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コーエーとしても無双としても挑戦的な「北斗の拳」ゲームは,いかにして生まれたのか。「北斗無双」プロデューサー鯉沼久史氏にインタビュー
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印刷2010/03/27 12:54

インタビュー

コーエーとしても無双としても挑戦的な「北斗の拳」ゲームは,いかにして生まれたのか。「北斗無双」プロデューサー鯉沼久史氏にインタビュー

従来の「無双」シリーズにはなかった,新たな試みの数々


画像集#015のサムネイル/コーエーとしても無双としても挑戦的な「北斗の拳」ゲームは,いかにして生まれたのか。「北斗無双」プロデューサー鯉沼久史氏にインタビュー
4Gamer:
 原作にあった奥義をゲームで再現するにあたって,どのような苦労がありましたか?

鯉沼氏:
 北斗の拳の象徴とも言える,“北斗百裂拳”がとくに難しかったです。ただパンチを百発出せば良いというわけではないので。いつもの無双シリーズだと,モーションキャプチャーは演武ができる方にお願いしているのですが,今回は原先生のこだわりもあって,実戦で活躍している方々にお願いしました。プロボクサーの練習風景などを参考に,今回はモーションを撮っています。新しい試みで,個人的にも非常に面白かったですね。

4Gamer:
 実戦で活躍していると言いますと,空手やボクシングなど,色々な道場を回ったのですか?

鯉沼氏:
 そうですね,そこで練習風景を見せていただいて,「じゃあこの方でお願いします」といった具合に撮らせていただきました。そのリアルな動きを組み合わせて,北斗百裂拳を完成させたんです。原先生も「北斗百裂拳が一番難しいですよ」と仰っていたので,何度もやり直しましたね。それを考えると,ほかの奥義に関しては割と楽でした。

画像集#016のサムネイル/コーエーとしても無双としても挑戦的な「北斗の拳」ゲームは,いかにして生まれたのか。「北斗無双」プロデューサー鯉沼久史氏にインタビュー

4Gamer:
 ゲームのみに登場するオリジナル奥義も,やはり原先生と相談して作ったのでしょうか?

鯉沼氏:
 オリジナル奥義に関しては「ゲームなので」ということで,了承をいただきました。しかし,奥義名には強いこだわりがあるらしく,そこはすべて監修していただいています。

4Gamer:
 セリフの再現なども上手いなと感じました。シンの投げ技で「何本目に死ぬかな〜?」とか(笑)。

鯉沼氏:
 原作好きな人にはツボですからね。知っていれば思わずニヤリとするような要素として盛り込みました。

画像集#017のサムネイル/コーエーとしても無双としても挑戦的な「北斗の拳」ゲームは,いかにして生まれたのか。「北斗無双」プロデューサー鯉沼久史氏にインタビュー

4Gamer:
 話は変りますが,北斗無双は「戦国無双3」と同時進行で開発が進められていたのでしょうか?

鯉沼氏:
 それどころか,最初の頃は,まだ「ガンダム無双」も終わっていない状態でした(笑)。開発を始めたのが2008年の冬で,2009年の春くらいに原先生にOKをいただきまして。そこから少しずつ,ゆっくりと進めてきました。

4Gamer:
 制作スタッフの規模はどのくらいだったのでしょう?

鯉沼氏:
 関わった人数となると,100名は超えると思います。「戦国無双3」と同時進行で,どちらも同じくらいの規模で動いていました。恐らく,うちの中でも大規模な部類のプロジェクトになるかと思います。

4Gamer:
 コーエーでもトップクラスのビッグプロジェクトということで,開発に関してはさまざまな苦労があったと思うのですが,とくに技術的な面で苦労したところはありますか?

鯉沼氏:
 「現代のゲーム機でリアルな世紀末を描こう」というコンセプトで進めていた北斗無双ですが,フォトリアリスティックなCGというのは,実はコーエーがこれまで作ったことのないタイプのものだったんですよね。そういった意味では,他社さんからは「たいしたことないよ」と言われるかもしれませんが,「無双」シリーズにしてみれば,実に挑戦的な取り組みだったんです。
 北斗無双のプロトタイプなんかは,笑いが起こるくらいひどい見た目ですよ(笑)。それを,今のレベルまで持ってくるのはとにかく大変でしたね。反省点も多々ありますが,やってよかったとは思っています。

4Gamer:
 鯉沼さんは,以前「ガンダム無双」を成功に導いた実績がありますし,今回の北斗無双に関しても,自信はありますか?

