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「Tree of Savior」はプレイヤーの創意工夫を許容するMMORPGに。開発と運営のキーパーソンが語る,日本における今後の展開
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印刷2015/09/08 13:04

インタビュー

「Tree of Savior」はプレイヤーの創意工夫を許容するMMORPGに。開発と運営のキーパーソンが語る,日本における今後の展開

 ネクソンは2015年8月30日,同社がサービスを予定しているMMORPG「Tree of Savior」(以下,ToS)の先行体験会および座談会を開催した。「こちら」でレポートしているとおり,このイベントでは参加者が実際にToSをゲーム序盤からプレイして,その感想や質問をToSの開発統括を務めるIMC Gamesのキム・セヨン氏とネクソン 運用チームの今濱隆一郎氏に直接ぶつけるという機会も設けられた。
 今回4Gamerでは,この体験会の会場にて,キム氏と今濱氏にToSの開発コンセプトや,ゲームの特徴となるシステム,そして気になる日本での今後の展開などについてインタビューする機会を得たので,その模様をお届けしよう。


日本のアクションRPGに大きな影響を受けて企画されたバトルシステム


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。
 今回,初めてToSを国内でプレイできる機会が設けられましたが,本作は韓国版でもまだクローズドβテストが行われている最中なので,国内体験会のタイミングが早くて驚きました。7月には英語圏でのクローズドβテストも行われていましたが,本作では世界同時展開などを考えているのでしょうか。

IMC Games キム・セヨン氏
画像集 No.001のサムネイル画像 / 「Tree of Savior」はプレイヤーの創意工夫を許容するMMORPGに。開発と運営のキーパーソンが語る,日本における今後の展開
キム・セヨン氏(以下,キム氏):
 そういうわけではなく,各国でサービスを行うのに必要なローカライズやサーバー環境,運営体制を確認するために実施しているという段階です。展開が早かったのは,ToSは,各国ごとのバージョンを作らず,全世界で同じバージョンを展開することが決まっているからですね。
 どういった形で各国でサービスしていくのかは,クローズドβテストをひととおり終えてから考えるので,今コメントするのは難しいです。

4Gamer:
 韓国および国際版で行ったCBTの反響はいかがでしたか。

キム氏:
 そこは正直に言うと,賛否ともにあります。「本当に面白くプレイできた」という感想もあれば,「自分には合わない」という声もありました。

4Gamer:
 先行体験プレイは非常に楽しめたので,合わないというのがどういった部分なのかが気になります。

キム氏:
 具体的な例を挙げると,「ステータスポイントをいちいち自分で割り振らなければならないところが古くさい」「モンスター狩りの比重が高く,インスタンスダンジョンの比重が低いことが不満」「スキルの成長過程が今主流のMMORPGと異なる」といった感じです。

4Gamer:
 なるほど。ToSの目指している「クラシカルなMMORPG」という部分に対しての感想なんですね。そこが魅力でもあるのですが。

キム氏:
 私達としては,万人に受け入れられるゲームを目指すよりも,ToSのクラシカルな方向性を面白いと思ってくださる方に向けて開発を進めています。

4Gamer:
 実際にプレイしてみると,今挙げられた部分やグラフィックスこそ「ラグナロクオンライン」の流れを汲んだクラシックなイメージですが,それと同時に,ゲームデザインはきちんと現代風に仕上がっている印象を受けました。たとえば戦闘はスクリーンショットを見るとといかにもクリックゲーム風ですが,実際には結構操作が忙しく,アクション要素を楽しめるようになっていますよね。見下ろし型かつドット絵のMMORPGで,これだけアクション性の高いタイトルはあまり例がないように思うのですが。

画像集 No.007のサムネイル画像 / 「Tree of Savior」はプレイヤーの創意工夫を許容するMMORPGに。開発と運営のキーパーソンが語る,日本における今後の展開

キム氏:
 実を言うとToSの企画段階では,データイーストのアーケードアクションRPG「ダークシール」をMMORPGにしてみたらどうなるだろうという考えがあったんです。ですから開発チームの初期メンバーは,一時期ずっと「ダークシール」をプレイしていましたよ(笑)。
 そうした中で,「ダークシール」の8方向への攻撃を参考にしつつ,ジャンプを加えるというToSのアクションにおけるコンセプトが固まっていったんです。

