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「漆黒のヴィランズ」のこれまでとこれからについて。「ファイナルファンタジーXIV」吉田直樹氏と織田万里氏への合同インタビューをお届け
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印刷2019/09/06 12:00

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「漆黒のヴィランズ」のこれまでとこれからについて。「ファイナルファンタジーXIV」吉田直樹氏と織田万里氏への合同インタビューをお届け

 2019年8月27日にサービス開始から6周年を迎えた「ファイナルファンタジーXIV」PC / PS4 / Mac)。現地時間の8月20日,ドイツ・ケルンで開催されたgamescom 2019で本作のプロデューサー兼ディレクターを務める吉田直樹氏と,世界設定/メインシナリオライターの織田万里氏への合同インタビューが行われた。

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 世界中で高い評価を受ける「漆黒のヴィランズ」のシナリオを中心に話を聞いたので,インタビューの模様をお届けしよう。なお,内容のほとんどが物語のネタバレにつながるため,まだメインシナリオを終えていないという人は注意してほしい。


――織田さんはスクウェア・エニックスに入社される前は,何をされていたのでしょうか。

織田万里氏(以下,織田氏)
織田万里氏
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 もともと出版業界で長らく攻略本などの制作をしていて,むしろインタビューする側の人間でした。転職を考えていたとき,スクウェア・エニックスが「日本語が書ける人」という内容で人材募集をかけていたのを目にしたんです。日本語なら書けるなと思って入ったのが,たまたまこのチームでした。旧FFXIVの末期に世界設定を引き継ぎ,それ以降,新生では世界設定担当になりました。3.0からメインシナリオにも携わっています。

――漆黒のヴィランズでは,どういった作業をしているのですか。

織田氏
 漆黒では,世界設定担当と兼務する形で,石川夏子と二人でメインシナリオライターをやっていて,今回の5.0に関しては石川にメインシナリオの執筆を任せつつ,自分はシナリオ班のリードとして,すべてのシナリオを監修していました。それとは別に,個人的に書くシナリオなどもある,という感じです。

――漆黒のヴィランズのストーリーのコンセプトを教えてください。

吉田直樹氏(以下,吉田氏)
吉田直樹氏
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 長らくひっぱってきた伏線をいったん回収する,というのは前から決めていました。そのカタルシスをぶちまけていいよと伝えていて,今回見事にぶちまけてくれたと思います。
 また,新生から6年が経過し,プレイヤーの皆さんも光の戦士と呼ばれるのに飽きているのではと感じていました。思い切って反転させたほうがビックリするだろうし,光を切り裂いて闇を取り戻すという,厨二的なカッコ良さがあったほうが,FFらしくなるんじゃないかというのが,そう決めた単純な思考だったりします(笑)。

 また,今後のメインシナリオの流れを考えたとき,これまで暁の血盟のメンバーの立ち位置がすごく曖昧だったので,プレイヤーのみなさんに「彼らは掛けがえのない仲間である」と思っていただきたかったのです。シナリオチームには,「絶対に仲間だと思える話の構築」ということを,強く依頼させてもらいました。彼らが何を思って生きてきたか,そして,彼らが何を抱えて生きているのかという内面の心情を吐露するようにしてほしいと。僕がテキストでチェックをしているときも,とくにそこを見るようにしていました。

――闇の戦士を最初に出したときは,ここまで考えていなかったとのことですが,どのようにして,ここまでつないできたのでしょうか。

織田氏
 初めて闇の戦士が出てきたのは,3.0のラストなんですけど,あのシーンは吉田が思いつきで入れたんです(笑)。闇の戦士を出しますとなったとき,自分で闇の戦士とはどういったものかという設定の概要書を作って,前廣(シナリオセクション:マネージャーの前廣和豊氏)に投げました。そのときには,「第一世界の英雄で」という話の基本はできていましたね。

――エメトセルクの話を聞いたことで,ハイデリンに不信感を抱き始めた人も少なくないと思うのですが,これは思惑どおりでしょうか。

吉田氏
 うーん,みなさん素直だなあ,と感じていたりします。アシエンはこれまで,世界を7回統合していますので,目的があるとはいえ相当な人数が死んでいるわけです。そんな彼らの行動原理を聞いて,急にハイデリンが怪しくなってきた……と感じるのは,とても素直だと思います。僕は疑り深い性格ですので,「ハイデリン側の主張を聞いてみるまで分からないよね」と思うタイプですね(笑)。
 歴史はすべてそうですが,勝者が語った歴史が必ずしも正しいとは限りません。なぜなら一側面しか見ていないからです。そういう意味で,今回はアシエン側の正義や信念をキチンと伝えるように描いたところが,うまく刺さってくれたのかなと感じています。

