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「Mionixを知らないなら知らないでもいい」。異色のCEOが語る「ゲーム用周辺機器カラバリ戦略」の真意
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印刷2017/07/22 00:00

インタビュー

「Mionixを知らないなら知らないでもいい」。異色のCEOが語る「ゲーム用周辺機器カラバリ戦略」の真意

Carl Silbersky氏(CEO, Mionix)
画像集 No.002のサムネイル画像 / 「Mionixを知らないなら知らないでもいい」。異色のCEOが語る「ゲーム用周辺機器カラバリ戦略」の真意
 一昔前こそ,オーソドックスなゲーマー向け周辺機器を出していたものの,生体センサー搭載マウスを出したあたりから,その戦略に明らかな変化が生じていたMionix(マイオニクス)。とくに公式サイトのリニューアル後は,明らかにポップな路線を打ち出しており,競技志向一辺倒の競合他社と比べると,その方向性の違いはとても目立つ。

 では,Mionixはいま何を狙い,どこに向かって動いているのだろう? 4Gamerでは,来日した同社CEOのCarl Silbersky(カール・シルバスキー)氏に話を聞くチャンスを得たので,今回はその模様を以下のとおりお届けしてみたい。


4Gamer:
 今回はよろしくお願いします。まずは簡単に自己紹介をいただけますか。

Carl Silbersky氏:
 ドーモ,カールサンデス(※ここだけ日本語で)。
 MionixのCEOとして「デスクトップを通して幸せを運ぶ」革命を起こしています。私自身のバックグラウンドとしては,いくつかの会社を興した(起業家である)ことが挙げられますが,幸いなことに立ち上げた会社はAppleやソフトバンクグループといった大手に買収されました。
 その後,ゲーマー向けのデバイス業界へこうして足を踏み入れることになったわけです。

4Gamer:
 以前,Mionixのセールス部門トップであるCarsten Berger(カースティン・ベルガー)さんとお会いしたとき,Carlさんは2014年にMionixへ合流したというお話を伺いました。立ち上げた会社が手離れしたタイミングが,2014年あたりだったということですか。

Carl Silbersky氏:
 そうなりますね。

4Gamer:
 起業家からゲームデバイスメーカーCEOへの転身というのはあまり例がないと思うのですが,なんでまた?

画像集 No.003のサムネイル画像 / 「Mionixを知らないなら知らないでもいい」。異色のCEOが語る「ゲーム用周辺機器カラバリ戦略」の真意
Carl Silbersky氏:
 本当にちょっとした理由からなんですよ。2014年頃にゲーマー向けのマウスやキーボードを見て,「なんでこんなに見た目が暗くてつまらないのか?」と思ったのがきっかけです。
 どれもこれも同じような見た目なのに,蛇だか猫だか犬だかにかこつけた名前を付けて,ナントカDPIと“ご高説”を並べたてて,それを若いゲーマーに売りつけてイノベーションがどうたらと……。何がイノベーションなんでしょうね? LEDが七色に光ったらイノベーション? そんなの違うでしょう。

4Gamer:
 ええ。

Carl Silbersky氏:
 ゲームは地球上で最も速いスピードで成長している文化で,楽しむためのものですよね。なのに,デバイス周りはRazerもLogitechも黒ばっかり。暗い感じのものばかりなんですよ。もっと見た目からでも楽しむことができるんじゃないかなと。

4Gamer:
 ちなみに,いつ頃くらいから「今のデバイスはつまらない」と感じていたのですか?

Carl Silbersky氏:
 MionixのCEOになる前ですから,2年半から3年くらい前ですかね。いろいろなデバイスを見て調べていたのですが,私を笑顔にしてくれる要素が皆無だったんですよ。
 そこでMionixへの投資額を増やしてCEOになり,作り手側に回ったわけです。

4Gamer:
 そこでCEOになっちゃうのが起業家っぽいところですが(笑),となると,Carlさんが関わった最初のMionix製品は何でしょうか。

NAOS QG。本製品の詳細はレビュー記事を参照してほしい
画像集 No.004のサムネイル画像 / 「Mionixを知らないなら知らないでもいい」。異色のCEOが語る「ゲーム用周辺機器カラバリ戦略」の真意
Carl Silbersky氏:
 Kickstarterキャンペーンで始まった「NAOS QG」からですね。

