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[CES 2014]NVIDIAの次世代SoC「Tegra K1」登場で,Keplerはモバイル端末からスパコンまでをカバーするGPUとなる
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印刷2014/01/07 00:00

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[CES 2014]NVIDIAの次世代SoC「Tegra K1」登場で,Keplerはモバイル端末からスパコンまでをカバーするGPUとなる

画像集#003のサムネイル/[CES 2014]NVIDIAの次世代SoC「Tegra K1」登場で,Keplerはモバイル端末からスパコンまでをカバーするGPUとなる
 北米時間2014年1月5日,NVIDIAは米国ネバダ州ラスベガスで開催される家電見本市「2014 International CES」の開幕に先立って報道関係者向けイベントを開催。その場で,次世代モバイルSoC(System-on-a-Chip)「Tegra K1」の概要を明らかにした。
 先に掲載の速報記事と内容的に重複する部分はあるが,あらためて,イベントで語られたTegra K1関連の内容をレポートしたいと思う。


Tegra K1が「デベロッパのジレンマ」を解消する!?


Tegra K1の概要を明らかにしたJen-Hsun Huang氏(President and CEO, NVIDIA)
画像集#002のサムネイル/[CES 2014]NVIDIAの次世代SoC「Tegra K1」登場で,Keplerはモバイル端末からスパコンまでをカバーするGPUとなる
 プレゼンテーションを行ったのは,NVIDIAの総帥であり,顔でもあるJen-Hsun Huang(ジェンスン・フアン)社長兼CEOだ。氏は,「次のTegraはどうなるだろう。8コア? それとも12コア?」とジョークを交えながら,次世代のTegraに関する説明を始めた。

 現行製品が「Tegra 4」ということで,開発コードネーム「Logan」(ローガン)と呼ばれていた次世代Tegraの正式名称が“Tegra 5”になるのではと想像していた読者は多いのではなかろうか。実のところ筆者もそうだったのだが,Huang氏の披露した名称は,予想外のTegra K1だった。Tegraファミリーが大きな飛躍を遂げた象徴としての製品名変更とNVIDIAは位置づけているが,「Kepler」アーキテクチャを採用することと関連した動きであることは想像に難くない。

 そんなTegra 4までのSoCで統合されてきたGPUコア「Ultra Low Power GeForce」(ULP GeForce)は,DirectX 9世代のものだった。Keplerアーキテクチャを採用する現行世代のGeForceやQuadro,Teslaとは,比較にならないほど古い世代のGPUコアだったわけだ。
 それに対し,Logan世代のTegra K1では,現行世代のPCおよびワークステーション,サーバー向けGPUと同じ世代のコアを採用してきた。GPUコア世代のギャップがかなり縮まったのではなく,Tegra K1でいきなりなくなったのである。

 NVIDIAは,次世代GPUアーキテクチャである「Maxwell」(マクスウェル,開発コードネーム)でも,Tegra K1の登場によってKepler世代で実現された「モバイル端末からスーパーコンピュータまで同一のGPUアーキテクチャ展開」を踏襲することになる。その意味においても,Tegra K1は同社にとって大きな転換点になったといえるだろう。

NVIDIAのPC向けGPUコアとモバイル向けGPUコアの変遷を示したグラフ。左はTegra 4までのグラフで,PCとモバイルのアーキテクチャには大きな隔たりがあった。それがTegra K1の登場によって変わり,今後は共通したアーキテクチャをベースに進んでいくことになる(右)
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 Huang氏は,Tegra K1がもたらす飛躍について,「デベロッパのジレンマ」というキーワードを掲げて説明した。
 氏の言うデベロッパのジレンマとは,ときに1億ドルを超える巨額の開発費をかけて開発した「フォトリアルなグラフィックスを持つゲーム」を,アーキテクチャの違いがありすぎるという理由により,モバイル端末へ展開できないという問題のこと。Tegra K1は,この問題をクリアするカギになるというわけだ。

 速報記事でも述べたとおり,そして予告されていたとおり,Tegra K1で集積されるGPUコアの数は192基となるが,これは,Kepler世代のデスクトップPC向けローエンドGPUである「GeForce GT 630」(※Fermiコア版ではなくあくまでもKeplerコア版)の半分に過ぎない。そのため,絶対的な性能には大きな違いがあることを十分理解しておく必要があるが,機能的には,GeForce GTX 700&600シリーズ搭載のゲームPCやPlayStation 4,Xbox Oneと同じように,Tegra K1はDirectX 11.1(&OpenGL 4.4)世代のゲームタイトルで使われる表現手法を利用できる。確かにこれは,氏のいうジレンマを解消しやすくなりそうだ。

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PCやゲーム機用のグラフィックス表現を,モバイル端末では表現できない。それをHuang氏は「デベロッパのジレンマ」と表現した
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Tegra K1の登場により,デベロッパのジレンマは解消され,最新のUnreal Engine 4ベースのゲームも動作するようになるという

