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印刷2011/01/08 10:30

連載

現実はクソゲーだった? 連載「そうだったのか! シヴィライゼーションV」の最終回は,ゲームが持つシミュレーション性について語る

シドマイヤーズ シヴィライゼーションV 日本語版
 Take-Two Interactive Japanから発売中の「シドマイヤーズ シヴィライゼーションV」(以下,Civ5)の攻略に役に立つようで役に立たない当連載も,ついに最終回を迎えた。というわけで今回は,Civ5を通じてストラテジーゲームのもつシミュレーション性を考えるという,いつも以上に攻略のプラスにならないお話をお届けする。

 なお本稿は,アナログのシミュレーションゲーム世界でさんざん議論されてきたことを確認しなおす部分が多いので,「誇張と省略」「センス・オブ・ワンダー」といった言葉に聞き覚えのある人は,第3パラグラフにお急ぎいただきたい。


シミュレーション性とゲームの,意外なほどの相性の悪さ


シドマイヤーズ シヴィライゼーションV 日本語版
Wells氏の「LittleWars」はGutenberg Projectにアーカイブされている。フリーで閲覧可能
 ウォー・シミュレーションゲームというジャンルは,非常に古くから存在する。商業的シミュレーションゲームで最初に登場したのは,現存する範囲ならばSF作家であるHerbert George Wells氏が1913年に出版した「Little Wars」と言われているが,それ以前にも1892年に海戦ゲームがあったことが確認されている。
 もちろん,囲碁や将棋もウォー・シミュレーションゲームの一種であり,そういった伝統ゲームの拡張版ルール(より実戦的な雰囲気を持ったルール)は,洋の東西や歴史の新旧を問わず散在している。なるほど,「ウォー・シミュレーションゲームの歴史は,戦争そのものよりも古いかもしれない」という見解には,一理も二理もあり,最も枯れたゲームジャンルの一つといえるだろう。

 枯れているということは,ゲームに対する工夫が連綿と積み重ねられてきたということだ。駒の動かし方,戦闘の解決方法,「ターン」の区分方法,兵隊や兵器以外で戦争に関わってくる要素の導入などなど,これまた古今東西のゲーム開発者が(それこそ人類の歴史と同じくらいの時間をかけて)頭をひねり続けてきた。この挑戦は,ゲームが電子化されてからも変わらない。
 そしてこの過程のなかでしばしば問題になってきたのが,シミュレーション性とゲームとの,意外な相性の悪さなのだ。

シドマイヤーズ シヴィライゼーションV 日本語版
日本の伝統ゲームである将棋。この画面は「あから」にも使われたAI,Bonanzaを用いたフリーウェアもの
 多くの人にとって現実というものは,それほど面白くもない(ニュース的な意味で)ものだろう。テレビや新聞,ネットのニュースなどでは,「事実は小説より奇なり」的な事件が頻発しているように見えるが,それは約60億人の行動の中から,例外的なものを毎日集めているからだ。世のありとあらゆるところで,頻繁に「小説より奇」なことが起きていたら,日常生活が成り立たない。 
 つまり,現実をちゃんとシミュレートすればするほど,そのゲームは往々にして面白くなくなってしまうのだ。ある一定以上の見識を持ったプレイヤーが,「それは普通はこうなるだろう」と予想した展開と結果が,その予想からさほど外れない形で展開されるなら,それはもはやゲームとは呼べない。検証作業とでもいったほうがいいだろう。

 これはFPSのようなアクション性を備えたゲームでもいえることで,ナイフ一本で機関銃座の前に飛び出せば1秒もかからずに死ぬし,絨毯爆撃の範囲に入ったが最後,どんな巧みな偽装をしている狙撃兵でも死ぬほかない。それが「ちゃんとした」シミュレーションなのだ。
 これに反して,例えば将棋では歩が格上の駒を(自分の手番であれば)必ず討ち取るし,囲碁では包囲された石は問答無用で除去される。そこに,「現実的にそれは無理だろう」という反論の余地はない。現実に即して考えると多少の無理があるような処理であっても,それがゲームとして欠かせないファクターとなるのだ。

カードゲームに,ゲームルール的にも商業的にも大きな変革をもたらした「Magic: The Gathering」。相手のターン中にも自然と行動が可能なゲームシステムが完成するまでには,紆余曲折があった。デジタルゲームに与えた影響も非常に大きい作品だ
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原理原則とセンス・オブ・ワンダー


 一見するとゲーム的な処理を,シミュレーションという手法にどのように落とし込むかは,このジャンルに属する作品のクオリティを決めてきたといえる。シミュレーションゲームにおける“シミュレーション”とは,現実を忠実に模倣し再現することではなく,現実を誇張して模倣,あるいは省略する技法なのだ。

