連載
走れ,自由のために。スマートフォン向け逃走アクションゲーム「Vector」を紹介する「(ほぼ)日刊スマホゲーム通信」第214回
スマートフォンには相当な数のゲームが存在しているが,「じゃあ,どれが面白いの?」「そもそも,数が多すぎて好みのタイトルが探せない!」と思っている人も少なくないはず。 そんな問題を解決すべく,スタートした連載が「(ほぼ)日刊スマホゲーム通信」だ。話題の新作タイトルからネタ要素多めのオモシロ系まで,スマートフォンのゲームを片っ端からプレイして(ほぼ)毎日お届けする。
黎明期とは異なり,昨今のスマートフォン向けゲームは格段に進化している。もはや美しく描かれたグラフィックスやアニメーションを多用した作品も珍しくない。
今回紹介する「Vector」(iOS / Android)は,そんな中でもとくに主人公達の挙動のリアルさ,プレイヤーの気分を盛り上げる緊迫感に溢れた音楽や場の演出などにより,ドラマ性の進化を存分に体感できる作品だ。
「Vector for iPhone Free」ダウンロードページ(App Store)
「Vector」ダウンロードページ(Google Play)
本作の舞台は,“ビッグブラザー”による完璧な統率と管理がなされた世界。その中で偶然か何者かの意図によるものか,主人公の行動を制御していた装置が故障してしまう。そして自我を取り戻した主人公は,追っ手からその身一つで逃走を始める。
ゲームの内容は,横スクロールのステージを自動で駆けていく主人公を,後ろから迫る敵に追いつかれないよう,各ステージのゴールまで到達させるという分かりやすいもの。主人公は画面を上にスライドすることでジャンプや乗り越え,下にスライドすることでスライディングといったアクションを行う。
一つのロケーション(エリア)の中に複数のステージがあり,各ステージで好成績を出せば次のロケーションが解放される |
操作は画面のどこかをスライドするのみ。反応速度が要求される場面も少なく遊びやすいが,どのタイミングでスライドするかがポイントとなる |
各ステージには多数の障害物が用意されており,これらをジャンプやスライディングでかわせなかった場合,その場で足止めを食ってしまい,敵があっという間に追い付いてくる。
さらに道中には,スコアが加算される立方体型のアイテムや,追加のアクション(詳細は後述)を購入するための資金が得られるコインなど,重要なアイテムも多数配置されており,これらをすべて回収しつつ敵から逃げ切るには,各ステージで綿密なパターン構築が必要となる。
スコアを伸ばすために重要となるのが,各ステージ開始時に購入できる追加のアクション。ステージ内の特定の位置で行える特殊なアクションは,最初はロックされているため使用できないが,一定金額の資金を支払うことでそのロックを解除できる。
解除されたアクションを指定の位置で使用すれば,そのアクションを行ったことによるボーナスが加わるほか,ほとんどの場合クリアタイムも短縮できてスコアアップが狙える。
スコアや追加アクションなどといったやりこみ要素も面白い本作だが,何よりも魅力的なのはその演出面。ステージを走り抜ける間にも鳥の群れが飛び立っていったり,場面に合わせてズームイン・ズームアウトを駆使して躍動感をさらに演出したりと,まるでハリウッドのアクション映画を観ているかのような気分にさせてくれる。
難度はなかなかの歯ごたえがあり,ステージ内で1回でもミスすれば即座に敵が追い付いてくる緊張感もまた,演出と合わさって非常にドラマティックな世界観を作り上げている。このドラマ性がプレイヤーのモチベーションを高めてくれるため,全ステージクリアまでの険しい道のりも苦にならないという逸品だ。
転び,つまづき,ときに諦めかけながらも,ひたすらに走り抜けた主人公を待つものとは何か? ゲームに壮大なストーリーや驚きの展開を求めるドラマ指向のゲーマー諸兄には,ぜひその目でその結末を見ていただきたい。
著者紹介:カイゼルちくわ
ゲーム攻略記事を中心に活動するフリーライター。ゲーセンに寝泊まりしたいくらいのシューティング&ガンシューティング好きだが,家に帰ればパソコンのFPS(ファーストパーソンシューティング)も遊びたがる。アクションゲームとかわいいキャラにも目がない。
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(C) 2012 Nekki
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