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ついに実装されたカジノや新大陸,そしてディレクター交代にまつわる話など。「ドラゴンクエストX」はバージョン2でどう変わるのか? 運営開発インタビュー
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印刷2013/12/27 00:00

インタビュー

ついに実装されたカジノや新大陸,そしてディレクター交代にまつわる話など。「ドラゴンクエストX」はバージョン2でどう変わるのか? 運営開発インタビュー

画像集#027のサムネイル/ついに実装されたカジノや新大陸,そしてディレクター交代にまつわる話など。「ドラゴンクエストX」はバージョン2でどう変わるのか? 運営開発インタビュー
 スクウェア・エニックスが運営するオンラインRPGドラゴンクエストX。本作を“バージョン2”へとアップグレードする追加パッケージ「ドラゴンクエストX 眠れる勇者と導きの盟友 オンライン」PC / Wii / Wii U)「ドラゴンクエストX 眠れる勇者と導きの盟友 オンライン」が,12月5日に発売された。
 バージョン2.0では,新職業「まもの使い」や,新たな冒険の舞台となる新大陸「レンダーシアの大地」が追加されたほか,待望の新施設「カジノ」がついにオープンするなど,コンテンツ面で大きな拡充な図られている。

 また,バージョン2に移行するにあたり,これまでディレクターを務めていた藤澤 仁氏が退陣し,代わりにチーフプランナーを務めてきた齋藤 力氏(以下,りっきー)がディレクターに就任しているところも,本作の今後を左右する大きな変化だろう。長年ドラゴンクエストシリーズに携わってきた藤澤氏が離れることで,「ドラゴンクエストX」の方向性はどうなるのか。そもそも,齋藤 力氏とはどんな人物なのか?

 4Gamerでは,「ドラゴンクエストX」のプロデューサーを務める齊藤陽介氏と,新ディレクターの齋藤 力氏に話をうかがう機会を得て,「カジノ」の様子や「まもの使い」の反応についてなど,バージョンアップ直後の反響について聞きながら,いろいろなことを尋ねてみた。

「ドラゴンクエストX」公式サイト


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「ドラゴンクエストX 眠れる勇者と導きの盟友 オンライン」
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新ディレクター「りっきー」さんってどんな人?


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。まず,ディレクターが藤澤さん()からりっきーさんに変わる,という点からお聞かせいただけますか。やっぱり,バージョン2.0に移行するにあたっての一番大きな変化でもあると思いますし。

※藤澤 仁(ふじさわじん):スクウェア・エニックス 開発部 ディレクター。1998年より堀井雄二氏のアシスタントとして「ドラゴンクエスト」シリーズのシナリオ制作に参加。「ドラゴンクエストIX 星空の守り人」ではディレクターを務めた。「ドラゴンクエストX」でもディレクター&シナリオを担当し,ゲームの運営と開発を統括していた。「ドラゴンクエストX」ではバージョン1の開発終了に伴い,ディレクター職を退いた

齊藤陽介(さいとうようすけ):スクウェア・エニックス エグゼクティブ・プロデューサー。黎明期からオンラインゲームの開発を行ってきた開発者で,「ドラゴンクエストX」でもプロデューサーを担当。代表作には「アストロノーカ」,「クロスゲート」,「ニーア レプリカント/ゲシュタルト」などがある
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齊藤氏:
 まぁ,どんなことでもずっとってワケにはいかないですからね。藤澤からりっきーへの交代は,それこそかなり前から決まっていたことで,お客さんにもお伝えしていたことでしたから,そういう意味では,あまり違和感や混乱はなかったのかなって思っていますが。

4Gamer:
 僕がこんな事を言うのもアレですけど,オンラインゲームの運営責任者が“良い形”で退くのって,実はなかなか難しいことなんですよね。

齊藤氏:
 いや,本当にそうですね。そういう意味でも,藤澤は難しい仕事をやり遂げたと思いますよ。これも,やっぱり長い間,お客さんと向き合ってきた結果というか。もちろん,いろいろと厳しい意見とか,苦しいやりとりもあったとは思うんですけど,結果として“良い形”で次へつなげられたのは本当によかったと思っています。

4Gamer:
 ディレクターを藤澤さんから引き継ぐにあたって,「ここは変えちゃいけない」だとか,そういう議論ややりとりはあったんですか?

