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王道の物語と斬新な戦闘システムが“仲間”を軸に結びつく。Wii用RPG「THE LAST STORY」(ラストストーリー)のレビューを掲載
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印刷2011/02/23 01:17

レビュー

王道の物語と斬新な戦闘システムが“仲間”を軸に結びつく,Wii用秀作RPG

THE LAST STORY(ラストストーリー)

Text by Ky


 Wii用RPG「THE LAST STORY」(ラストストーリー)がおもしろい。この一言で原稿を締めてしまってもいいような気がするほどに,筆者はその魅力に取り憑かれている。RPGにおいては数百人の主人公を演じ,アドベンチャーにおいてはその2倍くらいの女性を相手に愛を語らってきた筆者だが,この作品を通じて多くの発見と感動が得られた。

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「THE LAST STORY(ラストストーリー)」公式サイト


 発売日から3週間程度経つこともあって,一通りプレイを終えた熱心なプレイヤーからは賛否両論の声が上がっているが,個人的には満足と言える作品であった。本稿では,筆者がTHE LAST STORYをどのように楽しんだのか,そしてどのような部分に注目すると,本作をより楽しめるのかについて,主に「世界観」と「戦闘」の部分に注目しつつお伝えしていこう。


細部まで作り込まれた街並みと,とにかくよくしゃべる仲間達


画像集#002のサムネイル/王道の物語と斬新な戦闘システムが“仲間”を軸に結びつく。Wii用RPG「THE LAST STORY」(ラストストーリー)のレビューを掲載
 まず最初に,本作の導入ストーリーを紹介しておこう。ゲームの舞台となるのは,戦乱と大地の荒廃に苛まれる帝国本土をよそに,繁栄を謳歌する「ルリ島」。島民は魔物に悩まされることもあるが,一般市民と貴族とが明確に分かれた中世ヨーロッパ的な身分制度のもと,それぞれが立場なりの平和を享受している。
 主人公のエルザは,兄貴分のクォークが率いる傭兵団の仲間と共に,新たな仕事を求めてこの島にやってきた青年だ。そして,島での最初の任務で訪れた洞窟で,彼はその後の人生を大きく揺るがす,謎めいた力を得ることになる。

 この出来事に端を発するTHE LAST STORYの物語の大枠は,一言で表すと誇り高き騎士の位に憧れるエルザの成り上がりストーリー。もちろん,その過程には幾多の困難が待ち受けており,実に王道的なファンタジーストーリーが展開されていく。そのストーリー展開を“ありがち”と見るか,“安心感のある物語”と見るかは人それぞれかもしれないが,神話や中世騎士物語が嫌いではない筆者は,後者の印象を受けた。そして,実際に物語を進めていくと,この王道なストーリーを支える柱として,「街」の生活感や「仲間」の存在感が大きな役割を果たしていることに気づくのだ。

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 本作の拠点となる街は,ルリ城を最北に置いて広がる城下街。石造りの街並みは異国情緒に溢れ,点在する紋章や店の看板に至るまで非常に丁寧に作られている。
 エルザの行動の始点となる「アリエルの酒場」は街の中央。酒場の正面には行き交いの激しい中央広場が,右手に進めば食料や染料を売る露天通り「マルシェ」が,そして左手には武器防具屋が店を構える「職人通り」がある。このように目的別に区分けされた街は,拠点としての利便性も高い。

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本作にはクエストリストのようなものがない。それゆえに強制力が弱く,クエスト特有の“作業させられている感”もほとんどない。受諾したことを忘れてしまっても物語には影響しないので,ちょっとした人助け気分で楽しめるのが嬉しい
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 そしてこの街のすごいところは,各所で人の営みが確かに感じられること。噴水広場には笑顔で駆け回る子供達や,愚痴をこぼしながらも井戸の水で洗濯板をこする主婦達の姿が確認できる。街角に響く,ふらっとやってきた旅の商人達が物を売る威勢のいい声も聞こえる。城門前などでは,貴族に嫉妬を覚えるウェイトレスがいたずらを目論んでいたり,料理の材料が足りないと嘆く女性が唐突に頼み事をしてきたりする。