――アシエンの1人であるエメトセルクと旅をさせるという構想は,どのように生まれたのでしょうか。

吉田氏
 石川のアイデアで,最初聞いた時は「相当に難易度が高いけど,やりきれるかい?」と伝えた覚えがあります。石川曰く,「エメトセルクはできるだけ身近な存在にしないと,結局のところ彼の言葉がプレイヤーに届かないだろう」と。敵なのに旅の仲間になるシチュエーションというのは,かなりハードルが高いと思うのですが,シナリオ班はやり切りたいということだったので,ではやってみようという感じで決まりましたね。

織田氏
 飄々(ひょうひょう)としたキャラクターという意味では,FFXVにアーデンというキャラクターがいたので,彼とは明確に描き分けたいと話していました。そこはうまいこと,石川の持ち味が出たのかなと思います。

吉田氏
 世界の謎を語る2大巨頭が水晶公とエメトセルクで,1人は完全に味方,1人は完全に敵。だけど,どちらも間違っていることは言ってなさそう,というあたりをうまくまとめられたと思います。あの構図をやり切れて良かったし,そうしなかったらエメトセルクの言葉も白々しく聞こえていたかと思います。また,今回はボイスアクターのみなさんの演技が,本当に素晴らしかった。どの言語も非常にクオリティが高く,海外版でもご好評をいただいています。

――今回は,ノーマルレイドのストーリーがメインシナリオとつながっていますが,残りの2つが実装されるまでは第一世界での物語が中心となるのでしょうか。

織田氏
 大きな構造上の話をすると,2つの世界をプレイヤーが行き来できるということは,2つの世界の問題を同時並行的に描かざるを得ません。すべてをメインシナリオでやろうとすると,あっち行ってこっち行ってが激しくなるので,この話題はこちらで語りましょうといった計画を立ててやっている感じです。

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――原初世界での出来事は「一方その頃」で描かれましたが,この先光の戦士があちら側に合流することはありますか。

織田氏
 今後のことはなんとも言えないのですが,成功したことや失敗したこと,プレイヤーからの評価が高かったことや低かったことは,しっかりと咀嚼して新しい物語を作っています。
 例えば,「蒼天」のシナリオは高く評価してもらえた一方,ウルダハの問題でちょくちょくと戻ってしまうことで,イシュガルドでせっかく高まったテンションがひと休みしてしまうようなタイミングがあったなと,個人的に感じていました。
 ですので,5.0に関しては第一世界の一本槍で体験してもらえるようにしました。かといって原初世界でも問題は起こっているので,その情報は「一方その頃」で表現しようというのは,割と早い段階で決めて,そういう構造にしています。

吉田氏
 パッチ5.1からは,漆黒のヴィランズという物語の完結に向かって前半は走っていくことになりますし,後半では次の物語への助走が始まります。ですので,ずっと第一世界なのかといえば,そうでもないと思いますし,だからといっていきなり原初世界に戻って第一世界はおさらばかというと,そんなこともありません。せっかく作った世界なので,両方をミックスしてうまくやっていくつもりです。

――5.0におけるお気に入りのシーンを教えてください。

吉田氏
 うーん……挙げるとしたら4つはありますね……(笑)。まずはウリエンジェがミンフィリアに対して自分の経験を語りつつ,もっと頼ってもいいと思いますよ,と内面を出したシーンは,ムーンブリダのことがあったからこそ,今のウリエンジェが言えるセリフです。あのシーンはとくにお気に入りです。

 もう1つは,サンクレッドがあるタイミングでランジート将軍と一騎打ちになる直前,「家族2人分の」と言うところです。
 原初世界のミンフィリアに対して,サンクレッドが抱いているのが“家族愛”なのか“恋愛”なのかが分からないままだとモヤモヤするので,ここではっきりさせておきたかったんです。そうでないと,プレイヤーがサンクレッドに感情移入できない。妹と娘という風に言ってほしいとオーダーしました。あのシーンはサンクレッドの倒れ方もかなり細かくリテイクしたので,思い入れが強いですね。