齋藤力氏(以下,りっきー):
 そこはむしろ,逆に「俺に遠慮しなくていい」みたいな話を強く言われました。「りっきーが本当に好きなものを作んなきゃ駄目だ」って。

4Gamer:
 なるほど。

齋藤 力(さいとうちから):通称「りっきー」。スクウェア・エニックス ディレクター。いくつかのゲーム会社を経てスクウェア・エニックスに入社。同社で「クロストレジャーズ」のディレクターを務めた後,「ドラゴンクエストX」の開発に参加した。「目覚めし五つの種族」ではチーフプランナーを,「眠れる勇者と導きの盟友」ではディレクターを担当
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りっきー:
 だから,バージョン1の頃は藤澤を中心にプロジェクトが動いていたんですけれど,それがバージョン2の仕様を決めますよってあたりのタイミングから,藤澤は会議に出なくなって。僕自身はしばらくは「一緒に作っていこう」って感じでやりたかったので,ずっと会議には呼んでいたんですけど,何回か目の時に「もう俺を呼ぶな!」と怒り気味に会議を出ていったことがありまして。

4Gamer:
 そのあたりのお話も藤澤さんらしいというか,“ディレクターに求めるもの”みたいな部分が一貫してますよね。ちなみに,藤澤さんをディレクターとして起用した齊藤さんから見て,それに必要な条件とか,必要な素養ってどう考えているんですか?

齊藤氏:
 まあやっぱり,一番は「自分はこれを作りたい!」っていう筋が通っているかどうかですよね。

4Gamer:
 どういうオンラインゲームを作りたいかって話ですか?

齊藤氏:
 いや,これはオンラインゲームに限らない話だと思います。ゲームそのものに対して,「ああ,こいつはこれが作りたいんだな」っていう,一本筋が通ったものが見えると,僕(プロデューサー)としては安心して任せられるんです。藤澤とはまたちょっと違う方向性かもしれないけど,りっきーにもそういう“芯”がありますから,僕としても「りっきーなら大丈夫かな」と思ってますけど。

4Gamer:
 ゲーム制作はディレクターが方向性を決めるべき(権限を持つべき)だ,ということですよね。

齊藤氏:
 まぁもちろん,仮に「あれ,迷走してる?」みたいな状況になったら,僕が止めなきゃって場面は出てくるかもしれないですけどね。

りっきー:
 いきなり「シューティングゲームにします!」とか?(笑)

齊藤氏:
 それは止めるけど(笑)。逆に言えば,よほどの事がない限りは,りっきーが好きなようにやるのが筋だと思ってます。そもそも,以前からチーフプランナーとしてずっとやっているわけだし,それ前に別のゲームを作っていたところからずっと見ているので。そういう意味では,あんまり心配はないですね。

4Gamer:
 ちなみにりっきーさんの経歴というか,以前はどんなタイトルに関わられていたんですか?

りっきー:
 「ドラゴンクエストX」の前という意味ですと,ニンテンドーDSで「クロストレジャーズ」というアクションRPGを作っていました。その前は,とある開発会社で学園モノの作品に携わっていましたね。

4Gamer:
 ニコニコ生放送の「ドラゴンクエストX TV」では,スクウェア・エニックス入社前に,給料が未払いの中でも開発を続けていた――みたいなお話がありましたけど。

齊藤氏:
 ああ。確か,ウチに面接に来た時点で,9か月間も給料が未払いみたいな話をしていて。さすがに私もびっくりして,面接中に笑っちゃったんですけど。

りっきー:
 その話をした時に,面接官側がどっと沸きましたからねぇ(苦笑)

4Gamer:
 あれ,生放送のときは「泣いた」っておっしゃっていたような……。


「自分にはつらいな」って感じる部分に手を入れた


4Gamer:
 しかし,「ドラゴンクエストX」のディレクターってお話でいうと,やっぱり藤澤さんって,数あるオンラインゲームのディレクターの中でも,かなり特殊な方だったなって感じはするんです。

齊藤氏:
 まあ,普通の「オンラインゲームのディレクター」じゃないですよね。コンシューマゲーム寄りというか。

4Gamer:
 はい。だからこそ逆に,僕からは,オンラインゲームに詳しい齊藤さんとは凄い相性が良く見えていたというか。とてもよいバランスのコンビに見えていたので,その辺がどうなるんだろう?というあたりは気にかかっています。

齊藤氏:
 りっきーも,根っこはコンシューマゲームの開発者なので,そこのバランスはそんなに変わらないかなと思っています。
 それに「ドラゴンクエストのお客さんにMMORPGを遊んでもらう」という,その入口を作るという部分は,長年ドラゴンクエストというものに携わっていた藤澤が適任だったと思っています。ただ,今後これをさらに発展させていく,今いるお客さんを満足させつつ,新しいことに取り組んでいくって意味では,りっきーだからこその作り方が生きてくるんじゃないかなと。

4Gamer:
 バージョン2の仕様を決めていくにあたって,りっきーさんがとくに重視したというか,気を付けた部分ってどういうところなんですか?