4Gamer:
 個人的には,プレイしていて日本ファルコムの「イース」シリーズ──とくに初期のPC版「イース」「イースII」を思い起こす部分もあったのですが。

キム氏:
 ああ,実は私,韓国でリリースされた「イースII スペシャル」の開発に携わっていましたので。その影響がにじみ出ているところもあるかと思います。

ネクソン 今濱隆一郎氏
画像集 No.002のサムネイル画像 / 「Tree of Savior」はプレイヤーの創意工夫を許容するMMORPGに。開発と運営のキーパーソンが語る,日本における今後の展開
今濱隆一郎氏(以下,今濱氏):
 まとめると最初にアクションRPGを作ろうという構想があって,それをIMC Gamesっぽくアレンジしていったら今のToSになったということらしいんです。

4Gamer:
 現代風にしようとしてあとからアクションを加えたわけではなく,最初からアクションありきで考えていたと。

キム氏:
 その一方で,ステータスポイントの割り振りやフィールドマップの切り替えといった部分は,クラシックなMMORPGの要素として意識的に導入しています。ゲームシステム以外の部分でも,グラフィックスもそうですが,BGMや効果音の一部にPSG音源を採用するなど,懐かしい要素を取り入れているのも特徴ですね。
 ToSの開発において私達が掲げているのは,MMORPGがかつて持っていた要素を解体して再構築する「ネオクラシック」という考えなんです。

4Gamer:
 そういった昔ながらの部分は,黎明期のMMORPGを知っている人達にとって楽しいものですよね。そこにアクション要素がきちんと融合していて,今の時代のMMORPGとしてバランスの良い仕上がりになっていると感じました。

キム氏:
 ありがとうございます。


キーボード操作以外に「ゲームパッドモード」と「マウスモード」を準備中


4Gamer:
 プレイして感じた疑問などについても質問させてください。まず操作ですが,マウスをほとんど使わず,しかもプレイヤーの移動がオンラインゲームで一般的になっている[W/A/S/D]キーではなく方向キーになっていますよね。何か理由があるのでしょうか。

キム氏:
 操作にマウスを使わないのは,クラシカルなアクションRPGを再現するにあたり,8方向の移動が必須だったからですね。

4Gamer:
 ああ,確かにマウスでの操作では,“8方向をきっちり押し分けるのが難しい”という人は出てきそうです。

キム氏:
 ただ,クローズドβテストでの要望などもあり,ゲームパッドによる操作とマウスによる操作は導入する予定です。

4Gamer:
 ゲームパッドは8方向の入力に相性が良さそうですね。とくに日本人は,ゲームパッド慣れしている人も多いでしょうし,キーボードのみの操作より好まれるかもしれません。マウスモードは,どんな感じの操作になるのでしょう。

キム氏:
 マウスモードは,アーチャーやウィザードといった遠距離攻撃主体のクラス向けですね。韓国の3次クローズドβテストで実装したところ,けっこう評判がいいので,今後もブラッシュアップを重ねていきます。

4Gamer:
 確かにキーボード操作でのアーチャーは難しかったです。小まめに敵から逃げたり,一瞬振り向いて攻撃したりしないといけないので……。

今濱氏:
 ええ,別のゲームかと思うくらい難しいです(笑)。今のところ,アーチャーだけジャンプ攻撃ができないですし,通常攻撃の威力が低かったり,移動しながら射撃すると足が遅くなったりしますし。マウスモードを使うことで,多少操作が楽にはなるかと思います。

4Gamer:
 先行体験でもう1つ気になったのが,ボスバトルです。サブクエストを受託したかどうかにもよりますが,ゲーム開始直後から続々とボスモンスターが登場しますよね。メリハリの利いた展開で楽しめましたが,ゲームを続けていくと,あの調子でボスがどんどん出てくるんですか?