 従って,シミュレーションゲームはどうしても,そこに開発者の解釈が入る。そして,その解釈が正しいか間違っているかよりも,解釈そのものを楽しむことに,シミュレーションゲームの面白さは潜んでいるような気がする。もちろん,その解釈が一定の説得力を持っていれば,それはなお素晴らしい。

 では,その「説得力」とは何なのか? 個人的には,「それらしいこと」であると考える。そしてその「それらしい」とは何かと言われれば,「原理原則が通用すること」かつ「そこに驚きがあること」を,同時に満たすことではないだろうか。

誇張と省略といえばやはりParadox Interactive作品だ。詳細なように見えて,巧みな誇張と省略がなされている。また枝葉末節を簡略化することで,政治や軍事ドクトリンといった戦争の骨格に迫る表現に成功している
シドマイヤーズ シヴィライゼーションV 日本語版 シドマイヤーズ シヴィライゼーションV 日本語版

 「原理原則が通用する」とは,ある程度まで理化学的なシミュレーション性が存在するということだ。「頭を吹き飛ばされれば人は死ぬ」「高いところから落ちたガラスは割れる」といったミクロな部分に始まり,「防御側は攻撃側の3倍有利」「兵站の強度は戦線の強度を決める」といったマクロな側面まで,現実を支える大原則が(誇張や省略があるとはいえ)通用することだ。そしてこれが「それらしさ」を支える。

シドマイヤーズ シヴィライゼーションV 日本語版
画像は「Killing Floor」より。「装備すると足が速くなる」「弾切れしない」「攻撃力はあまり大きくない」という,古い時代の「ナイフ」。使い方によってはこれでも十分強力ではあった
 また,「そこに驚きがある」とは,上の原理原則を覆す構造のことだ。殺したのに復活する敵といったところにはじまり,防御側の有利さを一気に消滅させる兵器の存在や,一時的であっても兵站強度を越える火力を集中させることによる突破など,そこに「まさか!」という驚き――つまりセンス・オブ・ワンダーが混ざることで,ゲームは説得力を増す。なぜなら,プレイヤーはシミュレーションゲームに対し,歴史上(あるいは物語上)何度も繰り返されてきた「まさか!」を求めているからだ。
 このことは,FPSにおける近接戦の歴史を振り返ると分かりやすい。

 かつてFPSにおけるナイフとは,「音がしない」「弾切れしない」といったことが売りの武器だった。多くのFPSでは,ナイフで攻撃しても相手はなかなか死なず,逆にSMGやショットガンといった近接火力で反撃されて殺されてしまうことのほうが多かった。
 ところが最近は,ナイフの火力(攻撃力)が大幅に上がっており,多くのFPSにおいてナイフでの攻撃=即死という構図が成立している。

 これはシミュレーション的にはあからさまにおかしい(至近距離で小銃弾を数発食らっても平気な人間が,ナイフで刺されたら即死というのは矛盾している)が,ナイフキルのセンス・オブ・ワンダーは大いに保証された。もちろん,「リスクが最大になる距離にまで近づいたのだから,火力は最大であるべき」というゲーム的なバランス論もそこには認められるが,大多数のプレイヤーにとってみれば,「映画のヒーローのようにナイフで敵兵を一撃で殺す」という「それらしさ」が表現されたことのほうが,重要ではないだろうか。

 そしてナイフキルは,「ヘッドショットで即死」という原理原則(=銃がある世界では基本的に遠距離が有利)があればこそ,最大のセンス・オブ・ワンダーを発揮する。例えば銃で撃っても撃っても死なないことがそのゲームにおける原理原則なら,誰だってナイフで敵を攻撃するようになる――そこに驚きはないのだ。

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「Call of Duty4 Modern Warfare」。ナイフ攻撃は敵兵を即死させる。これはシングルプレイの画像だが,マルチプレイでもナイフを駆使する上級者は多い
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もっとも,真正面からナイフで乗り込めば,普通はこういう結果になる。実に当然としか言いようがない


Civ5の持つ「驚き」とは


 さて,Civ5においてこういった「原理原則」や「驚き」は,うまく機能しているのだろうか?

 Civ5の有する基本的なシステムは,シヴィライゼーションシリーズの長く輝かしい歴史のなかで育まれてきただけあり,非常に優れている。文明や技術の名前などは具体的でありながら,それぞれのゲーム的な機能は抽象性が高い。また,基本的にマップは毎ゲーム自動生成されるので,ユニットの動かし方を熟慮しながら一歩一歩進めていくゲーム性は,どちらかといえば囲碁や将棋のような古典ゲームに近い趣を持っている。結果として,「実際の歴史を知らないとそもそもゲームにならない」「史実に抗うなんて無駄」ということはなく,加えて「これだったら将棋とか麻雀で十分」ということにもなっていない。まさに絶妙だ。