りっきー:
 そうですね。一つは僕自身が「つらいな」って感じる部分に,積極的に手を入れていこうっていうのはありました。

4Gamer:
 それは具体的には?

りっきー:
 例えば,クエストで経験値が入るだとか,コインボスで得られるアイテムを「まほうのせいすい」じゃなくて「破片」にしたりって部分ですね。

4Gamer:
 確かにその辺は,プレイヤーからすると地味に嬉しい変更でした。

「エンゼルスライム帽」
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齊藤氏:
 バージョン2の仕様で,一番揉めたというか,それこそ堀井さんを巻き込んで大変だったのは,「エンゼルスライム帽」の扱いだったよね。

4Gamer:
 あのレベル40未満のキャラクターに限り,パーティ全員の経験値が2倍になるという奴ですね。

齊藤氏:
 はい。新たに「ドラゴンクエストX」をはじめる方や,しばらく「ドラゴンクエストX」から離れているプレイヤーさんに向けた,復帰用の特典アイテムとして,バージョン2で用意させて頂いたんですけど,開発中に「これはやり過ぎじゃないのか?」って議論になって。

4Gamer:
 どういった部分が不安要素としてあげられていたんですか?

りっきー:
 先行している人達から文句が出るんじゃないかとか,堀井さんも「プレイヤーさんが損をしていると感じないように」っておっしゃっていて。

齊藤氏:
 効果が得られるレベルを40までにするか50までにするかでも,かなり揉めたんだよね。レベル40だと,ラスボスを倒せるほどじゃないけど,各職業のパッシブスキル()はだいたい揃うレベル帯ですから。逆にそれを一通り取れれば,今のプレイヤーさんとも一緒に遊びやすくなる。

※本作においては,転職しても効果が得られる能力上昇系スキルや特技を指す。各職業のパッシブスキルを揃えると,大幅な能力値底上げが見込める

4Gamer:
 やっぱり,パッシブスキルを取れるレベルっていうのが軸ではあったんですね。

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齊藤氏:
 はい。ただ,レベル上げがあまりに簡単になりすぎると,それはそれで自分のキャラクターに愛着を持てないと思うんです。だから,ある程度は頑張るって要素も残しつつって考えていくと,レベル40くらいが妥当だろうと。「山を登るのにエレベーター乗ってました」ってだけになってしまったら,そもそも何が喜びなのかを見失いますからね。

4Gamer:
 “必要な大変さ”をどう扱うかですよねぇ……。

りっきー:
 結果としては,あまり怒るプレイヤーさんもいなくて。むしろ古参の方からも「新しいプレイヤーが増えるなら歓迎」みたいな雰囲気で受け入れてもらって,よかったなって思ってますけど。

4Gamer:
 「エンゼルスライム帽」は,サポート仲間が被ってても効果が得られるというのもいいですよね。以前,友達紹介キャンペーンの特典アイテムだった「トンブレロ帽」は,プレイヤーが2人で被ると経験値2倍という形で,あれはあれで「一緒に遊ぶ」モチベーションになっていたと感じていました。ただ,「トンブレロ帽」はサポート仲間では効果が無かったですよね。だけど,今回はサポート仲間でもOKとした意図はなんですか?

りっきー:
 僕は,自分で「ドラゴンクエストX」をプレイしていて嬉しかった瞬間がいくつかあったんですけど,その一つが「自分のキャラがサポート仲間で雇われたとき」なんです。知らない人に雇ってもらえて,しかも経験値まで入る。「なんか嬉しいな」って純粋に感じたんですね。
 でも,今は強いキャラクターが多くなってきて,初心者やプレイ時間の少ないプレイヤーのキャラは雇われにくくなっています。だから,初心者でも「エンゼルスライム帽」を被っていれば雇われやすくなる。ベテランさんが積極的に初心者のキャラを雇うって状況を作り出したかったんです。

4Gamer:
 そういえば,「エンゼルスライム帽」をかぶってると,サポート仲間検索時のリスト上位に出てきやすくもなってますよね?

齊藤氏:
 ああ,実はそういう工夫もしていますね。

りっきー:
 リストの1ページめに出てくるように優先度を上げています。これも,初心者でも雇われやすくなるようにって思いからの仕様ですね。


ついに実装されたカジノの反響はいかに


4Gamer:
 バージョン2になってついに実装された「カジノ」ですが,反響はいかがですか?

