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超期待作「SimCity」プロデューサーインタビュー。“マルチプレイ必須”だが一人静かに都市作りも可能。他人の都市へ“攻撃”はできるのか?
そして翌12月12日,EAのシドニーオフィスにおいて,SimCityのプロデューサー Jason Haber氏に対するインタビューが行われた。
PC向けタイトルとして開発が進められているSimCityは,現実の都市をモデルにしたシミュレーション性に重点が置かれた作品で,プレイヤーは住民の幸福を目指して自分の都市を発展させていくことになる。本作のために開発されたゲームエンジン「Glass Box」による個性的なグラフィックスや,操作性の良さ,そしてマルチプレイをメインにしたゲーム性が特徴だ。2013年最大の期待作の一つであるSimCityについて,今回あらためていろいろ質問してみた。
「シムシティ」公式サイト
「SimCity」のプレイアブル展示も行われた「EA Asia Showcase 2012」をレポート
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。昨日の試遊版が2012年8月のGamescomと同じ「Pre-Alpha」版だったのがちょっと気になるのですが,開発の進捗状況はいかがでしょうか。
Jason Haber氏(以下,Haber氏):
順調です。現在は「Pre-Final」版の最終段階で,さまざまな調整を行っているところです。開発はスケジュールどおりに進んでいますから,ご心配なく。
4Gamer:
発売時期の遅れなどはありませんか。
Haber氏:
今のところ,ありません。
4Gamer:
ところで昨日のプレゼンテーションについてですが,SimCityでは,一つのリージョンに最大で16人のプレイヤーが参加して,街作りを楽しむというオンラインプレイになるわけですね。
Haber氏:
人数については初めて公表するのですが,そうなります。ただ,もっと正確にいえば,「一つのリージョンに16の都市ができる」ということですね。一人のプレイヤーが,複数の街を建設することもできますから。
4Gamer:
オンラインは必須なんですね。
Haber氏:
はい。SimCityではサーバーがゲームプレイにいろいろと関与していますし,グローバルリーダーボードや,ほかのプレイヤーとスコアを競ったりするというフィーチャーなども用意していますので,オンラインは必須となります。
4Gamer:
オフラインでのプレイはできないということは,シングルプレイはないんですか。理想の街を一人でチマチマ作っていきたいというプレイヤーも,少なくないのではないでしょうか。
Haber氏:
基本的にオフラインではプレイできませんが,リージョンをプライベートにして自分しかアクセスできないようにすれば,シングルプレイと同じことになります。我々はそれを,「Solo Play」と呼んでいます。
4Gamer:
それはまた,チマチマ派の人も喜んでくれそうで安心しました。ところで,マルチプレイでちょっと心配しているのが,一緒に街作りをしていた人がゲームをやめてしまって,隣の都市が廃墟,なんてことになったらイヤだなあという点なんですが。
Haber氏:
そういうことも起きるでしょうね。我々はそういう都市をAbandoned Cityと呼んでいますが,その場合,別のプレイヤーがその街を引き継ぐことができるので大丈夫ですよ。
なるほど。では,プレイをやめてしまうならまだいいのですが,例えば,ほかの街の犯罪発生率を上昇させようと,カジノばかり作って警察を作らないようなプレイヤーや,あるいは大気汚染で環境に悪影響を与えようと工業地帯を広げるプレイヤーなどもいたりして,必ずしも全員が協力的とは限らないのではないでしょうか。
Haber氏:
そうですね。そういうこともあると思います。よくない市長のいる都市,周辺に悪影響を与える都市も生まれるかもしれませんが,上昇する犯罪発生率にどう対処すればいいのか,環境汚染をどうするのか,そうしたことを考えるのもゲームの面白さになるわけです。
4Gamer:
昨日のプレゼンテーションでは,ラスベガスのような都市が人々を集めて,大きなお金を生んでいるようでした。リージョンのプレイヤー全員がお金欲しさに同じような街ばかり作ってしまったら,困るのではないでしょうか。
Haber氏:
困るでしょうね。ですが,我々はそうしたことも含めてシミュレーションなんだと考えています。現実と同様,ほかの都市との関わりのうえで,自分の都市をどのように発展させ,住民を幸せにするのかを試行錯誤するのです。
4Gamer:
ちなみに,他人の都市に,隕石を落としたりモンスターを送り込んだりなどの災害を起こすことは可能ですか。
Haber氏:
ダメです。災害を起こせるのは自分の都市だけです。他人の都市に隕石を落としたいんですか?
4Gamer:
ふふふ,ノーコメントです。ところで,話が前後して恐縮なんですが,HaberさんはSimCityでどのような仕事をされているんでしょうか。
Haber氏:
私はプロデューサーです。つまり,限られた時間と予算でベストのゲームを作ることが仕事です。最大のプライオリティはユーザーが喜んでくれることですが,そのために,マーケティングを含めてできることはなんでもしています。中でも深く関わっているのは,グラフィックスですね。
4Gamer:
スタッフの人数はどれくらいなんですか。
Haber氏:
えっと……,何人ぐらいいるんだろう。MAXISは非常にフラットな組織で,プロジェクトを複数を抱えている人もいますし。そうですね,社内だけで100人ぐらいでしょうか。
4Gamer:
すごいですね。ところでオリジナルの「SimCity」(1989年)は,ゲームを企画して制作したウィル・ライト氏の作品というイメージが強かったですが,今回の最新作に関しては,そういうカリスマ的な中心人物はいますか。
Haber氏:
いますよ。まずは,おかしな髭を生やしたリードクリエイティブディレクターのOcean Quigley氏,それから,結局東京ゲームショウ2012に行けなかった(関連記事)リードプロデューサーのKip Katsarelis氏ですね。彼らが中心となってSimCityの開発が進められています。
ですが,彼らがライト氏なのかといえば,違うかもしれません。今回のSimCityは,開発チーム全員の努力による作品です。若い人から,10年・15年とゲームを作ってきたベテランまで,全員が協力してSimCityを作っているわけで,私もそのチームの一員であることに誇りを持っています。
4Gamer:
ライト氏は,このSimCityについて何かコメントしていますか。
Haber氏:
コメントはとくにはないようですが,喜んでくれていると聞いています。
4Gamer:
話は変わりますが,担当してらっしゃるというグラフィックスについて,「チルトシフト」の技法を採用したのは,どういう理由によるものですか。
Haber氏:
まあ,Quigley氏が好きだったということですね。手を伸ばせばつまめそうな,ミニチュア感を強調した画面になっています。面白いと思いませんか。
4Gamer:
個人的には,一人称視点で街の中を歩き回ってみたいと思うのですが,できませんか。
Haber氏:
昨日のムービーで,車をクリックして,その車をずっと追いかけるというシーンをお見せしましたが,さらにクリックすると,かなり近寄ることができますよ。
4Gamer:
しまった。昨日のデモ版で試してみれば良かった。では,最後に読者に何かメッセージをお願いします。
Haber氏:
はい。SimCityは,ディテール豊かなシミュレーションゲームです。プレイでは,実在するほかのプレイヤーとの関わりが重要になってきます。グラフィックスも美しいですし,ああすればこうなるという反応も面白くなるように作り込んでいます。実際の世界をモデルにしており,マルチプレイのリアルさを楽しんでもらえると思います。ぜひプレイしてください。
4Gamer:
本日はどうもありがとうございました。あっ,ところでクローズドβテストのテスター募集を公式サイトでされていましたが,これはそろそろ始まるんですか。
Haber氏:
その予定だと聞いています。詳しくは公式サイトで告知しますので,ぜひチェックしていてください。
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