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ゲームミュージッククリエイターの実態を赤裸々に告白? 「4starオーケストラ」トークステージ「ゲ音団のすべらない話」レポート
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印刷2011/10/03 00:00

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ゲームミュージッククリエイターの実態を赤裸々に告白? 「4starオーケストラ」トークステージ「ゲ音団のすべらない話」レポート

画像集#001のサムネイル/ゲームミュージッククリエイターの実態を赤裸々に告白? 「4starオーケストラ」トークステージ「ゲ音団のすべらない話」レポート
 2011年9月30日から10月2日にかけて,東京都内で開催されたゲーム音楽フェス「4starオーケストラ」にて,10月1日,トークステージ「ゲ音団のすべらない話」が催された。あらためて説明すると,「ゲ音団」とは「ゲームの音屋の団体」の略で,ゲームミュージックの制作に携わるクリエイター達の親睦会である。このステージでは,ゲ音団のメンバーが登壇し,ゲームミュージックにまつわるさまざまなテーマでトークを展開した。

※10月17日,主催者側からの要請により一部写真と文章を修正しました。

●参加メンバー
・TECHNOuchi氏
・菊田裕樹氏
・桐岡麻季氏(プロキオン・スタジオ)
・Naoto氏
・川越康弘氏(ノイジークローク)
・与猶啓至氏
・MANYO氏
など

「4starオーケストラ」公式サイト


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 トークは,TECHNOuchi氏と菊田氏が中心になって進行した。最初のテーマは,「喜怒哀楽の表現を作りやすい曲調,作りにくい曲調について」

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TECHNOuchi氏
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菊田裕樹氏

 菊田氏は,RPGならフィールドやバトル,カットシーンなどさまざまな場面が用意されているため,多彩な曲調を作りやすいと述べる。
 その一方で,アクションゲームやシューティングゲームは,同じ用途の曲を多数求められるので大変ではないかと菊田氏が問うと,与猶氏が同意。稀に奇をてらって静かな曲を入れることはあれども,すぐにネタが尽きてしまい四苦八苦していると,与猶氏は明かした。
 結論としては,曲調云々というよりも,RPGやアドベンチャーのようにストーリー性のあるジャンルのほうが喜怒哀楽を表現しやすいということである。

 2番目のテーマは,「自分自身では思い入れが強いのに,周囲からあまり注目されなかった曲」だ。
 ここでは菊田氏が,長丁場になるゲーム開発現場では,同じ曲を何度も繰り返し聴くこととなり,どうしても“飽き”が生まれると指摘する。そのため各曲が持つ意味を考え,どのタイミングで周囲に披露するかをきちんと考えたほうがいいとまとめた。

 3番目のテーマは,「自分の曲が他人に演奏されることについて」。これは登壇者全員が,嬉しいという意見で一致した。なお菊田氏は,自身の楽曲は難度が高いそうで,アマチュアオーケストラの奏者が必死の形相で演奏しているのを見ると可哀想になると話していた。
 そのほか,TECHNOuchi氏の手がけた「チェインダイブ」の曲がクラブでプレイされることや,楽曲だけでなく効果音がテレビ番組などに使用されたことなどが話題に上がった。

プロキオン・スタジオ 桐岡麻季氏
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 4番目のテーマは,「どんなときに曲のメロディやアイデアが生まれるのか」。こちらもほぼ全員がPCや楽器に向かっているときではなく,風呂に入っているときや移動時間などに思いつくと答えた。
 そこで問題となるのが,思いついたアイデアをどうやって記録するかだが,メモに五線譜を書いたり,モバイル端末やボイスレコーダーに鼻歌などを録音したりするそうだ。ただし,そうした手法では,細かな感情やコードまでは記録できない。そのため桐岡氏は,ベース音や手拍子で取ったリズムを録音することもあるという。
 また与猶氏は,自身の作風がリズム重視であるため,テンポだけをメモしてあとでリズムを思い出すようにしているとのことだった。

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 5番目のテーマは,「音楽以外の趣味」。菊田氏は,食べ歩きと美味しい店を他人に紹介するのが趣味とのことで,その一環としてゲ音団の飲み会を主催することも多いという。ただし多くの店を食べ歩いているということは,それだけ美味しくない店に当たる確率も多いそうである。
 TECHNOuchi氏は,ブランデーや香水のビン,43分の1スケールのモデルカーなどをコレクションしているという。所有するモデルカーは2000台以上で,壁一面を使ってディスプレイしているとのことだ。

 また身体を動かすことを趣味にしている登壇者も多かった。例えば,桐岡氏はホットヨガと和太鼓で仕事で溜まったストレスを発散しているそうだ。

 寺社巡りを趣味にしているのはNaoto氏とMANYO氏で,仕事で酷使する耳を静かな環境で休める意味があると話す。またNaoto氏が奈良県出身であると聞いた菊田氏は,そうした幼い頃に過ごした環境が,作風にも影響を及ぼすのではないかと自論を述べた。

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Naoto氏(写真中央)
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ノイジークローク 川越康弘氏

与猶啓至氏
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 長期にわたる趣味を持たないという与猶氏は,最近映画鑑賞に凝っており,1日にDVDを数本観るだけでは飽き足らず,映画館に足を運ぶようになっているそうだ。
 また川越氏は,とくにこれといった趣味はないものの,頻繁に自分で料理をしているという。料理の最中に曲のアイデアが浮かび,それを記録しているうちに鍋を焦がしてしまうことあるとも話していた。

 そのほか「仕事中に聴く音楽」というテーマでは,TECHNOuchi氏が作曲の仕事をしている期間にはほかの音楽を聴かないと述べる。またMANYO氏も作曲をするようになってから,仕事以外の音楽をあまり聴かなくなったと話し,それ以前にもっと聴いておけばよかったと続けた。
 また「酒」というテーマでは,TECHNOuchi氏と与猶氏が毎日飲む一方で,MANYO氏が体質的に飲めないことを明かした。
 ちなみにゲ音団の飲み会では,互いに初対面となるメンバーが多いために話中心となってしまい,あまり飲食は進まないとのことである。

MANYO氏
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 最後のテーマは,「自分が曲を作ったゲームを遊ぶかどうか」で,全員が仕事以外ではほとんどプレイしないと答えた。これは社内スタッフと外注という立場の違いで意味合いが異なるのだが,前者の場合は開発終盤のテストプレイやバグチェックでエンディングまで何度もプレイするので,あえて発売後にもう一度遊ぼうとは思わないのだそうだ。
 また後者の外注の場合は,一つのタイトルにおける作曲作業が終わると,すぐ別のタイトルに取り掛かるという流れとなるため,自分が携わったタイトルでも発売される頃には完全にモードが切り替わっているとMANYO氏が説明した。そのため,どうしてもプレイする機会を逸してしまうというわけだ。
 その一方では,ストーリーのネタバレなどがプレイに影響しないアーケードゲームや格闘ゲームなどは遊んでみるケースもあるという意見が挙がっていた。

 今回のステージでは,登壇したゲームミュージッククリエイター達の仕事に向かう意識,作曲のヒントをどう得ているのか,あるいは仕事と生活のバランスをどうやって図っているのかといった部分が垣間見られるトークが繰り広げられた。“人それぞれ”といってしまうとそのとおりなのだが,各登壇者の人となりが随所に表れており,ファンにとっては嬉しい内容だったのではないだろうか。

4starオーケストラ会場でのみ販売された,ゲ音団によるチャリティアルバム「スーパーレアトラックス」も紹介された
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