齊藤氏:
 いや,もの凄い人気ですね。ただ皆さん,カジノにこもりがちなので,ストーリーも面白いから,ぜひそっちも進めてくださいって言いたくなるくらい(苦笑)

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4Gamer:
 消費されたゴールドの総額とかって追ってたりはしてるんですか?

齊藤氏:
 もちろん,小さくはないですが,予想したほどでは……という感じですね。実際,純粋にカジノで消費された(スった)金額って意味では,割合はそんなに大きくないんです。数値で言うと,数パーセントくらいで。全体で見ると,コインを保持しているままだったり,なんらかの商品に換えている割合がかなり大きいです。

4Gamer:
 私の周りでは「昨日は何十万ゴールドをスった!」って話がかなり多いんですが……(苦笑)

齊藤氏:
 その裏で,逆にかなり大当たりしている人も多いってことですね。データで見ると,そんな感じなんですよ。

りっきー:
 実際,景品もすでに相当持っていっている人が多いですからね。僕的には,景品の「幸運のお守り」が初日に持って行かれたのは,かなりショックでしたが(笑)

4Gamer:
 あれ,確か30万コインですよね? 一体何で当ててるんだろう……。

りっきー:
 時間効率で考えると,ルーレットとかで一発勝負をしているんじゃないですかね?

4Gamer:
 ちなみに,私が今回のカジノに初めて行ったとき「これはまさにドラクエのカジノだ!」という感覚が凄くあったんですけど,その“ドラクエらしさ”を演出する工夫みたいなものってあったんですか?

画像集#003のサムネイル/ついに実装されたカジノや新大陸,そしてディレクター交代にまつわる話など。「ドラゴンクエストX」はバージョン2でどう変わるのか? 運営開発インタビュー
りっきー:
 僕がこだわった部分でいえば,スロットとかの絵柄をスライムにしたりって部分ですね。やっぱり,ドラゴンクエストらしさは欲しかったから,そこは強くお願いしました。実は,スロットで全面的にスライムの絵を使ったのは今回が初めてなんですよ。

4Gamer:
 え,そうなんですか。あまりに自然だから,なんか昔からそうだったような感覚でしたけど。

りっきー:
 あと,ポーカーでも看板にドラキーを使ったり,ルーレットにモーモンを付けたりとかね。入口にも,キングスライムの飾りがあったりだとか,とにかく絵的に「俺はドラクエをやってるんだ」って気分になってもらうことは意識しましたね。

齊藤氏:
 まぁあとは,やっぱり音楽が大きいと思いますよ。

りっきー:
 ああ,BGMの効果はでかいですね!

4Gamer:
 確かに。いつもの“お馴染みの曲”ですしね。

齊藤氏:
 その意味で言えば,以前,すぎやまこういち先生とお話をして「なるほど」と思ったことがあって。というのも,普通は,Aの国のお城とBの国のお城で曲を変えたいと考えがちなんですけど,そうじゃないんだという話があったんです。

4Gamer:
 そう言われると,他のゲームだと,街ごとに曲が違ったりするものも多いですよね。

齊藤氏:
 そうなんですよ。でも,すぎやま先生は,やっぱり耳に入ってくる曲というものの役割として,その曲を聴くだけで「ここがお城なんだ」「ここは村なんだ」っていうのがすぐに分かるべきだって話をされていて。今回のカジノにしても,この曲を聴くだけで「あ,カジノだ!」って,シリーズを遊んでる人には直感的に感じられるじゃないですか。そういう影響は大きいのかなって気はしますよね。

4Gamer:
 なかば刷り込みに近いというか(苦笑)

齊藤氏:
 いやぁ,実際そうだと思います。すぎやま先生の曲は,シリーズを遊んでる人には染み込んでいるものだと思いますし。

4Gamer:
 あの曲を聴いているだけで,なんか自堕落な気分になって来ますしね。とくに本作のカジノは,昼間から本当にたくさんの人が遊んでいて。「ドラクエのカジノをリアルに再現するとこうなるのか!」と,妙な感動を覚えました(苦笑)

りっきー:
 カジノ絡みでは,「カジノバニー」の男装備を作ったことで,最近,僕が“そういう趣味”なんじゃないか説が浮上しているんですけど……。

一同:
 (爆笑)

齊藤氏:
 でもあれ,りっきーの趣向でしょ?

りっきー:
 こだわりで入れたものではあるんですけど趣向って……(笑)

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カジノ実装にあたって,RMT対策などをどう考えたのか


4Gamer:
 カジノを実装するにあたっては,RMT対策だとか社会に与える影響だとか,いろいろな配慮をされたと思うんですけど,実際にはどんな議論をしていたんですか?