画像集#018のサムネイル/コーエーとしても無双としても挑戦的な「北斗の拳」ゲームは,いかにして生まれたのか。「北斗無双」プロデューサー鯉沼久史氏にインタビュー

鯉沼氏:
 いえ,ゲームを作る前から「成功する」と考えたことはないです。「できたら面白いな」というところからいつも始めていますね。自分で買いたいと思えないような作品は,作っちゃいけないと思っているので。とくに「ガンダム」や「北斗の拳」など,原作に熱心なファンが付いているゲームって,正直やり辛いんですよ。気を使う部分が多いですし,先程も言いましたが,ファンの方の脳内補完には勝てないので。

4Gamer:
 原作ファンに関しては,やはり声優陣の一新について賛否両論あったのではないでしょうか。

鯉沼氏:
 そうですね。しかし,原作があってアニメが作られたように,我々は今回「北斗の拳」というコミックスを,PS3やXbox 360といったゲーム機で再現したらどうなるんだろう,というところから企画を始めています。なので,やはりその世界観にあった声を入れたほうがいいだろうと考えました。そこで,版権元や原先生と相談して,「新しいキャストはどうだろうか」と。とくにケンシロウに関しては,原先生が強いこだわりを持って決めています。


あえて差別化を図った伝説編と幻闘編


画像集#019のサムネイル/コーエーとしても無双としても挑戦的な「北斗の拳」ゲームは,いかにして生まれたのか。「北斗無双」プロデューサー鯉沼久史氏にインタビュー
4Gamer:
 「戦国」や「三國」では,装備品を入手してパワーアップしていくシステムでしたが,今回の北斗無双では,“経絡究明図”で技を習得していく形になっていますよね。このアイデアは,どういったところから生まれたのでしょうか?

鯉沼氏:
 最初に考えた成長システムは,手に入れた経験値をスキルに割り振って強くするようなタイプで,かなりありきたりだったんです。今回,せっかく「北斗の拳」を扱うなら,これまでの「無双」とは違う新たなロジックを生み出そうと考えた結果,経絡究明図に行き着きました。成長させる楽しみや,「どこを開けると何が出る」といった楽しみを出せればなと。

4Gamer:
 スキルは習得数に限界がなく,最終的にすべて開けられるようになっていますよね。

鯉沼氏:
 そうですね。恐らく最初の頃は,アクションのバリエーションが少なくて手こずるかと思います。でも,新たなアクションを習得していけば,ガラリと強さが変りますよ。

4Gamer:
 そういえば,従来の「無双」シリーズよりも,必殺技のゲージが溜まりやすくなっている印象を受けたのですが。

画像集#020のサムネイル/コーエーとしても無双としても挑戦的な「北斗の拳」ゲームは,いかにして生まれたのか。「北斗無双」プロデューサー鯉沼久史氏にインタビュー
鯉沼氏:
 本作では,南斗タイプだと“見切り攻撃”というものがあり,タイミングよくボタンを押すと覚醒状態になって強くなるんですよ。この状態をいかに長くキープするかが,「北斗無双」の遊び方の基本になるかなと思っています。そして北斗タイプのほうは“闘気覚醒”を使って自分を強化し,気持ちよく戦ってほしいので,そういった意味を込めて,ゲージは溜まりやすくしています。
 中には,普通に殴ると逆に自分がダメージを食らってしまうような敵もいるのですが,これも闘気覚醒をすると,あっさり倒せるんですよね。ゲームを楽しく遊んでもらえるようにという,開発側の意思表示として調整しました。

4Gamer:
 「北斗の拳」らしさを保ちつつ,「無双」シリーズならではの“一騎当千”なゲーム性を再現するのには苦労されたと思います。原作を考えると,実は雑魚のモヒカンって,そこまで多く出てきませんしね。

鯉沼氏:
 そうなんですよね。それを言っちゃうと,「ガンダム」でもあんなにザクは出てきませんし(笑)。でも,そこは「無双」なのでたくさん出しています。ただ,今までの無双では武器を持って闘うのが基本ですが,今回はほとんどのキャラクターが素手なので,その辺は苦労しました。どうしてもリーチが短かったり,広範囲攻撃の表現が難しかったりしましたね。

4Gamer:
 攻撃のモーションが一発一発“重い”のも,やはり原作をイメージしてのことなのでしょうか。

鯉沼氏:
 テキパキと素早く動くのは,原作の方向性とは違いますからね。原先生にも「リアルな動きにしてほしい」と言われていましたから。そこで,どうやって一騎当千感を出そうかと考えた結果,今のものに落ち着きました。最初はリアルすぎて,今以上に重い感じの攻撃だったんですが,そこから徐々に「無双」寄りにチューニングしていったんです。

画像集#021のサムネイル/コーエーとしても無双としても挑戦的な「北斗の拳」ゲームは,いかにして生まれたのか。「北斗無双」プロデューサー鯉沼久史氏にインタビュー

4Gamer:
 やはり,北斗タイプと比べると南斗タイプのほうが動きは素早いですね。

鯉沼氏:
 そうですね。原先生も,南斗のほうは「人間の目で捉えきれない」くらいでいいということだったので。南斗の方が良い意味で,動きにウソをつきやすかったです。今回は登場キャラも限られていますので,アクションの差別化はしっかりやりました。

4Gamer:
 ジャギやマミヤのような特殊タイプのキャラクターは,かなり変わった動きをしますよね。これは,やはり上級者向けに作られたのでしょうか?

