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「『シン・ゴジラ』スペシャルデモコンテンツ for PlayStation VR」体験会をレポート。樋口真嗣監督が「シン・ゴジラ」製作秘話とPS VRについて語った
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印刷2016/08/04 13:18

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「『シン・ゴジラ』スペシャルデモコンテンツ for PlayStation VR」体験会をレポート。樋口真嗣監督が「シン・ゴジラ」製作秘話とPS VRについて語った

 ソニー・インタラクティブエンタテインメントジャパンアジア(以下,SIEJA)は,東宝との共同開発によるPlayStation VR向けコンテンツ「『シン・ゴジラ』スペシャルデモコンテンツ for PlayStation VR」の特別先行体験会を,2016年8月3日に開催した。
 このコンテンツは,7月29日より公開中の映画「シン・ゴジラ」を題材としたオリジナルのCGによるVR映像。東宝の完全監修のもとに制作され,PS VRの発売日である10月13日より,期間限定で無料配信されることが決定している。今回はそれを先行体験できたほか,「シン・ゴジラ」の監督・特技監督の樋口真嗣氏,プロデューサーの佐藤義宏氏によるトークセッションも開催された。本稿ではその模様をお届けする。

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体験会にはメディア関係者のほか,一般から募集したファンも参加した。会場には歴代ゴジラシリーズのポスターも展示
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 トークセッションではまず映画「シン・ゴジラ」について語られた。会場に来ていた一般観覧者の何割かは「シン・ゴジラ」を観ていないという人も存在していたため,ネタバレ控えめの内容となった。

監督・特技監督の樋口真嗣氏(写真左)と,プロデューサーの佐藤義宏氏(写真右)
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 最初のテーマ「キャスティング」で両氏の口から最初に出たのは,劇中で3人の個性的な生物学者を演じている人物についてだった。実はこの3人は役者ではなく,著名な映画監督であり,多くのNGを出してしまったというのだ。とくに教授を演じる原 一男監督のシーンはなんと合計で38テイクもの撮り直しをしたそうである。
 一方の役者陣は,セリフ量の多いシーンばかりながら,ほとんどが1回のテイクでOKとなったが,こちらは庵野秀明総監督のこだわりにより,カメラを数センチずらした画のために撮り直しになったこともあったという。普通俳優はシーンを撮り終えてそのセリフを忘れることで,次のセリフを覚えるというのだが,撮り終えた後に撮り直しということがあるため,ベテラン俳優がこぞって控え室に戻り,セリフを覚え直して撮り直しに挑むということも多かったという。
 また公開当日に発表された,劇中のゴジラのモーションアクターに,狂言師の野村萬斎さんを選んだことについては,もともと野村さんと親交があった樋口監督は,人間ではないものを体で表現することもある狂言師に注目し,日本で作る映画に日本の伝統芸を起用しようと,佐藤プロデューサーを通さず直にキャスティングを決めたとのこと。
 撮影現場では,狂言を演じるときのようにお面を用意したり,本作のゴジラの特徴の一つである巨大な尻尾を付けたりしてモーション撮りに挑み,どの出演者よりも先にクランク・インしてオールアップしたそうである。

 次のテーマでは,特徴的な「ゴジラのデザイン」について語られている。身長118.5mという,シリーズで最大の大きさを誇る本作のゴジラについて佐藤プロデューサーは,「ゴジラ映画を作るとき,デザインとして必ず守るべき掟があり,それ以外の部分はすべて監督にお任せした」と述べる。

会場に展示されたシン・ゴジラ1号雛型。庵野総監督のコンセプトデザインをもとに,アニメーション監督の前田真宏氏がイメージデザインを手掛け,造形作家の竹谷隆之氏が立体化している
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 デザインついて樋口監督は「1954年の1作目に登場したゴジラを意識した」と語る。多くのシリーズに登場したゴジラは,敵となる存在と戦うために,やや人間的にデザインされる傾向があったが,初代ゴジラは東京を破壊するだけの存在であり,それと同じように腕を小さくデザインしている(「腕が大きくなると,人間ぽくなってしまう」と樋口監督)。それにより人間的な愛嬌や可愛さを一切感じない,恐怖の象徴としての本作のゴジラが完成した。

