ドイツのザクセン州ライプツィヒで現地時間2014年6月22日に開幕するスーパーコンピュータ関連の国際会議「
International Supercomputing Conference 2014」(以下,ISC2014)に合わせ,NVIDIAは,64bit対応のARMプロセッサと「
Tesla K20」を組み合わせたHPC(High Performance Computing)サーバーの出荷が始まることを発表した。
ここまでの文章で,あまりゲームと関係のない話題であることは想像してもらえると思うが,NVIDIAのプロセッサ事業動向まとめ的に,その内容を紹介してみたいと思う。
SoCベンダーとの協業で
「64bit ARM+GPU」を実現したNVIDIA
Applied Microの64bit版SoCとTesla K20を組み合わせたシステムが,CirrascaleとE4 Computer Engineering,Eurotechから出荷される
|
今回出荷開始となるシステムで,Keplerベースの数値演算アクセラレータであるTesla K20と組み合わせられるのは,64bit版ARMアーキテクチャが核となるHPC&データセンター向けSoC(System-on-a-Chip)として米Applied Microが開発した「
X-Gene」だ。HPCやデータセンター向けのソリューションを手がけている米Cirrascaleをはじめとする欧米の3社がX-Gene+Tesla K20システムの提供を行うという。
X-Geneは,64bit版ARMアーキテクチャをAppliedMicroが独自に実装したCPUコアをベースにするSoCとなっており,最大12コア構成が可能だが,今回のシステムには最大2.4GHzで動作する8コアSoCが採用されるとのことだ。
Cirrascaleの1Uラックマウントサーバー型システム「RM1905D」。2基のTesla K20を搭載するのが見て取れよう。写真の奥側に,2つの黒いヒートシンクが見えるが,X-Geneはその下に置かれている
|
NVIDIAでAccelerated Computing部門のプロダクトマネージャーを務め
るRoy Kim氏は,「64bitのARMプロセッサは,HPCやデータセンターに高い電力効率やオープンなエコシステムを提供する。極めて高い演算性能を持つGPUによって,HPCやデータセンターにおける64bit版ARMプロセッサの競争力を高めることができるだろう」と,発表の意義を語っていた。
GPUは,HPCやデータセンターに電力効率などの利点をもたらし,さらに新たな競争力をもたらすという
|
NVIDIAはすでに,モバイル向けの次世代SoC「
Tegra K1」で,ARMアーキテクチャのCPUコアと,CUDAに対応するGPUコアの統合を果たしている。そして,今回の発表において,HPCおよびデータセンター向けプラットフォームにおいても,「ARMアーキテクチャ+NVIDIA製GPU」を果たしたことになる。
モバイルからHPCまで,スケーラブルにARMベースのCPUと自社製GPUを展開し,強力なエコシステムを創り出そうというNVIDIAの計画は,着実に進んでいるようだ。