鯉沼氏:
 ちょっと扱い辛くはありますね。北斗や南斗とは違った感じで楽しんでいただけると嬉しいです。

4Gamer:
 今回,伝説編だとマップが分かりやすく1本道で進んで行く感じで,幻闘編だといつもの「無双」のような作りになっていますが,伝説編と幻闘編で,ゲーム性を大きく変えたのにはどんな意図があるのでしょうか?

鯉沼氏:
 今回は,今までの無双シリーズのような,主人公が沢山いる中でのストーリー展開とは異なっていて,主人公がケンシロウしかいないんですよ。そうなってくると,従来通りのシステムで「北斗の拳」を表現するのは,中々難しいと考えました。例えば,シンと対決する場面でザコが出ちゃうと,原作ファンは興醒めするじゃないですか。なので,伝説編とは別に,幻闘編でしっかり無双をやろうということになりました。

4Gamer:
 幻闘編では従来の無双シリーズのように,敵の拠点を落としていく感じになっていますよね。

鯉沼氏:
 そうですね。今まで通りと言ってはなんですけど,あえて従来の無双に近いシステムにしています。その上で幻闘編では,オリジナルストーリーが楽しめるというところで新しさを出せるだろうと考えました。


DLCでのキャラクターやシナリオの追加も予定


画像集#022のサムネイル/コーエーとしても無双としても挑戦的な「北斗の拳」ゲームは,いかにして生まれたのか。「北斗無双」プロデューサー鯉沼久史氏にインタビュー
4Gamer:
 現在,ダウンロードコンテンツでハート様と無法者が配信予定となっていますが,これは幻闘編で使えると考えてよろしいのでしょうか?

鯉沼氏:
 はい。幻闘編で使えます。

4Gamer:
 ハート様は分かりますが,無法者はただの雑魚ですよね?

鯉沼氏:
 そうですね。ダウンロードコンテンツは,おまけという位置づけなので,簡単に遊べるキャラでいいんじゃないかと考えまして。やはり,みなさん汚物を消毒したいでしょうし(笑)。

4Gamer:
 したいです(笑)。

鯉沼氏:
 ハートの方は,ついこの間マスターを出したばかりなんですけれども,無法者はまだ作っている最中なので,現時点であまり詳しいお話はできないんですが,それとは別に,追加シナリオもいくつか作ろうかなと考えています。

4Gamer:
 なんと,追加シナリオまで。

鯉沼氏:
 チャレンジモード的なところで,順次追加していこうかなと考えています。

画像集#023のサムネイル/コーエーとしても無双としても挑戦的な「北斗の拳」ゲームは,いかにして生まれたのか。「北斗無双」プロデューサー鯉沼久史氏にインタビュー

4Gamer:
 ちなみに,鯉沼さん自信が,北斗無双でとくにオススメしたいキャラクターやエピソードはありますか?

鯉沼氏:
 シンの幻闘編ですかね。シンがカッコよく描かれています。あえてケンシロウの前に立ちふさがるシーンなんかは,「おおー」と感じちゃいましたね。基本的に無双シリーズでは,どのキャラクターも「使用できる=ヒーロー化させる」という決まりが水面下にあるんですよ。

4Gamer:
 なるほど,確かに原作ではとんでもない外道だったシンが,非常に格好良く描かれていて,私も感動しました。
 ところで,先日行われたSCEのカンファレンスで,「北斗無双」の海外展開が発表されましたが,言語面以外の日本語版との違いはあるのでしょうか。

鯉沼氏:
 システムの変更は一切ありません。しかし,バイオレンスな表現については,海外ファン向けにもう少し過激に調整するかもしれませんね。

4Gamer:
 少し気が早いかもしれませんが,続編の制作もありえますかね?

画像集#024のサムネイル/コーエーとしても無双としても挑戦的な「北斗の拳」ゲームは,いかにして生まれたのか。「北斗無双」プロデューサー鯉沼久史氏にインタビュー
鯉沼氏:
 ファンからのニーズがあれば考えたいと思います。今のところは,結果を見てみないとなんとも言えないですね。

4Gamer:
 今後も,「ガンダム」や「北斗の拳」に続く,人気作品の無双化は構想していますか?

鯉沼氏:
 北斗の拳と同様,ファンの皆さんからそういった意見が多数届き,実際にゲーム化できそうなものがあれば,ぜひやりたいと考えています。

4Gamer:
 最後に,「北斗無双」に注目している読者へメッセージをお願いします。

鯉沼氏:
 「北斗の拳」のファンに,まずは遊んでいただきたいなと思っています。それと,昔はゲームをやっていたけれど,今はもうやっていないという方が多いと感じています。ぜひ,これを機にゲームをもっと遊んでほしいですね。「北斗の拳」と「無双」が好きな人はぜひ,遊んでみてください。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。

「北斗無双」公式サイト


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