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詰め込まれた怒涛のパロディ&愉快ネタはこちらの力量を試してるのか!? 「EAT LEAD マットハザードの逆襲」レビュー
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印刷2010/04/03 10:40

レビュー

詰め込まれた怒涛のパロディ&愉快ネタはこちらの力量を試してるのか!? 「EAT LEAD マットハザードの逆襲」レビュー

 2月18日,ディースリー・パブリッシャーより,PlayStation 3Xbox 360用三人称視点シューティング「EAT LEAD(イートレッド)〜マット・ハザードの逆襲〜」(以下,EAT LEAD)が発売された。

我らがマット・ハザード。決め台詞は「ハザードタイム!」。最初こそダークスーツを着ているが,レベル2からはプロテクターを装備し,昔のアクションゲームの主人公っぽさが増してくる
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 本作はアメリカのVicious Cycle Softwareが開発したタイトルで,新旧有名ゲームのパロディネタが,これでもかといわんばかりに盛り込まれているのが特徴の,ユーモアたっぷりな3Dアクションだ。オープニングでは,主人公マット・ハザードが過去に出演したゲーム作品のパッケージ(架空のゲームである)がいくつも登場するが,年季の入ったゲーマーなら,「これどこかで見たよなあ」と感じること請け合い。「最終絶叫計画」というパロディ満載の映画があったが,EAT LEADは,そのゲーム版とでも思ってもらえると分かりやすいだろう。

8bit時代からポリゴンのCGキャラクターになるまで,マットはいろいろなゲームに出演し名を上げてきた
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 8bit時代のゲームから活躍してきた,主人公のマット・ハザード。かつては登場するゲームが必ずヒットするというスーパースターぶりで,マラソンソフトと生涯契約を交わし,次々と作品が作られたまではよかった。だが調子に乗って,ファミリー向けのレースゲーム「Haz-Matt Carts」(なんのパロディだか分かりますよね?)に出たところ,これがとんでもないクソゲーでマラソンソフトの株価は大暴落。そして同時にマットの出演作品も作られなくなり,いつしか忘れ去られた存在となってしまう。

マラソンソフトと生涯契約し,女性にもモテる生活を送っていたマットだったが……
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マットの過去の主演作の一部を紹介。左がマットの名を世に広めた大ヒットFPS「マットハザード3D」(邦題:ダイオハザード)。そして右が,マットが転落するきっかけとなったファミリー向けレースゲーム「Haz-Matt Carts」(邦題:マットカート)だ
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 「あの人は今」状態になったマットであるが,買収によって生まれ変わったマラソンメガソフトウェアからのオファーで,再びゲームのキャラクターとして活動する機会を得る。だが,実はそれはマットを抹殺するための罠だったのであった……。と,このようなストーリーでゲームが展開していく。

 主人公マットはゲーム内のキャラクターではあるが,自らの意思があり,ゲーム内で起こる出来事に対し,いろいろツッコミを入れまくる。このマットの言動がとてもユーモラスで面白いのが,本作の大きな魅力なのだ。全体的にバカバカしくて笑えるネタ満載のEAT LEADを,それではさっそく見ていこう。
 なお,本レビューはXbox 360版にて行っている。また,記事の性質上,ネタバレもしくはそれに近い表記が含まれることが多いので,この点にはご注意いただきたい。あと本作のパロディネタは,元ネタとは一切関係がないことも念のため強調しておきたい。

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非常に独特の世界観を持つステージ


 EAT LEADは全8ステージ構成で,最初のステージはチュートリアルも兼ねている。このチュートリアルステージがマットの復帰作になっており,刑事物のゲームという設定で,焼肉屋を経営するヤクザ達と戦っていく。ステージを進めていくと,中盤にはステレオタイプな中国人のしゃべり方をするアフロの黒人,最後には傭兵風の男が登場する。
 なぜヤクザと戦っていて,こんな突拍子もない展開になるのか,とにかくすごい世界観になっているが,ボス戦も独創的。このステージのボス戦は突如として格闘ゲーム風になり,画面の指示に従ってボタンを押したり,スティックを回したりなどして攻撃を加えていくのだ。