キム氏:
 ええ,ゲーム序盤に限らず,ずっと同じようなペースでボスと遭遇します。現在実装されているのは150種類ぐらいでしょうか。ただ,韓国のテスターからは「ボスモンスターが多すぎてテンポが悪い」という意見も寄せられているので,プレイヤーが能動的にNPCに話しかけたり,怪しいところを調べたりしないかぎり,ボスバトルにつながるサブクエストが発生しないようにして,プレイヤーのペースで進められるよう調整しているところです。

画像集 No.004のサムネイル画像 / 「Tree of Savior」はプレイヤーの創意工夫を許容するMMORPGに。開発と運営のキーパーソンが語る,日本における今後の展開


多彩なクラスの能力を組み合わせて,ほかにない戦術を生み出せる自由度の高さ


4Gamer:
 ToSの大きな特徴として,80種類にもおよぶクラスの多さがあります。これまでのテストの中で,人気の高かったものや反響の大きかったものがあれば教えてください。

画像集 No.003のサムネイル画像 / 「Tree of Savior」はプレイヤーの創意工夫を許容するMMORPGに。開発と運営のキーパーソンが語る,日本における今後の展開
キム氏:
 韓国では当初,「バーバリアン」や「モンク」といった物理攻撃に特化したクラスが人気でした。しかしテストを続けるにつれ,武器の修理ができる「スクワイア」や生産職の「アルケミスト」など,ユニークなサポート系のクラスに注目が集まっています。そういった変わったクラスは,私達が想定していなかったような使われ方をしているのが面白いですね。

4Gamer:
 どんな使われ方なのでしょう。

キム氏:
 たとえば「サドゥー」は幽体離脱できるクラスで,ほかのプレイヤーに憑依できるという能力を持っています。これを利用して,パーティメンバーの1人にほかのメンバー全員が憑依して,スーパーパワーで敵をなぎ倒していくようなプレイが見られました。
 また対人戦では,幽体離脱して離れた敵を攻撃するサドゥーの本体を,複数のクレリックがひたすらシールドを張って守るという戦術も見られました。実は開発チームもこっそり参戦して,何とかこの戦術を打ち破ろうと試みたのですが,勝てませんでした。

4Gamer:
 クレリックのほうを倒すことはできなかったんですか?

キム氏:
 サドゥーが暴れているので,クレリックを攻撃できる地点まで到達できなかったんです。幽体離脱をキャンセルするスキルを持つクラスをパーティに入れていれば,何とかなったかもしれません。
 ほかにも,知力をほかのプレイヤーに分け与えるスキルと,知力を体力に変換するスキルを組み合わせて,パーティメンバーの1人の体力をものすごく上げて,倒されないようにするプレイなんていうのもありました。

4Gamer:
 そういった遊び方は,ゲームバランス的に許容されるんですか?

キム氏:
 特定のプレイが横行して,ゲームが成立しないほどバランスが崩れてしまうようであれば対策を講じますが,基本的にはテスターの自由な創意工夫を尊重したいですね。

4Gamer:
 開発側で遊び方を限定するのではなく,プレイヤーに自由を与えると。

キム氏:
 そのとおりです。逆に対策を施した例としては,「カタフラクト」が挙げられます。このクラスは,槍で突き刺した対象を持ち上げられるのですが,これを利用してNPCや女神像(ワープに使う施設)などをどこかに持っていってしまうプレイヤーがいたので。

4Gamer:
 それは……さすがに問題がありますね。

キム氏:
 ええ,ほかのプレイヤーに迷惑が掛かりますから,その点は制限しました。

4Gamer:
 そもそもカタフラクトは,どういう役割を想定しているクラスなんですか?

キム氏:
 もともとは防御用として,設置されているオブジェクトを破壊する役割を考えていました。
 でも今は,味方が生み出した炎の魔法を突き刺して,それを振り回したり敵を攻撃したり,対人戦では敵の強力なサポートクラスを突き刺して連れ去ってしまったりといった使われ方をしています。非常に面白いので,先ほどの部分はともかく,ほかは制限を掛けずにどんな戦術に発展していくかを見守っているところです。

4Gamer:
 何でもアリのクラスなんですね(笑)。
 昨今では「バランスが崩れる」という理由で,プレイヤーの創意工夫をすぐに封じてしまうMMORPGも少なくないですが,ToSはそういう点でもクラシックな雰囲気ですね。黎明期のMMORPGって,致命的なバグでなければ変なことをしても許されていたじゃないですか。
 そうした組み合わせの妙を楽しめるとなると,さまざまなクラスを使いたいと考えるプレイヤーも出てくるかと思いますが,ToSでは1体のキャラクターで複数のクラスを切り替えたりできるのでしょうか。それとも,異なるクラスのキャラクターを複数体育てられたりするんですか?