齊藤氏:
 そこは法務にも入ってもらってがっつりと議論をしました。例えば,カジノで使うコインをゴールドに換金できてしまうと,それがRMT業者の温床というか,それを助長することになりかねませんから,ここは一方通行にしようみたいな話は早い段階でしていましたね。

4Gamer:
 カジノのコインが最大でも1000枚までしか買えない()っていうのもRMT対策の一環なんですか?

※いわゆる「良い景品」は,総じて交換するのに1000枚以上のコインが必要となる。つまり,カジノで勝たないと景品はもらえない

りっきー:
 いや,そこは別にRMT対策ってわけじゃなくて。純粋に「カジノはお金では解決できないものにしよう」って意図からです。カジノの景品は,かなり良いものを揃えたんですが,それが初日にお金で買われてしまうとちょっと切ないというか,悲しいなと思って(笑)

4Gamer:
 カジノはカジノでちゃんと遊んでほしいと。

りっきー:
 はい。景品はちゃんとカジノを遊んで,そこで稼いだ人――つまり“夢を掴んだ人”しかもらえないよってものにしたかったんです。

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齊藤氏:
 要は,すでに1年以上遊んでいる先輩冒険者と初心者の冒険者が,ことカジノという空間ではある意味で公平な立場になるというか。単純にお金があればいいってものではないから,初心者でも大当たりすれば,先輩冒険者に自慢できる。そういう可能性があった方が面白いなと思って。

4Gamer:
 それは確かに。

りっきー:
 だから,1000枚までって制限は,純粋にゲームデザイン的な意図からです。RMT対策って意味では,カジノの景品はトレードできないようにするだとか,そういう部分で対応していますね。

4Gamer:
 ああ,なるほど。あとRMT対策という意味では,PC版の発売で増加が懸念されていた業者BOTなどは結局どうだったんですか?

齊藤氏:
 プレイヤーの皆さんのご協力(通報)もあって,ほとんど増えてないですね。まぁただ,逆に減ってもいないって感じなので,我々ももっと頑張らないと,とは思っていますが。

4Gamer:
 その辺はもう,ある意味で人気MMORPGの宿命ですよね……。

齊藤氏:
 まぁただ,最近はBOTの活動が“目立たない場所”へと移り始めて,実際に遊んでいるお客さんに直接影響する機会が減ったので,それは良い傾向かなとは思っています。以前は,いわゆる人気の狩り場で平然とBOTが狩りをしていることも少なくなかったんですが,通報機能のおかげで,目立つところでの活動を避けるようになったみたいで。

4Gamer:
 ああ,そういうのはかなり大きいですね。

齊藤氏:
 あとは,業者が多い狩り場には,レベル80を超えるドラゴンゾンビを配置したりだとか,そういう対応もかなり効果が上がっています。

4Gamer:
 自動で戦ってるだけだと全滅するように。

齊藤氏:
 はい。いずれにせよ,いろいろな角度から対策を入れながら,一つ一つ辛抱強く対処していくしかないですねぇ。

4Gamer:
 ふうむ。あと,またカジノに話を戻したいんですけど,1000枚までっていうのは何を規準にして決めたものなんですか? この数値も絶妙というか,個人的には,スってまたコインを買いにいく時のなんとも言えないやるせない気分が素晴らしいなと思ったんですけど(笑)

りっきー:
 1000枚って決めたのは堀井さんです。僕とかは最初,「5万枚くらいまでですかね?」とか言ってたんですけど,堀井さんから「いや,5万枚はないでしょ!」と一喝されまして(苦笑)

4Gamer:
 そういう部分の判断は,相変わらず堀井さんは凄いですね。

齊藤氏:
 やっぱり5万枚まで買えてしまうと,全部ではないにしても,「結局ゴールドでカタがつくのか」って思われてしまいます。1000枚っていうのは英断だったと思っていますよ。

4Gamer:
 さっきの“必要な大変さ”の話じゃないですけど,やっぱり似たようなことですよね。

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齊藤氏:
 なんでも便利にすればいいってわけじゃないですからね。例えば,今もプレイヤーさんの要望で「スロットマシンでコインがなくなったら,その場でコインを買えるようにしてほしい」みたいなものがあるんですけど,それって完全に“罠”になるだけだと思うんですよ(笑)

4Gamer:
 ムキになって際限なく使ってしまう的な……。

齊藤氏:
 そうそう。さっき少しお話にもありましたけど,やっぱり「コインを買いに行かなくちゃ!」ってタイミングで,一回頭を冷やせる方がいいと思うんです。だからこそ,「しょうがないから,日替わり討伐でも行くか」とかって思えるわけで。

りっきー:
 俺は何をしているんだって,思い直せるんですよね。

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