 あとは,クリスタリウムが罪喰いに襲われたときに,闇の戦士一行が窮地を助けに行ったあとのカットシーン――はぐれた兵士達を罪喰いが襲うシーンで,アルバートがなす術もなく斧を空振りさせるところです。あそこの「なんでだよって」言うシーンは,あのあとにくるアルバートの魂的な再起のための最底辺なんです。あれがあったからこその後半の上がり方なのかな,と思っています。アルバートの演出は,見直してもらえれば分かりますが,全編通じて一切動作音が付いていないんです。SEが何1つ鳴っておらず,彼は世界には何にも関与できない,しかし,原初世界の英雄にだけは……というところを徹底して表現したので,それがよかったかなと。
 それを受けてのラストシーンです。ブラビューラを渡して,「魂ごと持って行け」でShadowbringersが流れるところは,ずるいと思いましたね(笑)。

織田氏
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 自分はエメトセルクが手を払うように振る仕草が好きで,あの動きだけでキャラクターを表現しきったのは,やはりモーションを作っていた人がうまかったなと。自分達のゲームって,言葉じゃないところでも演技ができるんだなと思いました。
 それから,思い入れがあるのはラストダンジョンです。バトルコンテンツなんですけど,いろいろな人の協力によって作られました。エメトセルクのボイスが流れるシーンだったり,過去にどんなことがあったのかを体験しながら知ることができる構造だったりと,世界規模でまずいことが起きたんだというところを,カットシーンではなく体験できるものとして作れたというのが印象的でした。

吉田氏
 あそこは間違いなく,開発チームがこの6年間,ずっと作り続けてきた果てにある成長の最たるものだと思っています。今回のイベントバトルは,6年間僕らが積み重ねてきた経験と努力が形になったクオリティだと思うので,プロデューサーとしてもディレクターとしても,良くやったなと思って見てました。

――テスリーンが罪喰いになるシーンはなかなかの衝撃でしたが,あのシーンは一発で上がってきたのでしょうか。

織田氏
 重要な動きのあるカットシーンに関しては,字コンテをカット班が書いてくれます。字コンテの段階で綿密にどういうところを表現したいかとか,カットの担当者からこういう表現はどうだろうといったアイデアをもらっていたので,出来上がりは一発でした。どちらかというと,それまでの事前準備にコストをかけた感じです。

吉田氏
 あのシーンは,ローテクとハイテクの組み合わせをうまくやっています。詳しくはPAX WESTのパネルで石川夏子が解説すると思うので,そちらを見てもらえればと思います。

――ストーリーを大切にするという考えは,いつ頃から持っていたのでしょうか。

吉田氏
 ドラゴンクエストのI・II・IIIをプレイしたときに,ゲームでも人を感動させる物語を作れるんだと強く感じました。かつ,ゲームの場合はそこに体験もあるので,映画を見ているときよりもすごいインパクトでした。
 さらに「伝説のオウガバトル」「タクティクスオウガ」で,松野泰己さんのシナリオに触れて,自分もそこを目指したいと思ってこの業界に入りました。結局のところ,一度も自分でシナリオを書かせてもらっていないのですが,やはり,そういう思いがあるからこそシナリオにはこだわりが強く,書く人達には厳しいぶん,やりたいことがあるなら思い切ってやろうというのが僕のスタンスです。

 僕が天外魔境などに携わっていたとき広井王子さんに教えられたのは,情報を詰め込むのではなく,1人に言わせたいことは1つまでにしよう。プレイヤーに伝えたいヒントは1つまで,それで十分だということです。それは舞台でもなんでも一緒で,もし伝えたいヒントが3つ4つあるなら,そのぶんキャラクターを作りなさいと。そのうえでそれぞれのキャラクターに性格や,その町での生業とかを与えればちょうどよくなるよ,と。実際にその通りに書いてみると,とてもしっくりきたのです。目から鱗が落ちるというか……僕の考えは,そこからあまり変わっていないですね。

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――織田さんから見て,吉田さんはどういう存在ですか。

織田氏
 ゲームシナリオが好きなんだなという印象を受けます。個人的な考え方ですけど,面白い話を読みたいだけであれば,小説や映画でも面白い作品はいくらでもあります。
 それでもゲームにこだわるのは,自分が主人公になって,体験して,選択をしていくところに醍醐味があるからです。吉田は,そうした体験との一致に並々ならぬこだわりを抱いているのを感じていて,その教えを受けてきたという自負はあります。