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 ステージ2以降のゲームの舞台は,マットがかつて登場したタイトルが元になっている。一つのステージを構成するのに,いくつものゲームの要素がミックスされているため,とんでもない世界になっている。おまけに事件の首謀者であるマラソンメガソフトの社長,ウォレス・ウォーリー・ウェルズリーIII世が,ゲーム内のマットを殺すためにたびたびハッキングを仕掛けてゲームを改造していくので,もう世界観はめちゃくちゃ。
 例えば肉屋で戦っていたら,いきなりカウボーイが出てくるウエスタン調の風景に変わり,さらに進めると雪が降るミサイル発射基地になっていたという具合である。敵もその都度変化していくが,とにかく敵は数で力押ししてくるので,戦闘は毎回大変。マットの愉快なつぶやきを楽しもうにも,落ち着いて聞いている余裕もない。もうちょっと攻撃を緩くしてくれ〜と泣きたくなるほどだ。

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 なお,意外(?)なことに,こういうマッチョなFPSやTPSにありがちなゴア表現はほとんどなく,敵を倒したときに血が出るようなこともない。


TPSに慣れているプレイヤーならすんなり遊べるが
少々,カバーアクションに難あり……


 EAT LEADの難度には「低ハザード」「高ハザード」「超ハザード」の三つがあり,一度ゲームをクリアするか,チートコードを入力することで最高難度の超ハザードがアンロックされる。ただ,初心者向けの低ハザードでもかなりの歯ごたえがあり,ゲームとしては難しい部類に入る。超ハザードとなれば,攻撃を数回食らっただけでもアウトだ。

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 ゲームシステムはオーソドックスなTPSで,普段この手のゲームを遊んでいる人には,すんなり馴染めるだろう。EAT LEADには,キャラをしゃがませる動作がなく,そのままだと格好の的になってしまうので,どこかに隠れる必要がある。
 そこで「ギアーズ・オブ・ウォー」や「レインボーシックス:ベガス」などと同じく,本作にもカバーアクションが採用されており,このポジションから敵を狙い打つのが基本的な戦術となる。カバーポジション中は左スティックとBボタンで,遮蔽物から遮蔽物に移動,左スティックとYボタンで指定したポジションまで素早く移動と,応用操作も使っていく必要もある。

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 ただ,このカバーアクションは精度がイマイチなのか,自分が意図しない方向に動くこともあり,敵が大量発生するためカバー失敗がそのまま死に直結してしまうゲーム終盤では,ストレスを感じることもあった。救いというわけではないのだが,敵のAIに関しては,こちらがカバーポジションで隠れていると同じタイミングで顔を出してきたり,ずっと同じ方向を向いたまま動かなかったりする者もいて,あまり頭はよくない。

 遊ぶ前は,いわゆるランボープレイができる爽快なTPSかと思っていたが,実際には無茶をすると割と簡単にやられてしまう。基本的にはカバーアクションで敵に狙いをつけて,一人ずつ倒していくようなスタイルのアクションだ。


武器を使い分けて、ステージを攻略せよ
ボス戦はパターンを作るのが攻略のカギ


 武器はゲームスタート時に「ハザードピストル」を持っているほか,2種類の武器を携行できる。基本的には敵を倒して武器を頂くという現地調達式で,「AK-47」「サブマシンガン」「グレネードランチャー」といった銃のほか,「プラズマライフル」「レーザーピストル」といったSFチックな武器もある。面白いところでは「水鉄砲」「ウォーターサブマシンガン」があり,これは相手を濡らすだけではなくちゃんと殺傷力を持っている。水鉄砲でもヘッドショットは可能で,決まるとなんとも不思議な気分になる。