4Gamer:
 その後,しばらくの間目立った新製品がなかったMionixが,ここに来て,5色展開の新しい「CASTOR」マウスや,キーキャップで色をカスタマイズできるキーボード「WEI」など,次々に新製品を投入してきたのは,まさに準備が整ったからだ,という理解でいいでしょうか。

画像集 No.013のサムネイル画像 / 「Mionixを知らないなら知らないでもいい」。異色のCEOが語る「ゲーム用周辺機器カラバリ戦略」の真意

画像集 No.015のサムネイル画像 / 「Mionixを知らないなら知らないでもいい」。異色のCEOが語る「ゲーム用周辺機器カラバリ戦略」の真意
Carl Silbersky氏:
 というかですね,CEOになって最初にやったことは,古い製品のファームウェアやソフトウェアの見直しです。ハードウェアの見直しと比べると比較的容易なので,まず取りかかろうと。
 で,その後,NAOS QGを開発しながら,CASTORの見直しやWEIの開発といったところを,この2年間でやってきたという感じです。もちろん,まだお話できない新製品の開発もスタートさせていますが。

4Gamer:
 新しいCASTORは,そのカラーバリエーションのインパクトが大きいですけれども,実のところ挙動周りの強化のほうが重要だと考えています(関連記事)。「見直し」というのは,つまりそういう部分に関するものですか。

見直しの結果として誕生した統合ソフトウェア「Mionix Hub」
画像集 No.014のサムネイル画像 / 「Mionixを知らないなら知らないでもいい」。異色のCEOが語る「ゲーム用周辺機器カラバリ戦略」の真意
Carl Silbersky氏:
 そうですね。ファームウェアやソフトウェアを新しくしています。あと,スクロールホイールは改善の要望が多くあったので,そちらは新しく作り替えました。
 一方で,センサーやメインボタンのスイッチは変わっていません。センサーは「PMW3310」で,メインボタンのスイッチはオムロン(※オムロン スイッチアンドデバイス)製です。ただ,そういうのは問題じゃないんですよ。

4Gamer:
 と言いますと?

CASTORの内部構造
画像集 No.016のサムネイル画像 / 「Mionixを知らないなら知らないでもいい」。異色のCEOが語る「ゲーム用周辺機器カラバリ戦略」の真意
Carl Silbersky氏:
 結局のところ,ゲームを長時間プレイするのに何が大事かと言えば,「手に持ったときのフィーリング」がすべてじゃないですか。たとえばDPI値がどうだといったところで,12000 DPI設定にしてゲームをプレイする人なんているわけがないんですよ。

 Mionixにはクラフトマンシップがあり,「中身」については常にベストを尽くしていますから,そこは信頼してください。
 我々の製品は,ゲーマーやアーティストが求める品質基準は満たしています。安心して手に取ってもらって,あとはフィーリングで判断してほしいと考えています。

4Gamer:
 面白い考え方だと思いますが,現在のゲーマー向け製品市場はやや供給過多になっていて,だからこそ各ブランドは,プロゲーマーをサポートして広告塔として機能してもらったりして,「あの人が勧めているから」と,言い方は悪いですが,ユーザーがあまり深く考えずとも購入できるような仕掛けを用意していますよね。
 ただ,いまのお話だと,そもそもMionix製品がそういった層にリーチしない可能性があると思うのですが,そのあたりはどうお考えですか。

Carl Silbersky氏:
 正直なところ,「スポンサーシップ」というのにはあまり興味がありません。
 プロゲーマーで私達のデバイスを使用している人もいますが,あくまでも友人としての関係ですね。「ぜひスポンサーになってほしい」と頼まれることもありますが,現状はお断りしています。

4Gamer:
 同業他社とは相当に異なるアプローチですね。
 そういえば,Mionixって,ゲーマー向け製品ブランドがお題目のように唱えている「ゲーマーから話を聞いた」「ゲーマーと共同開発した」的なアピールをほとんどしませんが,それも意図的ですか。

