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[E3 09]ついに登場した奇才ピーター・モリニューの驚愕の新作「Milo」は「ゲーム」にあらず!?
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Microsoftの,Nintendo Wiiのモーションコントローラーに対する“答え”として注目されるところだが,海外ゲームファンとしては非常に気になるテクノロジー・デモが,今回のブリーフィングの最後で行われている。イギリスの奇才,Peter Molyneux(ピーター・モリニュー)氏率いるLionhead Studiosが開発中という「Milo」である。
Project NATALは,カメラを使った全身モーションばかりでなく,音声を認識できるボイス・センサーも内蔵しているのが特徴だ。モリニュー氏が紹介したデモは,画面内に映る10歳ほどのバーチャル少年“Milo”(マイロ)と,Project NATALを利用してジェスチャーや会話によるコミュニケーションをとるという,かなりSFチックなプロジェクトだったのである。
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今回のデモは,このマイロ君と,実在のティーンエイジャー,クレアさんが登場するムービーであった。クレアさんがテレビモニターに近付くなり,イギリスの農村にはよくあるらしい家の前のブランコで遊んでいたマイロ君が,いきなり「やあクレア。大丈夫かい?」と挨拶する。Project NATALがクレアさんの存在を感知し,それをマイロ君がフィードバックしているのである。
この後,今日あった出来事を話すクレアさんに対し,心配そうな顔をするマイロ君。これは,前日,前々日に起こっていたクレアさんの出来事の話を,マイロ君が記憶しており,それを組み立てて理解する能力があるからだという。つまり,クレアさんの身に起こっていることを,彼女の言動や表情をProject NATALを通して読み取ることで,マイロ君が自分の表情に表して心配しているのである。
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また,逆にクレアさんが「学校の勉強は進んでいる?」などと質問するのに対して,マイロ君は何も答えずに首をうなだれ,肩を落としながら池に歩いていく。これは,マイロ君がゲーム内世界で起こっていることをクレアさんが知っているという逆のパターン。この二人は,お互いの日常を理解し合っている「バーチャル・フレンド」というわけなのだ。
ここでモリニュー氏の説明が入ったので,実際に二人のあいだで交わされた会話を聞き取ることはできなかったのだが,どうやらクレアさんがマイロ君の「生き物の絵を描く」という宿題を手伝ってあげることになったようだ。
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マイロ君は池の桟橋に歩いていき,そこに置かれていた水中メガネをクレアさんに放り投げた。実際には,この水中メガネはクレアさんの手元に飛んでくるはずはないのだが,ムービーではクレアさんが実際に受け取ろうとする。これは,クレアさんがマイロ君の存在を認めているために,物を投げられたことに対して咄嗟に反応してしまうという現象が起きているのだという。
クレアさんが水中メガネを頭につけるふりをすると,画面が水面上のものに切り替わり,クレアさんが魚を掴み取るような動作が行われていた。このデモで,唯一ゲームらしい場面だった部分だったといえる。
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さらにテクノロジーデモとして面白いのは,この後に起きたイベントだ。「どうやって描けばよいのかわからない」と話すマイロ君に対して,クレアさんは実際に魚の絵を描いて,それをProject NATALのカメラの前に一瞬かざす。すると,まるで絵の描かれたその紙を手渡されるかのようにマイロ君が受け取ったのである。
Project NATALが,紙に描かれた絵をキャプチャして,それをマイロ君の世界に移動させたのであろう。マイロ君は,その絵を見ながら「ワオー」と感嘆している場面でデモは終わった。
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このデモが,実際にProject NATALに対応したソフトとしてリリースされるのかは別にして,その思考ルーチンの高度さと利用法という意味においては,「コンピューター・サイエンス」という枠組みを超えた飛躍を感じさせるものである。画面内にいるのは,かわいい犬でも猫でもない,マイロ君という画面の向こう側の存在と,実際の人間のように接し,本物のコミュニケーションを図っているのである。
モリニュー氏も,今回のブリーフィングで壇上に上がるや否や,「これは,映画や小説の中のことではありません。ゲームコンソールを使って実際に起こっている,“サイエンスフィクションの現実化”なのです」と語っていた。
このMiloデモに関しては,その技術力やProject NATALの持つ潜在能力の高さ以外にも,筆者自身は正直に言って恐怖さえ覚えた。もし,人間がゲーム世界に「絶対に裏切らないトモダチ」を作ってしまったらどうなるのだろう。もはや,人は実際の人間の友人を持つ必要はなくなり,煩わしい外の世界を拒否してしまうことになるのではないだろうか。
このデモを見たあと,筆者は今回のブリーフィングにも出席していたスティーブン・スピルバーグ監督の映画「A.I.」の結末を,このマイロ君にダブらせずにはいられなかった。
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