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ハロー!Steam広場 第121回:コマンドラインとにらめっこしながら進めるローグライクストラテジー「Duskers」
「すちーむ」ってなぁに?というよい子のみんな集まれー! 「ハロー! Steam広場」は,PCゲームのダウンロード販売サイトSteamでリリースされた気になるタイトルやニュースを,筆者が独断と偏見でピックアップして紹介する,とっても有意義なコーナーだ。毎週欠かさずチェックすれば,民家で盗んだパンツを衛兵のポケットに忍ばせておく上級Steamer,いやStealerにジョブチェンジできるかも。
ハロー!Steam広場 第121回は,Misfits Atticが手掛けるストラテジーゲーム「Duskers」をメインに紹介しよう。本作は,コマンドラインでドローンを遠隔操作し,難破船を探索していく。「navigate 1 r4」のようなコマンドを実際に手打ちして指示を出していく感覚が面白い。このほか,実機制作の経験者が手掛けるリアル志向のピンボールゲーム「Pinball PARLOR」もあるので,お見逃しなく。
コマンドラインを使いこなして難破船を探索するローグライクストラテジー「Duskers」
今回はアメリカのインディーズ系デベロッパ,Misfits Atticが手掛けるストラテジーゲーム「Duskers」を紹介しよう。
本作におけるプレイヤーの役どころは,荒廃した銀河の果てをさまよう宇宙船で目を覚ましたパイロットである。彼がなぜ気を失っていたのかは不明だが,周辺を漂う難破船を見る限り,この宙域にいたら命の保証がないことだけは火を見るよりも明らかである。とはいえ,この宙域から抜け出せるほどの燃料は自分の船に残されていない……。
そんなわけでプレイヤーは,宇宙船の燃料(と,この宙域で何が起こったかの情報)を求めて,周辺を漂う難破船を片っ端から探索していくことになる。
とはいえ,難破するほどの何かが起こった船に単身で乗り込むのは,あまりにも危険な行為である。得体のしれない生物が徘徊しているかもしれないし,そもそも人間が活動できる環境ではないかもしれない。そこで活躍するのが,自分の宇宙船に積まれていたドローン3機だ。
プレイヤーはこのドローン達を難破船に派遣して,自分の代わりに探索してもらうことになる。ただし,ドローンは自分達の意思で行動してくれるわけではない。そこでプレイヤーに用意されているのが,コマンドラインインタフェースだ。Windowsユーザーならばコマンドプロント,Macユーザーならターミナルと言えば伝わりやすいかもしれない。
コマンドラインで指示を出すというと難しく聞こえるかもしれないが,実際は覚えるコマンドもシンプルなので,特別な知識は一切必要ない。たとえば,d3のドアを開けたければ「open d3」と入力するだけでいいし,なんなら「d3」だけでも開閉してくれる。識別番号1番のドローンをr4の区画に移動させたければ「navigate 1 r4」といった感じで,ドローンの装備を使いたい時はアイテム名をそのまま入力するだけだ。
そしてこれらの基礎知識はすべてチュートリアルで学べるので,わざわざここに示す必要すらなかったりもする。
もちろん,きっちり覚えたからといって,ゲームが苦もなく進むわけではない。本作はリアルタイムでゲームが進行するので,ドローンに脅威が迫っている時に適切なコマンドを入力できなければ,生命線とも言える彼らを失ってしまうことになる。
ちなみに,ここでいう脅威というのは船内を徘徊するエイリアンのことだ。ドローンは基本的に攻撃手段を持たないので,奴らに見つかったら一方的に破壊されてしまう。
そうならないためにも重要なのが,モーションセンサーを使った索敵だ。これは,「motion」コマンドで使用できるドローンの装備品であり,モーションセンサーを持っているドローンの近くにあるいくつかの区画を同時にスキャンできる。生体反応のない区画はグリーン,ある区画はレッドといった感じで,あらかじめ安全確認を取ることが可能だ。
これさえあれば無敵に思えるかもしれないが,モーションセンサーは正確にスキャンできない時があるので油断は禁物。スキャンの正確さに欠ける区画はイエローになるので,そこに通じるドアを開くときは,何かあってもすぐに閉められるよう,あらかじめコマンドラインに次のコマンドを入力しておくといいだろう。
ただ,イエロー区画にグリーン区画が隣接している場合のみ,イエローが安全かどうかを調べる方法がある。エイリアンはドアが開いているエリア間を移動するので,イエロー区画からグリーン区画につながるドアを「open」コマンドで開ければいいのだ。
もしグリーン区画がレッドに変われば,イエロー区画にエイリアンが居たことになるし,変わらなければイエロー区画はそもそも安全だということが分かる。つまり,モーションセンサーとドアコントロールをうまく組み合わせれば,エイリアンに臆することなく探索が進められるというわけだ。
難破船の探索が終わったら,「navigate all(全機移動)」コマンドで,母船が停泊しているエリアにドローンを集合させ,「exit」と入力すればリザルト画面に移行する。難破船の探索では燃料のほかに,ドローンを強化したり装備を補充したりするのに必要なスクラップも手に入るので,次の難破船に向かう前にしっかりと準備を整えておきたいところ。
このプレイサイクルからも分かるとおり,本作はストラテジーであり,ローグライクでもある。ドローン3機が持つ初期装備は毎回ランダムだし,難破船の構造も新しいデータでプレイするたびに変わるので,リプレイ性も高めだ。
画面映えこそしないゲームであるものの,ああだこうだと頭を悩ませながらコマンドラインインタフェースとにらめっこしていると,なんだかIQの高い天才エンジニアになったような気分にもなってくる。興味のある人はぜひ遊んでみてほしい。
「Duskers」Steamストア(1980円)
実機の制作者が手掛けるリアル志向のピンボールゲーム「Pinball PARLOR」
「こんなゲームをリリースしたい」という開発者に対して,ユーザーが賛成か反対かを投票できるサービスがGREENLIGHTだ。今回は日本のマインドウェアが手掛ける「Pinball PARLOR」を紹介しよう。
タイトルからもお分かりのとおり,本作はデジタル版のピンボールである。それ以上でもそれ以下でもないわけだが,このゲームの魅力はなんといっても,リアルなグラフィックスだろう。公開スクリーンショットを見た時は,実機の写真かと思ってしまったが,すべてゲーム内グラフィックスのようだ。
プラスチックや鉄の質感,そして暖か味のあるライティング効果のほかに,ムービーを見てもらえば分かるのだが,ボールやフリッパーの挙動などもリアルに再現されている。「Pinball FX2」のような派手な演出はなさそうだが,そもそもこのゲームはピンボールがもっとも栄華をきわめた年代を意識して作られているとのことなので,この落ち着いた雰囲気こそがピンボールだと感じる人もいるだろう。
実のところ本作は,1996年からピンボールのレンタルや販売,修理などを手掛けてきたマインドウェアの実機制作スタッフにより開発されている作品なので,クオリティが高いのも当然といったところだろう。また,ピンボールのようなアーケードゲームはVRとも相性が良く,Pinball PARLORの制作スタッフもVR対応について,「開発初期から極めてやる気まんまんです」(原文ママ)とのこと。発売と同時に,というのはさすがに難しいようだが,アップデートでのVR対応予定はあるそうだ。
本作はすでにGREEENLIGHTを通過しているので,後は9月中のリリースを待つのみだ。レトロなピンボールに興味のある人は,GREENLIHGTページをフォローしておくといいだろう。
「Pinball PARLOR」GREENLIGHTページ
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