Carl Silbersky氏:
 ですね。ゲーマーやストリーマーにアイデアを尋ねたり,使った感想を求めたりするのではなく,(ゲーマーやストリーマーに限らず)とにかくさまざまな人と対話して,彼ら彼女らが何を必要としているのかを絞り込むようにしています。「センサーが」「スイッチが」という話は,社内の技術者がやりますし。

4Gamer:
 では,プロゲーマーと切っても切り離せない,いわゆるe-Sportsシーンはどのように評価していますか。

Carl Silbersky氏:
 面白い流れが起こっているとは思いますよ。ただ,Mionixがサポートするかというと……。
 我々がサポートしたいと思えるような「面白いチーム」と出会わない限り,とくに動くことはないでしょうね。

4Gamer:
 面白い,面白くないの基準ってあります? あるいは「こうなればMionixとしても動くかも」的な要素とか。

インタビュー当日,Silbersky氏はBAPEのシャツを着ていた
画像集 No.011のサムネイル画像 / 「Mionixを知らないなら知らないでもいい」。異色のCEOが語る「ゲーム用周辺機器カラバリ戦略」の真意
Carl Silbersky氏:
 大会や関連番組を見るのは,個人的には好きだけど,選手がどこも似たようなジャージやスウェットを着てるのはダサいですよね。もっとこう,SupremeとかBAPE(A BATHING APE)とか,ファッション要素を取り入れたほうが良いんじゃないかな? とは思います。

 というか,服装に限らないんですけど,ゲーマーって,「ゲーマーである」と主張しないんですよ。たとえばスケーターならスケートボードで滑ることで自己主張できるんだけれども,ゲーマーって,そういう主張をしない。それで集めるデバイスは黒一辺倒だから,暗いイメージが付いてしまう。アレが問題ですね。

4Gamer:
 ああ,おっしゃりたいことはなんとなく分かります。明るいイメージがないところへ「わざわざスポンサーとして入っていく」ことに,Carlさんとしては魅力を感じていないと。

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Carl Silbersky氏:
 そうですね。だからこそ,まずはデバイスをもっと楽しめるようにしたいんですよ。
 たとえば普通のゲーム用マウスだったら,化粧箱なんてとくに見向きもせず捨てちゃいますよね。でも,カラバリ版CASTORなら,フライドポテトやアイスクリームといった,ポップな絵柄が目に入ります。「なんで食べ物?」と疑問に思うかもしれませんけど,そういった疑問が生じること自体が面白くないですか?

よくあるタイプの黒+LEDイルミネーション仕様をベースモデルとして,追加で4色,「Shark Fin」と「French Fries」「Frosting」「Ice Cream」もある新CASTOR。右は製品ボックスだが,実にポップだ
画像集 No.007のサムネイル画像 / 「Mionixを知らないなら知らないでもいい」。異色のCEOが語る「ゲーム用周辺機器カラバリ戦略」の真意 画像集 No.006のサムネイル画像 / 「Mionixを知らないなら知らないでもいい」。異色のCEOが語る「ゲーム用周辺機器カラバリ戦略」の真意

4Gamer:
 ゲーマー向けのデバイスでは普通やらないですよね。しかも,なら食べ物だけなのかと言えば,唐突に鮫が出てきて。

Carl Silbersky氏:
 黄色だったり赤だったりのCASTORを机の上でPCと接続した“絵”を思い浮かべてみてください。今の環境よりも明らかにおしゃれになったでしょ? しかも,オモチャではなく,ゲーム用途として十分な性能を持っている。

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4Gamer:
 ちょっと気になるのは,こういうポップな色だと汚れが目立って,Mionixのイメージしているおしゃれさから少しズレる恐れがあるのではないか,という点ですが,そのあたりはどうでしょう。

Carl Silbersky氏:
 うちの製品に限らず,汚れは必ず付きますが,CASTORでは簡単に掃除できるコーティングを採用しています。
 ただ,使う前には念入りに手を洗いましょう(笑)。

Long Padは4色展開
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4Gamer:
 (笑)。
 ところで今回は黄色と,朱色に近い赤色,水色,灰色です。WEIは基本が灰色キーキャプで交換用が黄,赤,水。細長いパームレスト兼マウスパッド「Long Pad」も,灰色ではなく黒だということを除けば同じ4色展開です。今後もこのカラーリングを続けていくという理解でいいのでしょうか。

