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印刷2013/03/30 19:21

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[GDC 2013]期待のゲーム用HMD「Oculus Rift」を体験&直撮り。「眼前に広がるゲーム世界が,首の動きに追従する」のは革命か

大盛況のOculus VRブース
Rift
 Game Developers Conference 2013(以下,GDC 2013)の展示会場「Expo」で文句なしの一番人気となっていたのは,新興企業Oculus VRのヘッドマウントディスプレイ(以下,HMD),「Rift」だ。
 クラウドファンディングサービス・Kickstarterに登録されて以来,ゲーム業界で熱い注目を浴び続けているこのデバイス(関連記事)。当然のことながら開発者達の関心も高く,2つ行われたOculus VRのセッションはどちらも立ち見が出る盛況ぶりだったので,試遊台に連日長蛇の列ができていたのはさもありなんといったところである。

 そんな状況下,GDC 2013の最終日となる北米時間3月29日,2時間待ちの列を乗り切って,ようやくRiftに触ることができた。こういうHMDの体験というのを,ほかの人に説明するのはほどんど不可能であることは重々承知しているのだが,今回は直撮りムービーを交え,その不可能に挑んでみたいと思う。



Riftとは何か?


Rift
手ブレていて申し訳ないが,Riftの開発キット実機
Rift
頭のX軸(Pitch),Y軸(Yaw),Z軸(Roll)の動きを検出し,目の前の画面に反映できる
 まず,Riftとは何なのかを簡単に説明しておこう。
 その形状を見て察しのつく人もいるかもしれないが,Riftというのは要するに,目の前にタブレット端末を1台置いて固定したような形状のHMDとなっている。小さな映像素子をレンズで拡大する感じのHMD――ソニーのHMZシリーズなどがそれにあたる――とは異なり,大きな映像素子をレンズでさらに拡大するタイプの機器と考えればいいだろう。

 最終製品版ではないため,このあたりは変更になる可能性があるが,今回展示され,まもなく出荷予定となっている開発キットだと,解像度は片目あたり640×800ドットで,視野角は左右110度,上下90度だ。
 また,地磁気センサーや加速度センサーなどを備えており,頭の動きを検出して,映し出す方向を変えることもできる。頭の動きに“目の前”が追随するという意味では,バーチャルリアリティ対応のHMDと言うこともできるだろう。

 特徴をまとめると,「ゲーム用のHMD」の一言に尽きる。HMDというと産業用の本格的なものかAV用のものしかなかったのだが,この製品は徹頭徹尾ゲーム用なのだ。


使ってみる。装着感は悪くない


Rift
装着したところ
Rift
試遊台の様子。写真右下に見えるのが制御用ボックス,上に見えるのがソース映像を流すディスプレイだ
 前述したとおり,まさにタブレット端末をレンズ越しに見るようなデバイスなので,重量が気になるが,実のところ,装着してもさほど重い印象はない。映し出す映像は,PCで作ってケーブル経由で送られる仕様であり,別途制御用ボックスも用意されることから,HMD側には電池や処理装置が必要なく,大きさの割には軽いのだ。

 ちなみに装着は,まずHMD本体を目に対して水平に押し当て,適切な位置を確認したうえで,ベルトで固定するという流れになる。位置調整機構などはこれといって用意されていないのだが,列に並びながらチェックしていた限り,体験者は皆ほぼ問題なく使えていたようだ。
 というわけで筆者も装着。周辺部のフォーカスが若干甘くなっているものの,確かに,大きく調整する必要性は感じなかった。こういう製品の画面周辺部というのは,かなり意識して見ないと認識の範囲外にあるようなエリアだからである。

 Riftの“覗き込む側”には,大きめな丸いレンズが2個,目の位置に用意されていることを確認できた。本稿の冒頭に置いたムービーでも分かるとおり,試遊スペースの上には,Riftに映し出されている映像のソース映像も,別のディスプレイでミラー表示されていたのだが,見て分かるように,1画面に左右の映像を並べてレンダリングする形式になっている。いわゆるサイドバイサイドというヤツだ。
 同時に,冒頭のムービーや,下に示した写真から,ソース映像が丸くなっているのも分かるだろう。

ソース映像が丸くなっている
Rift

Rift
 これは,レンズの歪みを補正するために,ソース映像側を調整しているためだ。高価な歪みのないレンズを使うのではなく,歪むレンズにあわせてソース映像をレンダリングするわけである。実際,GDC 2013で開催されたプログラマー向けのセッションでは,「補正を行う関係で,ソース映像はHMDの解像度より少し大きめにレンダリングすること」が推奨されていた。

 さて,デモで使われたゲームは「HAWKEN」で,Riftと「Xbox 360 Controller」を使った体験が可能だった。ざっくり言うと,視野方向は基本的に首の運動で行い,移動(前後左右,および上方)はゲームパッドで行う方式だ。
 最初に,係員の指示で,

  • 「左見て,右見て,上見て,下見て,後ろ向いて」

と動作を確認してから試遊に入った。

 試遊中,ずっと首を動かしても装着位置のズレなどは気にならなかったので,全体的な装着感はまずまずと言っていいのではないだろうか。


実際のゲームでは?


