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印刷2009/08/10 11:17

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海外ゲーム四天王 / 第11回:「Fight Night Round 4」

海外ゲーム四天王 〜戦うおじさん〜
第11回:今週のピーカブー:「Fight Night Round 4」
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 才能を持ち,なおかつ究極まで鍛え上げた男達が勝利のために殴り合う,ボクシング。起源をたどれば,古代ギリシャまで行き着く伝統と格式を誇るスポーツだ。そんなボクシングをいろんな意味で徹底再現した,Electronic Artsの人気シリーズ最新作を取り上げるのが,今週の「海外ゲーム四天王」だ。これをプレイするのは,高校時代になんかの間違いでボクシング同好会に入り,えらい目にあった経験を持つ4Gamer編集部の松本だ。歯が折れたとか。

飛び散る汗! 流れる鼻血! 腫れる顔! グラフィックスと物理エンジンの正しい使い方はこれだ

 

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 ジャブだ! フックだ! アッパーだ! ちくしょう,やりやがったな! えーい,お返しだ! というゲームが,Electronic ArtsのEA SPORTSブランドで発売されている「Fight Night Round 4」(以下,FN4)である。

 本作の源流は,1995年にリリースされた「Foes of Ali」に始まる歴史の長いボクシングゲームシリーズだが,一貫してコンシューマ機向けに作られているため,PCゲーマーにはなじみが薄いかもしれない。FN4の対応機種も,PLAYSTATION 3とXbox 360のみとなっている。2004年の「Fight Night 2004」以降,シリーズすべてに日本語版が発売されているものの,FN4に関しては現在のところエレクトロニック・アーツからの正式なアナウンスはない。

 

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 個人的な初見は2009年4月,EAがロンドンで開催した「EA European Showcase」でのこと。デベロッパであるEA Canadaのプロデューサー氏はその場で本作を紹介するにあたり,「FN4は最新の物理エンジンを実装し,選手のリーチや体重/体格,肉の付き方といった詳細なデータを計算。現実そのもののプレイを再現しています」と自信たっぷりに語り,公開されたムービーや,試遊台でのテストプレイでも,その並々ならぬ迫力がよく伝わってきたのである。おそらく「鼻血シェーダ」や「顔腫れシェーダ」,そして「汗びっしょりシェーダ」などがエンジニア達の努力によって開発され,その持てる実力を遺憾なく発揮しているのだろう。違うかもしれないが。

 ちなみに,このような人体表現,個人的な予想というか想像だが,日本ではやっぱり「胸揺れ」や「スカートひらひら」方面に進むんじゃないかと思うところを,屈強なボクサーの上腕筋の盛り上がりだの,汗で光る肌のテカリだの,顔の腫れ方/鼻血の流れ方だのに全神経を集中させたわけで,ここに彼我の文化の違いを見るのは考えすぎだろう。

 

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 余談が過ぎた。FN4にストーリーはない(キャリアモードはあるけど)。両手から「波動拳」が出たりもしないし,必殺のクロスカウンターパンチもない。あるのはただ,鍛えに鍛えた二人の男による激しい殴り合いである。

 新作が出るたびにいろいろなボクサーがフィーチャーされるFight Nightシリーズだが,今回のメインはマイク・タイソン。いうまでもなくスポーツ史にその名を残すヘビー級の名ボクサーだ。FN4では彼の身長や体重などの情報を採取し,かつてなかったほど正確なマイク・タイソンを再現しているというが,なかでも新たに加わった「頭を振る」というアクションはかなりタイソン。細かく頭を振って敵の内懐に飛び込み,豪腕で相手をマットに沈めるという本人のような戦い方が可能になったのだ。

 

立て! 立つんだ! ジョー,じゃなくてマイク!
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 相手にぶん殴られてダウンしてしまった場合,起き上がるためには10カウントがコールされる前にミニゲームをやっつけなければならない。このミニゲーム,筆者的にはいま一つルールを理解していないようで,うまくいったためしがないのだが,スティックをタイミング良く倒していくタイプのものだ。
 そんなわけで,オレのタイソン,倒れっぱなし。