吉田氏
 そのあたりは,確かにしつこく言ってきたかもしれません……でも,最近は言わなくてもやってくれるので,ちょっと寂しいですね(笑)。パッチ4.3あたりから,バトルコンテンツ班とメインシナリオ班のタッグの組み方がとくにめざましく,積み重ねが花開いていってると思います。ヨツユのバトルなんかは,最初に見たときには,自分のチームながら「恐ろしいものを作るなぁ……」と感じました。あれが脈々と続いてきているので,今後もそこには期待してもらって大丈夫だと思います。

――罪喰い化したあとの見た目にはルールがあるのですか。

織田氏
 前提として,罪喰いというものをたくさん作る必要がありました。すべてをオリジナルのモデルとモーションで作れれば,それはもう僕も好き放題設定を考えたんですけど,コストとの兼ね合いでそうは行きません。ならば,ひと目で罪喰いだと分かりつつ,過去のモデルを流用できるようにしようと考えました。
 人型のものが罪喰い化すれば,やはり手足があって頭もあるであろうとか,クマであれば色違いになったとしても違和感がないようにしようとか。現実的に出せるお小遣いの量と,物語的に表現したいこととの兼ね合いになります。結果として行き着いたのが「カラーリングのルール」です。ベースは白で,さし色は青といった感じで,新規デザインと過去のモデルの流用をいっぺんにやっても,1つのグループに見えるようにする工夫をもろもろ考えた結果が,あのデザインというわけです。

吉田氏
 繭のアイデアが素晴らしかったと思います。必ず一回繭を経由して罪喰いになるじゃないですか。そこでモデルの差し替えもできますし,違和感が薄れるんです。単なる色違いではあるのですが,あそこは限られたコストの中で新しい種族をうまく表現できたと思います。
 あと,罪喰いの見た目を「天使にはしないでくれ」というオーダーは,初期の頃からかなり口酸っぱくして言ったフィードバックです。罪喰いは天使ではなく,妖異の光バージョンなので,そこは間違えないでほしいと。

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――今回のストーリーはかなりのスケールで描かれましたが,今後はどうしていく予定なのでしょうか。

吉田氏
 織田がなんとかします(笑)。

織田氏
 いやいや(笑)。でも広げた風呂敷をたたむつもりはあります。

吉田氏
 間違いなくそれは大丈夫です。最初にそこを決めたうえで,その間を楽しめるように筋を調節していく形なので。

――今が太陽系の規模だとすると,今後銀河系の規模まで大きくなるといったことはないですか。

吉田氏
 それはないと思います。でも拡張パッケージ8弾とかになると,そうなっているかもしれないですね。オメガが飛んできた惑星まで行っている可能性も……さすがにないかなぁ(笑)。

――今回の一部のレイドボスは,光の戦士の想像力がカギになるとのことでしたが,あのようなビジュアルに行き着いた理由はどこにあるのでしょうか。

織田氏
 もっとも属性の荒々しい力をイメージしろと言われた場合,水属性ではやはりリヴァイアサンが思い浮かぶことでしょう。ただ,水の技を使うモンスター自体は過去にもたくさん相手にしていて,そのエッセンスが雑念として紛れ込んでしまったからこそ,あのような形になりました。加えて,実際にそれを具現化させるのはリーンであって,リーンはその姿を知らないので,やはりそちらのイメージとかも混入してしまうという。

吉田氏
 リヴァイアサンに関しては,絶対に神竜が混ざったと思います。たしかでかい頭あったなとか,ビーム吐いてたっけなっていうのでおかしくなったんだと思います(笑)。

――しかもより落とされると。

吉田氏
 あれはサンクレッドが悪いよね。直前に落とされるイメージとかするなよ,みたいなこと言うから。

織田氏
 押すなよ押すなよ的な。

吉田氏
 それで,すごく落ちたような気がするなとか,なんかこうランドスライドがバーンと走ってきたなというイメージから,急にタイヤが付いたりしたんで,あれはサンクレッドが悪いです。光の戦士の記憶はアテにならないということで……僕はプライベートキャラだと,少しでも昔のコンテンツになると,途端に攻略方法忘れますもん(笑)。