Carl Silbersky氏:
 世の中には色々な色が存在していますからねぇ(笑)。もっと何かあるかもしれません。

4Gamer:
 “ダメもと”で聞いてしまいますが,左右両手持ち対応のAVIORシリーズもCASTORと同じようにカラバリ化でリファインされる可能性はありますか。

Carl Silbersky氏:
 「ちょっと分からない」とあえて答えましょう。ですが,そんなに遠くないうちに答えが出るのではないでしょうか。

4Gamer:
 何かヒントだけでも……。

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Carl Silbersky氏:
 詳しくはお話できませんが,まずCASTORがあり,次にWEIがあります。
 またMionixには現在,8つの製品開発ラインが存在しています。ぶっちゃけた話,開発中の製品をそのまま出すだけなら,正直,とくに難しくもないんですよ。
 ですが,より良い製品として仕上げるために工夫を凝らしたり,ユーザーが幸せになれたりといった詰めの作業には,どうしても時間がかかります。

 なので,今すぐ次の何かが出るわけではないですが,いずれ,先ほどの質問に対する答えも出てくるでしょう。

4Gamer:
 こう言っては失礼ですが,Mionixって,8つもの開発ラインを持っているほど大きな会社なのだろうかという疑問もあります。Mionixくらいの規模であれば1つ2つ程度に注力したほうがいいのではないかと素人考えでは思ってしまうのですが,どうやって8つものラインを管理しているのですか。

Carl Silbersky氏:
 その意味では,ラインではなく開発プロジェクトと表現したほうが正確ですね。
 全体で8つのプロジェクトがありますが,何か別のプロジェクトで問題があれば,どれかを停止して人員を割くこともあるため,この数は増えたり減ったりしています。
 現状で出せる最大の品質に到達しなければ停止させるということもありますし。

4Gamer:
 かなり流動的にプロジェクトを動かしているということですね。

新型CASTORは,筐体やスクロールホイール,追加ボタンだけでなく,ケーブルやその関連部品も同じ色で統一されている
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Carl Silbersky氏:
 たとえばカラバリ版CASTORの場合,ラバーや外装カバー(の製造)には16社が関わっているんですが,そのすべての会社に「完全に同じ色」を出すよう指示しています。簡単そうに聞こえるかもしれないですけれども,実はとても難しいことなんですよ。
 付け加えるなら,色を出すにあたっては,人体に害のない素材を探すのにも時間がかかります。そういう場面場面でプロジェクトは時間的に停滞することになるわけです。


「我々は優れていて美しい製品を作ることしかできない」


4Gamer:
 そういえば,一度ちゃんと聞いておこうと思ったんですが。

Carl Silbersky氏:
 はい。

MionixMOB紹介ページより。リンク先をチェックしてみると分かるが,日本人もメンバーに入っている
画像集 No.009のサムネイル画像 / 「Mionixを知らないなら知らないでもいい」。異色のCEOが語る「ゲーム用周辺機器カラバリ戦略」の真意
4Gamer:
 さきほど,「ゲーマーやストリーマーにアイデアを尋ねたり」はしないというお話がありましたが,Mionixってストリーマーの支援はしていますよね?

Carl Silbersky氏:
 そうですね。「MionixMOB」(マイオニクスモブ)という(現時点で総勢)43人のストリーマーチームがあります。こちらはゲーマーと言うより,DJなど,「クリエイティブな何か」をしている集団ですね。

4Gamer:
 そうなると,カメラやマイクといった配信向けのデバイスが必要になってくるのではないかと思います。そういった方向での計画は何かあるのでしょうか。

Carl Silbersky氏:
 すごくスマートな質問だね! 我々には開発におけるロードマップの存在がありますが,やはり今は何も言えません。察してください(笑)。

4Gamer:
 では,ちょっと質問を変えましょう。
 配信だと,ディスプレイなども映像に映ると思いますが,率直な意見として現状の「マウスやキーボード以外の配信向けデバイス」についてはどう思いますか。