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 なお,AK-47ではマガジンを1本丸ごと使ってやっと倒せるような敵でも,実は水鉄砲を使えば数発で倒せるなど,敵によっては弱点があり,武器の使い分けが重要なようだ。また,接近してXボタンを押せば格闘攻撃になり,無傷の敵でも3発入れれば倒せる。ただし,例外としてゲーム終盤に登場する2Dグラフィックスの兵士は,「立体的でない」という理由から,格闘攻撃が通用しなかったりする。

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 敵を倒すと,データをエネルギーとして吸収でき,これが一定量溜まると,敵を凍らせる「アイスアップグレード」と,敵を燃やせる「ファイアアップグレード」という二つの必殺技を使えるようになる。
 このほか,ステージ内の特定の場所に用意されている円筒状のオブジェクトに触ると,「マキシマムハザード」という攻撃力を倍増させる能力や,「マスターシールド」という一時的に敵の攻撃が無効になる能力を得られる。こういったものをうまく活用して,難しいステージをクリアしていくのだ。

「ウル○ェンシュタイン3D」を彷彿とさせる,インパクト大の2D兵士。ステージのグラフィックスは,マットの主演作品で初期のFPS「マットハザード3D」からだろう。きれいなCGのマットと,ステージのギャップがすごい
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 敵の中では,とくに2Dグラフィックスで描かれている兵士に衝撃を受けた。FPS黎明期の敵キャラという設定なのだが,見た目だけでなく,あえて猪突猛進に突っ込んでくるあたりもそれっぽい。薄っぺらい2Dのくせに耐久力は結構高く,ヘッドショットを数発決めないと倒れないし,2Dの体を横に向けて一時的に攻撃を無効にする能力もあり,意外と手強い敵だったりする。

 各ステージには,それぞれ実に個性的なキャラクター性を持ったボスが存在する。マットの過去作品「Conflict of the Deities」に登場する巨大タコ,回りくどい台詞回しでマットをイラつかせるニュートロノフ将軍,某超有名RPGの主人公をパロったクモーリ=アメモヨウ,そして最終ステージではマラソンメガソフトの社長自らが,マットの息の根を止めようと襲い掛かってくる。
 ボス戦はいずれもかなりの難度を誇っており,どう立ち回ればいいかを,死んで覚えることになる。筆者自身も攻略パターンを完成させるまで何回も倒されることになり,心が折れそうになったほどだ。

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 個人的に最も苦戦したのは,ステージ5に登場する巨大タコ。船の甲板を見下ろすようにタコの足が6本出ていて,これが次々と振り下ろされてくるのだ。しかも当たったら即死というもので,とにかく理不尽。さらにヘイホー部隊が定期的に甲板に下りてくるので,タコの足を処理しつつ,ザコキャラの相手もしなければならない。最も易しい低ハザードですらこのありさまなので,高ハザード,超ハザードでクリアするのは,諦めていたりする。


特筆すべきは,そのローカライズセンス


 EAT LEADの日本語ローカライズには,かなりの力が入っている。作家の冲方丁氏がローカライズスタッフとして関わっており,一度翻訳された文章が氏のセンスでアレンジしなおされ,海外のゲームながら日本人のツボにあった笑えるテキストになっている。

現実の世界からハッキングを仕掛けて,マットをサポートしてくれるQA。見た目はメガネがよく似合う美人だが,彼女の正体もゲームを進めることで明らかになってくる
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 特筆すべきは,ゲーム内の文章が日本語化されているだけでなく,音声もすべて日本語音声に吹き替えられているところだろう。主人公のマット・ハザードは,人気海外ドラマ「24 -TWENTY FOUR-」のジャック・バウアー役で知られる小山力也さんが担当し,QA(キュー・エー)という,現実の世界からゲームにハッキングを仕掛けてマットを手助けしてくれるキャラクターには,名塚佳織さんの吹き替えが当てられている。
 ゲーム内ではとにかくマットがしゃべりまくるのだが,ボスキャラやQAとの掛け合いが面白く,このやりとりだけでも相当笑える。一例を挙げるとこんなものがある。

ソーリー・ホワッチャ:「あの金はチャン大老のものアルネ。チャンと社会に貢献したご褒美。誰にも奪わせないアルネ」
マット:「そのしゃべり方はよせ。最近は本当にクレームがくるんだぞ!」