織田氏
 思い出補正が邪悪に出てしまった感じですね。

吉田氏
 よく異邦の詩人が悪いとか言われていましたが,そうではなくヒカセンの伝え方が悪いということでご容赦ください……。

――ユールモアのドゥリア・チャイ婦人はなかなかに印象的なキャラクターでした。

織田氏
 太ったキャラクターを作りたいというのは,今回の話とは別に存在していました。ドゥリア夫人に関しては,キャラ班がいろいろな検証をやっている中,ララフェルのボーンを使えば太ったキャラクターが作れるのではないか,みたいなアイデアが出てきて……。

吉田氏
 ついにバレた(笑)。

織田氏
 実際にララフェルのボーンで,おデブなミコッテみたいな仮モデルを作ったら,案外いけるじゃんとなりました。その仮モデルを見てアイデアがたくさん膨らんできた結果,ああいうキャラクターが出来上がったという感じです。

――漆黒のヴィランズにはユニークなキャラクターが多いですが,今後追加で語られることはありますか。

吉田氏
 物語の中核に近かった人達はちゃんと描き切るつもりでいます。

織田氏
 それとは別に,お得意様取引みたいな形であれば,いろいろなキャラクターで出来るのかなと思っています。

――光の戦士が第一世界に来るまでに,暁のメンバーがどのような活動をしていたのかというところは,今後描かれていくのでしょうか。

吉田氏
 まもなく6周年なので,いくつか漆黒の秘話を公開する予定です。そのなかで語られるキャラクターもいると思うので,ぜひご注目ください。

――5.xシリーズの今後の抱負について教えてください。

吉田氏
 次のシナリオ合宿までもうちょっとあるので,具体的に話すタイミングではないと思いますが,アシエンとは何かというところはもう一段掘るつもりではあります。そこからは先は,さらなる深淵に踏み込むことになります。先ほどもちょっと言いましたが,ハイデリン側の話は何も出ていないので,いよいよ核心パート2に切り込んでいくことになるかと。そこはストレートに,遠回りをあまりする気はないので,期待してもらえればと。

 一方で,5.xだけは無理だというのも感じています。あれだけのカットシーンとテキストボリュームでやっとゾディアーク側の一部を描けましたが,それもすべてではありません。このあたりはもうちょっとお付き合いいただくことになると思います。

織田氏
 新しい体験を提供していきたいとは,常に考えています。5年,6年と続いてきたゲームで一番怖いのがマンネリ化ですので。
 5.0でも,例えばロールクエストを導入してみたり,クラフターのクエストもお得意様みたいなシステムを組み入れた形で整理をしたりと,新しい試みをやってきましたので,フィードバックを見ながら,最適化できる部分はしていきたいです。プレイヤーの皆さんに,驚いてもらえるような仕掛けを入れていきたいと思います。

――漆黒のヴィランズのクライアントから,オーディオ出力の切り替えに対応されましたが,これはどのようにして改善されたのでしょうか。

吉田氏
 今まではOSの仕様上,できないというのが大前提だったのですが,Windows10以降そこの仕様が変わったのだと思います。可能な限りの対応は行っていたのですが,急にWindows Updateで機能が生きるようになったようです。
 FFXIVはXAudio2の高い品質を使って音作りをしているので,XAudio2を切り離すわけにはいきません。僕らとしてはXAudio2の特性を活かすしかないのでお手上げだったのですが,OS側がしれっと対応してくれたようですね(笑)。

――最後にプレイヤーにメッセージをお願いします。

織田氏
 飽きたと言われないように維持していくというのが,ネットゲームの更新していく物語では重要だと思うので。新しい驚きを提示したりなど,期待にはちゃんと応えていきたいと思います。

吉田氏
 2010年,あの旧FFXIVの状態でいろいろな危機がありましたが,今では株価に影響を与えられるくらいの成長を遂げたタイトルになりました。それ自体は,本当にスクエニの底力だと思っています。
 もともとあの時点でいたスタッフが中核を担っているわけで,立て直し以後に入ってきたスタッフも含め,よくぞここまでやってこれたなと。これをさらに増幅させて,この先も「本当に信じられないことやるな」というのを,ゲームの中だけでなく,マーケティング/PRも含めてやれればと思ってます。せっかくなので,ここまできたら一生の思い出に残るゲームにしたいですし,まだまだ続きますので,皆さん飽きずにお付き合いいただけると助かります。

――本日はどうもありがとうございました。

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