon R7 Graphics」を搭載したWindows10ベースのPCだというのが最大の特徴である。Sulon Q自体がホストコンピュータを兼ねるので,ケーブルレスで利用できるVR HMDとなるのだ。

 Sulon TechnologiesはSulon Qを「AR/VR統合型HMD」と主張しており,VR HMDとしてはもちろん,AR(Argumented Reality,拡張現実)対応HMDとしても,ARとVRを融合させたMR(Mixed Reality,複合現実)対応HMDとしても使えるとしている。

 眼の前を覆うタイプのHMDで,どうしてARが実現できるのか。それは,Sulon Qが前面2基,左右側面に2基,計4基のカメラを搭載しているからだ。
 前面×2,側面×2のカメラは,ただ外の世界を見るだけでなく,HMD自体のモーショントラッキング用途にも使われている。つまり,Sulon Qでは,周囲にある特徴点の動きを追従することでHMDの相対的な位置や向きを検出するようになっているのだ。これは,PlayStation Vitaの内蔵カメラで実現しているモーショントラッキングと同種の技術ということになる。

製品ボックスも完成済みのSulon Q。価格こそ未定ながら,今春の発売予定という
Radeon R9 Fury

Radeon R9 Fury
 前面にある2基のカメラは正面側の現実世界を撮影し,これをリアルタイムにHMD側の有機ELパネルへ映すことでAR表現を実現するわけだが,実のところSulon Qでは,4基のカメラで撮影した映像から,ユーザーの周囲の3Dマッピングをリアルタイムで行っているという。Microsoftの「Kinect」のように,深度センサーを使っているのではなく,あくまでも画像処理で3Dマッピングを行うとのことで,そう聞くと「処理遅延が大きそう」と思った人もいるのではなかろうか。
 Sulon Qではそのあたりもよく考えられていて,「4基のカメラ映像からリアルタイムにユーザー周囲の3Dマッピングを行う」ロジックは,新規に起こした専用プロセッサに一任させているのだ。この,コンピュータビジョン的な独自プロセッサに対してSulon Technologiesは「Spatial Processing Unit」(SPU)という名前を与えている。

 Capsaicinイベントでは,現実世界をそのままVRに転換していくようなデモ「The Magic Beans」の映像が公開された。
 下に示したのはその直撮りムービーだが,現実世界の室内に現れた絵本を手に取ると豆がこぼれ落ち,そこから巨大な豆の木が天井を突き破って育つ。大穴のあいた天井の向こうには巨人がいて……という感じで,現実世界がどんどんとVR世界に侵食されていく。普通のAR/VRとは違った,MR的体験だ。


 会場にいたSulonの担当者によれば,北米でのリリースが一段落したら,日本市場における展開も視野に入れているとのことだ。価格が気になるところだが,ともあれ,楽しみに待ちたい。

Radeon R9 Fury
ゲームとは異なる,新しいVRの形として紹介された,LimitlessによるVRコンテンツ「Gary the Gull」。カモメのGaryとのインタラクションを楽しむVR体験だ
Radeon R9 Fury
Crytekの創業者であるCavat Yerli氏も登壇。VRの多目的活用のための教材としてCRYENGINEを利用するプロジェクト「VR First」についてコメントした
Practical MagicのMatthew Lewis氏は,映画スタジオの21th Century Foxと協力し,ゲームではない映像作品として「Assassin's Creed VR Experience」を制作中と発表した。実際に,スペインやロンドンなどで360度撮影を敢行したという
Radeon R9 Fury


デュアルFijiカード「Radeon Pro Duo」が発表に


 イベントの最後半では,再びKoduri氏がステージに戻り,ウルトラハイエンドクラスのグラフィックスカード「Radeon Pro Duo」を発表した。
 Radeon Pro Duoは,Radeon R9 FuryシリーズのGPUであるFijiコアを2基搭載したもので,グラフィックスメモリ容量はもちろんGPUあたり4GB。単精度の浮動小数点演算性能が16 TFLOPSに達することから,AMDは「世界最速のグラフィックスカード」と位置づけている。

世界最速のグラフィックスカードとして登場するRadeon Pro Duo
Radeon R9 Fury

 興味深いのは,AMDがこのRadeon Pro Duoを「VRコンテンツの開発をするゲーマー向け,ゲームをするVRコンテンツ開発者向け」と位置付けているところだろう。また,前出のRadeon VR Ready Premiumとは別の,「Radeon VR Ready Creator」なるロゴバッジをRadeon Pro Duoに与えている点も面白い。

16 TFLOPSもの理論性能値を持つRadeon Pro Duoには,Radeon VR Ready Creatorロゴが与えられている
Radeon R9 Fury

展示機で実際に動いているRadeon Pro Duo
Radeon R9 Fury
 AMDの開発者向けグラフィックスカードシリーズとしては「FirePro」があるわけだが,Radeon Proはこれを置き換えることになるのか。その質問を会場にいた担当者にしてみたところ,「Radeon Proは通常版RadeonとFireProの中間に位置する製品」という返答が返ってきた。また「Radeon Pro用のドライバソフトウェアは従来のRadeon用と共通であり,FirePro用とは別」という。Radeon Pro用ドライバは,FirePro用ドライバのようなISV認証が取得できていないため,一部のプロ用ソフトや業務用ソフトでは利用できないとのことである。
 ということで,Radeon Pro Duoは,新しいブランディングこそされているものの,事実上は「Radeon R9 295X2」の後継製品という解釈でよさそうだ。

Radeon R9 Fury
「ワークステーションクラスのグラフィックスカード」という謳い文句で勘違いしてしまいそうになるが,FireProは今後も存続するとのこと
Radeon R9 Fury
レイトレーシングをRadeon Pro DuoPRO DUOで実践したところ。2GPUでは理論値に近い1.75倍のパフォーマンスを達成


 イベント最後の最後には,2015年9月に今の形に編成されたRadeon Technologies Group(RTG)の主要メンバーほぼ全員が壇上に上がっての記念撮影会が行われた。
 もともとGPU専門開発ベンダーだったATIは,2006年にAMDに吸収合併され,構成メンバーはAMD各部門に分散されていったわけだが,今回,再編されたRTG部門は事実上の「ATIの再結成」(≒同窓会)のニュアンスが色濃い。RTGとしての初GDCということで,このような「全員集合」の記念撮影会を行ったと見られる。

撮影会の模様
Radeon R9 Fury

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