Carl Silbersky氏:
 つまらないね! だって,売ることしか考えていないから。
 美的感覚が二の次になっているとしか思えないんですよ。

4Gamer:
 配信だと手元はあまり映らないことが多いので,画面に映りやすいマイクやヘッドセット,あるいはディスプレイを,それこそCASTORのような多様なカラーリングで出せると面白いですよね。

画像集 No.010のサムネイル画像 / 「Mionixを知らないなら知らないでもいい」。異色のCEOが語る「ゲーム用周辺機器カラバリ戦略」の真意
Carl Silbersky氏:
 ただ,我々がサポートしているようなクリエイティブな人達って,それこそ(黄色いヘッドセットを装着して映ってくれ,などといった)こうしろああしろっていう指図が嫌いじゃないですか(笑)。
 だから,現状では「Mionixの何か」が画面に映らなくても別にいいかなとは思っています。

4Gamer:
 それはかなり「ゆるい」というか,おおらかですね。

Carl Silbersky氏:
 私は「自分としての個」を持っている人が大好きなので,MionixMOBをはじめとする,そういった方々と何かを作り上げていきたいと思っています。それを前にすれば,「Mionixのロゴが映るかどうか」なんて話は,どうでもいいことなんですよ。
 フォロワーが1000人だろうと5万人だろうと規模の違いは関係ないので,面白いことをやっていて我こそはと思っている人は。Mionixにコンタクトしてきてください(※コンタクト先はMionixの日本語Twitterアカウントでいいとのこと)。

4Gamer:
 面白いな,と思いつつも同時に疑問が浮かんだので最後に聞いてしまいますが,Mionixって,少なくとも日本市場においては,そこまで圧倒的に知られたブランドではないと思うのです。
 その状態で「面白い人は来てくれ!」と呼びかけても,その「面白い人」に届かない恐れがあるようにも感じますが,そこで必要になるであろうコミュニケーションについて,何か具体的なプランはありますか。

Carl Silbersky氏:
 ないですね。

4Gamer:
 ないんですか。

画像集 No.012のサムネイル画像 / 「Mionixを知らないなら知らないでもいい」。異色のCEOが語る「ゲーム用周辺機器カラバリ戦略」の真意
Carl Silbersky氏:
 Mionixを気に入ってくれている人がいれば口コミなどで広がると思いますし,知らなければ知らないでもいいんじゃないかと。

4Gamer:
 仮にDJ界隈に広めるとしても,現状の「一部のゲーマーのみに知られている」状況では,厳しいのではないか,という気もするのですが。

Carl Silbersky氏:
 我々は優れていて美しい製品を作ることしかできないんですよ。
 いい製品であれば自ずと広がるでしょうし,そうあるべきだと思います。逆に,それで(Mionixがターゲットとするユーザー層へ)リーチしないのであれば,それはそのレベルの製品だったということなんじゃないですかね。


 以上,Mionixを率いるCEOの考え方が,従来からある「ゲーマー向け周辺機器業界」のそれとは相当に異なると分かったのが,個人的には収穫だった。「勝つこと」に,これほどまでこだわっていないゲーマー向け製品ブランドというのは,逆に貴重だろう。

 筆者個人としては,品質面で,それこそ新型CASTORにおいて,従来製品にあったリフトオフディスタンス機能を削ってしまったあたりに,「プロゲーマーに使い勝手を試してもらっていないことの弊害」を感じており,スイッチやセンサー類に関する氏の見解には少なからず疑問もある。また,情報過多のこの時代にあって,「いいものさえ作っていればユーザーは付いてきてくれる」と言い切っている部分も,気にならないと言えば嘘になる。

 ただそれでも,ここまで徹底して,「ユーザーを楽しませる」方向を向いていること,それ自体はアリなのではないかと思わせるだけの熱意を,Silbersky氏の,一種独特な言い回しからは感じることができた。
 今後もMionixからはカラフルでポップな,「幸せを運ぶ」ようなゲーマー向けデバイスが出てくることだろう。楽しみに待ちたい。

(インタビュー:BRZRK,インタビュー撮影:佐々山薫郁,製品撮影:佐々木秀二)

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Mionix日本語公式Webサイト

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