 

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 ゲームには,このほか階級別に約50人のボクサーが登場する。とはいえ,高校時代にボクシング同好会に在籍し,「歩くサンドバッグ」とか「ヘッドギアをつけているのにダウンした男」とか呼ばれていた筆者的には,シュガー・レイ・レナードとかジェームズ・トニーの名前ぐらいは聞いたことはあるものの,それ以外の現役選手となるとちょっと怪しい。だが,FN4にはかつての有名ボクサーも登場するので安心だ。モハメッド・アリやジョー・フレージャー,ジョージ・フォアマンといった懐かしい選手達と戦えるわけだが,まあ,こういうゲームなので当然だけど,北米ボクシングに詳しい人ほど楽しめるのは間違いない。

 

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 試合の様子は非常にリアルである。物理エンジンによる衝突判定が行われているため,ボクサー同士が重なることはなく,不自然なシーンはまったく見られない。パンチがはずれれば,おたがいの腕がもつれ,相手のガードを下から打つとほんのわずか,ガードが上にずれる。パンチが当たるたびに汗が飛び,ラウンドが進むごとに選手の顔が腫れていく。

 操作系は,ボクシングゲームとしては珍しいことに(←また聞き),スティックでパンチを繰り出すシステムだ。スティックの動きと,同時に押下するボタンの組み合わせによって,デフェンスしたり,種類の違うパンチを打ったりするわけだ。

 

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 前作である「Fight Night Round 3」では,“Haymaker”と呼ばれる一発逆転の必殺パンチが用意されていたが(←また聞き),名称こそ残っているものの,FN4のHaymakerはなかなか打てず,しかも威力もさほどではなくなっている。全体として,アクション性は薄れ,シミュレーションの側面が強くなっている。
 もっとも,筆者のように「当たれこんちくしょう!」とスティックをがちゃがちゃやっているだけで十分に面白いし,パンチが決まると爽快だ。自分の操るタイソンが相手を葬ると,まるで自分も強くなったような気がするが,気のせいなので,腕試しとか言って街に出ないほうが無難である。

 

偉大なボクサーには優れたカットマンが必要
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 インターバルになって自分のコーナーに戻ったとき,「ヘルス」「スタミナ」「ダメージ」の三つをどの程度回復するか決められる。それぞれにポイントを適宜割り振っていくわけだが,ポイントは試合中,相手にうまくパンチがヒットしたとか,そういうことで溜まっていく。
 基本はアクションだが,リアルなシミュレーション性に加え,このような戦略性を持っていることも本作の特徴。

 

聞くは一時の恥……じゃなくて,百聞は一見しかず。この手のゲームは,あれこれ書くより,やはり実際のプレイを見てもらうのが一番だ。というわけで,タイソン選手の戦いぶりをムービーに収録した。タイソンに殴られた相手の顔の筋肉がプルプルするところなど,まさに「そこまでやるか普通?」の世界

 

 同じタイソンものとしては昔々,任天堂がリリースした「マイクタイソン・パンチアウト!!」があるが,最近Wii版がリメイクされた(タイソンは出てこないらしいが)こともあるので,両作のボクシングゲームに対するアプローチの違いなど,見比べてみるのも面白いだろう。

 

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■■松本隆一(4Gamer編集部)■■
 偉大なボクサーになるため,日夜原稿を書いたり,物忘れをしたり,鼻の下を伸ばしたりしている編集者。ヘッドギアをつけていながら倒されたのは,フットワークがへたくそで,うっかり両足が宙に浮いてしまったところを叩かれからだと本人は主張している。信じるも信じないもあなた次第だ。
  • 関連タイトル:

    ファイトナイト ラウンド4 英語版

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