キム氏:
 後者ですね。私達としては,さまざまな役割のキャラクターを育成して,それをコレクションし,必要に応じて使い分けるような遊び方を想定しています。ToSではチャットなどを使うときに,個々のキャラクターの名前ではなく,プレイヤーの設定したチーム名が表示されるのですが,それはチーム内のキャラクターを使い分けることを前提としているからなんです。

4Gamer:
 そうなると,1体のキャラクターを完成させるまでの育成時間は,それほど長くないと考えていいのでしょうか。

キム氏:
 そうですね。1体あたりの育成時間は当初の構想よりもかなり短くなっています。まだ調整中ですから,具体的にどれくらいかお伝えすることは難しいのですが。

画像集 No.005のサムネイル画像 / 「Tree of Savior」はプレイヤーの創意工夫を許容するMMORPGに。開発と運営のキーパーソンが語る,日本における今後の展開


プレイヤー各自のプレイサイクル,そして運営開発の連携が確立してからサービスイン


4Gamer:
 韓国では3次クローズドβテストまで進行していますが,仮にサービスイン時点を100%とすると,現在の開発進捗は何%くらいなんですか?

キム氏:
 70%程度ですね。今なお,テスターから寄せられたさまざまな意見やリクエストをもとに修正を入れたり,あるいは新しいアイデアを加えたりしています。

4Gamer:
 そうなると,今後も4次,5次とテストを続ける予定なのでしょうか。

キム氏:
 確定ではないのですが,韓国ではずっとクローズドβテストサーバーを開けたままにして,バージョンを上げていくことを検討しています。

4Gamer:
 日本では,最初のクローズドβテストを10月1日から5日間程度実施するという発表がありましたが,それ以降のスケジュールはどうなるのでしょう。韓国のMMORPGを日本で展開する場合,韓国でサービスインして安定した運用やアップデートが確認できてから,日本でのサービスのためにローカライズを始めるというパターンが多いですが,ToSの場合,まだ韓国でも開発中ですよね。

今濱氏:
 ToSは,βテストをプロモーション的に展開してすぐにサービスインするという形式で進める予定はありません。ネクソンとしては,本来の意味でのβテストを実施したいと考えていて,ひとまずクローズドβテストでは,何よりも動作の安定を確認しようと思っています。
 また,これは私個人の持論ですが,MMORPGはプレイヤーの生活の中でどのようなサイクルで遊ばれるかが重要になります。なので,クローズドβテストでは「このゲームをどのようなリズムで遊んでいくことになるのか」ということを感じ取れるところまでプレイしてもらいたいのです。続くオープンβテストで,そのリズムを生活サイクルの中で作っていただき,それが確立できたところで初めてサービスインという流れにしていきたいですね。

4Gamer:
 なるほど。

今濱氏:
 また,ToSは世界共通のバージョンで展開されますから,たとえば韓国では攻撃職の人気が高い一方で,日本では支援職が高いという状況が発生した場合にどう対処するかという課題が生じます。その場合はネクソンがイベントで補完したり,日本向けの施策ができないかIMC Gamesに打診したりといったことを考えなければなりません。そういったことができる体制をきちんと確立した上で,初めてサービスインを迎えられればと思います。

4Gamer:
 それでは最後に,日本でToSの展開に期待している人に向けてメッセージをお願いします。

キム氏:
 日本のプレイヤーの皆さんは,私達にとって特別な存在です。クローズドβテストでは,おそらく私達が想定していなかったようなユニークなプレイを見せてくださるだろうと,開発チーム一同,大きな関心を寄せています。とくに私個人にとっての日本市場は,単なるマーケットではなく,気づきを与えてくれる師匠のような存在です。クローズドβテストでは,いろいろな教えを授けてください。

4Gamer:
 開発面でも運営面でも期待しています。本日はありがとうございました。

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「Tree of Savior」公式サイト

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