シドマイヤーズ シヴィライゼーションV 日本語版
鉄と馬は,Civ5における序盤〜中盤のキーポイントだ。写真のように両方とも揃えば申し分ないが,片方だけ,あるいは両方ともダメということも
シドマイヤーズ シヴィライゼーションV 日本語版
パッチによって騎兵ラッシュはだいぶ弱体化しているが,それでもまだまだ有効。騎士までアップグレードすれば鉄板。ただし,ユニットを回復させる拠点はほしい

 最も注目すべきは,Civ5の展開がそれなりに「それっぽさ」を感じさせてくれることだろう。現状では騎兵でラッシュを仕掛けるという戦法の強さが突出しているとはいえ,「鉄のない文明」「騎馬文化のない文明」といった,地球上から淘汰されていった文明が(自然かつ否応なしに)ゲーム内で構築され,滅ぼされていく有様は,まったくもってすがすがしい。同様に,「神学」技術と同時に文明が中世に入っていったり,「航海術」技術と同時にルネサンスに入っていったりする様子も,かなり「それらしい」。

 一方で,そこに「驚き」があるかとなると微妙かもしれない。例えばCiv5の「社会制度」は,あまり具象性が高くないこともあって,「この文明がこんなことをするか!」といった笑いや驚きにつながることは,それほどない。
 これが「シヴィライゼーション4」(以下,Civ4)であれば,宗教という極めて具象的なシステムがあったため,「うちのモンテスマは仏教の創始者ですんで」といった,「もうちょっと考えてから喋れよ」的な展開がいくらでもあり得た。そしてそれは同時に「その地球ではそういう歴史だったのだ」というおかしな説得力も持っていた。この手のセンス・オブ・ワンダーは,残念ながら現在のCiv5には若干欠けている。

シドマイヤーズ シヴィライゼーションV 日本語版
最も大きなマップで,地球全図を選択。シベリア〜満州あたりにインカ,インドにイロコイ族,そして日本はヒマラヤ〜東南アジアが根拠地。なんぞそれ
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富士山を発見。マップを最小に設定すると,日本はこんな感じに小さくなる。そしてどうみても中国なエジプト

 とはいえ,Civ5がセンス・オブ・ワンダーに欠けているように見えるのは,Civシリーズを(その派生作品も含めて)いくつもプレイしてきたプレイヤーに限定されるかもしれない。冷静に考えてみれば,京都のご近所にモスクワができたり,パリにピラミッドが建ったりする段階で,あからさまに「もっと考えて喋れよ」的な展開だ。しかも各文明の指導者は,エリザベス女王や織田信長など,これまたその文明が始まった時期とはまるで関係のない人々でもある。そもそもCivシリーズは,こういったセンス・オブ・ワンダーを根底に備えているのだ。

 だが,長らくこのシリーズに慣れ親しんだプレイヤーにしてみれば,そういった要素はもはや「当たり前」であって,驚きはない。つまり多くの人は,この驚きを消費し尽くしてしまったのだ。結果として,Civ5には驚きが欠けているように見えるのかもしれない。

シドマイヤーズ シヴィライゼーションV 日本語版
そもそも織田信長と日本の文明の間に,そんなものすごく強固な関係があるわけではない。Civ4では徳川家康だったが
シドマイヤーズ シヴィライゼーションV 日本語版
技術ツリーは,史実を感じさせるような構造になっている。もっとも,一部の技術が驚くくらい立ち遅れる文明というのも,しばしば誕生するのだが

 Civ5の評価は,世界的に分かれていることもあり,「Civ5からシヴィライゼーションに触ってみようと思ったけど,どうしようか」と悩んでいる初心者も多いのではないだろうか。
 もしも上記した理由で悩んでいるのであれば,迷うことはない。なぜなら,Civ5はそういう人のために作られたシヴィライゼーションといえるからだ。

 Civ5をプレイしたらCiv4をプレイできなくなるわけでもないし,時間(と財布とマシンスペック)に余裕があるなら,Civ5からのスタートをお勧めしたい。その向こうには,過去のCivシリーズはもちろん,「シド・マイヤーズ アルファ・ケンタウリ」のような歴史的傑作まで,広大な世界と驚きが待っているのだから!

「シドマイヤーズ シヴィライゼーションV 日本語版」公式サイト


■■徳岡正肇(アトリエサード)■■
Steamでセールになっていた各種FPSをジャンジャカ買って,バリバリと遊んで正月を過ごしたという徳岡氏。冬休みのせいか,ちょっと古めのゲームだったとはいえ,どのサーバーも賑わっており,マルチプレイを楽しめたそうだ。まあ本人は,2011年に発売される「Portal 2」や「Homefront」に向けての“リハビリ”だと言っているが,要は連戦連敗で正月が明けたらしい。
  • 関連タイトル:

    シドマイヤーズ シヴィライゼーションV 日本語版

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