 街中には小さなイベントがいくつも隠されており,これらにクエストという形で手を貸してあげることで市民生活にちょっと足を突っ込んでみると,この街をより身近に感じられるのではないだろうか。

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 一方で,街の中央を横断する川沿いには,テントで寝転ぶ野外生活者達の姿がある。広場をよく見れば,道端で途方に暮れる男達の姿もちらほら。街の南側には人通りの少ない細い路地が木の根のように延びており,そこにはスリをする子供達や,獲物を狙う不良どもがいることもある。繁栄の裏にある,街のもうひとつの顔は,大地の荒廃の影響が少なからずルリ島にも及んでいることを窺わせ,同時にエルザの進んでいく物語が,平坦なものでないことを予感させる。

 美麗なグラフィックスで描かれた緻密な街並みは,据え置き機向けの作品では珍しくないものの,本作のように,街の人々の顔から世相や営みが感じ取れる作品は決して多くはない。実際にプレイすれば分かるが,街の生活感や人々の存在感を漂わせる細かい描写が,マップのそこかしこに仕込まれている。そういったものに気づいてふと足を止めると,RPGにおける街の本質は,美しい建物や目を惹く煌びやかな装飾などではなく,人そのものなのだなと,あらためて気づかされるのだ。

人にぶつからずに歩くのが難しいほど,行き来が激しいのも本作の街の特徴。ぶつかった人の反応もさまざまだ。ちなみにぶつかった回数を数えているおじさんが,街のとある場所に隠れていたりする。余談だが,個人的に街の音楽が好きだ。街並みと同様に,のどかだがどこか陰があるような曲調が胸に響く
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 魅力的な仲間達については,発売前の情報で知っている人も多いかもしれない。これは主にダンジョン内でのことだが,本作の仲間達はとにかくよくしゃべるのだ。戦闘で役立つアドバイスをくれるのは,大体兄貴分のクォークだが,どんな場面でも緊張感のない剛気な女剣士セイレンや,それに便乗して軽口を叩く魔法戦士ジャッカルによるコミカルな会話などは,聞いていて飽きない。
 腹が減っただの酒が飲みたいだのとわがままを言う彼らを見ていると,しだいに友人や仲間と一緒に戦っているような気分になってくる。こういった賑やかな会話が,キャラクター達の個性を演出していることはもちろんだが,同時に,まるで自分がエルザ本人になったかのような没入感を,プレイヤーに与えてくれるのだ。

 すなわち,私はちょっぴり優柔不断な主人公エルザで,頼み事をされるとなぜか断れない性格である。だから街に戻ればついつい人助けをしてしまうし,戦闘では身を挺して味方を庇いたくなってしまう。そして気づけば,プレイしながらカナンの名前を叫んでいたり,「マナミアさん,いつも回復ありがとうございます。ほんと,すみません」とかペコペコしていたりと,THE LAST STORYの世界に没頭しているというわけである。

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 もちろん,仲間達の見せ場もふんだんに用意されている。男性陣は皆キメるところはちゃんとキメるし,女性陣はまさに戦場の華というに相応しい立ち振る舞いで魅せる。まぁ,セイレンは最後の最後までセイレンらしいが,そんな彼女がむしろよい。
 やや蛇足だが,正規メンバー以外にも,一時的に仲間に加わるユニークキャラクターや一般兵がおり,彼らにもしっかりと個性が付与されている点もポイントだ。とくに,物語をとおして騎士としての信念を貫いているタシャなどに対しては,男性女性問わず,プレイヤーなら誰もが好感を抱いてしまうはずだ。

 ちなみにダンジョン内の会話は,何も考えずに移動していると会話が終わる前にマップが切り替わってしまう可能性があるほどのボリューム。聞き逃したときのショックは結構大きいので,移動時はくれぐれも慎重に。

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 以上のように,物語は王道のファンタジー,そしてそれを街の人々や仲間達が大いに盛り上げてくれるという,実に真っ当な作りのTHE LAST STORY。しかも,構成要素のひとつひとつが丁寧に作られているため,プレイヤーは高い没入感を得られる。そして,野暮な突っ込みをひとまず忘れて,この世界に素直に入り込んでいくことが,本作を楽しむうえで大切なアプローチなのではないかと思う。