 続いての「本作のこだわり」という部分について樋口監督は,「とにかくゴジラ以外は実際にあるものしか出てこない」と述べ,すべてのシーンにおいていわゆる「映画的な嘘」が一つもないことを主張した。シーンのすべては,実際の調査などに基づいて制作されていて,分からないことはあらゆる手段を用いて確認し,「映画的な嘘」が必要となるシーンは全て庵野総監督がカットしてしまったそうである。
 例えば首相官邸のシーンでは,ロケハン時に内部の写真撮影や計測が一切できなかったため,スタッフの歩測によって部屋の大きさを確認し,ドアの厚みを手持ちのカバンの厚さと比較するなどして,かなり正確なセットを制作している。一般人は通常,本物の官邸内を見ることができないため,そこまでしなくともそれっぽく作ることはできるのだが,そこを正確に作っているのが本作のこだわりということである。
 また官邸の地下にある危機管理センターは見学さえも許されなかったが,有明にある「国営東京臨海広域防災公園・有明の丘基幹的広域防災拠点施設」にあるオペレーションルームが同じものであり,こちらを撮影に使用している。先日の衆議院議員河野太郎氏のツイートでも話題にもなった施設で,使用においては有事における30分以内の退去が義務づけられており,撮影時は緊急退去を意識して機材の配置などを決めたという。

 最後のテーマ「公開後の反響」では,樋口監督が映画を観た知人から「ゴジラについて語りたい」と呑みに誘われることが増えたと切り出す。
 また,劇中序盤の印象的なシーンに品川の八ツ山橋が登場していて,ここは初代ゴジラが初めて上陸した場所であり,重要なシーンとして選ばれたのだが,映画を観たファンがその場所を訪ねている様子を見て,「自分たちが目指したものを,ロケ地を探訪して追体験してくれているのは本当と嬉しい」と佐藤プロデューサーはコメントしていた。

SIEJA秋山賢成氏
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 ここでトークにSIEJAの秋山賢成氏が加わり,「『シン・ゴジラ』スペシャルデモコンテンツ for PlayStation VR」について触れられた。

 東宝にPS VRを試してもらう機会をきっかけに実現したというこのコラボレーション。フレームを切り取ったり,カットを割ったりして,複数の画を続けて見せることで印象を操作する映画に対して,VRはそれらの要素がないため,単純な映像でも映画では絶対にできないことができると樋口監督は語っている。
 制作について秋山氏は,ゴジラ史上最大の大きさをVRで体感すべく,ゴジラと自分との距離感や,それを引き立てる音響にこだわったことを語っている。映画の資料をそのまま使い,前述の「ゴジラとして守るべき掟」を守りつつディテールを忠実に再現,映像に迫力を出すために前日まで調整していたそうである。

 最後に樋口監督が壇上で初めてこのVRコンテンツを体験している。「熱い!」「これはひどい」「効かないから無理!」といった体験中の監督の実況は,その後に会場で体験した人にはよく分かったのではないだろうか。

当コンテンツを初体験した樋口監督。エンドユーザーの一人としてPS VRを欲しいと思っているが,予約ができず悔しい思いをしたそうだ
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 当コンテンツの体験会は,トークセッション終了後に行われている。体験できたコンテンツの内容についても簡単に紹介したい。
 PS VRのディスプレイには,崩壊した夜の東京駅丸の内口の様子が映っている。体験者はそこに取り残された一般人のようだ。そこに巨大な尻尾が現れ,ゴジラの巨大な姿も見えてくる。ヘリによる攻撃も効かず,それが自分のほうへと迫ってくる……。時間にして2分程度の短い映像コンテンツだったが,ゴジラの巨大感とそれが迫ってくる恐怖や絶望を体感できるものだった。体験したのが映画を観たあとであれば,その感覚はさらに高まったのではないだろうか。
 正式配信は少し先となるので,ぜひ「シン・ゴジラ」本編を観てから体験してみてほしい。また当日はTwitterのハッシュタグ「#ゴジラ「#シンゴジラ」「#PSVR体験」で体験者に感想のつぶやきを勧めていたので,そちらをチェックしてみるのもいいかもしれない。

「シン・ゴジラ」のコンテンツは映像のみでコントローラなどは使用しない
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「PlayStation VR」公式サイト

  • 関連タイトル:

    PlayStation VR本体

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