日本時間2013年7月23日22:00,NVIDIAは,第2世代Keplerの「
GK110」コアを採用した,デスクトップワークステーション向けGPU「
Quadro K6000」を発表した。集積されたシェーダプロセッサ「CUDA Core」の数は,GK110コア採用製品最多の
2880基で,単精度演算性能は
5.2 TFLOPSに達するという。
Quadro K6000のカード単体および採用ワークステーションは2013年秋の出荷開始予定。ただし現在のところ,カード単体価格は明らかになっていない。
Quadro K6000カード
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Quadro Kシリーズの製品ラインナップ。第1世代Keplerアーキテクチャを採用する製品群の“上”に,Quadro K6000が導入された
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映像出力はDisplayPort×2とDual-Link DVI-I,Dual-Link DVI-Dの計4ポート。GTX TITANと異なりHDMIは備えていない |
NVIDIAが公表した,Quadro K6000と,従来モデルであるQuadro 6000との性能比較。単精度浮動小数点演算性能は5倍に達するという |
Quadro K6000が搭載する2880基というCUDA Coreの数は,192基のCUDA Coreクラスタ「Streaming Multiprocessor eXtreme」(以下,SMX)に換算してみると15基となる。つまり,同じGK110コアを採用する「GeForce GTX TITAN」(以下,GTX TITAN)や「Tesla K20X」の14基よりも1基分多いわけだ。2013年7月時点で,史上最もCUDA Core数の多いGPUということになる。GTX TITANやTesla K20Xでは歩留まり向上のために無効化しているSMXまで利用することで,GK110コアの潜在能力をより引き出してきたGPU,といったところだろうか。
一方,グラフィックスメモリ関連の仕様は,総容量が2倍の12GBになっていることを除けば,GTX TITANと同じだ。メモリインタフェースは384bit,メモリバス帯域幅が288GB/sという点で,Quadro K6000とGTX TITANの間に違いはない。
NVIDIAがGTX TITANのものとして2月に公開したブロック図。ただしGTX TITANではSMXが1基無効化されているので,実質的にこれはQuadro K6000のブロック図ということになりそうだ。なお,NVIDIAは,「Quadro K6000がGK110のフルスペックである」とは述べていない
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ただし,資料を見ると,性能面と消費電力に関して不可解な点もある。というのも,GTX TITANと比較した場合,CUDA Core数は2688基から2880基へと約7%増大しているのに対し,単精度浮動小数点演算性能は4.5 TFLOPSから5.2 TFLOPSへと,約16%も上がっており,一方でTDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)を比較すると,GTX TITANの250WからQuadro K6000で225Wに下がっているためである(※Quadro K6000の「Board Power」がTDPを指すことはNVIDIAへ確認済み)。
単純計算だとQuadro K6000の“動作クロック”は902〜903MHzとなるため,ひょっとすると,ベースクロックで演算性能値を計算しているGTX TITANに対し,Quadroではブーストクロックを使って計算している……という可能性もあるが,正直,まったく分からない。現在,NVIDIAに問い合わせているので,詳細が判明したらお伝えしたいと思う。
いずれにしてもQuadro K6000は,GK110ベースのGPUとして最高のスペックを誇る製品ということになりそうだ。Quadro K6000と同じGPU規模のGeForceが登場するのかも気になるところだが,どうなるだろうか。
モバイル向けQuadroの新製品も登場
ただし詳細は未公開
Quadro K5100Mのサンプル写真
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このほかにNVIDIAは,モバイルワークステーション向けGPUの新製品も,同時に発表した。発表されたラインナップは「
Quadro K5100M」「
Quadro K4100M」「
Quadro K3100M」「
Quadro K2100M」「
Quadro K1100M」「
Quadro K610M」「
Quadro K510M」の7製品だ。
ただし,現時点では製品名以外の詳細が公表されておらず,その素性は謎のままとなっている。