マット:「お前は誰だ?」
スティング・スナイパースコープ:「俺はお前の最悪の悪夢だ。悪夢といっても夢じゃない」
マット:「ややこしい。下手くそな翻訳の吹き替え版みたいだな」


 ザコキャラもしゃべりまくるし,マットのやられボイスや,とどめを刺した敵のセリフも豊富に用意されていて,とにかくにぎやかだ。例えばマットが攻撃を食らってピンチになれば,「隠れて体力を回復しろ。そうすればまだまだやれるぜ」と力強いセリフをしゃべったり,ロシア兵に倒されると「資本主義の豚がまた一人減ったな」と言われたり,カジノが舞台のステージには「はらたいらさんに3千点」としゃべる敵がいたりして,イチイチ最高である。

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 実績がバカみたいに,どんどん解除されていくところもEAT LEADのネタの一つといえる。とくに序盤は面白いように解除されていき,実績を意識せずにプレイしても,エンディングを見る頃には全体の8割ほどの実績を解除できていた。例えば「トイレ休憩」という実績があり,ゲーム中にマニュアルを読みたくなったのでポーズをかけたら,この実績が解除され,思わず笑ってしまった。実績の和訳文章ももちろん手が加えられており,とにかく丁寧にローカライズされている印象を受けた。


これでもかと次々にパロディネタがやってくる


 何度も書いて恐縮だが,EAT LEADはパロディネタが満載だ。筆者自身がこのゲームを知るきっかけになったのは,海外のゲーム動画サイトで,ステージボスの一人として登場する「クモーリ=アメモヨウ」と戦う映像を見たことだ。

クモーリ=アメモヨウはテキストで会話するため,声があてられていない。無言のとき「……」と表示されるが,そこにマットが「てんてんってなんだよ」とツッコミを入れるのが面白い。剣を振って衝撃波を発生させたり,隕石を集めてぶつけてきたりなど,強力な攻撃を次々と繰り出してくる
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 細い体躯に巨大な剣,マットがいうところの「ロングタイトルのファンタジーゲーム」の主人公なのだが,どうみても“あの人”だ。クモーリ→くもり→クラ○ドということなのだろうが,とにかくこれには爆笑してしまった。ここだけ,テキストボックスに表示される文章で会話する仕組みになっており,それにマットがツッコミをいれるなど,皮肉った感じがとにかく馬鹿馬鹿しくて面白い。
 ちなみにクモーリを攻撃すると,ダメージをいくら与えたかの数字が表示され,クモーリ自身はメニューから「剣技」「隕石落下」などのコマンド選んで行動する。JRPGを,こういった形で茶化すというのも,EAT LEADならではだろう。

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 ほかのパロディネタをいくつか紹介すると,宇宙艦隊で最強のコック「マスターシェフ」という人物がいる。これはすでにお分かりだと思うが「ヘ○ロー」シリーズのマスター○ーフのパロディで,最強のコックという点は,スティーブン・セガール主演映画「沈黙の戦艦」「暴走特急」の主人公,ケイシー・ライバック(元対テロ部隊指揮官で現在はコック)のネタだろうか。

左は,あえて元ネタを言わなくてもバレバレのスーパーカルロ。服装といいキノコといい,まさにあの人である。ちなみにカルロの奥さんはどこかの国のお姫様らしい。右は最強のコック,マスターシェフだ
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 さらに,かなり危ないパロディとして登場するのが,ヒゲ面にオーバーオール,キャスケットという出で立ちで登場する「スーパー・カルロ」だ。とあるステージでカルロを助けてやるのだが,姿を消す際に宙に浮いたブロックを叩いて土管を出し,そこに隠れるという演出がある。「これは怒られないのか?」と心配したくなるほどだが,子どもの頃から知ってるキャラクターが,こういう形でネタにされており,これまた大爆笑だった。