 イベントでは,Epic Gamesの新世代ゲーム機向けゲームエンジン「Unreal Engine 4」(以下,UE4)がTegra K1をサポートすると発表され,実際に動作デモも披露された。そのムービーは別途掲載しているので,興味のある人はそちらもチェックしてほしい。かなりのインパクトがあるのが分かるだろう。

左はTegra K1とUnreal Engine 4で可能になる「フォトリアル」な表現技法の例。右は,ホラーゲームをイメージしたUnreal Engine 4によるデモの1シーン。壁の模様や反射といった表現は,既存のモバイル向けSoCでは難しかったものだ
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[CES 2014]Tegra K1ならDX11.1世代のゲームがここまで動く。「Unreal Engine 4」のデモや実ゲームタイトルをムービーでチェック


 また,Huang氏は,Tegra K1の“馬力”がPlayStation 3やXbox 360といった一世代前の据え置き型ゲーム機を上回ることや,Appleの「A7」プロセッサと比較して2.5倍以上もの3D性能を持つこともアピールしていた。

画像集#010のサムネイル/[CES 2014]NVIDIAの次世代SoC「Tegra K1」登場で,Keplerはモバイル端末からスパコンまでをカバーするGPUとなる
Tegra K1のスペックを,PlayStation 3やXbox 360と比較したスライド。現行世代のゲーム機を超える機能や性能を,わずか5Wの消費電力で実現できるとした
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Tegra K1は,「GFXBench 3.0 GL Gold」の「Manhattan」で,A7比2.5倍以上ものスコアを叩き出すという。A7では動かないUE4のデモも,Tegra K1なら動く


Tegra K1のCPUコアは4コアCortex-A15と64bit対応2コアDenverの2種類


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Denver版Tegra K1。冒頭で示したスライドと見比べてみてほしい
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Tegra K1リファレンス機で動作しているAndroidから「CPU-Z」を実行し,OSが64bitカーネルで動作していることを示したところ
 Tegra K1最大の特徴がGPUコアにあることは確かだが,ここまでの説明ではCPUコアの話が一切なかった。そのため筆者は,「CPUコアについては何も説明しないつもりなのかな?」と疑問を抱いたほどだが,そこには「サプライズ」(Huang氏)が隠されていた。Tegra K1には,異なるCPUコアを集積する,2種類の製品が用意されるのだ。

 速報記事でも紹介したとおり,Tegra K1には,ARMの「Cortex-A15」IPコアを4基集積した製品と,ARMv8アーキテクチャに基いてNVIDIAが開発した64bitコア「Denver」を2基集積した製品の2種類が投入される。

 Denverは7-wayのスーパースカラ(Superscalar,スーパースケーラともいう)型ということで,ARMアーキテクチャを採用する既存のCPUコアより性能も高いレベルにあると推測される。
 今回はCPU性能に関する具体的な情報は開示されなかったものの,Denver搭載のTegra K1は,GPUだけでなくCPU部分の性能にもかなり期待できるのではなかろうか。

Cortex-A15版Tegra K1とDenver版Tegra K1のスペック比較
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 ちなみに説明会の会場では,開発中のTegra K1を使ったデモ機が並び,UE4ベースとなるゲーム風のデモや,4K解像度の映像を同時に2画面出力するといったデモが披露されていた。

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クリスタルでできたモアイ像を壊すというTegra K1の技術デモ。デモ機材は7インチクラスのタブレット端末を想定したもののようだった
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こちらは4K解像度のシャープ製液晶パネルと接続して,4K表示を行っていたデモ機。Tegra K1は4K解像度を同時に2画面表示できるという

 さて,気になる搭載製品の登場時期だが,Cortex-A15版のTegra K1は2014年上半期,Denver版は2014年下半期となっている。うまく行けば,夏前から盛夏くらいにかけて,第1弾製品を国内でも手にすることができるかもしれない。

NVIDIAはかねてより,Tegra VCM(VCM:Vehicle Computing Module)としてTegraの車載用途を訴求し続けているのだが(関連記事),イベントではTegra K1でもVCMが用意されることが明らかになった。Tegra K1 VCMではその性能を活かし,車のデザインシミュレーションや販促ツールへの応用,車載情報機器の制御,安全運転を補助する機能の制御など,さまざま用途を想定しているようだ
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Tegra K1 VCMはボードコンピュータになっている。形状からすると,従来のVCMと同じく,1DINタイプだろう。車載用ということで,広い温度範囲での動作がサポートされているはずである
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GPGPUを使って歩行者の認識や死角の探知,走行レーン認識,衝突回避,標識認識やクルーズコントロールなどを実現する「Tegra K1 for ADAS」が利用可能になる
ダッシュボードをCGで描き,ダッシュボードにさまざまな機能を持たせようとする「Project Mercury」。一部の高級車に採用されているが,今後,採用例が増える気配だ
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[CES 2014]【速報】NVIDIAの次世代SoCは「Tegra K1」。Kepler世代で192基のGPUコアを集積し,CPUは4コアA15もしくは2コアDenverに

NVIDIAのTegra K1プレスリリース(英語)

NVIDIAのTegra K1製品情報ページ(英語)

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