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NVIDIA,仮想化ソリューション向け新型GPU「Tesla M10」を発表。カード1枚で最大64ユーザーを処理可能に
Tesla M10は,カード1枚あたりの同時利用ユーザー数を,従来比で2倍となる最大64としたのが特徴の製品だ。ゲーマーが直接利用することはまずなさそうな製品だが,無関係とも言い切れないので,今回は,Tesla M10の概要を簡単に説明しよう。
NVIDIAの発表によると,Tesla M10は,Maxwellアーキテクチャを採用して640基のCUDA Coreを集積するGPUを4基,1枚のカード上に搭載する製品だ。Tesla M10に搭載しているGPUの詳細は明らかになっていないのだが,640基のCUDA Coreを備えるMaxwell世代のGPUといえば,GM107ベースの「GeForce GTX 750 Ti」が該当する。
ただ,Tesla M10は,グラフィックスメモリ容量がカード1枚で32GB,GPU 1基あたりでは8GBと,GeForce GTX 750 Tiのメモリスペックを上回るので,単純にGM107を転用したのではなく,メモリ周りに改良を加えたものかもしれない。
ちなみに,既存のGPU仮想化ソリューション向けハイエンドグラフィックスカードである「Tesla M60」は最大32ユーザー,下位モデルにあたる「Tesla M6」は最大16ユーザーだった(関連記事)。ただ,搭載するCUDA Coreの数は,Tesla M60がGPUあたり2048基のデュアルプロセッサ構成で総数4096基,Tesla M6はGPUあたり1536基のシングルプロセッサ構成なので,実のところCUDA Core数だけなら従来製品のほうが多い。それでいて最大ユーザー数はTesla M10よりも少ないので,当然のことながら,1ユーザーあたりのGPU性能は,Tesla M60やTesla M6のほうが新製品よりも高いということになる。
NVIDIAによると,Tesla M10は,「ナレッジワーカー向けに最適なGPU仮想化を提供する性能を持つ」という。つまり,GPUを駆使するグラフィックスアプリケーションのユーザー向けではなく,一般的なビジネス向けソフトウェアやWebブラウザ,あるいは写真編集ソフトを利用するユーザーに向けた仮想化ソリューションがTesla M10であるというわけだ。
NVIDIAは,Tesla M10の発表に合わせて,ナレッジワーカー向けのNVIDIA GRID対応の仮想アプリケーション「NVIDIA GRID Virtual Applications」と,仮想マシン環境「NVIDIA GRID Virtual PC」に,新しい月額料金プランを追加するという。
一般的なビジネス向けアプリケーションでも,GPUによるアクセラレーションを利用するものは増えている。そうしたアプリケーションを利用できる仮想化ソリューションとしてTesla M10をリリースし,合わせて,企業がNVIDIA GRIDを導入しやすい料金を追加したというわけだ。
ちなみに,NVIDIA GRID Virtual Applicationsは,Citrixの仮想アプリケーション配信ソリューション「XenApp」を,NVIDIA GRID Virtual PCは,Microsoftの仮想マシン技術「Virtual PC」をベースとした仮想化ソリューションである。
高い性能を狙ったものではないので,Tesla M10がGRID Game Streaming Serviceのようなクラウドゲームサービスで使われることはないだろう。とはいえ,NVIDIAがGPU仮想化ソリューションのビジネスを拡大するための一手として,一般的なビジネス向けアプリケーションの仮想化にも取り組んでいるということは,覚えておいていいかもしれない。
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