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 まだまだパロディネタはあり,とある面ではスナイパーライフルで魔法使いをサポートするミッションがあるのだが,このとき使うライフルがゲームセンターにある某ガンシューティングゲームの筐体をモチーフにしていて,ご丁寧にコイン投入口までしっかり描かれている。パロディとはいえ,細かいところまでしっかり研究されているのが伝わり,開発元がオリジナルに敬意を払っているのがうかがえる。


パロディ元への大きな愛を感じる作品
あとは難度の調整がしっかりされていれば


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 EAT LEADを一通りクリアしてみたが,とにかくパロディネタのクオリティは絶品。元ネタが分かれば分かるほど面白いので,ゲーム知識が広い人ほどニヤっとできる場面にいくつも出合えるはず。ローカライズも非常に素晴らしく,スタッフが大いに力を入れて作業に当たったのを実感できる。個人的には「24」を見て小山力也さんのファンになったので,小山さんのしゃべりを終始聞いていられるのは,たまらなかった。ただ元ネタが全然分からない人だと,「ちょっとバランスの良くないゲーム」で終わってしまうかもしれない。つまり本作をどれだけ楽しめるかで,ゲームマニアっぷりを計れるともいえるかもしれない。

マラソンメガソフトの社内にある「Nuke Winter」なるゲームのポップ。QAによると「半世紀以上も開発が続き,まだ完成していない」らしい。元ネタはもちろん「D○ke Nukem Forever」だろう
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 ゲーム内容自体は,「ギアーズ・オブ・ウォー」などの超一流どころに比肩するとは言い難いが,ちゃんと遊べるTPSである。どのシーンでも敵がとにかく大量に出てきて戦闘が激しく,ボス戦も攻撃パターンを覚えて対処方法を編み出すまでは,とにかく死にまくるので,根気強いプレイは必要だ。この点がもっとバランスよく,遊びやすくなっていれば,より多くのプレイヤーに薦められるゲームだったのだが,高い難度については「昔の洋ゲーっぽさ」をあえて出したかったのかもしれない。


続編「Matt Hazard: Blood Bath and Beyond」も配信中!


 EAT LEADの続編として,PlayStationNetworkとXbox Live Arcadeで「Matt Hazard: Blood Bath and Beyond」(以下,BBB)が配信されている。価格はPSN版が1500円(税込),XBLA版が1200MSPだ。せっかくなので,こちらもちょっと紹介しよう。

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 BBBはEAT LEADに出てきたボスキャラの一人「ニュートロノフ将軍」が,マット抹殺のため,マットの過去の出演作品が保存されたサーバーに侵入を図るという物語。将軍の野望を阻止するため,マットと彼の相棒デクスターの二人で,戦いを繰り広げることになる。
 パッケージ版と大きく違う点は,文章のみのローカライズに留まっている点。ここもネタにされており,「前回は役者が声をあててただろ?」「クロスレビューが低くて予算がないのさ」というやり取りがあったり,「『EAT LEAD 〜マットハザードの逆襲〜』(安売りワゴンで販売中)」なんてシーンがあったりと,自虐的なギャグが哀愁を誘う。

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 ゲームモードのメインは「ストーリーモード」だ。全8ステージが舞台になり,ステージ7以外にはボスが待ち構えている(ステージ7のみ,ラストにミニゲームが用意されている)。どんどんステージをクリアしていき,ニュートロノフ将軍を追い詰めていこう。なお,一度クリアしたステージは「クイックプレイモード」で,あとから自由に遊べるようになる。
 また,各ステージにはゲームのカートリッジが三つあり,すべて集めるとマットの登場作品の詳細情報を知ることができる。

カートリッジを拾ってゲームを完成させると,コレクションモードで情報を得られる。マットの出演作品はあまり語られていないので,そういった設定が見られるのはありがたい
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 こちらはマットの過去作品が舞台ということで,ゲームはレトロな横スクロール2Dアクションゲームとなっている。2人での協力プレイにも対応しているのが特徴だ。
 ステージ内のオブジェクトを壊すと,ロケットランチャーやマシンガンといった強化アイテムが手に入り,見た目の印象としてはKONAMIの「魂斗羅」シリーズを彷彿させるだろう。2D横スクロールではあるが奥行きの概念もあり,マットが移動できない3次元的な場所から攻撃してくる敵もいて,このあたりは「Shadow Complex」の影響も受けているようだ。