 試遊はゲームモードではなく,都市内を自由に移動し,武器を好きなように使うような形となっていた。係員からは,「いったん上昇し,真下を見ながら自由落下しよう」といった指示が出される。自由落下で迫力を感じてもらおうというのがデモの主眼であるようだ。
 ただ,高さ感についていえば,この手のものとしては少しもの足りないレベルだった。言い換えると,立体感が過度に強調されてはいないということでもある。


 係員の指示どおりに上昇して周りを見渡すと,景色はよいのだが,オブジェクトが遠いと,立体視の醍醐味はほとんど感じられない。デモの方向性としてはどうかと思った。

こちらは,プログラマー向けセッションで披露された,開発キット内のデモ
Rift
 「お!」っと思ったのは地上でのマニューバだ。対象物が近いと立体感も豊かに感じられ,機体が小気味よく動くさまが実感できる。近くに障害物が現れると自然に体が動くレベル,と述べたら伝わるだろうか?
 「これは3D酔いするかもしれないな」という予感はありつつも,頭の動きと連動した視野による操作は,普通の立体視とは比べものにならないくらい没入感が高いと感じられた。説明するのは難しいのだが,眼前いっぱいに映像が広がっていると,簡単に“入り込める”のだ

 また,ここでもう一度冒頭のムービーに戻ってほしいのだが,首の動作に対応して視野が変わるときのレイテンシはほとんどない。画面分割などの処理が入る以上,Rift側ではミラーされている液晶ディスプレイより少し遅れているとは思うのだが,少なくともHAWKENをプレイしていてあまり気にならないレベルには収まっていた。
 参考までにだが,Oculusのプログラマー向けセッションでは,「バッファリングは使うな」とか無茶なことを言っていた。垂直同期を有効化すると,ダブルバッファリングは最低限必要なので,NVIDIAコントロールパネルで言うところの「レンダリング前最大フレーム数」の数を極限まで減らせ,ということなのだろう。

レイテンシを減らすためにはどうすればいいかという指針もセッションでは示されていた
Rift
 なお,視野角については,試遊が終わってしばらくしてからちゃんと確認していなかったことに気がついたのだが,そもそも視野角という概念がほとんど必要ないくらい「目の前は画像だけ」の世界が広がっていた。HMDにありがちな「暗いところにある穴を覗き込んでいる」という雰囲気はまったくない。

 一方,画質は,言ってしまえば,まああまりよくはない。画面は明るめ,色は全体に浅め,そして解像度は低めなので,たまにジャギーやエイリアシングが気になることもある。
 ただ,そういうのは正直,たいした問題ではない。業務用のHMDよりも広い視野角こそが,ゲームにおける没入感を高めるには何より重要なのだと再認識させられた。

Rift
 現在,Riftのステータスは「Kickstarterの出資者などに向けた,開発キットの出荷が間近」というところ。すぐにでも最終製品版が出てくるという話ではない。しかし,これが普及して,さまざまなゲームがRiftに対応すると,ゲーム自体も大きく変わっていきそうな予感はある。それくらい出力デバイスというものは重要であり,Riftはゲームを変えられるだけのポテンシャルを持っているように思う。

 これまで,入力デバイスの世界では革命や革新があり,ゲームのあり方を広げてきたが,最終的にプレイヤーに呈示される部分,つまり出力デバイスが代わり映えしなかったために,ゲーム体験に劇的な変化は起きにくかった。ゲーム機でいえば,現行世代のゲーム機で高解像度ディスプレイに対応したが,言ってしまえばそれは解像度が上がっただけだ。PCにいたっては,液晶ディスプレイ時代以降,1024×768ドットくらいから少しずつ解像度が上がっていったため,さらに「大きく変わった感」に乏しい。
 その状況が,Riftによって一変するかもしれないのだ。1日も早く,最終製品が,満足のいく完成度で登場することに期待したい。

Oculus VR公式サイト(英語)

Game Developers Conference公式Webサイト(英語)

  • 関連タイトル:

    Rift

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