ヘイト管理や戦況把握が重要になる斬新な戦闘


 本作の戦闘システムはちょっと特殊だ。99マイルのストレートのようなストーリー展開とは一転して,キレのある変化球といった印象で,純粋に新しいと思える内容になっていることを,あらかじめお伝えしておこう。といっても,戦闘だけが妙に浮いているわけではなく,むしろ仲間の存在をより身近に,より強く感じられる工夫が施されている点に注目してほしい。

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 本作の戦闘は,基本的にリアルタイムで進行する。エルザの仲間達は,前衛の戦士タイプと後衛の魔法使いタイプに分かれており,戦闘が始まると彼らは,各々の判断で散開ないし陣形をとる。前衛タイプは瞬発力と防御力に優れ,後衛タイプは打たれ弱く,詠唱中に攻撃されると魔法が中断されるといった弱点があるものの,高火力の攻撃や高い支援能力を持つという特徴がある。仲間達は常に,自分のタイプに沿った行動をとってくれるので,非常に頼もしい。

 プレイヤーは基本的にエルザを操作して,仲間をサポートしながら戦闘を進めていくことになる。概してRPGの主人公というのは,ほかのキャラクターよりも全体的に高い能力を持っているものだが,エルザはこれらの一般的な例からやや外れる。彼は確かに戦局を左右する強力な力を持っているが,重要なのは,彼の能力がほとんど「味方を活かす」ためのものであるということ。MMORPGで言うところの「タンク」タイプと言えば,より想像しやすいだろうか。

攻撃は敵に向かってスティックを倒すだけのオート操作になっているが,近づいてAボタンで攻撃するタイプに設定することも可能。前者は攻撃に気をとられないため状況の把握がしやすく,後者はよりアクション性の高い操作感を楽しめる。好みで使い分けよう
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 本作の戦闘におけるエルザ,つまりプレイヤーの役割は,大きく分けて「ヘイトのコントロール」と「風魔法による魔法の拡散」の2つとなる。

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 MMORPGなどではおなじみのヘイトの概念だが,コンシューマゲーム界隈ではまだ聞きなれない言葉だろうか。本作の説明書で「注目」と表現されるこの概念は,要するに「今,敵が味方の誰を狙っているか」を表す言葉。そして,エルザの特殊能力の一つ「ギャザリング」は,敵からのヘイトを強制的に自身に集める効果を持つのだ。
 では,実際に使うとどうなるのかというと,敵が一斉にギョロッとエルザのほうを向いて,求愛行動にも似た強烈なアプローチをしかけてくる。それはもう派手にボコスカ叩かれる。しかし敵がエルザに夢中なその隙に,仲間達は背後から攻撃したり,強力な魔法を詠唱したりできるというわけだ。

 このほかギャザリングには,味方の詠唱速度を上昇させたり,倒れた仲間にギャザリング状態で近づくことで,一定時間能力が上昇した状態で復活させられたりといった付加効果もあるが,敵の注意を自分に引きつけ味方を活かすという使い方は,最初から最後まで変わらない。

エルザが成長すると,ギャザリングにさらなる能力が付加される。その有用性の高さは,ゲーム終盤まで変わらない。もちろん,エルザ自身の攻撃力が低いわけではない。彼は,ほかにも地形を利用した強力な技などを覚え,アタッカーとしての役割も十分に担える。ときにはギャザリングをせずに,各個撃破していくほうが安全な場合もあるのだ
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 構図としては非常にオーソドックスだが,エルザが敵の注意を引きつけ,そのエルザを回復や補助魔法で支援するマナミアやカナンがおり,エルザに襲いかかる大群にユーリスやジャッカルが強力な攻撃魔法をぶつけ,そしてエルザと肩を並べて戦いながらも唐突にボケを放つセイレンや,それにしっかりツッコミを入れるクォークがいる。主人公=タンクという仕組みは,戦闘に奥深さを与えているだけでなく,仲間との連帯感や信頼関係をもうまく表現しているのだ。

 そして,エルザのもう一つの能力が「風魔法」。本作では魔法が放たれると,着弾地点にサークルが表示され,サークル内で戦うと特殊な効果が得られる。例えば火の魔法が放たれると,敵への直接ダメージに加えて,着弾地点に発生したサークル内の味方に,火の属性が付加されるようになっている。