過激な暴力描写もBBBの特徴。正直,遊ぶ人を選びそうなほどである。吹き飛んだ体の一部が画面にぶつかり,血痕を残す演出は強烈だ
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 EAT LEADとはうって変わって,BBBはバイオレンスを前面に押し出したハードコアな作りになっており,敵を攻撃すれば血がドバドバ出るのはもちろん,体の部位欠損まである。爆発で吹き飛んだ体の一部が画面にぶつかって,血がベタっと付く演出もあり,結構過激。敵が大量に出現する場所では,死体が重なっていき血の池ができたりと,もうかなり突き抜けちゃった感がある。その結果,CEROのレーティングがEAT LEADは「C」(15歳以上対象)だったのに対し,BBBは「D」(17歳以上対象)になっている。

 BBBでは,敵を連続で倒し続けていくと,得点レートが上がっていく要素がある。素早く敵を倒して高いレートを維持していくことと,ミスを少なくしていくことが,ハイスコアを獲得するときのポイントになるようだ。なお,敵を倒し続けていくと「虐殺ゲージ」が溜まっていき,これがMAXになれば「ハザードタイム」が使えるようになる。ハザードタイム中は攻撃がより強力(マシンガンなら3WAYショット,火炎放射器なら攻撃範囲が広くなるなど)になるので,多くの敵をまとめて倒したいときや,ボス戦などで使うと効果的だ。

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 BBBは一撃死のトラップがいくつもあったり,敵の攻撃が激しかったりでかなり難しく,最低難度「弱虫」でも死にまくる。とくにステージの最後に待ち構えるボスは,いずれも異様な耐久力があり,相当てこずるだろう。EAT LEADと同様に,行動パターンを覚えて,どのように立ち回ればいいかを死んで体で覚えるという,昔ながらのゲームの印象を受けた。いわゆるレトロな“洋ゲー”というと,とにかくバランスが悪くて難度が高い印象があるが,それへのオマージュなのかもしれない。
 ただ,一応救済措置がとられており,最低難度ならば,無限コンティニューが可能なので,コンティニューをしまくってエンディングまで行くことは可能だ。その上の難度「かなり難しめ」は3回までコンティニュー可能で,最高難度の「こりゃ無理だろ」ではコンティニュー不可,おまけにザコキャラの攻撃一発でも死亡となり,全世界でクリアした人が一人でもいるのか疑わしいほどだ。

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 BBBはEAT LEADの続編ということで,もちろんパロディネタは満載。ヒゲの人が活躍する国民的アクションゲームを模したステージ,なつかしの「エ○ベーターアクション」を思い出すステージ,赤いオブジェクトが印象的なステージ(たぶん「ミ○ーズエッジ」だろうか),一人称視点のパズルゲーム「P○rtal」をネタにしたステージなどがある。
 個人的にはニュートロノフ将軍の「プランZでいくぞ」という発言に対し,マットが「プランBだろ」とツッコミを入れるシーンがお気に入りだ(元ネタはギ○ーズ・オブ・ウォーのマーカスとドムのやりとりか)。このように,BBBでも結構やりたい放題やっていて,こういうネタを探すのも面白い。

どこかで見たことがあるようなネタが盛り込まれたステージの数々。新旧問わずさまざまなゲームがサンプリングされて,BBBの世界を創り上げている
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 なお,EAT LEADは先述のとおり,実績がどんどん解除されていくゲームであるが,BBBは実力がなければ解除できないものが多い。筆者の場合,ゲームを一通りクリアしてみたものの,三つしか解除できていない。とくに,ノーコンティニューで特定のステージをクリアしろというのは相当厳しそうだ。腕に覚えがある人は,ぜひ挑戦してみてほしい。

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