 エルザの風魔法は,このサークルを対象にして発動することで,サークルの効果を強化し,フィールドに拡散できるというもの。具体例を出すと,火の魔法サークルを拡散すると敵に「ガードブレイク」の効果が,氷の魔法サークルを拡散すると敵に「スリップ」の効果を与えられる。これは回復魔法も対象にできるため,本来サークル内に入らないと回復しないヒールを拡散させて,遠くの味方に効果を飛ばすという使い方も可能だ。
 仲間の位置や放たれた魔法をしっかりと確認して,その状況に合わせた効果を拡散させることが,戦闘に勝利するためのポイントとなるので,周囲の確認はしっかりとするように心がけたほうがいい。

当然,敵の魔法サークルも着弾点に残る。相手にヒーラーがいれば,常に敵が回復している状態なので,まずはそこを叩くのが定石だ
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ちょっと細かいが,クラシックコントローラを使っていてカメラ操作がうまくいかないという人は,カメラの調整速度を早めに設定するといい感じになる。逆に“酔う”人は遅めに設定するといい
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 以上のように,プレイヤーは主にこの2種類の能力を使って戦闘を進めていくが,このほかダンジョンには,多彩なギミックが仕掛けられている。エルザは,近接武器と遠くの敵を攻撃可能なボウガンを使い分けて戦うが,このボウガンでギミックを見つけ,それを戦闘に活用するような場面に何度も出くわすのだ。
 魔法で石の橋を落とすようにユーリスへ指示を出したり,群れから離れている敵をボウガンの矢の音でおびき寄せ,孤立させてから静かに倒したり,さらにボウガンそのものを使って,背後から敵のヒーラーを暗殺したりとシチュエーションはさまざまだが,大体は仲間が助言をくれるのですぐに気づける。

 ただ,終盤になってくるとそのギミックを使うべきか否かの判断をリアルタイムに迫られるようなシーンもあって,手に汗握る展開が待っていることもあるので,一筋縄ではいかない。面倒だという人は,ギミックを使わずに総力戦にしてしまっても構わないし,キャラクターを必要以上に育てていればなんとかなる場面も多いが,カナンが倒れるたびにリセットボタンに手を伸ばしては,ハッと我に返ることを繰り返していた筆者としては,仲間を危険に晒すような戦い方をオススメしない。仲間全員が笑って帰るために戦術を選ぶのが,主人公の役目だと思うからだ。

ちなみに,戦闘の難度は決して低くない。ゲームオーバーになることは少ないが,思い描いた展開どおりに戦闘を進めるには,それなりの時間と経験が必要になってくる
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THE LAST STORY


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 ゲームの細かい部分を見ると,ロードの長い箇所がいくつかあったり,Wii用のクラシックコントローラを使った場合と,そうでない場合で操作性が著しく変化したりといった,気になる点もある。

 また,ゆったりとプレイしても20時間程度でクリアできるボリュームであるため,コアなゲーマーの中には物足りなさを感じる人もいるかもしれない。そういう人は,豊富に用意されているキャラクターの着せ替え要素や,インターネットマルチモードでの多人数プレイを楽しんでみてほしい。能力を引き継いだ周回プレイもオススメだ。
 ただ実際には,これはプレイヤーの捉えかた次第であり,個人的には,短い時間で高い満足感を得られる内容であることは,むしろ喜ばしいことだった。もちろん「この世界での冒険をもっと楽しみたい」と思わずにはいられなかったが,それは決して物足りなさからくる気持ちではないのだ。

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 ともあれ,真っ直ぐな物語とそれを支える世界観,仲間達は,プレイヤーに安心感にも似た居心地の良さを与えてくれるし,斬新かつユニークな戦闘システムは,工夫しながら戦う面白さを提供してくれる。RPGが嫌いでない人に対しては,強くオススメできる作品と言える。
 あえて言うならば,これまで本格的なRPGに触れてこなかった人にこそ,ぜひプレイしてみてほしい。実際筆者も,幼少の頃にこのような直球の物語に触れて心の琴線が揺れた記憶がある。もし叶うならば,あの頃の何も知らなかった自分にもう一度戻って,THE LAST STORYの世界を味わってみたいとすら思ってしまうのだ。

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